エッセイ -日々雑感-

つれづれなるままにひくらしこころにうつりゆくよしなしことをそこはかとなくかきつくればあやしゅうこそものぐるほしけれ

夜目遠目笠のうち・阿波踊り

2018年08月18日 | 雑感

2018年8月18日

 

 

大文字の送り火も一昨日無事に終わった。一昨日は終戦日にからんで、まともな文章を

書いた、つもりだ。


今日はちょっと脱線する。


今年の阿波踊りはややこしかった。赤字と危険ゆえに、徳島市と市民の阿波踊り振興会

がもめて、ビッググループの総踊りがやめになるとか、ならないとか。結局、総踊りは行わ

れた。迫力があった。どちらにも言い分があろうが、やはり総踊りはよかった。

          

思い出すのは、昔、正確にいえば57年前に行った阿波踊りだ。

 

当時私は大学の3回生で、陸上部に所属していた。

そのときの2年後輩が徳島出身で、阿波踊りにさそってくれて、先輩、後輩、6人ほどで徳

島の彼の家に泊まり、阿波踊りに参加した。

その後輩は、地元ゆえ、当然のことながらある連に入っていて、その浴衣を一着出して私

らに着ろという。派手な浴衣で皆敬遠したので、私がそれを着ることになった。

 

祭りに行くとものすごい人出で、立派な連が次々と踊りだす。後輩は、その連についてい

けというが、シャイな皆はしり込みしてなかなかあとにつかない。そこで私は乗り出して

いった。

 

浴衣の効果は抜群った、いくら踊れなくても恰好がつくらしい。いやいやついてきた仲間

もそのうち踊りだして、狂いだした。汚い恰好で、でたらめな踊りで、まともな“連”の後

につづいて、大桟敷の中を通り抜けるのも平気になった。


“踊る阿呆に、見る阿呆、同じアホなら、踊らにゃ、そんそん”。


皆汗だくでいつまでも踊った。あんなにもなれるものだ!ものすごく面白い。

 

次の日は、一着の浴衣は皆でひっぱりだこだった。浴衣の威力を満喫した私はもういい。

 

ところで、まともな連の後ろについて、踊りだすのを待っているときに、後ろから押されて

どんと前の娘さんにぶつかった。娘さんはまともな“連”だから、きれいな着物に、菅笠

だったし、また、ほれぼれするような美人だった。


娘さんは「押さないでくださいよ」、」と私に言ったので、「いや後ろから押されて」、という

と、「踏ん張ってくださいよ」という。  あの混み合いの中ではしょっちゅうあることだから、

しょっちゅう注意する、“文句”、なのだろう。


よくよく周りをみたら、みな美人揃いで、雰囲気がある。徳島美人とはこういうものかと感心

した。

 

ところが、あくる日、そして、次の日、昼間の街をあるいても、どこにも美人には出会わな

い。

そのときに、“夜目、遠目、傘のうち”、というのは、こういうことをいうのだなと納得した。

だし、私に文句を言った娘さんはほんの目の先で、決して、“遠目”、ではない美人だった。

 

なつかしい思い出だ。

 

ところで、昭和天皇が来たことがあったらしい。このとき、“踊る阿呆に、見る阿呆”、のあと

の句、“見る阿呆”、をどうするか当事者は悩んだそうだ。

結果は知らない。


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1 コメント

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阿波踊り (simple10)
2018-09-04 00:20:18
良いブログですねぇ~。文字の大きさに惹かれました。それでもって、内容を拝読してゆきたくなります。
徳島県も上海に事務所を持ち、中国人を対象に阿波踊りの紹介もしております。実際に、練習やイベントも行っています。
ただ、資金面で不足があるようですね。
もう少し、阿波踊りに興味を持っている数少ない中国人たちを鼓舞するようなサービスを考えませんと、彼らも離れていきそうです。

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