カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

仲間9

2007-07-23 06:27:47 | 行動

いじめられっ子

 いつもの公園の他に何箇所か見ている公園がある。するとまた違ったカラスの世界がうかがい知る事が出来るのだ。しかしながら巣を撤去されてしまったり、雛を捕獲されたりと楽しい事ばかりではない。どの公園にも共通して言える事は「カラスへの理解が希薄」だという事だろう。

地面採食

 そんな公園の一つに中規模な街区公園がある。グランドがあり、遊具とベンチがあり、老人や子供たちが安心して寛げるといった住民にとっては理想的な公園である。この手の公園にカラスは必要ないのだろう。巣立ち間際に雛毎撤去されてしまった。苦情は数件で、調べてみたら「子供が襲われたという勘違い」だったのである。私の知る限りでは子供のみに攻撃をしているカラスはいない。子供の側に大人がいた場合、その大人をターゲットにして来る事の方が多いのである。その辺の理解を得る事が出来ないのが現状である。

巧みな技

 ある日の朝、公園を囲むように設置されている数箇所のゴミステにカラスが15羽程群れていた。皆おもむろに好みの食べ物を探し当てて食べていた。私は何時ものように写真を撮っていると何だか後ろから近寄り付いて来るブトの存在に気が付いた。この公園は餌付けもされているので「人馴れしているカラスなのだろう」と思ったのである。

いつもの表情

 しかしいつまでも付いて来るので、そのブトの顔を見てみたら・・・・・何とこのブトはいじめられっ子ではないか!!一番の特徴である足も見てみたのだが間違いはなかった。そう、4月に仲間と共に公園を去り、その後姿を見る事がなかったいじめられっ子なのである。何処かで会えるかもしれないと思っていたのだが、こんなに近くで再開出来るなんて考えてもいなかったのである。

 実はこの数日前にいじめられっ子とそっくりな鳴き方を聞いていた。この時に既にいじめられっ子はこの公園にいたのかもしれない。私も声を聞いた時にはまさかいじめられっ子がいるなんて考えてもいなかったので特に探そうとはしなかった。

ゴミステ研修?

 いじめられっ子は一つのゴミステを占領し、たくみなテクニックでゴミをさばいていた。その側で様子を見ているブトがいた。このブトはいじめられっ子より年下なのか、横取りをしようとはしなかった。いじめられっ子の方が格が上だという事になる。

 いじめられっ子は4月の中旬、親が抱卵を始める頃に仲間と共に公園を去って行った。仲間と行動を共にするうちに、番相手が見付かるかもしれないと期待をしていた。しかしこの時のいじめられっ子には番相手はいなかった。はやりいつものように一人だった。数羽の仲間はいるのだが、伴侶にまでは至らなかったのかもしれない。

占領

 私は毎日この公園にいじめられっ子を見に行くことにした。しかし毎日会える訳ではなかった。多分他にも数箇所行く所があるのだろう。元気ないじめられっ子との約3ヶ月ぶりの再会に感激してしまった。満5歳になったいじめられっ子。もしかしたらいつもの公園に戻って来る日もそう遠くはないのかもしれない。

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お知らせ

2007-07-20 06:35:34 | ブトボソの呟き?

 インタビューの続きがアップされておりました。懲りずにご覧になって下さい。

「2□crows□カラス□」 

・・・・・・・照れくさいです。
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思い込み3

2007-07-19 05:45:06 | ブトボソの呟き?

 「勘違い」や「思い込み」という言葉は日常的に使われている。私自身、無意識に使っている事が多い。「勘違い」とは『思い違いをする事』とある。「思い込み」は『そうだとばかり信じきっていること。それ以外にはないと固く心に決めること』とある。

 6月は野鳥の巣立ちの時期である。この巣立ちや繁殖に関して毎年同じ過ちが繰り返されている。その過ちを犯すのは野鳥ではなく我々人間である。過ちを認識してくれて改善されるのなら望みはあるのだが、認識とか理解といった言葉が通じない未知の世界の人達がいる。この人達は「自分が行っている行動に間違いはない」と頑なに信じている。しかも聞く耳を持ち合わせておらず、話は一方通行で尚且つ馬耳東風という言葉が当てはまる。

 毎年カラスの雛が巣立ちを始める頃と同時期に「マガモ」も巣立ちを始める。このマガモの巣立ちには嫌という程悩まされる事が多い。見た目の可愛さが見る人の感覚を狂わせてしまうのかもしれない。マガモはもやは「野鳥ではなくペット」である。その状況をマガモとカラスに分けて以下にまとめてみた。皆さんの周りにも同じ感覚の人はいないだろうか?

