いじめられっ子
いつもの公園の他に何箇所か見ている公園がある。するとまた違ったカラスの世界がうかがい知る事が出来るのだ。しかしながら巣を撤去されてしまったり、雛を捕獲されたりと楽しい事ばかりではない。どの公園にも共通して言える事は「カラスへの理解が希薄」だという事だろう。
地面採食
そんな公園の一つに中規模な街区公園がある。グランドがあり、遊具とベンチがあり、老人や子供たちが安心して寛げるといった住民にとっては理想的な公園である。この手の公園にカラスは必要ないのだろう。巣立ち間際に雛毎撤去されてしまった。苦情は数件で、調べてみたら「子供が襲われたという勘違い」だったのである。私の知る限りでは子供のみに攻撃をしているカラスはいない。子供の側に大人がいた場合、その大人をターゲットにして来る事の方が多いのである。その辺の理解を得る事が出来ないのが現状である。
巧みな技
ある日の朝、公園を囲むように設置されている数箇所のゴミステにカラスが15羽程群れていた。皆おもむろに好みの食べ物を探し当てて食べていた。私は何時ものように写真を撮っていると何だか後ろから近寄り付いて来るブトの存在に気が付いた。この公園は餌付けもされているので「人馴れしているカラスなのだろう」と思ったのである。
いつもの表情
しかしいつまでも付いて来るので、そのブトの顔を見てみたら・・・・・何とこのブトはいじめられっ子ではないか!!一番の特徴である足も見てみたのだが間違いはなかった。そう、4月に仲間と共に公園を去り、その後姿を見る事がなかったいじめられっ子なのである。何処かで会えるかもしれないと思っていたのだが、こんなに近くで再開出来るなんて考えてもいなかったのである。
実はこの数日前にいじめられっ子とそっくりな鳴き方を聞いていた。この時に既にいじめられっ子はこの公園にいたのかもしれない。私も声を聞いた時にはまさかいじめられっ子がいるなんて考えてもいなかったので特に探そうとはしなかった。
ゴミステ研修?
いじめられっ子は一つのゴミステを占領し、たくみなテクニックでゴミをさばいていた。その側で様子を見ているブトがいた。このブトはいじめられっ子より年下なのか、横取りをしようとはしなかった。いじめられっ子の方が格が上だという事になる。
いじめられっ子は4月の中旬、親が抱卵を始める頃に仲間と共に公園を去って行った。仲間と行動を共にするうちに、番相手が見付かるかもしれないと期待をしていた。しかしこの時のいじめられっ子には番相手はいなかった。はやりいつものように一人だった。数羽の仲間はいるのだが、伴侶にまでは至らなかったのかもしれない。
占領
私は毎日この公園にいじめられっ子を見に行くことにした。しかし毎日会える訳ではなかった。多分他にも数箇所行く所があるのだろう。元気ないじめられっ子との約3ヶ月ぶりの再会に感激してしまった。満5歳になったいじめられっ子。もしかしたらいつもの公園に戻って来る日もそう遠くはないのかもしれない。