WBCバンタム級タイトルマッチ
日本の山中慎介選手(Shinsuke Yamanaka)が元2階級制覇の強豪ビック・ダルチニアン選手(Vic Darchinyan)の挑戦を受けた注目の一戦は東京有楽町の東京国際フォーラムで行われ、山中選手が12回3-0判定を制して昨年11月に獲得した王座の初防衛に成功しています。
山中選手の快勝でした。
ビッグネーム、ダルチニアン選手のプレスに対し気負うでもなく、かといって委縮するでもなく、+
終始クールに対処していた山中選手。リードの右ジャブと、この日最も良かったフットワークとでスタートから自らの距離をキープしていきます。
出れば出ただけ後退され、打ち込んで行ってもスリッピングアウェイで暖簾に腕押し状態。自らの攻撃は空転を続けるなか、山中選手の正確な右ジャブ、ボディ・顔面へ散らされる左ストレートを決められる流れにダルチニアン選手が次第に攻め手を失っていったようにも見えた流れ。
ワイルドな攻撃で山中選手を押し込み吹き飛ばすような場面も見せた試合序盤戦は、ポイント上はほぼ互角ではあったものの山中選手のペースは常に乱れることはありませんでした。
5回に山中選手の左のパンチでダルチニアン選手が右眉付近をザックリとカットして以降は山中選手優位の流れがより明白になっていきます。
結構酷いカットで焦りの色を隠せないダルチニアン選手が強引に出るところに王者の正確な右ジャブがヒットしてペースを完全に掴んだ6回。7回以降右ジャブを増やしてなんとか突破口を見出そうと試みるダルチニアン選手なのですが、王者の無駄なく動く足を追い切れません。
10回には右フックを浴びて一瞬動きが止まった場面を見せたダルチニアン選手。続く11回にも山中選手の強い左ストレートをまともに浴びるなど、確実に王者がポイントを重ね続けた快勝での初防衛成功劇でした。
公式のスコアは116-112が2人、117-111が1人の3-0山中。シロート採点116-112山中。
試合中再三見せていたダルチニアン選手が入ってくるところに山中選手が左を思い切りよく合わせていったシーン。そして最終回終盤に流した場面。山中選手の度胸の良さと図太さを見たシーンでした。フットワークと右リードでのボクシングも見事で、心身両面での充実が感じられた見事なパフォーマンスでした。
山中選手は16勝(11KO)2分。ダルチニアン選手は37勝(27KO)5敗1分。
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まず始めに感じたのはダルチの予想以上の劣化でした。
踏み込みのスピードが鈍り、追い足がなくなり、さらに体力が衰えていました(全盛期はもちろん、直近のモレノ戦と比べてもそう感じました)。
左を強振しようと踏み込んだところにジャブを合わされ、接近戦に持ち込もうとしても距離をとられ、そこで止まってしまう…というダルチらしくない展開。
中盤以降は上半身の動きに足がついていかず、ただ荒いだけのファイターと化していました。
大好きな選手だからこそ、今後踏み台にされていく姿は観たくありません。そろそろ引退を考えても…と個人的には思っています。
一方の山中選手ですが、正直過小評価してました。素晴らしかったです。
あんなにスピードがあって、フットワークも使えて、ジャブも上手い選手とは思いませんでした。
もちろんダルチが劣化していたというのはありますが、それでもこの勝利は非常に価値のあるものだと思います。
今後小さくまとまらず、どんどん世界の強豪と戦っていってほしいです。
しかし海外ボクシングファンとしてはエキサイトマッチで統一戦や階級の壁を超えるような戦いをしてるスーパーボクサーが日本人に負けてしまうのは少々複雑な気分です。
パッキャオ、ドネアなどフィリピン勢アメリカメキシコのボクサーを圧倒する様などを見ても少々感じるのですが、管理人さんはどのように見てますか。
