アンドレアスとアッキーとナローネックでのサーフィンを楽しんで家に帰ると、もうマークとの約束の時間までには30分くらいしかなかった。今日はマークのサーフショップ作りを,はじめて手伝いに行く約束をしていた。
僕は急いでシャワーを浴びて、かんずめのビーンズと食パンを牛乳でおなかに流し込んで,急いで出かけえる準備をした。アンドレアスとアッキーは二人ともソファーにゆっくりと腰掛けて優雅に朝からビールを飲んでベーコンとマカロニを食べていた。昼寝をして、午後からはバレーヘッズかディーバーへサーフィンをしに行くらしい。
「それじゃあ、いってくるよ。」
「おう、がんばってこいよビキニボーイ。」
「永住ライフさん、がんばって、いってらっしい。」
二人に声をかけてもらって僕はなんだか、とてもいい気分になった。朝早起きして、仲間とサーフィンをして、仕事や次の予定のために出かけていく。なんだかしばらくこんな気持ちは忘れていたな、朝日が上がるのと同時に海に入ることも、今では家族のようなアンドレアスやアッキーと一緒に海に入ることも、すごく楽しいということは頭では知っていたし、覚えていたけれど、仕事の準備やビザのことが忙しくてしばらくやっていなかった。楽しさや気持ちよさは頭では覚えていたけれど、感覚的な部分では忘れていたな。
僕はこのまえマークが言っていたことを少し思いだした。
「最初は海から離れるのは辛かった、でもそのうちに自分が何者かを忘れてしまうんだ。仕事をしてビールを飲んで寝て毎日が過ぎていく、仕事は忙しい、時間はない、体はどんどん重くなっていく、そして気が付いたら自分がサーファーだったことなんてすっかり忘れてしまうんだ。」
僕は、自分がサーファーだってことを忘れたことは一度もなかったけれど、大好きな仲間と過ごす時間を大切にすることを少しの間、忘れていたかもしれない。
「さあ、マークを手伝いにいくぞ。」
僕は車のエンジンをいきおい良くかけて、ゴールドコーストハイウェイをサーファズの街に向けて走りだした。気持ちがワクワクして車の中で大きな声で歌を歌いながら走った。
マークの店の前について隣の店を覗いて僕はビックリした。2週間前に来たときには営業をしていたのに、お店の中は空っぽでコンクリートの壁が剥き出しになっていた。そのお店の中でマークが壁にマジックで線を引いていた。
「おお、来たな永住ライフ待っていたぞ。朝のサーフィンに行ってきたのか?何処で入ったんだ。」
「おはよう、マーク。今日はナローネックで入ったよ。」
「それでサイズはどうだった、波はよかったのか?」
「うん、サイズは肩ぐらいだったけれど風も無くて、かなり楽しめたよ。」
マークは僕の話を笑いながら楽しそうに聞いていた。僕はサーファー同士なら挨拶代わりにする「今日はどこで入って波はどうだった。」という会話をマークとできたことがとても嬉しかった。やっぱりマークの心はもうサーフィンの世界に戻ってきているんだな。
「ところでマーク、僕達は何から始めればいいの?」
壁も床もコンクリートが剥き出しになっている地下の倉庫みたいな店の中を見渡しながら僕は尋ねた。
マークはゆっくりと立ち上がって、隣のビキニショップとこの店の真ん中を仕切っているコンクリートの壁の方に歩いていった。そこには、さっきマークがマジックで引いた線で幅2メートル、高さ2メートル以上ある、大きな正方形が書かれていた。
「まずは俺がさっき引いたこの幅で、コンクリートの壁をぶち抜くんだ。そしたら隣の店とこの店がひとつになるだろ。永住ライフ、まずは壁をぶち抜くぞ。」
「でも、どうやってこんな厚い壁を壊すの?僕にそんなことができるかなぁ。」
マークの計画はマークが引いた線の上にドリルで穴を開けていき、穴を沢山あけて点を線にしていってもろくなった部分から壊していくというものだった。その計画自体もなんだか本当にうまくいくのか心配だったし、マークが壁に穴をあけるために用意していたドリルも想像していたよりもずっと小さなもので、本当にこの計画がうまくいくのか僕には信じられなくなった。
