エコ・ニュージーランド Eco New Zealand

ニュージーランド発。エコライフ、環境保護、山、森、動物、アウトドア、山歩き、猫についてのブログ。

日本とニュージーランドの食べもの事情…… どっちがいい?

2013年11月04日 | 思ったこと
 約3週間の帰国から戻ってきた。楽しいこと、ビックリしたこと…… ぜ~んぶひっくるめて、とても思い出深い帰省だった。

 今回の滞在でビックリNo.1は、何と言っても台風

 10月に入ってのあの異常な暑さは、百歩譲ってまぁいいとしても(ちっとも良かないが)なぜ台風がこの時期に。それも3つも 
 日本を離れて16年の「今浦島」ねむりねこが、帰るたびにあっと驚く事態に出くわすのはちっとも珍しくないけど、10月に台風とは…… キツネかタヌキに化かされたみたいだ。 


 さてさて、日本に帰省する楽しみはたくさんあるけど、その中でも上位に入るのは食べ物である。というワケで、今回は食べ物のお話を


 日本で食する楽しみのダントツ一位、海の幸

 ニュージーランド、それも周囲に海のないクイーンズタウンに暮らしていると、慢性的な「新鮮な魚介類飢餓状態」に苦しむ羽目になる。

 その理由は、ニュージーランドの人口の過半数近くを海産物に親しみのないイギリス系移民が占めるからだ。あわびやウニが近海にウヨウヨいるのに、スーパーではまずお目にかかることはない。

 ウニなんて食べ物とは見なされていないし、あわびはニュージーランドの食卓を飛び越えて、高値で買ってくれる日本に行ってしまう……何と言う不遇 

 こちらで売っているといえば淡白な白身魚が大半、しかも鮮度は日本と比べるとイマイチ。おまけに脂の乗った「背の青い魚」は鮮魚コーナーでは売っていない。「魚臭い」青魚は不人気なのだ。

 だから、夫・猫かぶりの郷里の金沢に帰るたびに、待ってましたとばかりに新鮮な海の幸に舌鼓を打つ…… 

 庶民の台所・近江町市場は言うまでもなく、回転寿司でさえも驚くほど新鮮なネタを扱っている。彼の実家でご馳走になったブリの刺身の、あまりのおいしさに卒倒しかけたが、これも近所のスーパーから買ってきたものだというし、義弟からは「(さらに脂の乗る)真冬に食べたらこんなもんじゃありませんよ」とダメ押しを食らった。

 今回は機会あって京都府の舞鶴に趣いたが、ここでも新鮮な魚介のおいしさにど肝を抜かれた あっぱれ、日本海の海の幸

 日本人の主食、米 歯ごたえ、香り、甘み……炊きたてだったらおかずがなくても何杯でも食べられるし、冷めてもオイシイのがすごい ニュージーランドの農家は米を作っておらず、短粒米・中粒米はオーストラリア産とカリフォルニア産のものが中心。味はそんなに悪くないし、食べ慣れてしまえば別に大丈夫なんだけど、日本に帰って食べる銀シャリには幸せを感じる

 豆腐、がんもどきなど大豆製品も絶対に外せない。こちらでも中国人の作っている豆腐は売っていて、決して悪くはないんだけど、日本の豆腐のあの食感・香りの良さといったら…… がんもどきの煮物なんて、日本ではごく当たり前に食されているだけに、こちらで食べられないと恋しさが募る。

 うどん、ソバ、ラーメンなど麺類 麺の食感、スープの風味、すべてにこだわりを極めていて食べる芸術品だ…… インスタントも含めて、日本製はどうしてこうも美味しいのか ニュージーランドで作られているインスタント・ラーメンの、少なくとも数百年は先を行っている。

