シリンダーズの店内はレッスンを終えて帰ってきた僕達4人と、店番をしていたマークやターニーまでが加わって、ワイワイと楽しい時間は続いていた。レッスンを終えた僕等はビーチ沿いに設置されている公共の水シャワーを浴びて海水を洗い流し、バックルームで順番に着替えをすることにした。
マサヤは海の目の前の自分のアパートで着替えを終えたら、すぐに店に来るように頼んでおいたので一人一人順番で着替えをしていた最後の番の僕が着替え終わるまえに、目が迫るような真っ赤なタンクトップに水色の明細柄のショートパンツという派手な格好で戻ってきていた。
僕は急いで着替えを済まして、シリンダーズの3軒となりにあるナイトウォールというふくろうのマークが看板に書かれている日本でいうコンビニエンスストアーのような店で、4本の炭酸飲料を買ってきてお店の中で座って休憩をしているユウゾウさんとアイコさん、そしてマサヤに手渡した。
「まだアルコールを飲むには少し早い時間なのでジュースで乾杯しましょう。」
「あー、永住ライフずるい。なんでマークと私の分がないの。」
ターニーが僕が4本しかジュースを買ってこなかったのを見て、大きな早口の英語でそう言った。ユウゾウさんが何を言っているのですかといいたげな顔で僕の顔とターニーの顔をキョロキョロと何度か振りかえって見た。
「ターニーとマークは今日のレッスンに参加していないのでジュースはありません。」
僕はわざと意地悪な顔をして言うと、ユウゾウさんは急いでターニーの側の行って「まだ口はつけてないので飲んでください」と日本語で言った。ターニーはジョークで言ったのにそれを真剣に受け止めたユウゾウさんがおかしくて、ケラケラと笑った。そして、自分にもジュースを飲ませてくれようとしたユウゾウさんの優しい気持ちに対して、ユウゾウさんの腕をつかんでサンキューとお礼を言った。
ジュースでのどを潤すとマークがまた発音のおかしいインチキっぽい日本語で二人に話しかけた。
「レッスンは楽しかったですか?二人とも波をキャッチできましたか?」
「僕は乗ることはできなかったけれど、アイコは3本も波に乗れましたよ。日本に帰っても一緒にサーフィンとボディーボードを続けようと思います。」
マークは満足そうな顔でうなずくと、僕の方をむいて軽くウィンクをしてターニーと一緒に水着屋サイドへと帰って行った。あとはお前に任せる、そんな意味のウィンクだった。僕は今回の二人のレッスンの様子を見ていてユウゾウさんアイコさんもとても楽しんでくれていたのを知っていたので、特別に僕の方から営業をする必要はないと分かっていた。何を言わなくても、分からないことや聞きたいことがあったら二人の方から僕に聞いてくれるだろう。
ジュースを飲み終わった二人は立ち上がってボディーボードコーナーを見に行った。しばらく二人で自由に見てもらえばいい、そう思って一息ついたとたんにアイコさんが戻ってきて僕のTシャツをひっぱった。
「ねえ、永住ライフさんも一緒に私のボディーボードを選んでください。色々な大きさや形があって私にはレッスンの時に借りたような綺麗な赤色のボディーボードがいいということしか分からないんです。」
「おっ、アイコさん。日本に帰ってもボディーボードを続ける気になったんですね。それならアイコさんにピッタリな素敵な板を選びましょう。」
僕は立ち上がりアイコさんと一緒にユウゾウさんが待っているボディーボードラックの前に歩いて行った。シリンダーズのボディーボードラックには色、サイズ、形、ブランドを入れると50種類以上のカラフルなボディーボードが並べられている。それはまるで50色のクレヨンが綺麗に並べられているようで、いったいどの色のクレヨンが自分に合うのか探し出すことは、今日サーフィンとボディーボードを始めたばかりの二人にはできなくてあたりまえだった。
「ああ、お願いしますよ、永住ライフさん。アイコに合うボディーボードとフィン、そしてウェットスーツや道具を一式選んであげてください。サーフィンのことだってわからないのにボディーボードのことを聞かれたって僕には分かりませんからね。それに、波乗りに関してはアイコに一歩先をいかれてますからね。」
「永住ライフさん。私達、今まで共通の趣味って無かったの。それは人並みに買い物に行ったり映画を見たりはするけれど一緒に何かをするって素敵なことでしょう。これからは一緒に海に行けると思うの、だから必要な道具を全部選んでください。」
それから僕とアイコさんはボディーボード選びから始まって、フィンの種類選び、腕につけるリーシュコード、ボードを入れるためのケース、ウエットスーツの全ての道具をゆっくりと時間をかけて選んだ。僕はアイコさんの身長や体重、足のサイズや脚力の強さ、さっきのレッスンの時の様子から考えてベストのものを選ぼうとしたし、色やデザインで悩んだときは店で流しているサーフィンビデオを見ながら二人で話しているユウゾウさんとマサヤまで呼んで見てもらった。
