オーストラリア永住権取得は難しくない!

5つの目標を作り始まった、永住LIFEの幸せなオーストラリア永住権への道

幸せなオーストラリア永住権への道 168 海のリズムを・・

2008-09-24 20:05:46 | Weblog
ジャンプオフロックに向けて一歩を踏み出した俺の心の中には、ここまで来て引き下がれないという意地と、自分はオークランドシティーでは一番のサーファーなんだという外に出したこのない自信とプライドがあった。

さっき俺を後ろから罵倒したサーファーに追い越されないように、苔の付いた丸い岩の上を滑らないように進みながら、ジャンプオフロックの後ろ側に周り込んだ。3メートルはある大きな岩の裏側には、岩がいくつか階段のように積み上げれていて頂上に上ることができるようになっていた。

階段の周りには順番待ちのサーファーが3人ほどいて、俺が黙って近づいていくと話していた会話を急にストップして全員がじっと目をそらさずに俺の顔を見た。敵意こそ感じなかったが、その視線は俺には冷たく感じられてひどく居心地が悪くなった。

さっき後ろから俺を怒鳴りつけたサーファーとそいつらは友達らしく、後ろにいたはずのキングコングのような体格をして海の反射で色素の抜け切った薄いブルーの瞳のその男が声をかけると、急にやつらは嬉しそうに話を始めて、そのキングコングと軽く手と手を叩きお互いの手をギュッと握りあっていた。見たことのない挨拶だが、きっここの辺のローカルサーファー達の挨拶なのだろうと俺は思った。

ジャンプオフロックの頂上に立っていた男がタイミングをはかっているのが見えたその瞬間にキングコングと一緒になって、そこにいたローカルサーファー全員が大きな声でゴーと叫んだ。その掛け声とほぼ同時か、少し早いタイミングで頂上に立っていたサーファーはサーフボードと一緒に大波に向かって飛び立っていった。

その瞬間にやはり自分がかなりハードコアな場所に来てしまったことに気がついた。岩に打ち付ける大波のパワーもはかりしれないものがあったが、この海でサーフィンをしているサーファー達はおそらく全員が顔みしりのローカルサーファー達で自分は彼らからしたら、そこに迷いこんできたよそ者のエイリアンだということだ。

俺がいつもサーフィンをしていたピーハーのビーチにもローカルと呼ばれるサーファー達はいたが、ビーチがかなり田舎にあることとサーファーの数もそこまで多くはなくポイントが込み合うこともなかったので雰囲気ものんびりとしたものだった。それに自分は週に2,3回はピーハーに顔を出していたしサーフィンの腕前も彼らにひけをとってはいなかったのでいつも自由にサーフィンをすることができた。

しかし、ここの雰囲気は決してそんなのんびりとしたものではなく、ぶち切れる寸前ギリギリまで引っ張られた弦のようにピリピリとした緊張感が漂っていた。先に待っていた3人のサーファー達が一人、一人ジャンプオフロックの頂上に続く階段を上っていくところを見るとロックの頂上には一人のサーファーしか立てないルールがあるようで、ロックの下で待っているサーファー達が打ち寄せられる大波を見ながら飛び立てるタイミングで合図を送るのも、同じくここでのルールになっているようだった。

自分より先にロックの下で待っていたサーファー達全員がジャンプオフロックの頂上から飛び立ち、とうとう俺の順番になった。ロックの周りにはキングコングの他にも後からやってきたサーファー達が2、3人待っていたが、俺が順番どおりに階段を上ることには別段、不満はないらしく振り返るとキングコングが少し突き出した自分のアゴを手のひらでなぜながら挑発的な笑顔で、俺に行けよと目で合図をした。

俺は挑発には応えずに積み上げられた岩の階段から足を滑らせないようにゆっくりと上っていった。背中にはそこにいる全員の視線が突き刺さるように感じられた。一段、一段高くなる岩の階段を上りきり頂上まで来るとジャンプオフロックの上は一人が足を開きふんばって立つことができるギリギリの広さしかなかった。

岩を登っている間は足を滑らせることがないように注意をして自分の足元しか見ていなかったが、いざ上りきって正面を見ると3メートルの高さに自分の身長が合わさってかなり高い位置から岩だらけの海に飛び立たなければならないことが分かった。大波が打ち寄せた瞬間は白く荒れ狂った海水が引きずり込むかのように足元をさらおうとするし、波が引いた時にはずっしりと海底に身を置いた2メートル以上もある黒い岩が地上に顔を出す。

飛び込むタイミングを間違えればダイブした次の瞬間には海底の大岩に3メートルの高さから体を打ちつけて重症を負うか、もし打ち所が悪ければ命さえ落とすこともあるだろう。

下から大波に向かって飛び立つタイミングを教えてくれると言えば親切に聞こえるが、逆を返せば自分のタイミングではなくどんなに危険や恐怖を感じていても合図と一緒に飛び立たなければならないという意味合いも含まれていた。

