「三国志」ベスト10

  「レッドクリフ」、いよいよ明日から公開ですね。今週発売の「週刊文春」シネマチャートに「レッドクリフ」が取り上げられています。評者5人のうち、4人は三ツ星をつけていますが、いつも辛口のおすぎさんだけは四つ星評価です。曰く、「☆のひとつは金城クンへ。ひとまわりもふたまわりも大きくなって嬉しく感じた」とのこと。金城武君の諸葛孔明は期待できそう

  というわけで、「レッドクリフ」公開便乗企画、「三国志」ベスト10です。

  第1位:吉川英治『三国志』(講談社) 私がはじめて読んだ「三国志」がこれです。内容的には下記の小説『三国志演義』と歴史書『三国志』の両方を下敷きにしつつ、時に漢語を織り込みながらも、基本的には平易かつ気品あるきれいな日本語で書いてあります。小説や歴史書に載っている原話に沿ったエピソードは、あくまで決して大仰にならず、同時に味気なくなりすぎず、非常に魅力的な表現や文章で書き直されています。時代的にいって、吉川英治は漢文が読めたでしょうが、原文にこだわりすぎず、また原話からあまりに乖離することもなく、新しい魅力にあふれる「三国志」を書き上げたと思います。この『三国志』は、『新平家物語』と並んで、私が最も好きな吉川英治の作品です。

  第2位:横山光輝『三国志』(潮出版社) これは漫画です。おそらくは、吉川英治の『三国志』と中国の連環画(絵巻物)の『三国志演義』をあわせて参照して創作されたものだと思います。今でこそ「三国志」関連の書籍や資料は山ほど出版されていますが、著者がこの作品を描き始めたころは、ほとんど何の資料もなかったはずです。それなのに、これほどの作品を描き上げたのはすごいことです。前半では颯爽としていてカッコよかった青年将校の曹操様が、後半になると権力欲にとり憑かれた卑怯で姑息なオヤジ政治家と化しているのは悲しいです。でも、曹操と入れ替わるように、後半では諸葛孔明が大活躍します。諸葛孔明は見た目は青年期の曹操様ほどカッコよくはありませんが(ナマズヒゲ生やしてるし)、やることなすこと何でもうまくいくので、読んでいて気持ちがスカッとします。

  第3位:『三国志演義』(立間祥介訳、平凡社) 明代に成立した長編小説『三国志演義』の全訳本。「三国志」は日本でも江戸時代から愛されてきたようですが、この全訳本は日本での近年の「三国志」ブームの火付け役的存在だと思います。講談調の日本語には少々戸惑うかもしれませんが、たぶん原書が講談調なので、その雰囲気を日本語にそのまま置き換えたのでしょう。これを読むと、「吉川英治『三国志』のあの話はここから取ったのね」とか分かって面白いです。

  第4位:『三国志』(小南一郎他訳、筑摩書房) こちらは西晋(紀元3世紀)に編纂された歴史書『三国志』の全訳本であって、小説ではありません。歴史書なので内容的にも文章的にもあんまりドラマティックではありませんが、この歴史書『三国志』があってこそ、上記の小説『三国志演義』が生まれたのだろうなあ、と思います。また、小説的な大仰なフィクションやそれにともなう面白味がないからこそ逆にリアルで、それぞれの人物像が真に迫って感じられます。またこれを読んでも「吉川英治『三国志』のあの話はこれが原話だったのね」と分かり、ますます吉川英治の偉大さを思い知らされます。

  第5位:人形劇『三国志』(NHK) これは上記の立間祥介訳『三国志演義』を原案としています。高視聴率を誇り、本放送が終わった後もその人気は衰えず、その後10年くらいの間に、何度も何度もダイジェスト版や完全版が繰り返し再放送されました。人気の最大の原因はやはり川本喜八郎制作の人形です。人形の展示会が全国各地で開催されたどころか、人形たちの写真集まで出版されました。私は人形の展示会に行ったことがありますが、人形はけっこう大きかったです。1メートル弱くらいはあった記憶があります。どの人物の人形も個性があって、着物や装飾品も細緻で精巧な作りでした。特に曹操、関羽、諸葛孔明の人形がすばらしかったです。登場人物の声を担当したのは声優ではなく、みな俳優でした。ちなみに曹操は岡本信人、関羽は石橋蓮次、諸葛孔明は森本レオだったと思います。今でも森本レオの声を聞くと、「あっ諸葛孔明」とか思っちゃいます。また、テーマ曲はなんと細野晴臣の作曲です(いったいどういうつながりで!?)。

