![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/ed/12c55f71f8ea73612f901a273fb24d5b.jpg)
らせん水車が完成した。今から100年ほど前、富山平野で10000台普及していたという小さな水車である。農業用機械の動力用に開発され普及したものの、石油のエンジンが登場して急速に衰退した。そして、1世紀の後に、発電用の水車として復活したわけだ。
私たちは、らせん水車の実験的研究にとりくんでいる富山県立大学のグループにいろいろと教えていただいて、らせん水車の力学理論をつくった。かつては職人のかんと経験によって作られていたもので、どういう理屈で動くのか実はよくわかっていないかったのである。その理論に基づいて最適な羽の形を決定し、発電機の特性と合わせて、水車発電機の性能について理論的な予測をした上で、実際に製作し野外に設置した。製作については岐阜県関市にある(株)篠田製作所に無理を言って作っていただいた。設置場所の選定などプロジェクト全体は岐阜のNPO法人、森と水辺の技術研究会、地球の未来との協働である。
設置したのは、岐阜県揖斐川町坂内で、NPO法人校舎のない学校が田舎暮らしの体験学習施設として利用している茅葺きの家「竹姿庵」のすぐ脇にある農業用水路である。元坂内村長の田中正敏さんには全面的に協力をしていただき、この水路には集落のみなさんの管理により年間を通じてほぼ一定の水量があるので、実験をするには好都合だ。
水車は幅45cm、深さ45cmのU字溝にすっぽり収まるように設計した。設置当日、トラックのクレーンにつりさげられて、じゃぼんと水路におさめると、さっそく水車が回りはじめた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/e7/d389e7bad894e72cac7ebfee25c11a37.jpg)
オシロスコープで発電機の出力をみるとちゃんと発電している。計測装置をつないで電圧、電流を計測した。いろいろと条件を変えて最大出力を求めてみると、25Wであった。理論的な予測にばっちり合っていて、理論の構築を担当した大学院生の岡村鉄兵君と思わず握手をして喜んだ。
たったの25W?と思われるかもしれない。今回は実用機ではなく、実証試験なので理論と実際が合うかどうかを確認するのが目的である。そういう意味では大成功である。
ただ、実際に自分たちで発電してみると、この25Wというのが何ともいえずいとおしい。設置二日目には竹姿庵に宿泊して岡村君は徹夜で作業をした(私は寝ていた)のであるが、この茅葺きの建物に使われている電気製品は照明だけなのだ。電球の数を数えると、これらをすべて発光ダイオードランプに取り替えれば、25Wで十分まかなえる。今後はバッテリーに充電できるようにするので、そうすればもっと使える。小さな冷蔵庫やノートパソコンくらいはいけそうである。
私たちは普通は一軒あたり1kWとか3kWとかの電気容量がなければとてもじゃないが暮らしていけないと思っているが、本当にそうなのだろうか、と反省させられた。電気を大量につくるから大量に使っているということなのではないか。本末転倒ではないのか。
竹姿庵にはかまどやいろりがある。ここで自然エネルギー100%生活の実験をやってみたいと思った。1週間とか1ヶ月とか、煮炊きは薪や炭で、お風呂のお湯は太陽熱で。そして電気はらせん水車で。きっと身体の芯から持続可能な社会のイメージが湧いてくることだろう。
電気や石油はあればあるだけ使ってしまいます。
なければないなりに工夫すれば生活できるかもしれないですね。
私も一度経験してみたいです。
些細なことでも幸せを感じることができる気がします。
きっとすごい感動なんでしょうね。
数年前に人力発電機を体験した事があるのですが、
ぐるぐるとレバーを回すことで電球が光ったのを見て、
とてもはかない光だったのですが、
いつもより暖かく感じました。
それが自然の力で生まれてくるというのは、
もの凄いわくわく感が湧き出してくる感じがします
発電量はまだ少なくても、とても心強く、勇気づけられる記事でした。
まず「自前の電力」という発想を持つこと自体が、とても大事なのだと。
マイクロ水力発電、愛おしいです!