俺は狭いジャンプオフロックの頂上で、できるだけ足を開きふんばりながら沖から、つぎつぎに押し寄せる大波を見つめて波が押し寄せるタイミングと引いていく時のリズムをはかった。体の中にはアドレナリンが排出され心音が耳で聞き取れるのではないかと感じるほどドコドコと脈打った。

俺は波を見つめながらリズムをつけて体でカウントをとった。大波が打ち寄せるときには体を引き、引いていくときには前に傾け大きなメトロノームのようになりながら飛び立つタイミングを計った。そして、次の大波が打ち寄せるタイミングで飛び立とうと思った瞬間に恐怖が黒い影をだして急に俺を飲み込んだ。

サーフボードと一緒に岩に叩きつけられる自分の映像が頭のスクリーンに闇とともに映り、それと同時にロックの下からは大きな叫ぶような声が聞こえた。

「ファッキン ゴーォッ!」

その声を聞いた途端に俺の両足は固まってしまい少しも動くことができなくなってしまった。飛び立つために深く屈むことも、岩を蹴りこんで空に舞うこともできずに腑抜けのようにただその場に立ち尽くしてしまった。すぐに我に返ってサーフボードを握る汗だらけの手のひらを片手づつすばやく穿いているボードショーツでぬぐって握りなおし、再び飛び立つことができるようにひざを曲げた、その時に俺の背中にコンクリートのブロックで殴られたような激痛がはしった。

振り返ると、さっきのキングコングが鬼のような表情をして俺の腕を大きなグローブのような手でつかんで無理やりにジャンプオフロックの頂上から引きずり降ろそうとしていた。

俺は殴られたんだ。

背中に残る痛みと激しく腕を引っ張るキングコングの表情から俺は奴に殴られたことが分かった。胸の中央から頭に向かって血が上りはじけそうになったがこのままここで抵抗したらジャンプオフロックの上からバランスを崩して落とされることに気がついてキングコングの腕を振り払って自分の力で下に降りようとした。しかし、俺のそんな最後のプライドを打ち砕くかのようにキングコングはさらに強い力で握りこみ俺を下まで引きずり降ろした。

「どこから来たのか知らないが。バーレーの海には腰抜けは入れないことになってんだよ。お前みたいな奴がいるとこの海のリズムが狂うんだ。ボードを持ってさっさと小屋に帰りなチキン野郎。」

キングコングはほとんど色のついていない瞳で俺をしばらくにらみつけると、仲間に持たしていた自分のサーフボードを受け取り片手を挙げて振り返りもしないで仲間に合図をしながら悠々とジャンプオフロックの頂上へと続く階段を上っていった。俺は奴のまるでキングのような態度にむかついたが、奴の叫ぶ声と同時にびびってしまい飛び立つことができなかった自分の臆病さにさらに落ち込んだ。
俺は、その場にいることが居たたまれなくなり悔しい気持ちを胸の中に押し込みながら後ろを振り返りさっき来た道をすごすごと歩いて戻った。悔しさと恥ずかしさと自分自身に対するいらだちで後ろから聞こえる笑い声に対して振り返ることも、キングコングや奴の仲間達の顔を見ることさえできなかった。

俺が今まで持っていたプライドはズタズタに引き裂かれた。シティーで一番のサーファーだと言われていい気になってナイトクラブで女の子に声をかけていた俺。見送りに来てくれた仲間達にプロサーファーになると冗談半分でおどけて見せた俺。両親に止められても何か最高なものをオーストラリアで見つけてくるといいはった俺。外に出たことの無い小さな池でいい気になって調子に乗っていた俺がひどくこっけいで恥ずかしい男に感じられた。

俺はすれ違うサーファー達と目を合わせないようにして地面を睨み付けながらエディーと待ち合わせをしている、さっきのカフェに戻った。人目を避けるようにそっとバックルームに戻ると、さっきの背の高いチャイニーズの女の子が着替えを済まして帰る用意をしているところだった。

「あら、あなたもう帰ってきたの?それに髪も体も濡れていないじゃない。海には入らなかったの?」

女の子は別段いやみを言うわけでもなくそう言った。一瞬、全てを見透かされたような気分になって驚いたがさっきの出来事を彼女が知るわけはなく自分の心がずいぶんと弱ってしまっていることに気がついてさらに気持ちが沈んだ。

「いや、今日はここで友達と待ち合わせだからやっぱり海に入るのは次の機会にすることにしたんだ。」

彼女は俺の返事には別段、興味があったわけではなくテーブルの隅に置いてある白い皮でできた自分のバックを取ると部屋を出て行こうとした。

「あっ、ちょっと待って。君に聞きたいことがあるんだ、このあたりにいる奴でキングコングみたいな大きな体をして色素の抜けた薄いブルーの瞳のサーファーを知らないかい?」

