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近況報告。

・・・のつもりではじめたのですが・・・。
ゼミについては、学科公式ブログで報告しています。

クレヨンしんちゃんを見てみる。

2011-02-11 22:18:21 | 授業とか。
ちなみに、ちょっと前の話に戻りますが、
1回休講にしてしまった補講に、参加できない人も多いのでと、
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」(2001)
を見ました。(あらすじ@wikipediaはこちら



クレヨンしんちゃん自体、教育的子ども観ではないのだけど、
どこかオーソドックスな子ども像・家族像を再生産している面もあり
(だから見せたくないアニメに選ばれつつ教科書に載る)
すごく90年代的なマンガ・アニメだなあと思っているのですが、
映画の、大人=ノスタルジー/子ども=「オラ大人になりたい」という構図は、
大人をやるのが大変な時代・それでも子どもに期待し続ける時代の
ムードを反映しており、授業のテーマとも合うかなと。
(個人的には、シリアスすぎてクレしんである意味が曖昧になった
「戦国大合戦」よりも、好きです。いやアニメ好きでもないので、
クレしん自体全部見たわけでもなんでもないのですが。)

今回、大学生と見て面白かったのは、その反応でした。

私は、まず、「ダメダメのうた」が始まった瞬間「なつかし~~~!!」
という歓声が上がったことにびっくりし(ノスタルジーの対象なんだ!)、
はじめは「一応授業だし、しんちゃんごときに笑ってはいけない」という
固い表情で見ていた大学生が、途中からゲラゲラ笑うようになるのを
見守っておりました。

リアペにはさすが社会学科という分析も多くありました。

・未来に希望が持てない「大人」と未来に前向きな「子ども」と
 正反対に描かれている
・親が子ども返りしたらしんちゃんがしっかりしていた
 「子ども」は「大人」が保護してくれないとしっかりする
・「ダメダメのうた」からして考察対象になるのではないか
・「このままじゃママがママじゃなくなっちゃう気がする」「ごはんつくれ」など
 「子ども」も「大人」に役割を押し付けていることが見えた
・「大人らしさ」と「子どもらしさ」を対照的に描いているのが面白かった
 「子ども」は好きなことができて義務も少ないが大人がいなくなると不便
 /「大人」は仕事や家事に追われているがやりがいがある
・「子ども」が未来を目指すためには「大人」の手助けがいるということも
 描いていると思う
・早くから塾や就活に追い立てられる世代になると、
 「過去・子どもの頃に戻りたい」という感覚も無くなるのではないか
・高校生(紅さそり団)も「大人」に入っていて、
 「大人」と「子ども」に二極化されて描かれている
などなど(すべて要約)。

しかし、何より、ちょうどしんちゃんを見て育った世代で、
この映画も「子ども」として見ていた人も多いので、
最初からウォッチするつもりで見てしまっていた私には
書けないような感想をいただいたのがおもしろかったです。

・小学生の頃はゲラゲラ笑っていたシーンがシュールに見えた
・小さいとき嫌だと思っていたしんちゃんの下ネタが可愛く感じた
・しんちゃんを見てはいけないと言っていた親に見せてやりたい
・不況の中就活の時期を迎え、「昔に戻りたい」という感覚が
 なんだか少しわかった気がする
・平成生まれなのに、昭和のテーマパークに懐かしさを感じるのが
 不思議
・映画を見ていて子どもの頃に戻った。それが大人が子ども返りする
 話と重なって楽しかった
・昔と全然違って見えた。大人になってもみんな子どもの気持ちを
 持っているのだと実感しながら見た
・単純に笑えた自分に、20代になっても子ども心を忘れてないと、安心した
などなど(同じく要約)。

自分は「大人」なんだろうか?でもどうも「子ども」の頃と感覚が違うぞ!
というお年頃の方々のこれらの感想が、どういう意味を持つのか、
まだ私にもよくわからないのですが。
加齢に伴う諸々の感情を伴った過去の想起を、子ども/大人という図式で
解釈させてしまう映画であり授業であり時代であるということに
回収していいのかな?安直か??




子ども観を分析してみる。

2011-02-08 21:10:43 | 授業とか。
「子ども」観について扱った授業で、
“「子ども」を扱った作品や「子ども」に関する言説・事象をとりあげ、
時代背景、子ども観、社会像を分析しなさい”
という自分としてもチャレンジングなレポート課題を出しました。

履修者380名。レポート出した人320名。
正解があるものではなく、1つ1つ精査せねばならないため、
他の仕事の合間に1週間苦しみ抜く羽目になりました…。
せっかくなので、3人以上が選んだ題材を紹介してみます。
※全部のせようかと思ったら、gooは折りたたみタグが使えないらしい…。
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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツオトナ帝国の逆襲79
告白(湊かなえ)9
名探偵コナン8
ドラえもん7
ピーターパン6
となりのトトロ6
誰も知らない(是枝裕和)6
神戸連続児童殺傷事件6
クレヨンしんちゃん5
いじめ問題5
ゆとり教育5
千と千尋の神隠し4
サザエさん4
ちびまるこちゃん4
ライフ(すえのぶけいこ)3
小6女児自殺事件3
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オトナ帝国が多いのは、授業で見たからです。
(題材選びにおいて安全策をとった人たち。)

今年は「告白」が多いのは順当かと思いますが、
内容にストレートに共感せずに、
なぜ今共感されるのかというところまで距離がとれていたのは
すくない気がしました。

コナン君は「子どもらしくふるまう」と「変声器で大人のふりをする」
を行き来する話なので、分析しやすかったようでした。

他にきれいだなと思った分析の題材をごく一部をあげると
星の王子様
モモ
春画
15の夜(尾崎豊)
カギっこをめぐる語りの変化
フリースクールの言説
めるぷり
キテレツ大百科のアニメとまんがの最終回の違い
などでした。

さて、次は本日締切で続々とe-learningに提出されている
ゼミ論との格闘です。。。