陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

停戦合意後もグルジアへ居座り続けるロシア軍

2008-08-18 19:04:17 | Weblog
 8月16日に6項目の停戦合意書に署名したロシアだが、なおグルジア領内に居座り続けて、意のままに振舞っている。過去の歴史を見ても、ソ連軍のハンガリー動乱鎮圧(1956)、「プラハの春」制圧(1968)、などで一度ソ連軍が侵入占拠した場所からは、屁理屈を付けて中々撤退しない。その体質は、ロシア軍になった今でも生きているのだ。

ロシア:撤退完了期限は未定 グルジア側を揺さぶりか

 【モスクワ大木俊治】グルジア南オセチア自治州に軍事介入したロシア軍は、停戦合意後もグルジアに駐留を続け、存在を誇示してきた。メドベージェフ露大統領は18日からの撤退開始を表明したが、撤退完了がいつになるかは不明で、時間を稼ぎ、グルジアのサーカシビリ政権に揺さぶりをかけ続ける可能性もある。

 ロシア軍はこれまで支援してきた南オセチア独立派勢力の支配地域だけでなく、グルジア支配領域である中部ゴリや黒海沿岸のポチなど要所に進駐。さらに軍基地や港湾施設などのインフラを破壊した。

 16日にはトビリシの西約45キロのカスピで鉄道の橋が爆破された。ロシア軍は関与を否定しているが、東西を結ぶ主要鉄道路が遮断されたことで、グルジア経済には大きな痛手となる。

 停戦後の駐留継続について、ロシア側は「治安維持」「人道支援」を名目にしてきたが、実際は住民にサーカシビリ政権の無能ぶりを印象づけ、反露政権の弱体化を狙った可能性がある。

 また、インタファクス通信によると、ロシア軍のノゴビツィン参謀次長は17日、グルジア西部のイングリ水力発電所をロシア平和維持軍が保護下に置いたと語った。同発電所はグルジアの大部分や親露独立派が支配するアブハジア自治共和国に電力を供給している。参謀次長は「テロの標的になりかねないため」と説明しているが、重要施設への実効支配強化の一環とみられる。

 米CNNテレビによると、ロシア軍は戦闘開始時に8000人から1万人の部隊をグルジアに投入。現在は少なくとも1万5000人の部隊がグルジアに駐留しているとされる。実際にこれだけ大規模な部隊がいるとすれば、完全撤退にはかなりの時間がかかることも予想される。

 また、ロシアとグルジアの和平合意によると、約1500人のロシア平和維持軍が南オセチアとアブハジアにとどまることが認められているという。
http://mainichi.jp/select/world/news/20080818k0000m030080000c.html?inb=yt


 旧ロシア帝国軍やソ連軍は、他国へ侵入して勝利を収めると3日間略奪、陵辱などやり放題にさせて、それから和平交渉に入ったと言う。それは、兵士の士気を高めるために必要で、伝統的な方法なのだろう。1945年8月9日、日ソ中立(不可侵)条約を踏み躙って満州に攻め込んだソ連軍は、日本人に対し暴虐の限りを尽くした。樺太や北方領土に住んでいた日本人も同様であった。特に日本に対しては、日露戦争の恨みを晴らす気分も重なっていたはずだ。

 既にグルジアの重要戦略拠点を支配し、鉄道網や電力網、エネルギー供給ラインを破壊して所期の目的を達したロシア軍だが、今回も、伝統的略奪・暴行などを終えるまで、グルジアに居座り続けるに違いない。

露軍、グルジアで略奪か 国連指摘
8月18日16時41分配信 産経新聞

 【モスクワ=佐藤貴生、トビリシ=遠藤良介】ロシアのメドべージェフ大統領が、18日からグルジア国内に侵攻したロシア軍が撤退を始めると表明したが、ロシアは撤退完了の時期や、規模を明らかにせず、曲折も予想される。一方、ロシア軍が侵攻した中部ゴリでは大規模な略奪が起きていたことが国連によって確認された。グルジア側はこれまで、各地でロシア軍が略奪やグルジア人住民の虐待などを行っていたと非難していた。

 AP通信などによると、中部ゴリに駐留していたロシア兵の姿は以前よりも減っている。西部セナキでは17日夜、ロシアの装甲兵員輸送車や戦車が街を出て行く様子が見られた。

 一方、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のスタッフは17日、初めてゴリに入り、「大規模な略奪」の痕跡が見つかったとの声明を出した。建築物はあまり損害を受けていないが、商店などで略奪が起きていた可能性があるとしている。街の中心部で支援物資を求める50~60人を除けば住民の姿は見られないとしており、大半の住民は避難したものとみられる。

 グルジア国内の報道によると、ロシア軍は西部の港湾都市ポチなどでも船舶を爆破し、港湾施設からパソコンや高価な機械などを持ち去ったとの情報もある。また、各地で食料不足が深刻化し、物価の高騰が懸念され始めている。

 UNHCRはグルジア紛争で約16万人が家を離れて避難したとみており、グルジアの黒海沿岸のバトゥーミへの支援物資の空輸も行う方針だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080818-00000075-san-int


 今回のロシアによる侵略を許したのは、サーカシビリ・グルジア政権がロシアの挑発に乗せられた為である。グルジア駐在の米国軍事顧問及びCIAは、偵察衛星+エシュロンなどで北オセチアにロシアの機甲部隊が集結しているのを見抜けなかったのだろうか。南オセチアで戦闘が始まってからも、小ブッシュ大統領が北京に居続けたことや、ゲーツ国防長官の沈黙など、小ブッシュ政権の対応の甘さに疑問を覚える。

(参考)

 グルジア戦争の停止には問題山積

 「グルジア和平合意」(8/19)は先行き不透明

 グルジア戦争とBTCライン

 グルジア戦争の発端に関するFT記事
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« グルジア戦争の発端に関する... | トップ | ムシャラフ大統領の辞任(追... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事