「ああ、知っているわよ。でも、あなたさっきから自分の名前を名乗りもせず目の前にいる私の名前を聞こうともしないで他の誰かの名前を教えてくれなんてちょっと順序が逆じゃないの。」

彼女は意志の強そうな黒い瞳で俺のことをにらみつけると、腰まで伸びたまっすぐな黒髪を手で払いながらそう言った。

「ああ、すまない。俺の名前はマーク。ニュージィーランドから来たんだ。君の名前と、もし知っていたら俺が質問した男の名前を教えてくれないか?」

「オーケー、あなたの名前はマークね。人にものを尋ねる時はまず自分から名乗るのが礼儀なのよ。ニュージィーランドではどんな礼儀があるか知らないけどね。いいわ、教えてあげる。私の名前はかおる。出身は日本。そして、あなたが探している男の名前はチュック。バーレーヘッズのサーファー達の間ではキングのようにふるまっているわ。」

「ありがとう、かおる。あのキングコングの名前はチュックというんだな。」

「キングコングじゃなくてキングよ。あなた、そんなこと言ってるのをこのあたりのサーファーに聞かれたら、バーレーヘッズでサーフィンなんてできなくなるわよ。」

かおると名乗るその女の子は俺に注意をすると軽く手を振って部屋から出て行った。胸の中の悔しさがチュックというさっきの男の名前を俺に何度もつぶやかせた。

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幸せなオーストラリア永住権への道 167 バーレージャンプオフロック

2008-09-17 18:32:34 | Weblog
初めて目の前にしたサーファーズパラダイス、ゴールドコーストのビーチから俺はしばらくの間、動くことができなかった。慣れ親しんだオークランドのミッションベイやいつもサーフィンをしていたピーハーのビーチは端から端まで簡単に見渡すことができた。でも今、自分が立っている白い砂がやわらかいベルベットのように敷き詰められたビーチは右を見ても左を見ても遠く、遠く遥か彼方まで広がっていて永遠に続いているかのように感じられた。

そして、このどこまでも続く海岸線ではまだ自分が出会ったことのない波が無数にブレイクをしていて数え切れないサーファー達が波に乗っていることを想像したら、まさに俺は天国にやってきたのだと感じた。小さなビーチで波を取り合っていた自分、シティーの中で一番だと言っていきがっていた自分が急にちっぽけな存在に感じられた。

それと同時にこれから始まる冒険に胸が躍った、初めての国、乗ったことの無い波、行ったことの無いビーチやポイント、誰も自分のことを知らない街、見知らぬ人々。オークランドにいた頃の、未来がほぼ決まってしまったかのような薄暗くて灰色の閉塞感から一気に開放された。

俺は自由なんだ、人生は自由なんだ。自分が生きたいように、自由に決めて選んで生きて良いんだ。限界も息苦しいような毎日も全部、自分が選んでそうしていたことに気がついた。これからは自分の考えに制限をするのをやめよう。このどこまでも続く海と青い空のように俺は自由に生きていいんだ。

「アイム フリー。アイム サーファー。俺は自由に選ぶことができる。俺はこの国で俺にとっての宝物を手にいれてやる。」

胸の中心から湧き出るような熱い想いを確かめるように小さく口に出すと、巻き上がるような高揚感がすっと落ち着いて決意と覚悟に変わった。俺はサーファーズの海にウィンクをすると振り返りバーレーヘッズに向かうために、もう一度バスセンターまでの道を一歩、一歩この大地を踏みしめるように歩いた。さっきまで勝手に感じていた疎外感も気恥ずかしさもどこかに行ってしまった。新しい国にやってきたスタートとしては、まずまずの出だしだと思いながらバーレータウン行きのバスに乗り込み、もう一度乾いた口と唇で俺はつぶやいた。

アイム フリー。アイム サーファー。

バーレータウンまでの道のりはゴールドコーストハイウェイという海岸線に平行して走る一本道をまっすぐに南に下っていくだけだった。バスの車窓から見える景色は平坦でところどころにベーカリーや肉屋、フィシュアンドチップスを売っているような店がある程度で大きなビジネスビルは無くリゾートマンションやホテルがたまに現れては消えた。オークランドのシティーともピーハーのビーチに向かう山道とも違っていて確かにここは外国なんだと感じることができた。

バーレータウンのバス停で降車の合図のブザーを鳴らし、荷物を降ろすのを手伝ってくれた、自分の親父と同じ年くらいのワーカーに礼を言うと、ずいぶんと鼻にかかった声でノーウォーリーズ マイトと言葉を返してくれた。マイト、俺はやつらのマイトになるんだな。俺は嬉しくなってオーストラリア風にもう一度、お礼を言った。