アイコさんが言っていた綺麗な赤色の板は軽くて使いやすい、日本人の女の子達から1番人気があるブランドのかわいいデザインの板を選んだ。フィンは脚力の無いアイコさんでも足に負担がかからず前に進むことのできるやわらかいものを選んだ。ウエットスーツはユウゾウさんとマサヤの意見も聞きながら胸にオーストラリア大陸をモチーフにしたロゴが入った綺麗な空色のシーガルを選んだ。
アイコさんはとても嬉しそうに、「見て見て」と言いながらユウゾウさんの前でポーズをつけた。ウエットスーツを着て、自分の物になった真っ赤なボディーボードを脇に抱えると、アイコサンはもうどこからどう見てもいっぱしのボディーボーダーに見えた。そして、僕等はアイコさんが待ってきていたカメラでもう一度、写真をとった。
アイコさんがフィッティングルームでウエットスーツから洋服に着替えている間に、全ての商品からタグをはずして計算をしてユウゾウさんの所に持っていった。それはボディーボードやウェットスーツが日本の約三分の一で買えるとは言ってもオーストラリアで暮らしている僕等にとってはかなりの金額になっていた。
僕やマサヤとあまり年令の変わらないユウゾウさんが驚く表情をするでもなく、まったく普通に財布から100ドル札を何枚も取りだして支払いをしているのを見て、逆にマサヤが少し驚いた顔をしていた。マサヤには日本人のこの若いカップルがとんでもないお金持ちに見えたのかもしれない。
選んだ商品を袋に詰めていると、店の中を見ながら待っていたユウゾウさんとアイコさんがレジのところにやってきた。
「これも下さい。」
二人がそれぞれの手に大事そうに握り締めていたのは僕等のお店「シリンダーズ」のロゴマークが入ったおそろいのラッシュガードだった。シリンダーズ.オーストラリア.ゴールドコースト」と書かれた真っ白のラッシュガードを今回の記念に買って帰りたいということだった。
僕はそんな気持ちが嬉しくて、ありがとうございます。と言いながら今閉じたばかりの大きな袋をもう一度明けて、2枚のラッシュガードをそろえるよう入れた。
二人は何度も僕とマサヤに「ありがとう、ありがとう。」と言いながら嬉しそうに帰っていった。店の外までマサヤと一緒に二人を見送りに出ていたので、二人が何度も振り返って手を振るのが見えなくなるまでそこにいた。
「なぁ、永住ライフ。」
「うん、何マサヤ?」
「あの二人がすごく海を好きになったことは分かるけれど。二人は、すごい金持ちなのかな?あんなにまとめて一式買って、昨日はユウゾウさんのサーフィン道具を一式揃えたんだろ。」
マサヤが純粋にそう思ったのか、少しイヤミで言ったのか、僕にはよく分からなかった。でも、マサヤの心の中にあった何かが少しずつ溶けはじめていることを僕は感じていた。
「マサヤ、僕たちサーファーズパラダイスで暮らしている人間にとっては昨日も今日もいつもと変わらないただの1日だった。でもこの街にハネムーンにやってくる人たちにとっては人生で1度しかないハネムーンの大切な1時間であり、1日なんだ。だから、たくさんお金も使うし買い物もするけれど、それはお金持ちだからじゃないよ。みんな大切な瞬間にお金を払っているんだよ。」
「そうか。それに、お金を払って買い物をしているのになんであんなに何度も頭をさげて、ありがとう、ありがとうって言うんだよ。レッスンの時だってそうだ、こっちがびっくりするほど何度もお礼を言われたよ。むこうはカスタマーだぜ。」
「それは、もうマサヤは気がついていると思ったんだけどな。あんなに何度もお礼を言ってくれたのはマサヤがそれ以上の喜びを与えてくれたからだよ。支払ったお金の何倍も嬉しいと感じてくれたんだよ。あの二人はゴールドコーストでの最高の思い出と、これから二人で一緒に海で過ごす楽しい時間や思いを得ることができたんだよ。だからあんなに喜んでくれたんだ。あっ、そうだ。」
僕はさっきレジから出した20ドル札をポケットから取り出してマサヤに手渡した。マサヤは最初、躊躇していたけれどゆっくりと僕から20ドルを受け取った。
「ありがとう。」
「ありがとう。」
僕とマサヤの声が重なった、二人が同時に同じ言葉を言ったんだ。僕とマサヤは顔を見合わせて笑った。
「マサヤ、今日は本当にありがとう。マサヤのおかでユウゾウさんもアイコさんも楽しんでくれた。二人が喜んで買い物をしてくれたおかげでシリンダーズにもお金が入って僕やマークも嬉しいよ。だから、そのお金は今日マサヤが僕たちみんなに与えてくれた嬉しさや喜びに対する対価なんだ。マサヤ、ありがとう。またレッスンを手伝ってね。」