~マガモ編~

  1. 親が雛に給餌をしないので死んでしまう雛はすぐに自分で採食をする
  2. 池の水がコケや藻だらけで可愛そうマガモの主食は「コケ」「藻」「昆虫」「植物の種」などである
  3. 巣にパンを置いて♀の手助けをするカラスに巣の場所を教えているに過ぎない
  4. 抱卵している♀が口を開けて鳴いているのでお腹が空いているに違いない♀は警戒して鳴いているだけである
  5. 雛の足が曲がっていて可愛そうなのでパンを与えるクル病に罹ってしまっている。病気の原因は「栄養の偏り」であり、その原因を作っているのは「餌付け」が大きいと言える
  6. ♂親も一緒にいる♂は♀が抱卵を始める頃になると番を解消してしまう。側にいるのは「交尾をしようと狙っている」に過ぎない
  7. 雛が段差のある所を上れなくて見ていて可愛そう人が取り囲むから余計に上がれない
  8. 藻に雛が絡まって死んでしまう雛は藻の上を上手に歩いて移動している
  9. 親子が道路を横断しようとして危険引越しをしようとしているに過ぎない
  10. 他のマガモの大きな雛は小さな雛をいじめるので池に仕切りを付けたい雛も親の歩いて移動するので無駄である
  11. 天敵に狙われるので人が常に張り付いて見張る全くの逆効果である。野生で生きて行く為には天敵に狙われて身を守る術を身に付ける事も必要である

 これを読んで驚く人もいるだろうし、「当たり前だ」と思う人もいるかもしれない。しかしこれは全て人間の尺度でマガモを見てしまった結果と言えるのではなかろうか?マガモはペットではなく「野鳥」なのである。この辺りをしっかりと認識して行く必要がある。しかしこの11項目全てを完璧に行う人が実に多いのが現状であり、幾ら「自然の摂理」や「弱肉強食」という事を説明しても通じないのである。特に時期外れに巣立ちをしている場合には健全な雛は望めない事が多い。自然界の食べ物の違いや餌付けによって親自身の栄養が偏っている可能性も否定出来ない。

~カラス編~

  1. 大きくなった雛が親から餌をもらっている巣立つ頃には親とほとんど変わらない大きさである
  2. カラスの巣を撤去するといなくなる縄張りで行動しているので意味がない。雛は独り立ちをするが親は留まる
  3. 古巣があるとまたそこで営巣してしまうので撤去する古巣があってもなくても縄張りで行動している
  4. 親と雛が一緒になって攻撃をしてくる有り得ない。ほとんどの場合後ろから攻撃をしてくるので本人が確認できないだろう!!番の連携が上手なのでそう感じてしまうのだろう
  5. 巣があるとそこに住み着いてしまう巣は子育ての時しか使わない。巣は人で言う「家」ではない
  6. カラスは黒い服装の人を見ると攻撃してくるスズメバチを混同している可能性が高く、色は関係ない。攻撃される人は「顔」を覚えられていると思われる
  7. カラスに後ろ突かれた鳥の体の構造上、飛びながら突く事は不可能でだろう。勢いを付けて足で蹴っている
  8. カラスと目を合わせると襲われる目を合わせた方が襲われない
  9. 声が擦れているカラスがいて可愛そうボソの事を言っている場合が多い。カラスの全てが「カァー、カァー」と鳴くと思っている
  10. カラスが夜に鳴いていると何か良くない事が起こる鶏以外の鳥は夜でも目が見える。夜にカラスが鳴いていても不思議はない。塒に侵入者が来た時は警戒の声を出している