「サンクス マイト。」

ワーカーのおっさんはニッコリと笑いながらもういちど、ノーウォーリーズ マイトと言った。

バーレーのバス停は湾曲したビーチの目の前にあってビーチの右側が小高い丘のようになっているのが良く見渡せた。さっき見たサーファーズのビーチよりもだいぶ大きなうねりが入ってきていて底は岩と砂が混ざっているようで素晴らしい頭半くらいの大きさの波がずっと沖の方からブレイクしていた。その美しい波の上を大きな弧を描くような力強いライディングで何十メートルもの長い距離を、何人ものサーファーがサーフをしていた。

俺はすぐにでも海に入りたい衝動にかられたが、まずはしばらく世話になる予定のエディーに連絡をすることにしてジーンズの後ろポケットに入れてあるエディーの住所と連絡先が書いてあるエアメールをとりだした。すぐそばにあった公衆電話から手紙の最後に書いてあるナンバーを回すと懐かしいエディーの声ではなく聞きなれない男の声が受話器から聞こえた。

「こんにちは、自分はマイクといってエディーの高校時代の友達ですがエディーはいますか?」

「ああそういえばニュージーランドから友達がやってくるって言ってたな。エディーは今、用事があって出かけているよ。夕方までには戻ると思うけれど、マイクと言ったっけ?俺の名前はポール。それで、今どこにいるんだい?」

「実はもうバーレーヘッズにいるんです、どこかエディーと待ち合わせできるような場所はありますか?」

「待ち合わせ?エディーが帰ってくるまでにはまだちょっと時間がかかると思うよ。なんなら俺が迎えにいこうか?」

俺はポールの親切をありがたく受けようとしたが、その瞬間にさっき見た美しい波が一瞬、脳裏に浮かんだ。あんな何百メートルも乗れるよな最高の波にはめったに出会うことはできない。今を逃したら次に出会えるのはずいぶんと先になるかもしれない。

「でも、今バーレーで最高の波がブレイクしているんだ。エディーが帰ってくるまで海でサーフィンをしながらまっていることにするよ。どこか荷物をあずかってくれるような場所はあるかな?」

「オーケー、それならビーチ沿いにあるハイウェイから2件目のカフェに行ってポールの友達だと言って荷物を預かってもらいなよ。俺はそこで働いているんだ。海から上がったらビーチにあるシャワーを浴びてコーヒーでも飲んで待っていな。エディーが帰ってきたらそこに行くように伝えるから。」

「サンクス マイト。」

受話器を置いてボードケースとバックパックを担ぎなおし、ポールの教えてくれたカフェに向かった。ポールの働いているというカフェはビーチ沿いの道にせり出すように木のイスとテーブルを外に置いたオープンエアーの洒落たカフェだった。お客と間違えて声をかけてくれたずいぶんと背の高いチャイニーズの女の子のスタッフにわけを話すと、すんなりとスタッフの控え室になっているバックルームに通してくれた。

俺は急いでボードショーツに着替えてボードケースからサーフボードを取り出した。サーフボードのフィンが折れてしまわないようにクッション代わりに丸めて詰めておいたタオルを取り出し、全財産の500ドルをバックパックの一番奥に隠すように詰め込んで海に行くための準備が整った。上半身裸のボードショーツ1枚で客の入っている店の中を横切るのには躊躇したが、そんな俺の姿を見ても誰も不思議な顔をしなかったところを見るとサーファーがそんな姿で店にやってくるのは別段、めずらしいことではないようだ。

ビーチについて俺はおかしなことに気がついた。ずっと沖の方から波に乗ってくるサーファーは何人もいるのにビーチから沖に向かってパドルアウトしていくサーファーは一人もいないのだ。不思議に思ってしばらく眺めていると沖から波に乗ってきたサーファー達はビーチまでやってくると一度、海から上がりサーフボードをもってビーチの右側にある丘の方に向けてみんな歩いていく。俺はどこから海に入っていいのか分からなかったので、丘に向かって歩いていくサーファー達の後にそっとついて行った。

サーフボードを腋に抱えて前を歩くサーファー達について行くと彼らはバーレーヘッズの海を見渡せる丘の上まで上って行った。そして見晴らしの良い頂上の腋にある細い道を抜けると木が何本も生い茂るがけの間をゆっくりと降りていった。俺は自分が始めてここに入ることが悟られないように、彼らがするのを真似てサーフボードをぶつけないように器用に木と木の間をすり抜けていった。がけの土は赤土でところどころ水分を含んでよく滑る場所があったが、足を取られることなくなんとかがけを降りきることができた。

がけを降りきり茂った木がさえぎっていた視界が開くと大きな岩がごろごろとそこいらじゅうに転がっている海岸に出た。一面が砂浜のビーチではなく2メート以上あるような大きな岩から、波が打ち寄せ引いていくたびにゴロゴロと大きな音を鳴らして転がる3,40センチくらいのものまであり、ここはどうやらさっきビーチから見えていた丘の反対側の先端にあるようでビーチからは影に隠れて見えない場所だった。

ビーチから眺めていてもセットで4メートル近くあるような大波が目の前で打ち寄せ、人の力ではとても持ち上げることさえできないような大きな岩までが波打ち際で大きな音をたてて転がっているところからすると、この場所の波のパワーは相当なものであることがすぐに予想できた。

