シュトゥットガルト・バレエ団「オネーギン」

  みなさまご存知のとおり、11月末からシュトゥットガルト・バレエ団が日本公演を行ないます。演目は「オネーギン」(ジョン・クランコ振付)、ハイデ版「眠れる森の美女」です。

  東京公演の招聘元であるNBSが運営している、シュトゥットガルト・バレエ団日本公演特集ブログに、「オネーギン」のハイライト映像が公開されました( ここ )。ブログの紹介文にもありますように、「オネーギン」はジョン・クランコの代表作の1つで、名作と称えられている全幕バレエですが、なぜか映像版が出ていません。

  以前にはナショナル・バレエ・オブ・カナダによる公演の映像版がありました。しかしこれはすでに絶版となっており、実際にはほとんど入手不可能です。まだDVD化もされていないようです。

  従って、今回NBSが公開した映像は、ハイライト(5分弱)とはいえ、非常に珍しいものです。この映像によって、来月の公演をご覧になる予定のみなさんは想像と期待をたくましくし、観に行くかどうか検討中のみなさんは判断の材料とし、ご覧にならないみなさんはほんのいっときのあいだでも、「オネーギン」の世界に浸ってみて下さい。

  私にとって、クランコのこの「オネーギン」は特別な作品です。私は2002年の夏、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスで、ロイヤル・バレエが上演した「オネーギン」を観ました。アダム・クーパーがオネーギンを踊りました。全幕バレエで主役を踊るアダム・クーパーを観た、最初で最後の経験でした。

  今回NBSが公開した「オネーギン」のハイライト映像を、私はすでに何回も観ています(来月の公演も観に行きます)。申し訳ないことですが、オネーギン役のダンサー(イリ・イェリネク)だけ、脳内で首のすげ替えをして観ているのです。

  観るたびに、映像の中でオネーギンを踊るダンサーと、ロイヤル・バレエの公演でオネーギンを踊っていたアダム・クーパーの姿が重なります。あのとき、アダム・クーパーはあんな表情をしていた、こんな動きをしていた、と芋づる式に映像が浮かんできます。また、初めてのロンドンで緊張しまくりだった自分と、コヴェント・ガーデンの街の雰囲気を思い出します。いろんな思い出が一気に湧き起こってきます。涙がちょちょぎれそうになります。

  でも来月の公演では、しっかりとシュトゥットガルト・バレエ団の公演として「オネーギン」を楽しもうと思います。それでもやっぱり、少しは泣いてしまうかもしれませんが。

  そうそう、クーパー君の公式サイトがちょっとだけ更新されました。彼の近況を伝えています。「回転木馬」の振付の仕事が一段落ついたので、ようやく短い休暇に入れたそうです。たぶん、「オズの魔法使い」が終わってすぐに「回転木馬」の振付に本格的にとりかかったので、ずっと休めなかったのでしょうね。

  サイトにも書いてあるとおり、奥様のサラ、そして愛娘ナオミちゃんとの家庭生活を、しばしの間でものんびりと楽しんでほしいものです。
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