Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング491. 小説:小樽の翆419. 幕間23. ペルソナ法とライフスタイル

2021年08月11日 | Sensual novel

 

 「小説:小樽の翠」も400回以上続いている。全てがクリエイションだから、コロナ禍の外出自粛の時代では、家に籠もり粛々と絵筆を走らせたり書いたりするのには、好都合のテーマだ。

 さて、前にも書いたが「小説:小樽の翠」はペルソナ法という製品開発の手法で書き始めた。ペルソナ法は、キャラクターを設定した架空の人物像であるペルソナのライフスタイルをつくりながら、その製品がどのようなライフスタイルのなかで使われるかとするシミュレーションである。

 だから、ここでの小説のモチーフは何かといえば人間のライフスタイルである。

 それも今の社会の大方が常識としているライフスタイル、つまり二十歳や二十二歳ぐらいで専門学校や大学を出て社会で働き出して次第にキャリアもついてきた頃には三十路だ、それで婚活をして、恋愛もどきで晩婚、仕事か家庭かで悩みながら高齢出産で第一子をもうけて、仕事も続けたいから子供は一人でいいやとなって、一人っ子家庭が誕生するといった、大方の人間がとりうる晩婚・核家族世帯だ。

 小説では、全く逆のライフスタイルを書いている。結婚→出産というプロセスを排除し、オキシトシンが分泌して自然にセックス→子供誕生といった生物概念を柱とし、養育は元気な親たちが手伝うとか里親に出して、そうなると子供から手が離れる時期は早まり、出産してから社会に出てゆくという超早婚ライフスタイルになる。だからこの小説では、十代で妊娠出産するのは正解だというスタンスだ。そのために家族の協力が必要だから家族世帯になる。

 そうなると恋愛という概念も怪しくなり、映画や小説家のつくりあげた作文だということが見えてくる。つまりオキシトシンが分泌して一発やりたいという気分を恋愛という言葉にすり替えるといった現代人の欺瞞性がある。ここでは出会い→セックス、そうやって男と女が長い時間を重ねてゆくと恋愛にたどり着くとする構造である。本来人間ってそうではないですか!、という問いかけだ。

 それに子供は独自の世界観を持って成長してゆくし、それに大人達が巻き込まれて幼児化していては、モラトリアム人間の予備軍が形成される世界といわざるを得ない。そう考えると0歳児から子供を預けられたり、寄宿舎付きの小学校があってよいはずである。子供は幼少期から自立し、早く大人になる方が正解だというのも、この小説の目指すところである。

 もう一つあり、超早期教育。高校生になる頃には、デッサンができて軽く美大の実力をもつほどに育っている。今でもスポーツの世界では、13歳で金メダルをとるとする東京オリンピックの例もあり、これを芸術分野に応用している。だから高等教育は時間の無駄というのが、この小説のスタンスである。

 一般に官能小説では快楽の追求にあっては、妊娠出産は忌避すべき概念だから扱うことはない。だが、ここでは大いに扱い、それを自明のこととしている。だからブログで官能小説というカテゴリーを設定していることに少し窮屈さを感じている。

 そうしたいくつかの現代社会で自明のこととされている事柄とは、正反対のライフスタイルを小説形式でシミュレーションしてゆくと、こんなライフスタイも十分ありえることがわかる。

 通例男と女の世界は、社会概念のなかで語られている。そうした社会概念の上位に生物概念がある。ここには男と女の2カテゴリーがあり、それらを関係づけているのはセックスであり、子供を出産し、とする種の保存である。この小説は、そうした生物概念に軸足をおいて描き、書いている。

 コロナ禍で外で宴会するな、人と会うな、という時代だ。人と会わなければ暮らせない寂しがり屋の現代人にとって拷問のような日々を余儀なくされる。小説という表現形式は、そんな人と会えなくても登場人物達と会話している。だから、リスクをおかしてまで外で宴会をしたいとは思わない、というのが小説効果だろう。外出自粛のときに官能小説というのは、馬鹿馬鹿しくも面白く、よいストレス解消になっていると思われる。

 さてMac miniを最新型に置き換え、ようやく隣のMac pro並に動くようになった。その前面にはシュミンケ・ホラダムの絵具が散らばっている。家籠りの環境としては、まずまずですね。

 さて明日からは3DCGの特集とし、小説:小樽の翠は8月27日から再開します。

(7月下旬、外は夏日)

 

SONYα6000,Vario-Tesser E 4/16-70mm ZA OSS

ISO500,焦点距離28mm,露出補正-0.3,f/8,1/60

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ドローイング490. 小説:小樽... | トップ | 番外編473. スケマティック... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Sensual novel」カテゴリの最新記事