こんな場所からどうやって海に入るのだろう。

俺は不思議に思った。3,4メートクラスの大波が打ち寄せ崩れる波打ち際には大きな石が転がっているし、波をくぐるためのドルフィンスルーも水深が浅すぎてできない。無理にドルフィンスルーをすれば浅い海底の岩にボードがつっこみ真っ二つに折れることは簡単に予想できたし、波をくぐることなく正面からあんな大波にパドルで向かっていけば転がる大石と一緒に岩に叩きつけられサーフボードもろとも体が粉々に砕かれてしまうだろう。

次の瞬間、俺は信じられない光景を見た。

自分がいる場所から数十メートル離れた場所にある、海に一番突き出した場所にある3メートルはあろうかという大きな岩に大波が打ち寄せた瞬間に、その岩の上に立っていたサーファーが波の裏側をめがけてボードと一緒に飛び込んでいった。

飛び込んだサーファーは必死の形相で海水をかき、波が割れない沖のうねりに向かって必死にパドルをしている。ただ彼の数メートル前には、すでに次の大波がせまっていてドルフィンスルーをして波を潜り抜けることも不可能な絶望的な状態が迫っていた。大波が彼の目前で崩れ、波に飲み込まれようとした時もそのサーファーは軽くボードを波の斜面に突っ込んだだけで何も特別な行動はしなかった。ただ二本の腕をフルスピード回し大波に突っ込んでいった。

しかし、そのサーファーが岩に叩きつけられることも彼のサーフボードが二つに折れることもなかった。ただ大波に打ち付けられる前よりも確実に数メートルは先に進んでいた。そして、また次の大波が彼を襲い飲み込み数メートル先に進むということが4,5回続いた後に、そのサーファーは大波のうねりがブレイクする場所を越えて、悠々と沖にパドルアウトをしていった。

次のサーファーも、またその次のサーファーも同じだった。迫り来る大波と巨大な岩に打ち付けられる恐怖、そして大波をドルフィンスルーなしでも突破するだけの腕力を彼らは持っているのだった。俺は、その場に立ち尽くし彼らがジャンプオフしている大岩に進むことも、後ろからがけを降りてくるサーファー達とすれ違い臆病者と罵られながら今来た道を戻ることもできずにいた。そんな俺の状況を察知したのか背後から急に怒鳴るように声をかけられた。

「おい、お前ここいらで見かけない顔だな。さっきから突っ立って見学しているだけなら邪魔になるから、早くビーチに戻れよ。進むのか?戻るのか?はっきりしろよ。」

怒鳴り返してやる代わりに俺は一度目を閉じてから、覚悟を決めてジャンプオフロックに向けて一歩を踏み出した。バーレージャンプオフロックは今までに体験したことがないほどハードコアな場所だった。


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幸せなオーストラリア永住権への道 166 マークの旅立ち

2008-09-10 18:51:48 | Weblog
サーファーズパラダイスの正面のビーチに波が無くても、いつもどこかしらのビーチに行けばそこそこは楽しめるほどの波がたっているこのゴールドコーストでも、この2週間ほどの間はどこにいってもサーフィンができるほどの波はたっていなかった。

全てのビーチに波が無くてもどうにかサーフィンできるほどの波があることで有名なクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州の州境にあるデュランバーに行っても波は無く、ゴールドコーストの救世主と言われた通称ディーバーもここ1週間はフラットの状態が続いていた。

普段、挨拶代わりに今日はどこでサーフィンをしたとか、今日の波はどうだったとか話しているサーファーズパラダイスの住人達は当然のようにみんなストレスをためていた。ビーチに波がないとボードを借りにくるお客さんやスクールを受けに来る子供達、そしてサーフボードやボディーボードを買いにくるお客さんまで少なくてここ数日のシリンダーズはとてもスローだった。

お客さんが少なくてお店が暇だからといって、アルバイトのシフトに入ってくれているマサヤやターニーにお休みをしてもらったり早上がりをさせるのは二人の生活に直接に影響するので、今日は午後からは二人にお店を任せてマークと僕はシーワールドの先にあるスピットに釣りをしに行くことになった。

マークは釣りが大好きで、もう手放してしまったが以前は釣り用の小さなボートを持っていたほどだった。最近は僕とマークが同じ曜日や時間にお休みをすることが無くなったために一緒に釣りに行くことなんてなかったが、シリンダーズをオープンする前やまだ二人でお店をやっていた頃はよく二人で釣りにでかけたものだった。

僕はマークと知り合い一緒に釣りにいくようになるまで実は釣りが大嫌いだった。せっかく海が目の前にあるのに同じ場所にじっと座り、大きな海にいる小さな魚が僕の垂らした小さな小さな針に食いついてくれのを静かに待つなんて退屈だと思っていた。