 これを読んだら誤解だらけだという事が良く分かる。これは突飛した事ではなく極々普通に人が感じているカラスの印象である。特に「古巣があるとまたそこで営巣してしまうので撤去する」という感覚だが、これがそのまま古巣の撤去へとつながっているのである。それと「カラスに後ろ突かれた」とあるがこれはほとんどの人がそう思っているようである。行政の担当者の中にも同様に思っている人が少なくない。何れにせよこの「思い込み」が引き起こす、「保護」という言われる「お節介」が思いがけない悲劇を生み出す事もある。「保護するとは何か?」という事を改めて考えてもらいたいと思うのである。

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2007・巣立ち8

2007-07-15 06:46:46 | 繁殖

親の優しいなまざし

 巣立ちした雛が必ずトラブルを起こすとは限らない。普通は巣立った雛が地面に下りてしまう事自体があまりない事なのである。しかしこの公園の巣立ち雛・・・・・特にブトの場合は地面に下りてしまいトラブルに発展してしまう事が多い。

 本来なら雛が地面に下りたからと言って特段騒ぎ立てる必要性もない。自然な事なのだからそのままにしておけば良いだろう。しかし公園や人の出入りが多い場所になるとたちまち大騒動になり、警察が呼ばれ通行止めになり、雛は捕獲されて捨てられるのが落ちである。

放浪

 ある日の事、1羽のブトに雛が公園の外をてくてくと歩いているではないか??一体何処の雛?私は親の姿を探したのだが見当たらない。「雛の近くに行けば親がすっ飛んで来るに違いあるまい」と思っていたのだがその気配もなかった。

 私は「また捨て雛なの?」と思ってしまった。昨年の「生きるという事」の迷子雛のような事になってしまうのではないかと心配になってしまった。しかし雛をこのままにしておく事も出来ないのでとりあえずは公園内に移動させた。

 雛を移動させた途端、2羽のブトが目を吊り上げて飛んで来た。飛んで来たブトは公園内のブトだった。しかし雛の巣立ちにはまだ数日あったのである。私はとっさに「1羽だけ先に出てしまったのだろう」と思い残りの雛が何羽いるのか見てみた。するとはやり3羽いた雛が2羽しかいなかった。親の行動といい、親の声を聞いた途端に雛が叫びだした事といい、間違いなくこのブトは親子だ。めでたく親子の対面をする事が出来た。良かったね!!

居眠り雛

 巣立ち前に巣から出てしまって、その後心配だったのだが雛を枝に止めてあげる事にした。私は親の洗礼を受けながら雛を無事に枝に止める事が出来た。後はこれ以上地面に下りて来る事がない事を祈るしかない。

巣造りの練習?

 実はこのブト君、優等生なのである。毎年雛が地面に下りるといったトラブルもほとんどなく、上手に樹上移動をしながら成長してくれるのだ。雛が地面に下りる頃にはもう十分に飛ぶ事も出来ていて、人の姿を見ると雛自らの判断で逃げる事も出来る。通常はこれで当たり前なのだろう。しかしこの公園では「優等生」になってしまう。

 先に巣立ってしまった雛はその後一度も地面に下りる事なく成長してくれた。その4日後に残りの兄弟達も巣立ちを始めた。兄弟達も上手に樹上移動をしてくれたので親も必要のない威嚇行動をしなくても済んだのである。

兄弟で相談?

興味深々!

 雛の成長速度はとても速く、兄弟で遊んだり、親と一緒にクワの実を食べたりと本当に微笑ましい光景である。雛は早くも鳴く練習を始めていて、迫力に欠けた威嚇鳴きも聞く事が出来る。そうかと思えば頭をもたげて眠りに就く事もある。秋までの短い時間ではあるが、家族団らんを満喫して欲しいと思う。そして親から受け継いだ生きる術を存分に発揮してりっぱなブトとして生き抜いて欲しい。

それ、な~に?

 こうしてこのブト一家は必要のないエネルギーを費やす事なく暮らしているのである。せいぜい危険人物が来た時にだけ威嚇鳴きをする程度だ。通常はこれが当たり前なのだろう。マスコミの報道により過剰反応を示している人が多くなってしまい、カラス達に与える影響は計り知れない。もっと冷静になり見る目を持って欲しいものだと感じている。