 ジャンクフード系では、種類と風味の豊富なスナック菓子も捨てがたい。あの軽い歯触りと風味が、ただ者ではないのだ。

 甘いもの好きなら和菓子に目が行くんだろうけど、幸か不幸かは甘いものがニガテなので「和菓子飢餓状態」には陥らずに済んでいる。


 一方で、ニュージーランドの食べ物に慣れると、日本の食べ物にギョッとすることがある


 まずは牛乳などの乳製品だ。

 ニュージーランドの乳牛は広大な牧場で昼夜放牧され、餌は牧草のみ、搾乳量を人工的に増やすための薬品類は与えられていない。このため、牛乳にはカロチンが多く含まれているから日本のに比べるとほんのりとクリーム色がかっており、その味はクセがなくてコクがある。ニュージーランドの牛乳に慣れると、日本の牛乳の色白さにちょっとビックリし、穀物で育った牛ならではのニオイが少々鼻につき、何とも言えない後味が残る。

 生乳が原材料のバターは、カロチンたっぷりで美しい黄金色をしたニュージーランド産と比べると、日本のものは白っちゃけていて、マーガリンを食べているのかと錯覚するほど香りに乏しくてガッカリする。

 また、日本にはホイップという、脱脂粉乳と植物性脂肪で作った「人工生クリーム」が売られており、本物の生クリームはホイップの3倍近く高い。おまけに美白化粧品を使ったかのように真っ白だ。これはショックだ ニュージーランドには「ホイップ」なんてないし、生クリームはもっと安くて、ちゃんとクリーム色をしている。もちろん、とってもおいしい。

 日本のアイスクリームは、ホイップ同様に脱脂粉乳と植物性脂肪を使い、クリーミーな食感はゼラチンで補っている。ニュージーランドのアイスクリームは新鮮な牛乳を使っているので、「これでどうだ」ってくらいに風味が豊かでクリーミー。ちなみに、ニュージーランドはアイスクリーム消費量が国民平均で世界一を誇る。それほどにオイシイのだ。

 次は意外なところで。日本では、ビタミンなどを豊富に食べさせた雌鶏が産んだ卵が人気らしいけど、はちょっとゾッとした。だって、それってサプリ漬けになってる雌鶏の卵、ってコトでしょ 

 おいしくて健康にいい卵とは、地面を元気に走り回って草や虫を食べて育った雌鶏が産んだ卵じゃないかと思う。ニュージーランドで人気の卵はフリー・レンジ (Free Range) 。フリー・レンジとは、自然の状態で飼育された家畜・家禽や、その家禽の産んだ卵のことで、売り場ではしっかり区別されている。値段が少し高いけど、味が濃厚で健康にも良いのは言うまでもない。日本でもフリー・レンジ卵を探したが、ついぞお目にかかれなかった。

 そして霜降りの牛肉。牧草だけで育ち、濃厚な赤身のニュージーランド牛肉を食べ慣れたら、脂肪まみれの霜降り牛は見た目にも、味も苦手になってしまった 最近のことだけど、ニュージーランドでもワギュー(和牛)ビーフ (Wagyu Beef) というブランド名で霜降り牛肉(餌は穀物)の生産を始めた。ワギューは超高級食材だけど、現地の食通の間では「バター風味の柔らかくてジューシーな牛肉」と人気を集めつつある。ニュージーランド人の味覚も変わりつつあるのね……

 さらに意外性を突いてもちもちっとしたパン  小麦などが材料のパンとは本来ボソッとした食感の食べ物なのに、米が主食の日本人はパンにまで米っぽい食感を求めるあまりに、こういうものを作り出した。しかも、白パンが中心で。
 白いもちもちパンも悪くはないけど、には何かちょっとピンと来ない…… 

 日本では、栄養を補い独特の食感を楽しむために、白米に雑穀を混ぜて炊くように、ニュージーランドでは雑穀入りのパンや、全粒小麦粉を使ったパンも普通に売られている。また、イーストを使わずに天然酵母で作った、ずっしりと重みのある欧州風のサワードウ・ブレッドもちらほら見かける。

 カリカリ、サクッと焼けた全粒小麦粉の香ばしいトーストに、風味豊かな黄金色のバターを惜しまずにたっぷり塗って食べる、という贅沢はニュージーランドならではなのだ


 ニュージーランドの食卓にないものは日本にあり、またその逆も然り。どちらの食に軍配を上げていいのか迷うけど、両国を行き来して「いいところ取り」をできちゃうはつくづくラッキーだと思う



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