![]() | 給付つき税額控除―日本型児童税額控除の提言森信 茂樹中央経済社このアイテムの詳細を見る |
民主党政権でも検討されている「給付つき税額控除」についての解説&提言書。
米国、英国、オランダ、カナダ、韓国などの導入事例も紹介しています。
先進国における税制度改革の潮流はいくつかありますが、そのうちの一つが、所得控除から税額控除へと移行することで、課税ベースを広げ、所得再分配効果を高めようとするもの。
日本で配偶者控除や扶養控除が縮小・廃止されていくのも、この流れに乗るものですね。
財政再建に成功した先進国は、同時に税制改革も実施しています。
複雑な税体系を簡素化し、経済効果の高い減税措置を上手く活用しながら、より少ないコストで、より効率的に、より広く(負担感を少なく)税を徴収できるように様々な工夫と試行錯誤が行われています。
「給付つき税額控除」には、
・国民の就労意欲を高める
・税と社会保障の統合・一元化で効率化される
・全員に対するバラマキではなく、必要な人に効果的に給付される
といったメリットがあるとされています。
国民から信頼されない社会保障制度や、年々複雑化していく税制度を抱える日本においても、「給付つき税額控除」が導入されるのは時間の問題かと思います。
「生活保護を受けたほうが、真面目に働くよりもリッチな暮らしができる」といった現状は好ましくありませんが、給付により収入が増えたとしても、これまでと同じ生活スタイルでは、もらった分を使うだけですから、貧困問題が解決することはありません。
そこで必要になるのが教育です。
グローバル化が進む世界の中で、「何で食べていき、どうやって自分の資産を守り増やしてくのか」といった「生き残りリテラシー」を、高校卒業までの子供達にきっちり身に付けさせることです。
「衣食足りて礼節を知る」という言葉があるように、「生き残りリテラシー」があってこそ、道徳や倫理観も実践できるのですから。