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日本文化のユニークさ02:キリスト教が広まらなかった理由

2010年05月03日 | キリスト教を拒否する日本
整理すると、日本文化のユニークさの根底にあるものとして、大きく次の三点が浮かび上がると思う。そして、その三点がそのまま「日本にキリスト教は広まらなかった」理由に深く関係している。さらにそれらはどこかで、マンガ・アニメが世界に広まっていることと関係している。今日は、大雑把にこの三点を紹介してみたい。

(1)1万2000年続いた縄文時代人の心やその文化が、現代の日本文化の底流としていき続けているということ。土器を伴う、高度な狩猟・採集文化というユニークさ。

(2)日本の稲作文化は、本格的な牧畜文化とは無縁で、また遊牧民との接触もなかったということ。

(3)明治時代以前には、異民族との戦争をほとんど知らず、異民族による侵略、強奪、虐殺、文化の抹殺など悲惨な体験をもたないこと。したがって異民族の強大なイデオロギーによる支配も経験せず、それに対抗するため自らを強固なイデオロギーで武装する必要がなかったこと。

これら三点が密接にからみあいながら、日本の歴史や文化のユニークさを形づくっており、また日本にキリスト教が広まらなかった(現在も広まらない)要因にもなっている。それをかんたんに書くと以下のようになる。

(1)現代日本人の心には、縄文時代以来の自然崇拝的、アニミズム的、多神教的な傾向が、無意識のうちにもかなり色濃く残っており、それがキリスト教など一神教への、無自覚だが根本的な違和感をなしている。

(2)キリスト教は、遊牧民的ないし牧畜民的な文化背景を強くにじませた宗教であり、牧畜文化を知らない日本人にとっては、根本的に肌に合わない。絶対的な唯一神とその僕としての人間という発想、そして人間と動物とを厳しく区別する発想の宗教が、縄文的・自然崇拝的心性には合わない。

(3)ユーラシア大陸の諸民族は、悲惨な虐殺を伴う対立・抗争を繰り返してきたが、それはそれぞれの民族が信奉する宗教やイデオロギーの対立・抗争でもあった。その中で、自民族をも強固な宗教などによる一元支配が防衛上も必要になった。キリスト教、イスラム教、儒教などは多少ともそのような背景から生じ、社会がそのような宗教によって律せされることで「文明化」が進んだ。

しかし、日本はその地理的な条件から、異民族との激しい対立・抗争にも巻き込まれず、強固なイデオロギーによって社会を一元的に律する必要もなかった。だから儒教も仏教も、もちろんキリスト教も、社会を支配する強力なイデオロギーにはならなかった。

したがって、日本文化には農耕・牧畜文明以以前の自然崇拝的な心性が、圧殺されずに色濃く残る結果となった。要するにユーラシア大陸に広がった「文明化」から免れた。ヨーロッパで、キリスト教以前のケルト文化などが、ほとんど抹殺されていったのとは、大きな違いである。

以上が大雑把な枠組みだが、このほかにも考察すべき論点は山ほどある。日本文化とは何かを問うことが、人類の文明とは何かを問うことと同じになってしまうということは、驚くべきことだ。

これらの日本文化の特質(社会を支配する強力なイデオロギーがない、農耕・牧畜文明以以前の自然崇拝的な心性が存続する、かつ先進的なテクノロジーの国であるなど)が、マンガ・アニメにも、反映されており、それが不思議な魅力となって世界に受け入れられている。
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