  第6位:司馬遼太郎『街道をゆく』第20巻「蜀と雲南のみち」(朝日新聞社) これは小説ではなく旅行エッセイなのですが、この「蜀と雲南のみち」は昔の蜀、今の四川省と雲南省の旅行記なので、「三国志」にも多く触れています。特に諸葛孔明に関する記述は、エッセイというよりは小さな論考で、非常に的を得ていると思います。その中で述べられている諸葛孔明の人物像もとても魅力的で、また説得力があります。特に、諸葛孔明のすごさは、蜀という、本来ならば「国家」としては成立し得なかったはずの弱小勢力を、「国家」として成立させ、機能させ、短期間とはいえ持続させることに成功したところにある、という指摘には唸りました。この『街道をゆく』、また『項羽と劉邦』を読むと、司馬遼太郎が「三国志」も小説化していたらなあ、とどうしても思ってしまい、非常にその死が惜しまれます。

  第7位:陳舜臣『諸葛孔明』(中央公論社) 陳舜臣はこの『諸葛孔明』以前に、下記の『秘本三国志』という小説を書いていますが、私はこの『諸葛孔明』のほうが好きです(『曹操』シリーズはまだ読んでない)。陳舜臣ももちろん漢文が読める人で、この小説は基本的に歴史書の『三国志』と関連史料を主な下敷きとし、それに若干のフィクションをまじえて書かれています。『秘本三国志』に比べると、物語のつくりや登場人物の描写が(非常に失礼な、また申し訳ない言い方ですが)「大人」になって落ち着いたなあ、と思います。私は「スーパー政治家曹操」や「スーパー軍師諸葛孔明」の物語が読みたいのではなく、普通にユニークな人間だった彼らの物語を読みたいのです。この『諸葛孔明』では、諸葛孔明は得意もあれば苦手もあり、鋭い策略やアイディアも考えれば苦悩したり迷ったりすることもある、という当たり前な人物として描かれており、等身大な描写がされているからこそ、とても生き生きとしていると思います。

  第8位:陳舜臣『秘本三国志』(文芸春秋) これはかなりの割合をフィクションが占めています。個人的に思うことですが、昔の陳舜臣の歴史小説には、陳舜臣自身の個人的背景からみると奇妙なくらいに、ちょっと過剰にロマンティックなというか、「おとめちっく」なところがあります。この『秘本三国志』には、後漢末から三国時代を通じて全体の情況を俯瞰し(もしくは動かし)、また魏、呉、蜀の三国を結びつけながら、そのいずれにも属さない架空の主人公(女性)が設定されています。非常に神秘的なその女性の目を通じて、「三国志」の物語が展開されるわけですが、その各々のエピソードや、主人公の女性をはじめとする曹操や諸葛孔明などの登場人物は、おおかたが現実離れして(カッコよく)脚色されているため、読んでいて時に気恥ずかしくなります。若いうちに読めばとても面白いと思いますが、今の私はちょっと読みにくいです。でも若いころは夢中になって読んだのでランクインです。

  第9位:片山まさゆき『SWEET三国志』(講談社) これもマンガです。ですが、横山光輝の『三国志』とは全然違います。なんと「三国志」のギャグマンガです。冷めたクールな脱力系ギャグなんですが、とにかく笑えます。それでもちゃんと最後まで「三国志」の基本的ストーリーは守っているところがすごいです。この片山まさゆきさんという漫画家は非常なマージャン好きらしく、「三国志」の英雄たちがジャン卓でマージャン打ってたり、マージャン用語でしゃべってたりして、意味は分からなくても充分におかしいです。

