こげの耳に★ねんぶつ★

たわいない日々の思うことと愛犬こげと花が咲いていたら花の写真など

かっぱの淵 (二)

2007-12-12 05:36:20 | 和歌山県
      こんぴらさまの淵の河童のはなし

今、妙見さんのお堂のある処に、昔 金平さまを祀っていたがその上り口の鳥居の

前の川岸に、古い大きな木が三本、ひとところに立っている。

そのうち一番大きなのがヨノミ(榎)で、幹が弓のように曲がって、ひろがった枝

が川の上におおいかぶさって、その先が向こう岸へ届きそうになっている。

     
  現在の川べり、鳥居が妙見さん。

このヨノミの木の上手に、川の流れが岸の岩に当たって、ぐっと曲がって深い淵を

つくっている。上水道の井戸が近くに設けられてから、川水も減ってきたが、昔は

いつも青あおとした水をたたえていて、どんな日照りでも、絶対に涸れることがな

かった。

 その頃は、この淵の底は、深くてはっきり見えないが、穴があいていて、その穴

に、ゴッタレボウシが棲んでいるというのである。そして、その穴が山の下を有田

の川まで抜け通っていて、ゴッタレボウシは、そこを行き来するのだという。岸に

立ってみると、その深い底から、今にもゴッタレボウシが出て来そうなのである。

子供たちはここでは決して泳がなかった。


     現在の淵、季節柄水が少ない


          数年前の淵、水面にかぶさるようにヨノミの枝が垂れている


昔、前島という家に、馬を一頭飼っていた。こんぴらさまの淵の前の芝っこに、そ

の馬をつないで、芝草を食わせるのが常であった。

 ある日、その馬が綱を引きずって、とんで帰って来た。家の人が見ると、その綱

に変なものがくっついていた。よく見ると、ちぎれた腕が、水かきのついた指で、

しっかりと握っている。前島さんは、不思議な事もあるものだと思って、その腕を

はずして、古ぎれに包んで、しまっておいた。その晩おそく、前島の家の戸をトン

トン叩くものがあった。戸を開けると、一人の若い女が立っていた。   つづく

          
                昔 川の流れがあたったであろう淵の岩






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