マサヤは少しだまったまま何かを考えるような顔をしてから、もう一度ありがとうと言った。
「永住ライフ。また明日、一緒にサーフィンに行かないか?」
「うん、いいよ。それじゃあマサヤの家の前に5時に集合だ。」
「OK,Thank you Mate!」
マサヤはそう言うと、もう薄暗くなったサーファーパラダイスの街の中に飛び込んでいった。マサヤの後姿を見ていたら、どこかでアンドレアスが笑っているような気がした。
「アンドレアス、ありがとう。」
僕は振り返ってマークとターニーが待っているシリンダーズの明るい光の中に戻って行った。
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「まだアルコールを飲むには少し早い時間なのでジュースで乾杯しましょう。」
「あー、永住ライフずるい。なんでマークと私の分がないの。」
ターニーが僕が4本しかジュースを買ってこなかったのを見て、大きな早口の英語でそう言った。ユウゾウさんが何を言っているのですかといいたげな顔で僕の顔とターニーの顔をキョロキョロと何度か振りかえって見た。
「ターニーとマークは今日のレッスンに参加していないのでジュースはありません。」
僕はわざと意地悪な顔をして言うと、ユウゾウさんは急いでターニーの側の行って「まだ口はつけてないので飲んでください」と日本語で言った。ターニーはジョークで言ったのにそれを真剣に受け止めたユウゾウさんがおかしくて、ケラケラと笑った。そして、自分にもジュースを飲ませてくれようとしたユウゾウさんの優しい気持ちに対して、ユウゾウさんの腕をつかんでサンキューとお礼を言った。
ジュースでのどを潤すとマークがまた発音のおかしいインチキっぽい日本語で二人に話しかけた。
「レッスンは楽しかったですか?二人とも波をキャッチできましたか?」
「僕は乗ることはできなかったけれど、アイコは3本も波に乗れましたよ。日本に帰っても一緒にサーフィンとボディーボードを続けようと思います。」
マークは満足そうな顔でうなずくと、僕の方をむいて軽くウィンクをしてターニーと一緒に水着屋サイドへと帰って行った。あとはお前に任せる、そんな意味のウィンクだった。僕は今回の二人のレッスンの様子を見ていてユウゾウさんアイコさんもとても楽しんでくれていたのを知っていたので、特別に僕の方から営業をする必要はないと分かっていた。何を言わなくても、分からないことや聞きたいことがあったら二人の方から僕に聞いてくれるだろう。
ジュースを飲み終わった二人は立ち上がってボディーボードコーナーを見に行った。しばらく二人で自由に見てもらえばいい、そう思って一息ついたとたんにアイコさんが戻ってきて僕のTシャツをひっぱった。
「ねえ、永住ライフさんも一緒に私のボディーボードを選んでください。色々な大きさや形があって私にはレッスンの時に借りたような綺麗な赤色のボディーボードがいいということしか分からないんです。」
「おっ、アイコさん。日本に帰ってもボディーボードを続ける気になったんですね。それならアイコさんにピッタリな素敵な板を選びましょう。」
僕は立ち上がりアイコさんと一緒にユウゾウさんが待っているボディーボードラックの前に歩いて行った。シリンダーズのボディーボードラックには色、サイズ、形、ブランドを入れると50種類以上のカラフルなボディーボードが並べられている。それはまるで50色のクレヨンが綺麗に並べられているようで、いったいどの色のクレヨンが自分に合うのか探し出すことは、今日サーフィンとボディーボードを始めたばかりの二人にはできなくてあたりまえだった。
「ああ、お願いしますよ、永住ライフさん。アイコに合うボディーボードとフィン、そしてウェットスーツや道具を一式選んであげてください。サーフィンのことだってわからないのにボディーボードのことを聞かれたって僕には分かりませんからね。それに、波乗りに関してはアイコに一歩先をいかれてますからね。」
「永住ライフさん。私達、今まで共通の趣味って無かったの。それは人並みに買い物に行ったり映画を見たりはするけれど一緒に何かをするって素敵なことでしょう。これからは一緒に海に行けると思うの、だから必要な道具を全部選んでください。」
それから僕とアイコさんはボディーボード選びから始まって、フィンの種類選び、腕につけるリーシュコード、ボードを入れるためのケース、ウエットスーツの全ての道具をゆっくりと時間をかけて選んだ。僕はアイコさんの身長や体重、足のサイズや脚力の強さ、さっきのレッスンの時の様子から考えてベストのものを選ぼうとしたし、色やデザインで悩んだときは店で流しているサーフィンビデオを見ながら二人で話しているユウゾウさんとマサヤまで呼んで見てもらった。