  第10位:周大荒『反三国志』(渡辺精一訳、講談社) これは私がまだ学生のころに全訳が出て、ファンの間ではけっこう話題になりました。題名に「反」とあるように、この作品は史実に反して、最後は蜀が呉、魏を征服して天下を統一する、という結末になっています。原書を読んだことがないので、確信をもっていえないのですが、おそらくは『三国志演義』に倣った体裁と文章の作品であるようです。作者は当時(中華民国時代)の政治状況を諷刺してこの作品を執筆したのだ、という説も聞いたことがあります。すごいんですよ、史実では、諸葛孔明は「五丈原の戦い」で魏の司馬懿と対戦しているうちに病没したのですが、この『反三国志』では、諸葛孔明が司馬懿をなんと爆殺してしまいます。日本でいえば、源義経が逆襲して鎌倉を攻略し、源頼朝や北条氏を滅ぼして新政権を樹立するようなものです。どひゃー、と思いましたが、ある意味、絶対多数である蜀びいき、諸葛孔明びいきの中国人民の夢を実現した作品ともいえます。

  他にもいろいろあるんでしょうが、特に最近の作品はまったく読んでいないので、どうぞご容赦のほどを。
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パイとパイ

(ハンプトン・コート・パレス内にあるチューダー・キッチンの一室。当時の王侯貴族はパイをよく食べたそうな。)

  土曜日は例によって「寝たきり雀」でした。夜になって少し復活し、持ち帰った仕事を2時間ばかりやりました。

  今日(日曜)も午前はゆっくり休み、午後になってから新しいプリンタをパソコンにつなげて、印刷のテストなどをやりました。

  プリンタにはなんとUSBケーブルが付属していませんでした。でも、壊れた前のプリンタを処分する際に、「予備として使えるかも」という理由で、電源ケーブルとUSBケーブルは手元に残しておきました。試しにそのUSBケーブルで、新しいプリンタと起動したパソコンをつなげました。そしたらパソコンは首尾よく新しいプリンタを認識してくれました。

  これによって、「機械の本体は捨ててもケーブルは捨てるな、万が一のときに役に立つ」という教訓を得ました。

  お試し印刷もうまくいきました。新しいプリンタのインクカートリッジは前のと異なります。前のプリンタのインクカートリッジの予備が1個あったのですが、仕方ありません。今度ヨドバシカメラに行ったときにでも、インクカートリッジの再生用回収ボックスに入れてきましょう。

  夕方から夜にかけて、また仕事を3時間ばかりやりました。また神経が尖ってはいけないので、夕ご飯とお風呂の後は仕事はしないことにしました。少し自分の気を緩ませようと思って、それで今この日記を書いているわけ。

  「回転木馬」のほうはウォーキング公演が終わりました。いちおう検索してみたんだけど、ウォーキング公演のレビューが見つかりません。まあ、プリマスとかマンチェスターとか、ロンドンから遠く離れた都市での公演なら、現地のメディアのサイトにでもレビューが載るかもしれません。

  11月からのウエスト・エンド公演(サヴォイ劇場)が始まれば、それこそあちこちのメディアのサイトにレビューが載るでしょう。恐ろしいような楽しみなような。

  ロンドンのパブに行くと、メニューに“Pie”が必ずあるでしょう。これを頼むと、上の写真にあるような、また「スウィーニー・トッド」に出てきたような(あんまり思い出したくないが)パイが出てきます。

  日本のパン屋さんで売っているような、多層構造の薄い生地の中に具が入っているものではなく、ぶ厚い器状の生地の中にクリーム・チキン、サーモンなどが入っているものです。日本のいわゆる「パイ」は、pieというよりはpastry(ペストリー)だと思います。

  私はロンドンのパブに行くと必ずパイを頼みます。日本では、たとえば本当に本格的なイギリス料理店やパブならばありつけるのでしょうが、私の日常の活動範囲内にはありません。だからロンドンに行ったときに、ここぞとばかりにパイを食べるのです。

  ハンプトン・コート・パレスのチューダー・キッチンに行ったら、大量のパイのレプリカが、これでもかとばかりに並べられていてびっくりしました。写真にあるように、中身は肉のシチューです。

  音声ガイドによれば、パイ生地は本来「器」の役割を果たしていたそうなのです。つまり、小麦粉でできた食器です。足りない食器の数を補なうため、また料理を熱いまま供するために考え出されたのが、料理をパイの中に閉じ込めて焼く、という方法だったそうです。

