4月22日、日曜日
上野の旧奏楽堂で、フィルハーモニア・アンサンブル東京という、
アマチュアの友人たちの演奏会がありました。
指揮は、ベルリンフィルのヴィオラ奏者として40年以上活躍していた、
土屋邦雄さんです。
17:45開場から15分遅れて18:00頃、奏楽堂に到着すると、
奏楽堂前に、長い行列!
奏楽堂前の濃いピンクの八重桜がちょうど満開で、
雨でしたが、木造の建物に、まさに花を添えている風情でした。
列を作ってゆっくり進むことで、その風情を十分に味わえました。
狭い入口から昔の小学校のような懐かしい階段を上り、
ホールに入ると、熱気がむんむん。
ほとんどの席が埋まっていて、しかも若い人が多い。
自身も音楽に関わっていると思われる人が多く、特別に熱のこもった聴き方です。
演奏しているときの呼吸にあわせた聴く呼吸とでもいうのでしょうか、
そういったものが感じられる演奏会でした。
さて、指揮者の土屋さんも演奏者と一緒に舞台に登場してきました。
何と、土屋さんはマイクを片手に、にこにこしているではありませんか?
指揮者って、お辞儀をしたらすぐにくるりとお尻をこちらに向けるのが普通ですけれど?
「ちょっと話を」と始めたのは、客席に来ていた、小澤征爾さんの紹介でした。
土屋さんは、自分の友人である小澤さんが来てくれた嬉しさと感謝を、
言葉も話し方も含めて、体全体から伝えてくれました。
その感じが優しくて、とても微笑ましいのです。
音楽も同じだなあと思いました。
つまり、音やメロディだけを伝えるのではなく、
そこに、作曲家の考えや感情を豊かに乗せて伝えるわけですから。
小澤さんは紹介されて、微笑みながら立って、皆に手を振ってくれました。
私の席から振り返るとすぐのところで、うれしくて興奮してしまいました。
始めの曲はバッハのブランデンブルグ3番。
バッハを漂わせて、皆さんの熱が直接伝わってくる、熱い熱い演奏でした。
今回はチェンバロではなくてピアノ。
ピアニストは土屋さんの奥さまで、とても素晴らしかったです。
次の5番は、ピアノ、フルート、ヴァイオリンのソロが入ります。
この3人を中心にして、オーケストラもぴったりと息のあった、
素敵な演奏を聴かせてくれました。
後半はドボルザークの弦楽セレナーデでしたが、
小澤さんが帰ってしまって、皆さんの熱気がしぼんでしまったのかしら?
アンコールは2曲演奏。
ドボルザークのワルツを初めて聞いて、美しい曲だと思いました。
そのあとレセプションまで参加させていただきました。
演奏会の終わった後は、演奏者はまだ興奮していて、
その熱気がこちらにも伝わってくるので、それが私には楽しみです。
土屋さんのお話も、心が伝わってくるように温かいものでした。
また演奏した人たちからもコメントがあり、
皆さんそれぞれに自分の音楽を持っていることが伝わってきました。
心にジ~~ンと響くお話も聞くことができました。
ありがとうございました。
音楽って、深いのですねえ。
これからまた、音楽を聴いたり演奏したりする楽しみの、
厚みが増したような気持ちがしています。
里英子