アイコさんが言っていた綺麗な赤色の板は軽くて使いやすい、日本人の女の子達から1番人気があるブランドのかわいいデザインの板を選んだ。フィンは脚力の無いアイコさんでも足に負担がかからず前に進むことのできるやわらかいものを選んだ。ウエットスーツはユウゾウさんとマサヤの意見も聞きながら胸にオーストラリア大陸をモチーフにしたロゴが入った綺麗な空色のシーガルを選んだ。
アイコさんはとても嬉しそうに、「見て見て」と言いながらユウゾウさんの前でポーズをつけた。ウエットスーツを着て、自分の物になった真っ赤なボディーボードを脇に抱えると、アイコサンはもうどこからどう見てもいっぱしのボディーボーダーに見えた。そして、僕等はアイコさんが待ってきていたカメラでもう一度、写真をとった。
アイコさんがフィッティングルームでウエットスーツから洋服に着替えている間に、全ての商品からタグをはずして計算をしてユウゾウさんの所に持っていった。それはボディーボードやウェットスーツが日本の約三分の一で買えるとは言ってもオーストラリアで暮らしている僕等にとってはかなりの金額になっていた。
僕やマサヤとあまり年令の変わらないユウゾウさんが驚く表情をするでもなく、まったく普通に財布から100ドル札を何枚も取りだして支払いをしているのを見て、逆にマサヤが少し驚いた顔をしていた。マサヤには日本人のこの若いカップルがとんでもないお金持ちに見えたのかもしれない。
選んだ商品を袋に詰めていると、店の中を見ながら待っていたユウゾウさんとアイコさんがレジのところにやってきた。
「これも下さい。」
二人がそれぞれの手に大事そうに握り締めていたのは僕等のお店「シリンダーズ」のロゴマークが入ったおそろいのラッシュガードだった。シリンダーズ.オーストラリア.ゴールドコースト」と書かれた真っ白のラッシュガードを今回の記念に買って帰りたいということだった。
僕はそんな気持ちが嬉しくて、ありがとうございます。と言いながら今閉じたばかりの大きな袋をもう一度明けて、2枚のラッシュガードをそろえるよう入れた。
二人は何度も僕とマサヤに「ありがとう、ありがとう。」と言いながら嬉しそうに帰っていった。店の外までマサヤと一緒に二人を見送りに出ていたので、二人が何度も振り返って手を振るのが見えなくなるまでそこにいた。
「なぁ、永住ライフ。」
「うん、何マサヤ?」
「あの二人がすごく海を好きになったことは分かるけれど。二人は、すごい金持ちなのかな?あんなにまとめて一式買って、昨日はユウゾウさんのサーフィン道具を一式揃えたんだろ。」
マサヤが純粋にそう思ったのか、少しイヤミで言ったのか、僕にはよく分からなかった。でも、マサヤの心の中にあった何かが少しずつ溶けはじめていることを僕は感じていた。
「マサヤ、僕たちサーファーズパラダイスで暮らしている人間にとっては昨日も今日もいつもと変わらないただの1日だった。でもこの街にハネムーンにやってくる人たちにとっては人生で1度しかないハネムーンの大切な1時間であり、1日なんだ。だから、たくさんお金も使うし買い物もするけれど、それはお金持ちだからじゃないよ。みんな大切な瞬間にお金を払っているんだよ。」
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僕はさっきレジから出した20ドル札をポケットから取り出してマサヤに手渡した。マサヤは最初、躊躇していたけれどゆっくりと僕から20ドルを受け取った。
「ありがとう。」
「ありがとう。」
僕とマサヤの声が重なった、二人が同時に同じ言葉を言ったんだ。僕とマサヤは顔を見合わせて笑った。
「マサヤ、今日は本当にありがとう。マサヤのおかでユウゾウさんもアイコさんも楽しんでくれた。二人が喜んで買い物をしてくれたおかげでシリンダーズにもお金が入って僕やマークも嬉しいよ。だから、そのお金は今日マサヤが僕たちみんなに与えてくれた嬉しさや喜びに対する対価なんだ。マサヤ、ありがとう。またレッスンを手伝ってね。」
マサヤは少しだまったまま何かを考えるような顔をしてから、もう一度ありがとうと言った。
「永住ライフ。また明日、一緒にサーフィンに行かないか?」
「うん、いいよ。それじゃあマサヤの家の前に5時に集合だ。」
「OK,Thank you Mate!」
マサヤはそう言うと、もう薄暗くなったサーファーパラダイスの街の中に飛び込んでいった。マサヤの後姿を見ていたら、どこかでアンドレアスが笑っているような気がした。
「アンドレアス、ありがとう。」
僕は振り返ってマークとターニーが待っているシリンダーズの明るい光の中に戻って行った。
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