  だから、チューダー朝におけるパイの正しい食べ方は、ナイフとフォークでパイの蓋部分を外してから、中に入っている具のみを食べる、ということになります。贅沢なことですな。

  ・・・てなことを先日、同僚に話したら、面白いことを教えてくれました。高価な小麦粉に手が届かないイギリスの庶民が考案した「擬似パイ」についてです。彼らは小麦粉の代わりにジャガイモを使ってパイを作った(真似た)というのです。

  「たとえば、ビーフのパイを頼んだら、具がむき出しになっていて、肉の上にマッシュ・ポテトが敷きつめられている、ということが今でもあるでしょう。あれは昔の名残りですよ。」

  それを聞いてハタ、と思い出しました。このまえのロンドン旅行のとき、行きの飛行機の機内食で、「にんじんや溶けかけたブロッコリーが入ったミート・ソースの上に、マッシュ・ポテトがたんまり載せてあるもの」を出されました。

  客室乗務員は事前にビーフとチキンのどちらがいいか聞いてきたのですが、その客室乗務員は、「ビーフのパイとチキンの照り焼きとどちらになさいますか?」と言ったような記憶があるのです。それで私は「わーい、パイだ~」と喜びつつアルミ・ホイルの蓋を開けたら、そこにマッシュ・ポテトの平原が広がっていたのでびっくりしたのです。

  そのときは「何がパイだ、ウソつけ」と内心思いましたが、同僚の「イギリス庶民考案のジャガイモを用いた擬似パイ」の話を聞いて、別にウソではなかったことが分かりました。

  でもちょっとモヤモヤした気持ちにもなりました。エコノミー席の客=どうせビンボー庶民=せいぜいジャガイモの擬似パイがお似合いよ、という認識が航空会社側にあったのであろうか、と。  
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映画「レッドクリフ」

  11月1日から前編が公開されます。観るつもりですが、一足先に試写会に行ってきた人から感想を聞きました。

  「レッドクリフ(Red Cliff)」という題名は「赤壁」の直訳で、この映画は『三国志』で有名な「赤壁の戦い」(紀元208年)を描いた作品です。ちなみに赤壁とは戦場となった土地の名前です。

  曹操の率いる魏の大軍勢が南下し、それを呉の孫権・荊州の劉備率いる連合軍がはるかに少ない軍勢で迎え撃ち、魏軍に壊滅的打撃を与えて大勝利する、という話で(←これは実際に起こった歴史的事件であり、かつ小説などでもおなじみの超有名な話なのでネタバレではない)、『三国志』の中で最も盛り上がるくだりです。

  試写会を見た人の話によると、映画「レッドクリフ」は『三国志』の原話をかなり歪曲・・・いや、巧みにアレンジしており、更に原話にはないオリジナルのエピソードをいくつか盛り込むなど、なんでもアリな・・・いや、斬新な作品に仕上がっているそうです(大河ドラマ「篤姫」みたいですな)。

  出演者は中華人民共和国、香港、台湾、日本と多岐にわたっています。なんと中村獅童が呉の武将役で出演しているそうです。セリフはふたつだけですが、ちゃんと中国語(北京語)をしゃべってたということです。吹き替えなしの地声だったということで、大したもんです。

  赤壁の戦いで最も活躍するのが、呉軍の総司令官である周瑜という武将です。周瑜は世に聞こえた美男子で、文武両道に秀で、音楽にも造詣の深い風雅な人物であり、更には呉で一、二を争う美女といわれた妻を持ち、30代の若さで病死したという、女子心をくすぐりまくりなキャラクターです。香港の超人気俳優、トニー・レオンがこの周瑜役です。

  ですが残念なことに、トニー・レオンは北京語があまりできないらしいのです。「ラスト・コーション」では北京語で頑張ったそうですが(私は観てない)、それでも聞いてるほうがかなりヒヤヒヤする発音だったらしいです。

  トニー・レオン演ずる周瑜は、この「レッドクリフ」の事実上の主人公です。なので、もちろんセリフがいちばん多いです。でも、トニー・レオンの声はすべて吹き替えになっていたそうです。やはり彼の北京語がネックになったのでしょう。

