格安CDエクスプローラー

<100円からのCD批評>
~主に中古CDを漁り歩いて幾年月/好きなジャズ、ラテン音楽を中心に勝手・気ままな音楽批評

く~っつ!コンテンポラリーはジャズ界の優れた老舗だったね~!

2015年06月29日 | ジャズ

*ウェストコーストジャズなどという表現が、まだまだパワーと意味合いを持っていた時代(1950年代~60年代中期)に、活躍したレーベルの代表格がコンテンポラリーだと思う。我が愛するA.ペッパーを始めとするウエスト・コーストジャズの極上アルバムを多産してきたのが、再発ものやコンピCDで改めて素晴らしいと感じてしまう。創始者のL.コーニッヒの優れた手腕が素晴らしいこと、そして、レーベルのロゴが象徴するようにそのセンスの良さは今でもなお輝き続けるのです!ジャズアルバムの老舗ブランドとして再評価したい。

 


Andre Previn  [King Size!]  (Contemporary /1958)1998再発もの   日本盤  165円     星4つ

~もう今やクラシック音楽の世界で堂々たる地位に居るプレビンは、若き日に何を感じていたのかジャズの世界でかなり頑張っていた。彼の若き日のピアノトリオは、シェリーマンらとのプレイはすばらしく軽快なタッチでスウィングし、コンテンポラリ―に忘れがたいジャズの名盤を残してきた(アルバム「マイフェアレディ」など)。本アルバムはその流れの1枚で、ベースのR.ミッチェル、ドラム・F.キャップとの息のあったプレイは楽しく、正にジャズ喫茶で過ごした我が青春の時間をまたまた眼の前に浮かび上がらせるのに十分です。
それにしても、50年代後半から60年代初頭のコンテンポラリーレーベルは、当時隆盛だった西海岸でにジャズルネッサンスの貴重な記録として今でも大いに楽しめるコンテンツであろう。特にこのピアノトリオは、白人系のジャズとしての一つの形を示し、日本のジャズ愛好家を今でも唸らせてくれるのでした。

 

Hampton Hawes Quartet  [All Night Session! 1]  (Contemporary/1958)1991再発もの アメリカ盤  165円    星4つ

~戦後の一時期、日本では絶大な人気を博したと言う、“ウマサン” ことH.ホーズの隠れた名盤?にお目にかかったのでした(“ウマサン”の件は、昔読んだジャズ雑記にあったもので、我が国でホーズという語感がhorseに似ていてジャズ仲間では「馬」というあだ名で親しまれたという逸話から)。
オールナイトセッションと題したシリーズは、一晩にスタジオに缶詰になってセッションを繰り広げ、トータル3枚分の収録をした事で本盤も知られていて、その第一集にあたるもの。R.ミッチェル、B.フリーマンの馴染みにギター:J.ホールを加えたカルテット編成になっているが、そのスイング感とメロディアスに歌うピアノには、時代の新旧を越えてすごく惹きつけられる。ジム・ホールもなかなか渋いし、R.ミッチェルのベースは、例のアンドレプレビン・トリオと同じく、ウェストコースト・リズムセクションの要である事を示している。コンテンポラリーのジャズカタログ中、このセッションはかなり息の長いロングセラーだったらしいが、当然と思える充実した内容だと思う。


グ…ッ、グレートなジャズピアノの名盤が安く手に入る嬉しさ!!!!!!!