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2007・巣立ち7:終焉

2007-07-12 06:02:52 | 繁殖

飛べない雛

 「2007:巣立ち7」の飛べない雛がどうなってしまったのか?と気になっていた。私が見に行くと親に余計な神経を使わせてしまうの行くのを控えていたのだ。しかしあれだけ毎朝地面を歩いていたのに、パッタリとその姿を見せなくなってしまった。親の威嚇行動も治まりつつあり、いつも飛べない雛がいた方向を見る事がなくなっていた。私自身用事があり、一日様子を見る事が出来なかったのである。姿を見せなくなった2日目のある日の事である。

 私は朝、児童が登校する時間を避けて雛のいた場所を見に行った。雛の姿はなく、上では私の姿を見つけた親が電線を突きながら怒っていた。ちょうどその時、民家の人が出て来て雛の事を話してくれた。

兄弟

 やはり雛は死んでしまったのである。私が最後に枝へ移動させた時点でかなり衰弱していて、首が自然と下がってしまっていた。内心「明日一杯持ち堪えるだろうか?」と不安に思っていた。しかし予感は的中してしまったのである。最後に移動させた翌日は私以外には威嚇はほとんど見られなかった。この時点で親はもう諦めてしまったのかもしれない。

 民家の人も親が大人しいので気になっていたようである。雛の様子を見に行った時には既に地面でぐったりとしていたそうである。可愛そうなので日陰に移してそのままにしておいてくれたのである。しかし翌朝には冷たくなっていたそうである。

 このブトは今年は撤去される事なく順調に営巣する事が出来た。雛数も4羽と頑張ったのだが、4羽全てを立派に育て上げる事は出来なかったのである。食べ物との関連もあるだろうし、雛自身の体力もあったのだろう。

 この雛のように成長が遅れてしまい兄弟の後を付いて行くように巣立ってしまった場合はトラブルが起こる事が多い。ほとんどの場合は捕獲されて捨てられてしまうのである。しかし今回はカラスの事を理解してくれる人がいた事もあり、この雛は親の元で命を全うする事が出来た。本当に短い命だったのだが、親に見守られて幸せだったと思うのである。

 本来なら雛が地面に下りてしまっても放っておくのが自然な事である。しかし住宅街や人通りが多い場所となると話が違ってくる。少しでも人との軋轢をなくすためには人が手を差し伸べなくてはいけない状況になる。生まれて来た雛に罪はないのだから・・・・・。

兄弟

 2羽の雛を失ってしまったのだが、親は残りの雛の育児に追われている。悲しんでいる時間はなさそうである。大きく成長した兄弟は親と一緒に移動して修行に出る時期でもある。しかし夕方になるとちゃんと家族揃って眠りに就いている。実に微笑ましい光景である。

 来年はどうなるのかは分からない。ボソがいつも通りに営巣をしたら、恐らくこのブトはこの場では営巣する事が出来ないだろう。街路樹に営巣したらまたいつものように撤去されてしまだろう。このブトの縄張り自体は広いのだが、営巣に適した木が少ないのである。これは都会の住宅街に営巣するカラス全般に言える事だろう。しかしそれでも諦める事なく、必死になり子育てをしているカラス達を見ていると嬉しい反面悲しくもなる。ブトが住宅街でも安心しえ子育てが出来る日がやって来る事を祈る毎日である。

 毎年カラスの巣立ちが始まるとお決まりのように苦情が殺到して何の罪もない雛がその犠牲となってしまう。親の威嚇行動が年中行われるのなら話は分からないでもないが、ほんの一時の事である。一年のうちのほんの数週間だけカラスに対して優しい気持ちにはなれないのだろうか?そうかと思ったら異常なまでの愛情心を発揮してマガモを守ろうとする。マガモはもはや野鳥ではなく「ペット」である。この対応の違いは一体何なのだろう?

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お知らせ

2007-07-09 20:20:45 | ブトボソの呟き?

 先月のインタビューの続きがアップされました。懲りずに見て下さいね。

「2□crows□カラス□」 

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2007・巣立ち7

2007-07-08 05:41:18 | 繁殖

 巣立ちのピークが終わり、カラスの威嚇行動も治まりつつある。しかし今年は巣立ち遅れが多く、未だに巣立っていない番は巣立ったばかりという番も少なくない。最初から観察をしていなければ「再営巣」かと思ってしまう事もある。巣立ちが終わっていないのがブトならまだ分かるのだが、ボソでもまだ抱雛中という番もいる。しかしボソの場合は再営巣の可能性が高いと言えるだろう。