  「赤壁の戦い」で周瑜の次に活躍するのが、日本でも有名な諸葛孔明です。劉備の使者として呉に派遣され、魏との戦争をためらっていた呉の君主である孫権を説き伏せて、徹底抗戦の道を選ばせたといわれています。諸葛孔明役は金城武です。日本のテレビのドラマやCMにもちょいちょい出ていますね。

  金城武も北京語でしゃべり、吹き替えなしだったそうです。ただし、中国で諸葛孔明といえば、偉大なる理想的政治家とみなされており、現代でも大きな尊崇と人気を集めている人物です。これまでの『三国志』関連のドラマや映画で諸葛孔明を演じてきたのは、いずれも中国を代表する名優ばかりでした。

  まだ若造の金城君が諸葛孔明という威厳ある人物を演じるには、中国四千年早いせいか、「レッドクリフ」には、諸葛孔明の伝統的イメージから敢えて外れるような、新しい諸葛孔明像を創出する(ことを狙ったらしい)エピソードが盛り込まれていたそうです。そのエピソードの内容を聞いたら噴き出してしまいました。いくらなんでもそりゃありえねーだろ、みたいな話でした。

  試写会を観た友人は総括して、前編・後編という構成にしないで、一度で最後までやっちゃったほうがいいんではないか、と言ってました。今回公開される前編だけで2時間半あるそうです。

  聞いたところによると、日本では、前編の興行成績によって、後編を公開するかどうか決めるらしいです。つまり、前編の興行成績がよくなければ、後編が公開されないかもしれないということです。中国ではすでに北京オリンピック前に前編が公開され、今年の12月に後編が公開されるそうです。

  『三国志』や『三国志』ゲームのファン、トニー・レオンのファン、金城武のファンのおかげで、一定の興行成績は期待できるのではないかと思います。私も混雑が緩和された頃を見計らって観に行きます。金城君の諸葛孔明なんてステキだし(歴代の諸葛孔明を演じた俳優はオヤジばっかしだったから)、金城君演ずる諸葛孔明の超爆笑エピソードもぜひ見たい。

  他に「ブーリン家の姉妹」も観たいし、バレエも観る予定だし、11月は「芸術の秋」で忙しくなりそうです。  
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なぜ機械は一斉に壊れる?

  先週、ふだん使っているノートパソコンが起動できなくなりました。電源ボタンを押しても、中でファンが回っている音はするのですが、画面は真っ暗なまま反応なし。

  私はこの1台しかパソコンを持っていないので真っ青になりました。メールのやり取り、インターネット、仕事の文書作り、すべてこのパソコンでやっていたのです。

  時間をおいて再び電源ボタンを押してみました。するとびっくり、今度は順調に起動したではありませんか。さっきはご機嫌がわるかったのかしら?

  でも、今のパソコンは6年前に購入したものですから、そろそろ寿命といわれればそうなのかもしれません。動作の不安定なパソコンだけに頼るのは不安なので、仕方なく新しいパソコンを購入しました。

  ヨドバシカメラに行って、パソコン売り場の店員のお兄さんをつかまえ、OSはXPで、メール、ネット、文書作りができればよい、更に文字入力ソフトをいくつかインストールして使えればそれでよい、と説明しました。映像や音楽は、私には用がありません。

  店員さんは私の需要に適したパソコンを勧めてくれました。10万円弱です。メモリを増やしてもらって無事購入しました。

  同じノートパソコンといえど、6年前とは厚さもモニタの形も違っているので驚きました。今回買ったのは安いパソコンなのに、とにかく薄い、軽い!ディスプレイは横長になり、明るい、見やすい!

