塞翁の盾で2022年直木賞を受賞した
今村翔吾の新刊
「じんかん」を今読んでいる
じんかんとは
人間という漢字の別の読み方
しかし意味は同じではなかろう
「人間(じんかん)至る所に青山あり」はオイラの好きな言葉
なのでこの本を読んでみる気になった
織田信長が好んで唄い舞った謡曲敦盛
人間(じんかん)五十年 下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり。一度(ひとたび)生を得て滅せぬ者のあるべきか、と候て、螺(ほら)ふけ、具足よこせと仰せられ、御物具(おんもののぐ)召され、たちながら御食(みけ)をまいり、御甲(おんかぶと)めし候ひて御出陣なさる。
がこの本のヒントになったのであろうが
この書ではニンゲンは個人を表し
ジンカンは人の世を表すと言っている
「人間至る所に青山あり」にも通ずると感じている
この意味を解説しておくと
(死んだ時 何処にでも墓を作るための場所はある
故郷にこだわらず世に出てゆけと云う程の意味だ)
ヒューマンの意味の人間ではなく
「人と人の間」と云う漢字の人間(ジンカン)を
考えさせているのではと思う
曲解かな?
この「じんかん」と云う作品は
人を人とも思わない殺人鬼織田信長の心境と
主家を乗っ取り将軍の暗殺者の汚名を受け入れて
ただこの世を生きようともがき続けた男
松永弾正久秀を描いた作品だ感じる
二人に共通するのは「人に非る人」という事だと思うが・・・
時代小説のかたちをしているが歴史を描いているわけではない
人の心の内を書こうとしているのだと思う
この署は歴史的事実など必要とはしていないのだろう