LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

FRANK RIVA アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ (4)

2007-12-07 | THE 00'S CINEMA
昨日放映された『アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ』第4話ですが、
もともとフランス本国では前回の第3話までが第1シリーズとして2003年に放映され、
この第4話から6話までは第2シリーズとして翌年の2004年に放映されました。

当初このドラマは12話までの制作が予定されていたようですが、
残念ながら第2シリーズの視聴率低下により打ち切りとなりました。
従いまして第6話のラストはドラマチックではありますが、
まだ次回に続いていくようなあっさりとしたエンディングとなっています。

今回の第4話を観終わって感じたことは
第1シリーズとのいろいろな面での相違点でした。
前回までの主人公フランク・リーヴァは、その過去が謎に包まれた人物として画面に登場し、
その秘密が一つずつ明らかになっていく過程を丁寧に描くことで
一種のミステリーの謎解きの要素が強かったドラマでした。

今回からはその謎が明らかになった後の出来事を描いていくことになるため
前回までのドラマとは基本的に組み立て方が違ってくるのは仕方の無いところです。

ドロンさん演じる主人公ですが、
彼のミステリアスな雰囲気は今回も継承されてはいるものの、
娘と孫をマフィアから「守る」立場になったことは大きな違いです。
それゆえ敵のマフィアやその一味に向けるフランク・リーヴァの視線も
より険しくかつ敵意を抱いたものになっています。
この辺りの演技の使い分けですが、先日スマスマで仰っていたように
正に「役を生きる」ドロンさんの真骨頂であるといえます。

その他のキャストは前回と全く同じメンバーが再集結しており、
それぞれがいいお芝居を魅せてくれています。
主要なメンバーの他にも印象に残るのは、いつもリーヴァが出入りするカフェの主人です。
この俳優さんは誰なのか知りませんが、ベルモンドによく似ていて
二人のやり取りを観ているのが楽しくなります。
その他にも犯人の情報を得るために無理やり押しかけるカフェで
第1シリーズのときのようにコーヒーをテーブルにわざとこぼすかどうかの
ドロンさんとセドリック・シュバルムの演技もユーモアに溢れたものになっています。

ただドロンさんがほとんど出ずっぱりだった第1シリーズに比べると
それぞれの登場人物にも独自の見せ場を与えているため、
ドラマの焦点がぶれている結果にもなっているようにも思えます。
妻に離婚を言い渡されて泣きながら同僚の女刑事のアパートに泊まる
若手刑事のエピソードなどはどうも首を傾げてしまいます。

ドロンさんの演技はそんななかでもやはりスターの存在感で見せきりますが
特に先にも述べた演技を超えた「眼」の力は、他の俳優たちとは比べようも無いものです。
この第4話も改めてドロンさんの素晴らしい演技に堪能させられたドラマでした。

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2 Comments

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「眼」力 (c.cathy)
2007-12-08 20:02:10
残念ながら、『アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ』を鑑賞できない環境にあるので、放映後の画像付のコメントが楽しみになっております。
ドロンさんの「眼」力については同感です。ドロンさんのファン歴はわずかなものですが、様々な「眼」の表情に魅せられてファンになりました。突き刺すような強いまっすぐな表情とやんちゃな少年を思わせるおどけた表情が素敵だなと思っています。
「役を生きる」とは短いフレーズですが、意味深いですね。ドロンさんをもっと知りたくなります。
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c.cathy様 (チェイサー)
2007-12-08 21:41:34
ドロンさんの「眼」の表情についてのc.cathy様の表現は
とても的を得ていると思います。
驚くべきはドロンさんがまだ20代前半の頃から
既に映画の中で「眼」力を持ち合わせていたことです。
普通は人生経験を積み重ねることによって「眼」力は
備わっていくものだと思うのですが、
ドロンさんは全く違うのです。
当時の映画を観ても同年代の俳優たちと比べて
格段にその「眼」力が抜きん出ています。
これはドロンさんの映画デビュー以前の人生経験にもよるものなのでしょうが、
いみじくも最新のパリマッチ誌のインタビューにおいて
彼自身が「ドロン」家の血筋を尊重するような発言をされていたように、
もしかしたら天性のものなのかもしれませんね。
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