Deux hommes dans la ville (1973)
フィリップ・サルドとフランソワ・ド・ルーベ
CD『フランソワ・ド・ルーベ アンソロジーVOL.1』
(プレイタイムサントラシリーズ)のライナー・ノーツに、
フィリップ・サルドがフランソワ・ド・ルーベについて語った文章がありました。
ドロンの作品に関連した記述がありましたので、ここにご紹介します。
「僕が彼(ド・ルーベ)のことを確実に意識したのは1967年、18才の時、
エルミタージュの映画館でのことだった。『冒険者たち』の予告編を見たんだ。
ものすごいショックだった。
3分間、その音楽で僕は体の奥深くギュッと摑まれるような感動を受けた。
そこには独特のメロディやリズムに対するセンスがあったし、
ヌーヴェル・ヴァーグの作曲家達とは明らかに違っている音楽だった。」
(採録:ステファン・ルルージュ 対訳:寺田あり子)
今ではフランス映画音楽界の巨匠となったフィリップ・サルドが
初めて衝撃を受けた音楽が『冒険者たち』であったということに、
私はとても親近感を持ちました。
~ライナーノーツより抜粋~
その後、『悪魔のようなあなた』の音楽をサルドが作曲し、
監督のジュリアン・デュヴィヴィエに気に入られていたにもかかわらず、
監督の急死で製作の権利を引き継いだドロンがサルドからド・ルーベに変えてしまった。
(当時ド・ルーベはドロンのお気に入りだった。)
また今度は『暗黒街のふたり』の音楽を作曲していたド・ルーベが
ドロンに気に入られずお払い箱にされ、
『帰らざる夜明け』でドロンの目に留まったサルドが代わりに担当を引き継いだ。
このエピソードはドロンを軸とした二人の作曲家の運命を予感させずにはいられません。
この約3年後にド・ルーベは趣味のスキューバ・ダイビング中の事故で帰らぬ人と
なってしまうのですから。まるで『冒険者たち』の主人公たちのような最期に胸が詰まります。
結局サルドが『悪魔の~』で用意していた曲は『暗黒街の~』のテーマとして復活し、
またド・ルーベが『暗黒街の~』で用意していた曲は、
ロミー・シュナイダー主演作の『追想』のテーマ曲となり、
1976年第1回セザール賞の音楽部門を受賞しました。
しかしながらこの受賞はド・ルーベが永遠の旅に出てから3ヵ月後のことでした。
------------------------------------------------------
『暗黒街のふたり』のサントラ盤は3曲収録されているEP盤(写真の分)が
公開当時発売されたようですが、今のところ完全なCD盤はありません。
このレコードに収録されているのは、
A面 1曲目 『暗黒街のふたり』
オーボエの前奏から始まりオーケストラがメインのメロディを奏でます。
映画の中では特に交通事故後のジーノの生活場面によく使われ、彼のその後の運命を
予感させるのに十分な悲哀に満ちた曲です。
B面 1曲目 『モンペリエの町』
出所後のジーノの生活拠点となったモンペリエの町でのつかのまの幸せな時間を描写する曲。
ギャバン一家とのキャンプのシーンにも流れていました。
B面 2曲目 『ジーノのテーマ』
映画のメインタイトルに使われた曲でA面1曲目のアレンジ違い。
ジャン・ギャバンが電車から降りて職場に向かうシーンに流れます。
アコースティック・ギターのソロからオーケストラの演奏に連なり
ジーノを失ったギャバンの心情を投影したかのような曲です。
この曲のみ、こちらのCDに収録されています。
↓
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005F1F6/qid=1114191430/sr=8-14/ref=sr_8_xs_ap_i14_xgl14/250-6466187-5462600
もしこの映画の音楽に『追想』のドルーベの音楽が流れていたら、
映画は全く別の印象をもつことになったことでしょうし、
もしこの音楽が『悪魔のようなあなた』に使われていたら
これもまた映画の雰囲気はより悲劇的なものへと変わっていたはずです。
