投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2014年 3月24日(月)07時51分19秒
川平敏文氏(九州大学文学部准教授)のブログで、兼好法師は卜部氏出身ではないことを小川剛生氏が解明したとの論文紹介がありました。
閑山子余録「六十年に一度の論考」
ただ、肝心な部分に誤記があり、「『国語国文研究』49」は誤りで、正しくは熊本大学の『国語国文学研究』49号のようです。
国会図書館で「国語国文研究」を検索したら北海道大学に同名の雑誌がありましたが、号数が全然合わず、小川氏と北大の接点もわからなかったので困っていたところ、ツイッターで近世文学に詳しい方に『国語国文学研究』の存在を教えてもらいました。
内容が風巻景次郎への批判を含むらしいので、小川氏がかつて北大にいた風巻景次郎へ挑戦状を叩きつけたのだろうか、などと妄想しましたが、昔の勤務校という縁で熊本大学の雑誌に載せたようですね。
早く読みたいのですが、国会図書館への複写依頼だと次号が発刊されるまで待たなければならず、近くの大学図書館にもなさそうなので対策を考慮中です。
なお、川平敏文氏は、
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しかし、兼好は卜部氏の出身であるということは、誰も疑わなかった。「尊卑分脈」にはそのように書いてあるし、また「蔵人」「左兵衛佐」とも注記されているから、基本的にはそれが信じられてきた。とくに風巻景次郎の著名な論文「家司兼好の社会圏」は、まるで見てきたごとくに、兼好の生前の人間関係、社会的な地位、活動を「緻密に」解き明かした。爾来六十年、それが定説とされてきたのである。
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と書かれていますが、風巻景次郎氏は『徒然草』と兼好の自選歌集の登場人物から「家司兼好の社会圏」を探っており、「尊卑分脈」に格別依拠している訳ではないので、この部分は賛成しかねますね。
風巻景次郎 「家司兼好の社会圏-徒然草創作時の兼好を彫塑する試み-」
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