ただ、実際にマークと釣りに行ってみるとたとえ沢山の魚が釣れても釣れなくても二人で大好きな海を見つめながら色々な話をするのがとても楽しかった。いつもどおりにシリンダーズの店の中や深夜のバーで話すのとは違って、やけに正直になってしまったり普段は胸の内側にそっとしまってあるような思い出や、大切な気持ちなんかがふっと口をついて現れたりするからだ。

僕とマークはスピットの駐車場に車を停めるとマークのオンボロなピックアップトラックの荷台から釣竿やアイスボックスに小さな折り畳みのイス、えさや仕掛けに使う道具なんかを詰め込んだプラスティックバックを取り出してジェティーと呼ばれる桟橋に向かった。ジェティーの入り口で釣りをするための入場券を買ったついでにコーラーとチップスも一緒に買い、以前の僕らの指定席だったジェティーの中間よりちょっと先の少し飛び出したコンクリートの部分にイスを広げて座った。

「永住ライフ、今日はアジを釣りまくろう。ワイフに約束してきたんだ、今日の晩飯はアジフライだってな。アジフライに日本のソースをかけて食べるとうまいからな。晩飯の買い物は必要ないって言ってきたんだ。」

「ちょっと、そんなこと言ってきちゃって大丈夫なの?もし、アジが釣れなかったら大変なことになるよ。かおるさんマジでこわいからなー。でも、マークなんであんなに怖い奥さんと結婚したの?海外に住んでいる日本女性は気が強い人が多いといってもかおるさんは今まであったことがないくらい怖いよ。何度か大声で怒鳴られて物が飛んできたとこともあるし、女の人って結婚すると変わるっていうけど昔は優しかったの。」

「ハハハ、かおるが怖いかぁ?」

マークは慣れた手つきですばやく竿に仕掛けをつけると、キラキラ輝く海に向かって針と糸を放り投げた。透明な釣糸は大きな放物線を描きながら海面に到着して静かに海の中の世界に侵入していった。僕もちらっとマークの顔を覗き込んでから同じように大きな放物線を空と海の間に描いた。

「あいつはな、であった頃と何も変わらんよ。今でも俺にとってはクイーンでプリンセスなんだ。」

「アハハ、かおるさんがプリンセス?かおるさんがプリンセスならどんな悪者もお城に攻めてこないよ。マークのナイトや王子よりも強そうだ。第一、王子を怒鳴りつけるお姫様なんて物語の中にはでてこないよ。」

マークは振り返って僕の顔を見るとにっこりと笑った。そして、何かを思い出すように黒目を上のほうに2,3回すーっと動かすとゆっくりと話し出した。

「それじゃあ、そんなお姫様が登場する物語を聞かせてやるよ。そう、あれは今から二十年とちょっと前の物語。俺はまだ故郷のニュージーランドのオークランドという街で暮らしていた。

オークランドのシティーから10分ほど車で走ったミッションベイという場所の古いフラットに友達5人で住んでいたんだ。あの頃、俺はシティーでは一番のサーファーだった。でも、オークランドのシティーは湾になっていて波が立たないんだ。だからシティーのサーファー達は車で1,2時間かけてピーハーというビーチまでサーフィンしにいかなければならなかった。

まぁ、シティーサーファーというのかな。街でナイトクラブやバーに飲みに行くのも楽しいからサーフビーチのそばにテントを張って暮らしていたようなハードコアな連中とも違う。それでも俺はプロサーファーに憧れていたし、サーフィン大国のオーストラリアにも憧れがあった。今の暮らしも楽しいけれどこのままじゃプロにはなれないし、何も変わらないって、ある日、決意してブリスベン行きの飛行機に飛び乗ったんだ。

大きなサーフボードケースにくしゃくしゃの着替えとボードを詰め込んで、かき集めた現金500ドルをバックパックに詰め込んでな。何かを手に入れるまではもうニュージィーランドには戻らない。

そう決めて、家族や仲間達にもしばらくは戻らないって言って別れてきたんだ。幸い、ハイスクール時代の友達がバーレーヘッズのそばに引っ越していたんでな。そいつを頼りにして会いにいったんだ。」

マークの瞳は目の前の海を見つめていたけれど、その視線の先に映っているのはジェティーの上から見えるスピットの海ではなくて数十年前の記憶の中に描かれた別の物語をみているようだった。

それは、70年代後半から80年代初頭にかけてのサーファーズパラダイスが今のような巨大リゾートになるまだ少し前の物語。ショートボードが次々にムーブメントを起こしていた頃、マークはサーファーズパラダイスに海を越えてやってきた。



「すいません、ビーチに行くのにはどっちに行けばいいんですか?」

空港からのエアポートバスはサーファーズパラダイスのバスセンターに到着をした。オークランドを出てから8時間以上、何も口にしていなかったのでエディーが住んでいるというバーレーヘッズの街に着く前に何か食べものも食べたかったし、バスの乗り方を先に聞いておくべきだと思ったが、この国についてまず一番最初にしたいことは決まっていた。

