作者も注目している大阪府の改革ですが、次のような記事を読みました。
「数値目標」が判断を誤らせる:NBonline(日経ビジネス オンライン)
ここで主張されていることは、しごくもっともなことなので、作者だったらどうするかという視点で提案したいと思います。
関連>>「どうなる、大阪府改革――特別顧問の視点から」(その1):ITpro
●この世は不公平
行政のコスト削減となると、結局は、声の大きいもの(組織、利権団体)が勝ち、声の小さいもの(国民、真っ当な団体)が損をする(コストを負担させられる)というのが現実です。
作者が現在連載している「日本の電子政府が良くならない本当の理由」でも、声の大きい行政・外郭団体・士業が電子政府を牛耳り、そのツケは全て国民の負担となっていることを指摘しています。
弱肉強食の理論で言えば、こうした行政のやり方は、実に合理的です。
- 不良高校生がカツアゲしようとすれば、弱そうで大人しそうな中学生を狙う。
- リフォーム詐欺なら、人の良さそうなお年寄りを狙う。
- セクハラ部長なら、ノーと言えなそうな部下を狙う。
しかし、これらが犯罪行為として罰せられるように、弱者をターゲットとする行政のコスト削減は、たいした成果を上げることもできず、結局は破綻します。
●規制緩和や自由競争は、弱者に武器を与える
では、声の大きいもの(組織、利権団体)だけが幅を利かせることなく、声の小さいものの主張が認められるには、どうすれば良いでしょうか。
一つは、規制緩和や自由競争です。
規制緩和や自由競争が「強者を守り、弱者を虐げる」というのは間違いで、実際は「強者の鎧を砕き、弱者に武器を与える」のです。
記事の中で、声の大きい例として挙げられている「公務員人件費」「私学助成金」「建設事業費用府債」は、規制緩和や自由競争が遅れ、法律や税金で手厚く保護されている業界の利益です。
こうした業界に、規制緩和や自由競争をもたらせば、弱者の主張も通りやすくなります。
●関係者を巻き込み、議論をオープンに
もう一つは、「決定する前に関係者を巻き込む」方法です。
大阪府/財政再建プログラム試案を作り、それを基に各関係者へ交渉・説明・説得する方法は、あまり得策ではありません。
なぜなら、試案・たたき台とは言っても、関係者にとっては「勝手に決めたものを押しつけられた感」があるからです。
改革は、外部からの刺激やトップダウンが必須ですが、本質的には全ての関係者が当事者意識を持たないことには、一過性のもので終わってしまいます。
作者であれば、次のように進めます。
- 各関係者(団体)と話し合う機会を作り、「いくらぐらいなら削減に協力できるか」を教えてもらう。
- その結果と不足金額を府民に公表し、その妥当性等について意見を求める。
- 府民の意見を踏まえて、再度、各関係者と交渉し、より具体的に「どの部分を、どのようにして、どれぐらい削減できるか」教えてもらう。
- その結果を再び府民に公表し、意見を求める
- 府民の意見を踏まえて、具体的な削減プランを作成し、各関係者と最終調整を行う。
- 各関係者との最終調整を踏まえて、削減プランを修正した後、最終版を府民に公表し、理解と協力をお願いする。
もちろん、状況によっては、トップの強力なリーダーシップによる強硬策が、必要かつ有効となります。そうなる前に、関係者と国民が当事者意識を持てるように進めて欲しいと思います。
橋下府知事による大阪府改革の成功をお祈りします
まったく同感です。弱肉強食、弱いところからはむしれるだけむしろうというのが既得権益。
橋下知事には是非、浪速のロベスピエールとなって公務員のクビをギロチンでバッチバッチと切り落としていただきたい。
*本日の読売
(高齢医療拠出金で)「派遣」健保161億円負担増。
派遣労働者が加入する「人材派遣健康保険組合」が2008年度に後期高齢者医療制度の拠出する支援金は前年度の老人保健制度への拠出金に比べ、約161億円贈の224億円に上ることが17日わかった。