  先週末を利用してXPのリカバリソフトを作成し、文字入力ソフトをいくつかインストールしました。それだけでどっと疲れてしまいました。ソフトはすべて最新のヴァージョンを購入して入れたので、これから徐々に使いこなしていかなくてはなりません。

  やれやれ、と一息ついたのもつかの間、今週に入って今度はプリンタが壊れました。パソコンとプリンタの通信ができなくなったのです。何度試してもエラー表示が出ます。トラブルシューティングを読んだところ、どうやらメーカーに送って修理が必要なほどの故障だと察しがつきました。要するに寿命ということです。もう9年も使っていましたから、仕方がないのでしょう。

  職場とか他の場所でプリントアウトすればいいじゃん、と思われるかもしれませんが、私は特殊な文字入力ソフトを使って文書を作っているので、よそ様のパソコンでは文字が出ない場合が多いのです。これは困る、ということで、またまたヨドバシカメラの、今度はオンライン通販でプリンタを急遽購入しました。

  私はプリンタに画質の超良い写真印刷、コピー、ファックス、スキャナなどの多機能は求めていないので、印刷するだけの機能しか持たない、いちばん安いやつを買いました。配送料込みで、なんと7千円弱也。

  月曜日の夜に注文して、火曜日の夕方に届きました。さすがはヨドバシカメラ。仕事が早いです。でも、パソコンから壊れたプリンタのソフトをアンインストールして、それから新しいプリンタのソフトをインストールして、更に新しいプリンタの印刷具合を調整しなくてはなりません。今は週の中日、そんな暇はありません。

  今日は最も忙しい日だから到底無理、しいて時間が取れるとすれば木曜日の夜です。ああ、面倒くせえ。

  つまるところ何が言いたいのかというと、なんで機械は申し合わせたように一斉に壊れるのよ~、しかも忙しい時に限って(泣)ということです。愚痴です。下らないことを書いてすみません。
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シュトゥットガルト・バレエ団「オネーギン」

  みなさまご存知のとおり、11月末からシュトゥットガルト・バレエ団が日本公演を行ないます。演目は「オネーギン」(ジョン・クランコ振付)、ハイデ版「眠れる森の美女」です。

  東京公演の招聘元であるNBSが運営している、シュトゥットガルト・バレエ団日本公演特集ブログに、「オネーギン」のハイライト映像が公開されました( ここ )。ブログの紹介文にもありますように、「オネーギン」はジョン・クランコの代表作の1つで、名作と称えられている全幕バレエですが、なぜか映像版が出ていません。

  以前にはナショナル・バレエ・オブ・カナダによる公演の映像版がありました。しかしこれはすでに絶版となっており、実際にはほとんど入手不可能です。まだDVD化もされていないようです。

  従って、今回NBSが公開した映像は、ハイライト(5分弱)とはいえ、非常に珍しいものです。この映像によって、来月の公演をご覧になる予定のみなさんは想像と期待をたくましくし、観に行くかどうか検討中のみなさんは判断の材料とし、ご覧にならないみなさんはほんのいっときのあいだでも、「オネーギン」の世界に浸ってみて下さい。

  私にとって、クランコのこの「オネーギン」は特別な作品です。私は2002年の夏、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスで、ロイヤル・バレエが上演した「オネーギン」を観ました。アダム・クーパーがオネーギンを踊りました。全幕バレエで主役を踊るアダム・クーパーを観た、最初で最後の経験でした。

  今回NBSが公開した「オネーギン」のハイライト映像を、私はすでに何回も観ています(来月の公演も観に行きます)。申し訳ないことですが、オネーギン役のダンサー(イリ・イェリネク)だけ、脳内で首のすげ替えをして観ているのです。

  観るたびに、映像の中でオネーギンを踊るダンサーと、ロイヤル・バレエの公演でオネーギンを踊っていたアダム・クーパーの姿が重なります。あのとき、アダム・クーパーはあんな表情をしていた、こんな動きをしていた、と芋づる式に映像が浮かんできます。また、初めてのロンドンで緊張しまくりだった自分と、コヴェント・ガーデンの街の雰囲気を思い出します。いろんな思い出が一気に湧き起こってきます。涙がちょちょぎれそうになります。

  でも来月の公演では、しっかりとシュトゥットガルト・バレエ団の公演として「オネーギン」を楽しもうと思います。それでもやっぱり、少しは泣いてしまうかもしれませんが。

  そうそう、クーパー君の公式サイトがちょっとだけ更新されました。彼の近況を伝えています。「回転木馬」の振付の仕事が一段落ついたので、ようやく短い休暇に入れたそうです。たぶん、「オズの魔法使い」が終わってすぐに「回転木馬」の振付に本格的にとりかかったので、ずっと休めなかったのでしょうね。