バスセンターの少し太ったスタッフはひどいオージーなまりでビーチまでの行き方を教えてくれた。彼の発音を聞いて少しおかしくなったけれど、ここでは俺の発音の方が外国なまりなんだということに気がついて少し恐縮をした。オーストラリアに着たんだな、そんな思いが胸の中からわきあがり大きな期待と少しの不安が膨れ上がって口からあふれ出そうになった。

バスセンターのスタッフにお礼を言ってサーフボードケースとバックパックを肩に担いで教えてもらったとおりにまっすぐに歩いていくと街を歩く人たちの服装や雰囲気が慣れ親しんだオークランドの人たちとはまるで違うことに気がついた。なんだかみんな明るくて楽しそうな顔をして歩いている。それにビーチタウンだけあってなんだか不思議な活気が感じられた。

俺はなんだか少し自分が場違いな場所にやってきてしまったような不安な気持ちになり、居心地が悪くなった。歩いている歩幅を広げ、スピードをあげ早くここからいなくなりたいと思ったその時、懐かしい潮の香りと一緒に目の前に明るく広くどこまでも広がる海と永遠に続く黄金のビーチが目の前に現れた。

「なんて、綺麗なんだ。今までこんなに広くて明るい海は見たことが無い。」

感動の言葉が思わず口をついてあふれ、俺は新しい海に出会えた喜びで一杯に包まれた。

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幸せなオーストラリア永住権への道 165 女神からの贈り物

2008-09-04 19:35:12 | Weblog
これからボディーボードを始めようというキッズや初心者のチームと、今日の大会に参加した中級以上のレベルの2チームに分かれてレッスンは和気あいあいと進んで行った。僕とマサヤは初心者のチームについてビーチで簡単に波の乗り方を教えたあとは、子供達でも足が届く波打ち際でみんなで波乗り大会をして遊んだ。

すぐに波の乗り方を覚えてスープの白い波に乗りながらビーチの砂の上まで楽しそうに乗っていくキッズもいれば、逆にタイミングがつかめずに波に乗ることができないキッズもいた。でも、それをからかったりばかにしたりするような子供は誰一人としていなくて、誰が言い出したのかは知らないがうまく波に乗ることのできない子供のボディーボードをみんなで押したりひっぱったりしながらなんとか波に乗ることができるように応援をしていた。

シャーキィーとマットは中級以上の選手達を相手に技やテクニックに関するそれぞれの質問や知りたいこと、今回のレッスンで学びたいことをまずはビーチでみんなの前で発表させて、実際に海に入りながらそれに丁寧に応えていた。みんな中級以上の選手とはいえレベルにはそれぞれ差があるので、選手達同士でも教えあいながら自分の持っているテクニックをシェアしていたのが印象的だった。

マットがレッスンの始まる前に言っていたようにみんなが先生でみんなが生徒、そしてみんな友達という考え方はすごく素敵な考え方だと僕もレッスンに参加しながら改めて思った。自分はキッズや初心者の人たちにボディーボードや海の楽しさを教えてあげたいと考えていたけれど、いざレッスンが始まって見ると逆にキッズや初心者の人たちから教えられることがたくさんあった。

「みんな楽しんでいるかな?今日のボディーボードレッスンも終わりの時間が近づいてきたよ。そして今日のイベントもそろそろ閉会の時間を迎えようとしている。今、かかり始めた音楽が終わったらレッスンを終了して大会本部のテントの前に集合してくれ。そして、レッスンには参加していないけれど会場に残っている人たちも閉会式が始まるので大会本部の大きな白いテントの前に集合してください。みんなありがとう。」

楽しかった今日のイベントの終わりを告げるマサヤのアナウンスとゆったりとしたG線上のアリアの調べが再び会場中を包み、斜めに傾き始めたサーファーズパラダイスの太陽に優しく照らされた人々がゆっくりと大会本部のテントの前に集まり始めた。

僕とマサヤもキッズ達をビーチの上にあげて一緒に座り、海の少し沖の方でレッスンをしていたもう一組のチームがあがってくるのをみんなで待つことにした。沖に向かって子供達と一緒に手を振るとそれに応えて、何本もの腕が空に向かって上がりこちらに向かって大きく揺れた。それは日に焼けた褐色だったり、日焼け止めを塗りまくった真っ白だったり、赤や黄色、ブルーの色とりどりのラッシュガードを身に着けたカラフルなものだったりで、大きさや長さもみんな違うけれどみんな同じにこちらを向いて揺れていた。

「お花畑みたいね、みんなキレイにゆれて笑っているわ。」

僕の隣でちょこんとかわいらしく座っていた今回の最年少参加者の、まだ7歳のジェシーが僕の右腕につかまって、乳歯が抜けて前歯のない天使のような笑顔でニッコリ笑いながら言った。選手達は沖から入ってきた波を取り、おもいおもいのライディングを披露しながらビーチに戻ってきた。そして最後にマットとシャーキィーがまるで海に住む生物のように美しく波と一つになりながら波打ち際まで帰ってきた。