そして、僕のその不安はドリルを使って実際に壁に穴を空け始めたときに確信に変わった。僕の中でさっきまでワクワクしていた心は、やっぱり自分達の力とこんな小さな頼りないドリルでは大きな壁を壊すことなんてできないんじゃないかという気持ちに変わっていた。ドリルを壁に押し当てて力をこめてもすぐに壁に穴があいていかないからだ。ゆっくり時間と力を使っても本当に少しずつしか穴はあいていかない。
「マーク、本当にこんなことをやって壁を壊すことなんてできるの?」
僕は我慢できずにマークに聞いた。マークは少し残念そうな顔をして、僕が壁にドリルをつきたてるためのポイントに使う小さな穴をつくる作業を中断した。
「永住ライフ。今、お前は自分にはこの壁を壊すことなんてできないんじゃないかと思っているんだろ。でもな、お前はできないんじゃなくてまだやり方を知らなくて、実際に経験をしたことがないから難しくて不可能なことをしているような気分になるんだ。俺はやり方を知っているし、実際にこんな壁を壊したことなんて何度でもある、たしかに時間はかかるかもしれないけれど必ず壁は壊れる。そうしたら次にお前が同じような壁に出会ったときには、自分にもできると思うことができるんだ。」
僕はさっきまで一人でワクワクしながら、マークを手伝うなんていい気になっていた自分が恥かしくなった。自分がやったことがなくて大変なだけで,これは不可能なことなんだと決めつけて諦めそうになっていた。
「マーク、僕も壁を壊したいよ。そして少しずつでもサーフショップを作っていきたい。」
ぼくは、もう一度ドリルの電源をONにして力をこめてコンクリートの壁に穴をあけ始めた。さっきと同じように穴は少しずつしか深くなっていかなかったけれど僕の頭の中では穴が貫通して隣の店につながることも、壁が壊れることも、想像することができるようになっていた。
グイーン。大きな音をあげながら握っているドリルに力をこめる。コンクリートが削れたカスが煙になっていく、力をこめていたドリルに突然抵抗がなくなり最初の穴が貫通したことがわかった。
僕はドリルを引き抜いて、その小さな穴を覗いてみた。穴の向こう側のビキニショップから光が入ってきてその小さな穴の部分だけ明るく光っていた。
この小さな穴が沢山集まって、最後にはこの大きな壁をぶち抜くことができるんだ。
よーし、どんどん穴をあけてやるぞ。僕は目の前の壁をドンと叩いた.
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「おう、がんばってこいよビキニボーイ。」
「永住ライフさん、がんばって、いってらっしい。」
二人に声をかけてもらって僕はなんだか、とてもいい気分になった。朝早起きして、仲間とサーフィンをして、仕事や次の予定のために出かけていく。なんだかしばらくこんな気持ちは忘れていたな、朝日が上がるのと同時に海に入ることも、今では家族のようなアンドレアスやアッキーと一緒に海に入ることも、すごく楽しいということは頭では知っていたし、覚えていたけれど、仕事の準備やビザのことが忙しくてしばらくやっていなかった。楽しさや気持ちよさは頭では覚えていたけれど、感覚的な部分では忘れていたな。
僕はこのまえマークが言っていたことを少し思いだした。
「最初は海から離れるのは辛かった、でもそのうちに自分が何者かを忘れてしまうんだ。仕事をしてビールを飲んで寝て毎日が過ぎていく、仕事は忙しい、時間はない、体はどんどん重くなっていく、そして気が付いたら自分がサーファーだったことなんてすっかり忘れてしまうんだ。」
僕は、自分がサーファーだってことを忘れたことは一度もなかったけれど、大好きな仲間と過ごす時間を大切にすることを少しの間、忘れていたかもしれない。
「さあ、マークを手伝いにいくぞ。」
僕は車のエンジンをいきおい良くかけて、ゴールドコーストハイウェイをサーファズの街に向けて走りだした。気持ちがワクワクして車の中で大きな声で歌を歌いながら走った。
マークの店の前について隣の店を覗いて僕はビックリした。2週間前に来たときには営業をしていたのに、お店の中は空っぽでコンクリートの壁が剥き出しになっていた。そのお店の中でマークが壁にマジックで線を引いていた。