尾行ボソ

 今年は灯台下暗しにならないようにと、ご近所カラスの営巣状況もまめに見るようにしていた。一番気になっていた「尾行2:災難」のボソだが実はあれから暫く姿を見せなかったのだが、街路樹に再営巣していた。気が付いた時点では既に雛が孵化していた。しかし余り見たり、写真を撮ってしまうと巣がある事を知らせてしまう事になるので通りすがりを装って見るだけに留めておいた。従って写真は一枚も写していないのである。

 先日様子を見に行ったら、樹上に巣立った雛が2羽おねだりをしていた。親は辺りを気にしてはいたものの威嚇行動は全くなかった。恐らくこのボソが営巣していた事に気が付いていない人の方が多かったに違いない。それだけボソの繁殖というのは静かだという事になる。先ずはめでたし、めでたしである。

 そしてもう一組、気になっていたブトがいた。昨年の「巣立ち6」に登場したブトである。今年はいつもと状況が違っていた。尾行のボソが最初から小学校に営巣しなかった事もあり、近所の民家に営巣をしてしまったのである。

 私は「いつ落とされるのだろうか?」と思いつつ毎日観察をしていた。しかし今年は営巣している事に気が付いていなかったのか巣を撤去される事はなかった。予定より少し遅れて雛が巣立ちを始めた。最初2羽が巣立ち、特にトラブルのなく静かな時間が流れていった。しかし残りの雛が巣立ちを始めた時点から、問題が発生してしまい親は大忙しな毎日になってしまったのである。

 このブト君、今年は頑張って4羽の雛を育てた。しかし雛の全てが順調に成長する訳ではなく、一番小さな末っ子が何かと問題を起こしてしまう事が多い。このブトも例外ではなかった。

見張る親

 ある日の朝、親が騒いでいるので様子を見に行ったら雛が地面を歩いているではないか!!親は気が気でないので必死になり雛を守ろうとしていた。比較的人通りは少ないとはいえ、歩道が狭い分人との距離が近くなり私も心配だった。

 小学校があるので児童の登校時間になり、子供を攻撃する事はないと分かっていてもやはり心配だった。ましてや最近は親が子供を学校まで送って行くという習慣になっている。子供に被害がなくても大人に向かって攻撃する可能性は高かった。しかしこの時は校庭内に雛が隠れたのでトラブルはなかった。

居眠り雛

 そして数日後、また雛が歩道を歩いていた。今度は何と小学校のウサギ小屋に止まり居眠りをしていた。私はこの雛が先日の雛と同じだと思っていたのだが、校庭内に入ってしまった雛は死んでしまったようである。という事は成長の悪い雛が2羽いた事になる。

 この雛をどうしようかと思い見ていたら、学校から数人の大人が出て来て児童達に何かを話していた。私も心配になり話を様子を見ようと側に行ってみた。すると大人達は「ここのカラスの雛がいるから、近寄ったら親が怒るからね。今日は回り道をして学校に入るんだよ」と言って誘導していた。

兄弟

 私は嬉しくなり話掛けてみた。学校側でもこのブトの存在は知っていたようで、意外にも雛を排除しようとかは考えていないようだった。それどころか「このまま様子を見てあげよう」と考えていてくれたのである。後で分かったのだが私が話をしていた男性の一人は校長だったのである。

移動させた後

 結局雛は巣のある民家へ移動させようという事になった。しかし民家の人が快く引き受けてくれるとは限らない。しかし勝手に雛を移動させる訳にも行かないので、もう一人の男性と一緒に事情を話しに行った。民家の人もこのブトの事は知っていていつもは巣を造り始めた時か、終わった後に撤去していた事も言っていた。確かにその通りである。事情を話すと快く引き受けてくれたのである。雛を移動させる時、親は物凄く怒っていた。既に元気に飛び回っている兄弟ブト2羽もその様子を見ていた。

突進する親

 それから毎日数回、この雛を移動させている。下痢もしているし、かなり痩せているのでこれから先はどうなるか分からない。しかしこの雛の事を心配している人が他にもいるという事が分かり、本当に嬉しくなった。雛の事があるので遠出は出来ないのだが、出来る限りの事はしてあげようと思ったのである。さて、今日は何回私に捕まえられて移動させられるのだろうか? 

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