レッスンの参加者達は全員に感謝と喜びをこめてその場で拍手を贈り、それぞれが握手をしたり肩を叩き合いながら閉会式が始まるテントに向けてゆっくりと歩いていった。そして、僕達がテントの前にたどり着く頃には会場にいた全ての人がもう集まっていて拍手と指笛で向かえいれてくれた。

そこにはマークの顔も、チュックの顔もマサヤやノリ、ターニーにアッキィー、ダニーとミスティー、そしてシン。焼き豚さんと日本マートの社長、今回のイベントに協賛してくれた企業やお店、スポンサーになってくれたボディーボードブランドの社員の方達、そして協力してくれた多くの人たちの笑顔があった。僕はその一人、一人にありがとうと言いながら最後の挨拶をするためにテントの目の前にあけられたスペースに向かって歩いていった。

閉会式での最後の挨拶はチュックにお願いをしていたが、前日の夜になって突然に僕がするようにチュックに言われた。僕も、もちろん最初は断っていたのだけれどシリンダーズに集まった仲間達から最後は言いだしっぺの僕が責任を持つべきだと言われて仕方なしに引き受けることになった。最終的にマークが言った一言も僕が引き受ける決め手になったのだが、あとで聞いてみると僕には内緒で最初からそのように決まっていたようだった。

テントの前に立つとマサヤから黙ってマイクを渡された。集まった人たちのほうに振り返ってみると大勢の人たちが僕の方を見て嬉しそうに笑っていた。とまどいながら大きく深く一度深呼吸をしてから僕は胸に中に一杯になりあふれ出す感謝の気持ちと想いをマイクを通してみんなに届けることにした。

「今回のイベントに参加してくれたみなさん、そしてそれを支えてくれたみなさん本当にありがとうございます。ここにいるみんなが笑いながら楽しそうな笑顔でいてくれるのを見ると今日のイベントができて本当によかったと思います。本当にありがとう。

そんなみなさんに謝らなければならないことがあります。僕達はみんなの心に虹の橋をかけようというのをスローガンにして、今日のイベントを進めてきましたが、実は最初は僕らのお店シリンダーズのために始めたイベントでした。お店の危機をなんとか脱出するために何か大きなイベントをしたかったんです。みなさん、本当にごめんなさい。

それでも、小さな僕達の思いにみんなの夢や応援を頂いているうちに僕達の心も変わっていきました。純粋にサーファーズパラダイスの街や海に恩返しがしたくなったんです。たくさんの仲間や最高な時間を与えてくれたこの街に、何かできることはないかと考えた時に今回のスローガン、みんなの心と心に虹の橋をかけたいという想いとこの街の未来そのものである子供達に何かをしたいという気持ちが生まれました。

僕はまだまだ、みなさんの前に立ってこんなふうに挨拶をするほどの人間ではありません。
今回のイベントによってみなさんにたくさんのものを頂きました。みんながそれぞれ異なる素晴らしいものを持っていて、それを分かち合うことがみんなの心と心に虹の橋をかけるということだと僕は今日のイベントを通して知ることができました。それは僕も主催者の仲間達も同じ意見です。本当にありがとうございます。

今回、集まったみなさんから頂いた応援の収益は、全てサーファーズの街に寄付させていただきます。本当にみなさんありがとうございました。今回のイベントに関わってくれた人たちみんながRainbow of surfers paradise cupに関わって良かったと思ってくれたら、僕達は最幸に嬉しいです。ありがとうございます。」

僕は大きく深く感謝の気持ちをこめてみなさんに礼をした。そして、Rainbow of surfers paradise cupは終わった。当初の目的だったシリンダーズの危機を脱するための資金は1ドルも残らなかったがみんなで話して全員一致で決めたことだったので、僕もマークもそして仲間達も幸せだった。

僕らはいつもの日常へと帰って言った。

そして、あの大会が終わって1ヶ月間が過ぎた。

「おはよう、マーク。今日もキッズ達きているのかな?」

「ああ、ヤマトもアツヤ、ジェシーもスージーもみんな大喜びで海に行っているよ。今日はヤマトが新しい友達を3人連れてきたぞ。マサヤもキッズに囲まれて大忙しさ。」

「ねぇ、マーク。シリンダーズと取引してくれるボディーボードブランドは太っ腹だよね。キッズ用のボディーボードやフィンも無料で提供してくれるし、おまけに今までの支払いも半年先まで待ってくれるなんてね。」

「ああ、おかげでシリンダーズもこの街のキッズ達も大喜びさ。」

マークと二人でお店に外に出ると、どこまでも青い空の向こうからサーファーズパラダイスの女神が僕らにウィンクをしているのが見えた。

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