ドロンの音楽に対する選択眼の確かさを改めて感じます。
フィリップ・サルドとフランソワ・ド・ルーベ
CD『フランソワ・ド・ルーベ アンソロジーVOL.1』
(プレイタイムサントラシリーズ)のライナー・ノーツに、
フィリップ・サルドがフランソワ・ド・ルーベについて語った文章がありました。
ドロンの作品に関連した記述がありましたので、ここにご紹介します。
「僕が彼(ド・ルーベ)のことを確実に意識したのは1967年、18才の時、
エルミタージュの映画館でのことだった。『冒険者たち』の予告編を見たんだ。
ものすごいショックだった。
3分間、その音楽で僕は体の奥深くギュッと摑まれるような感動を受けた。
そこには独特のメロディやリズムに対するセンスがあったし、
ヌーヴェル・ヴァーグの作曲家達とは明らかに違っている音楽だった。」
(採録:ステファン・ルルージュ 対訳:寺田あり子)
今ではフランス映画音楽界の巨匠となったフィリップ・サルドが
初めて衝撃を受けた音楽が『冒険者たち』であったということに、
私はとても親近感を持ちました。
~ライナーノーツより抜粋~
その後、『悪魔のようなあなた』の音楽をサルドが作曲し、
監督のジュリアン・デュヴィヴィエに気に入られていたにもかかわらず、
監督の急死で製作の権利を引き継いだドロンがサルドからド・ルーベに変えてしまった。
(当時ド・ルーベはドロンのお気に入りだった。)
また今度は『暗黒街のふたり』の音楽を作曲していたド・ルーベが
ドロンに気に入られずお払い箱にされ、
『帰らざる夜明け』でドロンの目に留まったサルドが代わりに担当を引き継いだ。
このエピソードはドロンを軸とした二人の作曲家の運命を予感させずにはいられません。
この約3年後にド・ルーベは趣味のスキューバ・ダイビング中の事故で帰らぬ人と
なってしまうのですから。まるで『冒険者たち』の主人公たちのような最期に胸が詰まります。
結局サルドが『悪魔の~』で用意していた曲は『暗黒街の~』のテーマとして復活し、
またド・ルーベが『暗黒街の~』で用意していた曲は、
ロミー・シュナイダー主演作の『追想』のテーマ曲となり、
1976年第1回セザール賞の音楽部門を受賞しました。
しかしながらこの受賞はド・ルーベが永遠の旅に出てから3ヵ月後のことでした。
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『暗黒街のふたり』のサントラ盤は3曲収録されているEP盤(写真の分)が
公開当時発売されたようですが、今のところ完全なCD盤はありません。
このレコードに収録されているのは、
A面 1曲目 『暗黒街のふたり』
オーボエの前奏から始まりオーケストラがメインのメロディを奏でます。
映画の中では特に交通事故後のジーノの生活場面によく使われ、彼のその後の運命を
予感させるのに十分な悲哀に満ちた曲です。
B面 1曲目 『モンペリエの町』
出所後のジーノの生活拠点となったモンペリエの町でのつかのまの幸せな時間を描写する曲。
ギャバン一家とのキャンプのシーンにも流れていました。
B面 2曲目 『ジーノのテーマ』
映画のメインタイトルに使われた曲でA面1曲目のアレンジ違い。
ジャン・ギャバンが電車から降りて職場に向かうシーンに流れます。
アコースティック・ギターのソロからオーケストラの演奏に連なり
ジーノを失ったギャバンの心情を投影したかのような曲です。
この曲のみ、こちらのCDに収録されています。
↓
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005F1F6/qid=1114191430/sr=8-14/ref=sr_8_xs_ap_i14_xgl14/250-6466187-5462600
もしこの映画の音楽に『追想』のドルーベの音楽が流れていたら、
映画は全く別の印象をもつことになったことでしょうし、
もしこの音楽が『悪魔のようなあなた』に使われていたら
これもまた映画の雰囲気はより悲劇的なものへと変わっていたはずです。
ドロンの音楽に対する選択眼の確かさを改めて感じます。