みかんのかわ Blog Ver.

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なぜひきつけられるのか?

2009-05-02 11:25:43 | Design news
今、書店やコンビニにならぶ 「pen」の特集は、

「吉岡徳仁とは、誰だ?」。

斬新なディスプレイ。衝撃の椅子。ショップデザイン。

幅広く活躍する世界が注目する日本人デザイナーの
特集だ。

現在展示されている「カルティエ・コレクション」展の
展示セレクションから、会場構成も担当し
国内外から大絶賛を受けている。

今回この記事を書いた理由は、今フラワーデザイナー
(以下FD)やフラワーアーティスト(以下FA)の多くが
注目している一人であるからだ。

シンプルながら、素材感を重視した切り口、アートと
デザインの境目に位置しながら、緻密な計算と研究、
そして偶然性を取り込みながら新しいものを生み出す
姿勢は、

「セカンド・ネイチャー」と題して発表された作品の
中にもあらわれている。

ある水溶液の中に椅子のフレームのみをつけ、結晶に
より時間の経過とともに椅子が完成するというもの
だった。

その会場で、同企画の中で一緒に作品を出展していたのは、
FAで有名な 東信 氏。

のちに、清澄白河で実験的な素材への追求が、毎月
2年に渡っておこなわれたのは、偶然では無いはずだ。

吉岡氏の作品がFDやFAに響くのは、経歴にも大きな関連が
ある。

桑沢デザイン研究所から三宅一生氏のもとへと移り
立体的なファッションの枠を越えるデザインを生み出す。

三宅一生氏と花の関連は、古い。

草月流 勅使河原家とは、多くの交流があり、
戦後の時代の中、イサムノグチ氏をはじめとした幅広い
アーティストの中に、三宅一生氏も居た。

一枚の布から立体的な服を創造するにあたって、
石と向き合っていた イサムノグチ。花や鉄と向き合って
いた勅使河原蒼風。素材は違えど、同じ方向を見て
切磋琢磨していたと考えてもおかしくない。

その証拠に、三宅氏の背中を見ていた吉岡氏の
「心を揺さぶる、5人のクリエイター」の中に

「イサムノグチ」は存在する。

素材を追求する。もともと華道にあった意識ではあるが
近代海外デザインの中で、日本人FDやFAが一時期忘れかけ
られていた。

近年、様々なデザイン業界とともに、FD、FAは
再確認し、見つめ出すことになったと言っていい。

その中で、新しい日本人デザインのパイオニアとして活躍
する 吉岡氏の切り口や作品が、FD、FAに注目されている
のは、必然だ。

「計算して出来るもの、パターン化され均一化されたものに
予期せぬ感動は生まれない」そう吉岡氏は語る。

あくまでも勝手な自分の意見ではあるが
言葉の中にもあるように、自然の中で形作られるフォルムを
大事にしているように聞こえるが、大きなデザインの基礎が
源流にあり、その中でデザインを突き詰める中で至った結果
であると、過去の作品をみればあきらかだ。

現在の作品も素材実験の中で生まれてくる形状に対し、
押し付けることなく、自分の計算やアイデアを取り入れる姿が
見てとれる気がしてならない。

偶然性だけの結果は、その結果を理解しなければ、次への
作品への発展はありえない。

基礎を理解しなければ、そこに辿り着いた理由をイメージ
出来ないからだ。

FDもFAも、吉岡氏の作品の中に新しいものを見つけることも
大事だが,本来の華道という世界の中に身を置いて、花の基礎を
もう一度じっくり確かめることが大事なのでは無いか?

そう思えてならない。






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