「おお、来たな永住ライフ待っていたぞ。朝のサーフィンに行ってきたのか?何処で入ったんだ。」
「おはよう、マーク。今日はナローネックで入ったよ。」
「それでサイズはどうだった、波はよかったのか?」
「うん、サイズは肩ぐらいだったけれど風も無くて、かなり楽しめたよ。」
マークは僕の話を笑いながら楽しそうに聞いていた。僕はサーファー同士なら挨拶代わりにする「今日はどこで入って波はどうだった。」という会話をマークとできたことがとても嬉しかった。やっぱりマークの心はもうサーフィンの世界に戻ってきているんだな。
「ところでマーク、僕達は何から始めればいいの?」
壁も床もコンクリートが剥き出しになっている地下の倉庫みたいな店の中を見渡しながら僕は尋ねた。
マークはゆっくりと立ち上がって、隣のビキニショップとこの店の真ん中を仕切っているコンクリートの壁の方に歩いていった。そこには、さっきマークがマジックで引いた線で幅2メートル、高さ2メートル以上ある、大きな正方形が書かれていた。
「まずは俺がさっき引いたこの幅で、コンクリートの壁をぶち抜くんだ。そしたら隣の店とこの店がひとつになるだろ。永住ライフ、まずは壁をぶち抜くぞ。」
「でも、どうやってこんな厚い壁を壊すの?僕にそんなことができるかなぁ。」
マークの計画はマークが引いた線の上にドリルで穴を開けていき、穴を沢山あけて点を線にしていってもろくなった部分から壊していくというものだった。その計画自体もなんだか本当にうまくいくのか心配だったし、マークが壁に穴をあけるために用意していたドリルも想像していたよりもずっと小さなもので、本当にこの計画がうまくいくのか僕には信じられなくなった。
そして、僕のその不安はドリルを使って実際に壁に穴を空け始めたときに確信に変わった。僕の中でさっきまでワクワクしていた心は、やっぱり自分達の力とこんな小さな頼りないドリルでは大きな壁を壊すことなんてできないんじゃないかという気持ちに変わっていた。ドリルを壁に押し当てて力をこめてもすぐに壁に穴があいていかないからだ。ゆっくり時間と力を使っても本当に少しずつしか穴はあいていかない。
「マーク、本当にこんなことをやって壁を壊すことなんてできるの?」
僕は我慢できずにマークに聞いた。マークは少し残念そうな顔をして、僕が壁にドリルをつきたてるためのポイントに使う小さな穴をつくる作業を中断した。
「永住ライフ。今、お前は自分にはこの壁を壊すことなんてできないんじゃないかと思っているんだろ。でもな、お前はできないんじゃなくてまだやり方を知らなくて、実際に経験をしたことがないから難しくて不可能なことをしているような気分になるんだ。俺はやり方を知っているし、実際にこんな壁を壊したことなんて何度でもある、たしかに時間はかかるかもしれないけれど必ず壁は壊れる。そうしたら次にお前が同じような壁に出会ったときには、自分にもできると思うことができるんだ。」
僕はさっきまで一人でワクワクしながら、マークを手伝うなんていい気になっていた自分が恥かしくなった。自分がやったことがなくて大変なだけで,これは不可能なことなんだと決めつけて諦めそうになっていた。
「マーク、僕も壁を壊したいよ。そして少しずつでもサーフショップを作っていきたい。」
ぼくは、もう一度ドリルの電源をONにして力をこめてコンクリートの壁に穴をあけ始めた。さっきと同じように穴は少しずつしか深くなっていかなかったけれど僕の頭の中では穴が貫通して隣の店につながることも、壁が壊れることも、想像することができるようになっていた。
グイーン。大きな音をあげながら握っているドリルに力をこめる。コンクリートが削れたカスが煙になっていく、力をこめていたドリルに突然抵抗がなくなり最初の穴が貫通したことがわかった。
僕はドリルを引き抜いて、その小さな穴を覗いてみた。穴の向こう側のビキニショップから光が入ってきてその小さな穴の部分だけ明るく光っていた。
この小さな穴が沢山集まって、最後にはこの大きな壁をぶち抜くことができるんだ。
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