  サイトにも書いてあるとおり、奥様のサラ、そして愛娘ナオミちゃんとの家庭生活を、しばしの間でものんびりと楽しんでほしいものです。
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キャノンのCM

  キャノンのカメラのテレビCMで、「白鳥の湖」を踊るバレリーナと本物の白鳥が交互に映し出されるものがあります。

  オデット(だと思われる)を踊っているのは誰だろう、と思っていたのですが、ようやくスヴェトラーナ・ザハロワだったと知りました。あまりに白く塗りたくった厚化粧(ごめんなさい)なので気づきませんでした。あれほど柔らかい白鳥アティチュード(?)ができるとは、そんじょそこらの外人バレリーナではない、と思ってはいましたが・・・・・・。

  このテレビCM、キャノンの公式ウェブサイト上で観ることができます( ここ )。30秒ヴァージョンと15秒ヴァージョンがあって、私は30秒ヴァージョンのほうを観たことがありませんでした。すぐに終わってしまいますが、ザハロワの踊り、とてもきれいですよ~(片脚を耳の傍まで上げているデヴロッペがすごい)。

  ザハロワといえば、来年の5月の連休真っ只中に「ザハーロワのすべて」というガラ公演を行なうそうです。主催はジャパン・アーツで、公演日、チケット発売日、チケット価格などの詳細はもう掲載されています( ここ )。小さな演目の一部はまだ発表されていませんが、大きな演目では、アロンソ版「カルメン」を上演することは決定しているようです。

  アロンソ版といっても、マイヤ・プリセツカヤが踊ったオリジナルではなく、ボリショイ・バレエが2005年に再演した、アルベルト・アロンソ自らによる改訂版だそうです。このときザハロワがカルメンを踊って、プリセツカヤからお褒めにあずかったとか。

  興味をそそられる魅力的な公演ですが、公演日程が4月29日、5月1、2、3日というのには、ちょっとビミョーな気分です。ザハロワのために、連休前半のスケジュールを空けておかなければならないっていうのはなあ。

  チケット発売は今月末から。う~ん、どうしたものか。
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「回転木馬」エディンバラ公演

  おなじみ、ミュージカル情報の公共サイト、WhatsOnStageに「回転木馬」エディンバラ公演のレビューが出てます( ここ )。4つ星です。なかなかの高評価です。筆者は本文の最後で「観客は絶対にこの『回転木馬』を気に入るだろう」と断言しています。

  このレビューは割と短いのですが、筆者はアダム・クーパーの振付について、特に一段を設けて言及しています。

  曰く、「アダム・クーパーは振付によって主要な仕事を果たしている。それは一連の長めのダンス作品においてとりわけ光彩を放っていた。第二幕、ビリーの娘であるルイーズ(リンゼイ・ワイズ)のために作られたバレエはすばらしく、この舞台のテーマと完全に共鳴している作品である。」

  一方、Herald紙のウェブ版にはNettie(ジュリーの伯母)役のLesley Garretのインタビューが載っています( ここ )。この「回転木馬」のキャストの中では、Garretは最も有名な役者(歌手)らしいです。

  彼女によれば、「回転木馬」はとにかく踊りっぱなしの作品であるようで、歌手が本業である彼女は次のように述べています。

  「『回転木馬』の振付者であるアダム・クーパーは、私たち(キャスト)全員を、舞台のための踊りにずっと集中させ続けるの。だから私は自分の身体の状態がより良くなっていくよう望んでいるわ。実際、私は踊りに適応できる状態をずっと保ってきたのよ。」

  このように、「回転木馬」におけるクーパー君の役割、つまり振付はかなり重要で、この舞台への評価を左右する主要な要素の1つみたいです。「回転木馬」は、ちょこまかと小さな振付をやってそれで終わり、という作品ではなく、「オン・ユア・トウズ」と同じくらい踊りが大事なようですね。

  クーパー君のバレエの振付がどんなものか、なんだか観たくなってきました。「回転木馬」ウエストエンド公演が終わる来年の7月までに、なんとかロンドンに行く機会がないかなあ(つまりそれは、クーパー君自身が出演する舞台がないかなあ、ということなんだけど~)。  
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「回転木馬」ブロムリー公演

