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5つの目標を作り始まった、永住LIFEの幸せなオーストラリア永住権への道

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幸せなオーストラリア永住権への道 233 紙切れに変わったオートバイ

2010-06-16 11:07:49 | Weblog
ヒッチハイクをしていたテツヤ君を車に乗せてしばらくすると、後部座席から鼻をくすんくすんとすすりあげるような泣き声が聞こえてきた。僕はアッキィーと運転を交代したのでバックミラーをそっと覗いてみると膝の上に乗せたヘルメットを抱え込むようにしてテツヤ君の肩が小刻みに震えているのが見えた。会ったばかりのそれも僕らと同じ年くらいの大人の男であるテツヤ君が泣き出してしまったので、僕らはどう声をかけていいのか分からずにしばらくの間、何も言えずにいた。

「うっ、うっ、ごめんなさい。会ったばかりの人の前で日本の人に会ったらなんだか急に気持ちが緩んでしまって。本当にごめんなさい。」

「それはぜんぜん気にしないでいいよ。トラブルに巻き込まれて不安になる気持ちは分かるし。それより、テツヤ君は大丈夫なの?」

「実はあんまり大丈夫じゃないんです。でも・・・。」

「会ったばかりで話づらいかもしれないけれど。困ったことがあるのなら話してみなよ。お互いに何も知らないから話しやすいこともあるだろうし。いったい何があったの?」

助手席に座ったアッキィーが身を乗り出して後部座席を振り返りながら言った。テツヤ君は少しの間、黙っていたが突然、大きく鼻をすするとダムに溜まっていた水が一気に放水をされたように自分がオーストラリアにやってくる前からの話を始めた。僕はバックミラー越しにアッキーは助手席からテツヤ君の話を黙って聞いていた。

大学を中退してから、アルバイト先のアイスクリーム屋でなんとなく働いてきました。最初の頃は高校や大学のサークルみたいな気分で楽しかったのですが、それでもそんな生活が2年も続くと毎日が同じことの繰り返しのように感じてきてだんだんとつまらなく感じてきました。学生のアルバイトの人達は試験があり、学校があり、進級をしていつかは卒業をして店を出て行くのに、僕はいったい何をしているんだろうって。別にフリーターが嫌になったわけではなくただ単に現状の自分が好きになれなくなったんです。

変わりたい、僕は変わりたい。

そう思うようになりました。小さな頃から痩せた体にコンプレックスを感じていたのでとりあえずジムに通って体を鍛え始めました。肉体が変われば精神が変わる、そんな言葉を信じたというわけではありませんが少しずつ体に筋肉はついてきました。でも、それでも僕の気持ちはたいして変わりませんでした。背中から地面の奥に引きずり込まれていくような薄暗いもやもやとした不安がいつも胸の中にはあって、こっちに来いってささやくのが聞こえるような気がしてどきどきするような怖さを感じるんです。

それで次はバイクの免許を取ることにしました。高校の頃からバイクに憧れがあったんです。部屋でバイト先の友達と電話をしながら、その話をしていると友達が言いました。急にバイクの免許なんか取るっていったいどうしたの、どこか行きたい場所とかやりたいことでもあるのかって聞かれたんです。別にバイクの免許を取ったからといって、特別にやりたいことや行きたい場所があったわけではないんですが、ちょうどビールを飲んでいたせいもあって、その時にテレビでオーストラリア大陸を車で縦断する番組がやっていたのを見て、ふざけて友達に言ったんです。オーストラリアをバイクで一周するって。

そうしたら友達がスゲーッって驚いたのがおもしろくて、すぐに冗談だよって言えばよかったのにそのまま電話を切ってしまったんです。そんなことはすっかり忘れて次の日にバイトに行くと、みんなからテツヤ君はバイクでオーストラリアを一周するためにここでバイトしているんだねって、すごいすごいって言われました。その時に訂正すればよかったのですが、なんだか気分が良くなってまたそのままにしてしまいました。でも、それから何時行くのかとか、どういう予定なのかとかバイト先でも話題の中心になることが多くなりました。最初はそんな感じだったんです。

でも、そんな話を毎日しているうちにオーストラリアをバイクで一周することがまるで昔からの夢だったように思い込むようになってきたんです。不思議なものですね、これといった目標ややりたいことも無かった僕の毎日が突然輝き始めました。ワーキングホリデーという制度があることを知り、バイクの免許を取り、預金通帳のお金が少しずつ増えていくのと同時に僕のオーストラリアへの憧れも膨らんでいきました。そして先月、やっと目標にしていた金額がたまり出発の日が決まりバイト先のみんなに囲まれて壮行会もしてもらいました。

みんなが少しずつお金をだしあってヘルメットもプレゼントしてくれました。がんばってこいよ。夢を実現してこいよって、プレゼントしてくれたヘルメットに全員が寄せ書きのメッセージを書いてくれました。そうやって僕はこの国にきたんです。ブリスベンに着いたのが10日前、日本から探していた市内のオートバイショップで念願のオフロードバイクを買い、出発をしたのが1週間前です。そしてブリスベンを出発して数時間後に突然エンジンが止まりました。キックを踏み込んでも、押しがけをしてもまったくエンジンがかからなくなってしまったんです。

どうしたらいいのか分からずに道端でこまっていると1台のトラックが停まりました。車から降りてきたのはサングラスをかけた、いかつい感じの若い二人組みでしたが僕が身振り手振りでバイクが動かなくなってしまったことを伝えると僕のバイクと僕をトラックの荷台に載せてくれました。親切な人達だ、そう思ったんです。きっとどこかのバイク屋さんまで乗せて行ってくれるに違いないって。

でも、それは大間違いでした。

テツヤ君はそこまで話すと、また鼻をすすりながら今度は嗚咽を漏らして泣き始めた。僕もアッキィーも話の続きが気になったけれどテツヤ君の泣き声と握り締めた拳を見れば、そのあとに起こった出来事が想像できた。

「たった2時間ですよぉ。たったの2時間で僕のオーストラリア一周は終わってしまったんです。あいつら僕がトイレに降りた瞬間に、まわりに誰もいない何もない場所に僕を置きざりにして行ってしまったんです。うっ、うっ、くやしくてなさけなくて。」

「警察には届けたの?」

テツヤ君の悔しい気持ちを感じながら、踏み込むアクセルを少し緩めて僕はふりかえって言った。なんだかバックミラー越しにテツヤ君を覗くのが心痛く感じたからだ。

「届けるには、届けました。でも、まったく犯人を捜す気も僕のバイクを見つける気もないってことがよく分かりました。僕のつたない英語で一生懸命に伝えているのに、ほとんど話も聞かずに紙切れを渡されてインシュランス、インシュランスって言うんです。

最初は何のことを言われているのか分からなかったんですが、僕は日本からの旅行者だから海外旅行保険に入っているだろうって。これをやるからさっさとインシュランスカンパニーに連絡をしろって番号の入ったポリスレポートを渡されて終わりです。」

「ひどいな。」

僕もアッキィーも何も 言うことができなかった。僕らの部屋に以前、空き巣が入って警察を呼んだ時もまったく同じような対応をされた。玄関で靴を脱いでくれと何度も言ったのに2人組の警察官は黒い革靴のまま僕らの寝室まで入ってくるとほとんど何も調べることもせずにポリスレポートを置いて行ってしまった。

「僕が1年間かけて貯めたお金で買ったバイクと、これからも始まるはずだったオーストラリア一周の夢がたった2時間で紙切れに変わってしまったんです。」

「それはくやしいよ。盗んだやつをめちゃくちゃにしてやりたよね。でも保険会社にも早めに連絡はしてほうがいいよ。僕と永住ライフさんの家に空き巣が入ってお金やいろいろな物を盗まれたときも悔しくてたまらなかったけれど、すぐに保険会社には連絡をしたから。ねぇ永住ライフさん。」

「うん、悔しい気持ちや悲しい気持ちはよくわかるよ。バイクを盗んだやつらは許せないけれどテツヤ君の夢や、テツヤ君を送りだしてくれた仲間の気持ちまでは盗むことはできないんだから、大丈夫。少し時間はかかるけれどまたやりなおしてリスタートだよ。」

「保険には入っていません。成田で入ろうとしたんですが、ずいぶん高かったから・・・バイク費用をだすのがせいいっぱいで、生活費もほとんどもっていないから。だから本当に紙切れになってしまったんです。みんなに顔向けもできないし、日本には帰れないし、僕は、僕は。」

そこまで話すとテツヤ君はまた声を出して泣き始めた。 テツヤ君の涙が、たった2時間で夢の残骸になってしまったヘルメットの上にポタポタといつまでも落ちていた。



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