Manaboo 電子政府・電子申請コラム 

電子政府コンサルタントの牟田学が、電子政府・電子申請、その他もろもろ、気まぐれにコメントしてます。

データ連携基盤としてのeLTAX(エルタックス)、今後の課題はイータックスとの統合・連携

2010年03月20日 | 電子政府
新風(TKC電子申告情報)に、eLTAX(エルタックス)の最新状況に関するインタビュー記事「新局面を迎えた地方税の電子化」が掲載されています。

eLTAX(エルタックス)とは、地方税ポータルシステムの呼び名で、地方税におけるインターネット電子申告・申請・納税といったサービスを提供しています。

関連ブログ>>エルタックスの課題と改善策は

総務省自治税務局の堀井巌税務管理官へのインタビューを通じて、次のような状況がわかります。

・エルタックスへの加入団体が、地方公共団体の九割を超えた
・平成22年度中にはすべての団体が参加する意向を示している
・平成22年1月現在、706団体が電子申告受付サービスを実施
・平成21年度から「公的年金からの個人住民税の特別徴収」が開始
 (国の年金データを自治体へ提供)
・平成23年1月に「国税庁からの所得税の確定申告データの送信」(国税連携)実施を予定

国税連携に伴い、次の3点を検討中
1 データは各団体が処理しやすいXML形式
2 基幹システムに依存しないシステムの構築
3 操作性の向上


このように、現在のエルタックスは「電子申告・納税システム」だけでなく、「国と自治体のデータ連携基盤」として機能しており、データ連携基盤の比重が大きくなっています。

以前のブログで指摘しましたが、エルタックスの特徴は、「全ての地方公共団体が共同で利用できるシステム」になっていることです。

地方自治体における電子申請や電子入札のシステムは、都道府県内で共同利用することで、経費を少なくしよう(割り勘にしよう)としていますが、エルタックスのように全国規模のシステムにはなっていません。

単純に考えれば、全市区町村と47都道府県が、一つのシステムを共同利用した方が安上がりとなります。

また、税申告する国民や企業から見ても、一つのシステム(窓口)で全国の自治体への手続が完了するのは、とても便利なことです。

ですから、エルタックスは、活用次第ではかなり効率的な仕組みと言えます。

そして、その活用が本格化してきたのですね。

現在は、国と自治体間によるデータ連携ですが、今後は、自治体と自治体、自治体と企業、自治体と国民といった間のデータ連携・提供などにも利用すると良いでしょう。


もう一つの課題は、国税の電子申告サービス「イータックス」との統合でしょう。

以前、イータックスとの連携・統合について、次のような提案をしました。

・利用者ID(アカウント、登録番号)の統合
・利用者IDを国民や企業の総合税務アカウントとして活用
・利用者IDを行政内部の事務処理の効率化や国と地方の連携に活用
・国民の納税意識を高め、使い道の選択肢を増やす

その当時は、「強制的な納税者番号の付与は、反対もあって実現が難しい」という状況でしたが、現在は税と社会保障の共通番号が政府で具体的に検討されるまでになっています。

関連>>社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会(国家戦略室)

社会保障・税に関わる番号制度は、実務で使えるデータ連携が機能しなければ、費用ばかりがかかるお荷物制度となってしまいます。

国家戦略室でも、エルタックスの実情を理解した上で、番号制度の検討を進めて欲しいですね。



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