大福 りす の 隠れ家

小説を書いたり 気になったことなど を書いています。
お暇な時にお寄りください。

みち  ~未知~  第117回

2014年07月15日 14時11分08秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第110回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ






                                             



『みち』 ~未知~  第117回



暦が琴音の顔を見ながらウーロン茶を一口のみ、言葉を続けた。

「だって、会社でしょ? 相手もどこかで気を使ってるわよ。 嫁にはしない事でも会社では女子社員に気遣うとかさ」

「うーん・・・そうなのかなぁ? そんな風に感じないんだけどなぁ。 家でも奥さんを気遣ってる感じよ」

「家では掃除どころか全く何もしない旦那が会社に行くと箒を持ってるってよく聞く話よ」

「あー・・・確かに聞くわね。 でも会社の人たちはお料理も作ってるみたいだから家でもやってそうよ」

「ふーん。 ま、私は琴音の会社の人たちを知らないから何とも言えないけどね。 でも琴音がそうやって会社の人たちを切っ掛けに結婚に気がいってくれればいいんだけどね。 ねっ、年下でもいいじゃない?」 

「年上でも年下でも結婚はお断りよ」

「あー・・・ホンットに強情だわ」 話しながらもしっかりと食べ二人とも満足して食べ終えた。 

「ああ、美味しかった。 ここホントにいいわね。 また何ヵ月後に来ない?」

「うん。 そうね。 それに琴音がそう言ってくれるとここを教えてくれた役員さんにいい報告が出来るわ」

「うん。 有難うって言っておいてね。 ね、どこか違う所でコーヒーでも飲む?」 

「うーん、どうしようかなぁ」 暦が腕時計を見た。

「あ、時間ない?」

「無くはないけど これから移動してコーヒーとなるとちょっときついかな?」

「じゃあ、タイムリミットまで時間がまだあるからここで落ち着く?」

「うん。 そうしよう」 話は尽きない。

コーヒーも飲み終えタイムリミットも近づいてきた。

「そろそろ出ようか」 暦が言い出しにくいであろうと琴音が声をかけた。

「うん、そうね。 美味しくいただきました。 ご馳走様でした」

「こちらこそ。 楽しい一時をありがとう」 お互いの社交辞令に笑いが出た。

「琴音も車でしょ? 最初に出すのを忘れてたけど駐車券に判子を押してもらいましょうよ」 出口近くに行った時、暦が鞄の中の財布を出しながら言った。 

「最初はそのつもりだったんだけど 今日は電車で来たの」

「え? そうなの?」 財布の中に入れてあった駐車券を出しながら

「琴音、もう用事があるわけじゃないんでしょ? 送っていくわよ」

「いいわよ暦も忙しいんだから。 それに滅多にこんな所に来ないんだから駅周辺とかちょっとウロウロして帰るわ」

「え? そうなの? ほんとにいいの?」

「いいってば。 ほら時間がなくなってくるわよ」 暦が判子を押してもらい現地解散だ。

「じゃあ、また電話するね」 暦が言った。

「うん。 待ってるね」 暦と別れた後、特に今日の予定があるわけではない琴音。

「えっと・・・どうしようかな。 とにかく先におトイレは何処かしら」 キョロキョロしながら探すとすぐに見つかった。

トイレの個室に入り自分の太腿が目に入った。

「え! なにこれ?」 赤いブツブツが太腿一面に出ていたのだ。

「気持ち悪い! お腹は?」 服をたくし上げ見てみると、お腹にもわき腹にも沢山の赤いブツブツが出来ていた。

「嘘でしょー!」 腕を見たが腕には出ていない。 個室を出て鏡で顔を見ると顔にも首にも出ていない。

「良かった」 ほっと胸を撫で下ろしたが

「何か悪い物を食べたかしら? 特に変わった食材なんて無かったわよねぇ・・・高級だから身体がビックリしたとか?」 少し考えて

「痛くも痒くもないけど・・・これってアレルギー? でもアレルギーって痒くなるのよね・・・とにかくこれからは気を付けて様子を見なきゃ」 トイレを出て一旦ロビーへ行き

「さて、どこへ行こうかしら」 ロビーのソファーに座って考えていると

「彼女―!」 遠くで一人の女性が叫んでいる。 周りはその女性を見たが琴音はまさか自分のこととは思わず考え事をしていた。

「山の恵み・・・そうよね山って、地球って凄いのよね」 暦と和尚の話がリンクしている事に気付いた。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする