築地場内で朝飯を食べた。9時10分に場外駐車場に留め久しぶりに場内に入ると案の定、凄い一般客の数。「大和」を始め寿司店は何処も数十メーターの列。「高橋」にもある程度の行列を覚悟して店前に辿り着くと一軒間口に4人横に並んでいる列が4列。入り口には並び方が書いてあるので私も指示通りに並ぶ。
後列の左に立っていて店から客が出てくれば前列の右端に進むという具合。前回いつ来たか考える~ 10年前か?~
J社時代築地にくるのは仕事がらみで大概外人と一緒で仲卸会社の鮪かウニの担当を訪ねてその後場内で平日に昼飯を食べるパターンだった。
従って入るのはほぼ寿司屋に決まっていて「寿司文」にする事が多かった。当時の平日もすっと入れる事は余り無かったが4~5人待ちで入っていた。外人がこれは何だと私に必ず訊くからネタに出てくる魚の英語名は説明できるよう覚えていた。
高橋は煮魚、焼き魚なので独りでくるか日本人同僚ときていた。その頃も既に若い連中は小遣いに不自由していたから安直な穴子丼で済ませる羽目になったが皆旨い旨い!と言って食べていた。
とこんな事を思い出しながら待つ間、今日は花粉が少ないらしい~余りムズムズしないで助かるな~と思いつつ何にするか考える。板紙に「スーパー穴子丼」と書いてある。穴子の2段載せ? これは下品と外す事にする。
別の板紙に桜鱒の塩焼きと赤メバルの煮付けが季節のおすすめと書いてある。両方ともそそられたが桜鱒の方が希少性が高い気がして決めて約30分待って店内に入る。ほぼ同時に入店した若い人は鰤釜を頼んだが30分程度掛かりますと言われ、桜鱒は「下にしますか、身にしますか」と聞かれたので「身」を頼むと15分位掛かりますと言われる。カウンターだけだが数えると9席で、「これは回転遅いわ。」と本人得心して喜ぶ。
予想に反し穴子を頼んでいる客はいなかった。常連と思しき70歳位の方に花鯛の塩焼きが運ばれてきたが見るから良く火が通っていて旨そうである。関心を持って見ていると彼はビールを頼み、旨そうに一口飲んだ後で身をほぐし綺麗に骨を外して二つに折って食べ終えた。お見事。
場内の店はどこも一軒間口で鰻の寝床、主人は奥でずっと包丁研ぎに専念。若主人が焼きも煮方もやっていて、出来ると「桜鱒焼き上がりました!」と元気に言ってくれたのが嬉しいが店の狭さと声の勢いの良さが少々ちぐはぐで、もう少し小さな声のほうがよろしいんじゃないと思いつつ出て参りました。2800円の価値ありましたね。ビールは飲みませんがあっさりとした脂の乗りに大満足。
今回築地に来た主目的は出しジャコを求める事。母は私が幼い頃からジャコ(煮干し)を500グラムか1キロを油紙袋で買っていた。大阪時代は鶴橋の市場で、東京に来てからは築地場外で求めて帰りこの20年位、まずジャコの頭を除き、次に二つに裂いて更に黒い腹を取り除いてから酒をまわし掛けレンジの弱に数回掛けてカリッと乾燥させたものをずっと毎日食べさせてくれた。母が最後の入院をしていた昨年始め頃、「おジャコ食べたい」というので同じように作って食べさせた。
1年以上あれを食べていない、渇望感が徐々に強まってきて今日買いにきた次第である。従って満足した食事を終えると私は場外のいつもの店に行き、なじみの主人に「この前の昆布の発送世話になったね、ジャコやっぱり食べたくなったから来ちゃったよ。少しで悪いけど包んでくれる」
500グラム、極上品を選んで買って帰りました。