山中選手の足を全く追えてませんでしたね。要因は仰るような衰えも含めて様々あるんでしょうが、まずは山中選手のリードとフットワークが見事だったということが言えるのではないでしょうかね。
ダルチのカットも山中選手にとっては非常にラッキーでした。
>Kさん
私は複雑な気分、ってのは感じたことないですね。この試合も山中やるな、という以上の特別なものはなかったです。
ダルチニャンが意外に慎重だったのは、山中のパンチ力を感じたのと、懐が深く、突っ込むとカウンターを食いそうな雰囲気を感じとったのではないでしょうか。快勝でしたね。
以前は、数字上は、身長、リーチで上回っても、パンチの伸びで劣り、日本人選手で懐が深い選手はなかなかいなかったと思いますが、西岡を代表格として、懐が深い選手が増えてきたように思います。
懐が深くて、パンチもある選手、西岡、内山、山中。日本人選手の傾向が良い方向に変わって来たと感じました。
ただ、最終回はガードの上から大きく仰け反らされた左が少し効いたのか単に流したのか完全に逃げ切りにシフトしましたが、ダルチ相手にはかえって危険な感じもしました。
あのような状況で逃げ切るならモレノのように腰を落とし、クリンチをうまく使いダルチの突進を止める方が安全だったように思います。
しかしまあ、それを差し引いてもこの日の山中は見事でした。
山中も粟生もそうですが、あそこまでダメージを与えておいて倒せないというのは物足りなさを感じます。
ダルジニアンも明らかにボディが効いてましたが、1発当てた後は全く攻める素振りもなく。
ここまでダメージを与えたならWOWOWに出てくる選手であれば倒せるだろう、と感じもどかしくなりました。
WOWOWに出てくる海外の一流選手に感じるEGOのようなものが感じられず、良くも悪くも相手を伺い過ぎなような気がします。
タイミングで倒れればラッキー、あとはリスクを冒さずいかに勝つか、という考えを脱却し、
”意地でもKOする”というKiller Instinctを見たいと思うのは私だけでしょうか。
長文失礼しました。
試合を見てないので何とも言えませんが、ダルチニアンはバンタムでは小さ過ぎるんじゃないかと思います。
階級をスーパーフライに落とせばまだまだイケるのではと感じてます。
山中選手の評価は低かったのですが、ダルチニアンに勝ったので、認めざるおえないです。
いつも楽しく拝見してますw
プロのジャッジ・素人誰が見てもひとまず勝ちは勝ちかな、と取れる内容だったので一安心です。ダルチニャンからすれば不運なカットでしたね。山中陣営のダルチ研究と対策練習量が物語った勝利でしょうか……。
山中がベルト奪取前から公言していた信条でもある、いつ誰の挑戦でも受ける、を体現することができた内容だったかなと思います。
私もダルチニャンはバンタムでは持ち味のパンチが活かせないように感じました(・ω・;A)
エキサイトマッチでのKOの印象が強いので、復帰戦の際はあのパンチをスーパーフライでまた見せて欲しいものです。
スポーツ紙は彼をベガスへ推してますし西岡選手に続いてもらいたいですね(´∀`*)
エキサイトマッチのカードもいいんですが、
ここ数年、日本のボクシング界にタレント
が揃ってきましたよね。バブルが弾けても
まぁ今から思えば景気がよかった時代には
どれだけ期待した選手もベルトに手が届か
ない事が多く、終焉だなと感じましたが、
景気が悪くなるほど、強い選手が出てくる
ので、ハングリー精神の差とはこれほどま
でかと最近感じています。
この階級ではセレスジムの岩佐にも期待です。
試合から時間が経ちましたが書き込ませていただきます。
試合後、ダルチは絶対「ヤマナカは打ち合ってくれなかった」と言うな、と思っていたらその通りでした。
捕まえるのがファイターの仕事でそれを捌くのがボクサーファイターの仕事、と思いますし、
アメリカでももちろん素晴らしいボクサータイプがいると思うのですが、
どうしてそのような発言になってしまうのか解らないところです。
個人的には山中選手、素晴らしいボクシングだったと思います。