  MusicalCriticism.comというサイトに「回転木馬」ブロムリー公演のレビューが載っています( ここ )。(ちなみに、このMusicalCriticism.comのサイト全体をざっと見たところ、Ballet.coと同じような、半公的な性格を持つサイトらしいので、直接にリンクを貼ってもいいと判断しました。)

  すっごく長いレビューなので、詳しく読む意欲がまだ湧かないのですが、評価は三つ星半です。主な減点対象は、セットが安っぽく、オーケストラの規模も小さいので、しかるべき効果が充分に出せていない、という点らしいです。

  ただし、演出そのものは褒められていますし、各キャストのパフォーマンスもおおむね好評なようです。

  「回転木馬」の第二幕には、主人公ビリーの娘であるルイーズとカーニバルボーイ(どさ回りの若い役者)によって踊られるバレエがあり、このミュージカルの見せ場の1つなのだそうです。そのシーンについて書かれたくだりで、アダム・クーパーの名前も出てきます。

  「リンゼイ・ワイズのルイーズは、ロイヤル・バレエの元プリンシパルであるアダム・クーパーによって、流れるように振り付けられたバレエで強烈な印象を残した。」 筆者は付記して「彼(アダム・クーパー)の仕事(振付)は、全体的に目を惹きつけるものというよりも効率的なものであった」とも書いています。

  手放しで褒めている表現ではないようですが、クーパー君は無難に仕事をこなしたみたいですね。

  「回転木馬」は、バレエのシーンがとても有名なんだそうですね。私はぜんぜん知りませんでした。ケネス・マクミランやクリストファー・ウィールドンによる振付もあって、多くのバレエ・ダンサーも踊っているそうです。
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金曜日

  (こういうところに無性に行きたくなる) 

  朝、起きようとしたが体がどうしても動かない。疲労のせいで全身筋肉痛。でも「がんばう!」(注1:最近「チーズスイートホーム」にハマっている)と力を振り絞って起床。

  日中。いつものように仕事をする。仕事をしている間は特に疲れを感じない。お昼も大変おいしく頂きました。韓国に行った同僚から韓国のお菓子をもらう。デザートとなる。

  仕事終了。きれいな夕暮れの空を見つめながら、「こんなに爽やかな秋晴れの日なのに、結局まる一日仕事で終わってしまった」とふと虚しい思いにとらわれる。

  帰りの電車の中。隣に座っていたおっさんが酔っぱらいだった。缶ビールを手に持ち、一人でくだを巻いている。やがて、よくあるセクハラ的な馴れ馴れしさで話しかけてきた。不愉快なのでガン無視する。おっさん、「つっぱってんじゃねえよ!」とキレる。無反応でガン無視を続ける。こういう手合いは、本当は気の弱いヤツが多い。相手にすれば図に乗ってますますエスカレートするので、無視するのが最もよい。

  乗り換えの駅で下りて「足ツボマッサージ」に行く。イタ気持ち良さにうつらうつらとしながら、このまえのロンドン旅行で行った場所の風景や、テームズ河の波の音などを思い出したりする。やがてイビキをかいて爆睡。

  マッサージ店を出て、駅ビルに入っているデパートのデパ地下に寄る。「ずんだ大福」が無性に食べたくなったので探す。あの塩味のきいたあっさりしたずんだ餡が食べたい。でも売ってなかった。関東にはずんだ餡がないのであろうか。代わりに焼き鳥を購入。いかだと軟骨が特にウマいのよ~。コンビニでビールも買わなくちゃ(注2:オヤジ一直線)。

  部屋に到着。もう7時過ぎ。焼き鳥、ごま豆腐、ビールで夕食。「チーズスイートホーム」を読む。おそらくもう10数回目。チーの境遇が実家の猫とそっくりなのに涙する(注3:これも10数回目)。「ぽんぽんらー」(By チー)と夕食終わり。

  数日ぶりにネットサーフィンをする。最近は忙しくてメールのチェックくらいしかできなかった。クーパー君のサイトも更新されてないし、新国立劇場のサイトも、「シンデレラ」のキャストに関する情報に変更はない。一体どうなるのかしらね。

  少しだけゲームやってもう寝ます。
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