2015年06月26日 | ジャズ


Mal Waldron Trio [Left Alone/レフト・アローン] 
(Bethlehem /1960)1993 再発もの 日本盤  165円    星5つ

 

~タイトル曲は良く聞いてはいたのだが、なかなかチャンスがなく、LPでも持っていない超有名アルバムがCDの再発もので出ていたため、ようやく購入の巻。ビリーが大好きな小生にとって、このアルバムが意味するものが非常に大きいので安値で見つかって超ウレシイ。批評や論評という前に、まずは亡くなってしまった偉大なシンガーに捧げる鎮魂歌としてのマルとJ.マクリーンのプレイは、こうしてアルバム全体を通して聴くのがやはり正解なのであろう。アルバムの最後に、マルがプロデューサーに語っているビリーの想い出があるのが、当時ビリーの伴奏者として数年間共に過ごしたミュージシャンが受けた喪失感を如実に表していると思う。まずはジャズのエバーグリーンとして、やはりこのアルバムはLPで持っていたかったのだが、違う形ではあるが我がCD棚に収まって満足です。


Andrew Hill  [Point of Deputure]  (Bluenote/1964)1988再発もの   アメリカ盤  165円    星4つ


~まずは、脱線話から……。え~小生、昨年からBluenoteの中古盤をもうトータルで4~50枚集め直しており、そのいずれもが200円以下の格安価格で入手。過去のLP時代苦労して探した中古盤の限られたコレクションをドンドン穴埋めしてくれていて、時代が変わったものだとこのネット配信の隆盛を傍目から見て感謝しています。こんなに簡単・イージー、好きなタイプ/Titleのジャズが手元に入手できるとはイヤハヤ…。ホント有難うございます、全くカタジケナイ!
 と言う訳で、昨年入手のAndrew Hill [Judegement]の好印象を引き継ぎ、またまた購入の巻。この作品は、エリック・ドルフィー、K.ドーハム、J.ヘンダーソン、T.ウィリアムスなどとのセッションで、ヒルの自作曲ばかりをプレイしており、ドルフィー、ドーハムの優れたソロパートに続いて登場する、ヒルの立ちあがるピアノプレイは恰好よく、フリーともメインストリーム的とも言える、バランス感覚の上に構成されていて、その部分がヒルの面目躍如という所。さすがトニー・ウィリアムスは、ドルフィーのフリーキーなサウンドを引き出しつつも、ヒルの目指す方向であろうとする「静かなる語り口」を上手くサポートしているように感じられる。ともあれ、60年代の熱気に満ち、実験的なジャズの模索が様々な形で結実し、文字通り火花を散らす快演の記録となっているBluenoteの優れたアルバムだ。

 


<オートチェンジャー付CDプレイヤーがまだまだガンバってヤンド~!!>

2015年06月23日 | 日記・エッセイ・コラム

~流行に敏感でナウく、トレンディな若い人たちに留まらず、幅広くi-phone・ヘッド&イヤフォーン(というのかな?)で聴くスタイルが定着している現在でも、CDで音楽を楽しむガラパゴス人種は、そこそこ存在しているものと推察します。本ブログは、そうした方々を意識して書いてはいるのですが、今回はそんなCD志向家で、なおかつ少しオールドファッションなユーザーにも共通するテーマ:『再生機器』とその利用方法のオハナシ。

 過去、様々なテクノロジー展開でCDプレーヤーも多種多様な機能がある製品が発売されてきましたが、我が家にあるものは、5連装オートチェンジャーの機器で2台所有中デス。共に10数年前の製品で、当時買った製品ともう1つは、中古リサイクルショップで5、6年前に手に入れたもの。ちなみに、我が家では流行りのデジタル系など一切関係なく、音楽はCDまたは時々テープやレコード再生というスタイルを何十年も続けており、家の各部屋にはすべてCDプレーヤーを配備しております。従って、聴きたいアルバムをその都度セットする仕組みなので、「ワイヤレスで音楽を飛ばす」という芸当が出来ずにおります。

 オートチェンジャー付CDプレイヤーは、居間に置いてあって、その5段あるトレイにどんなアルバムをセットしておくと良いリスニング環境加減になるかというのが結構楽しく、そのエンジョイする方式とは、昔のテープによる選曲でオリジナル版ミュージックテープを作った経験がある人には共感して頂けるのではないでしょうか。
いわば、コンピミュージック作りのCD5枚疑似的に出来ると思うのです。

 小生の場合、好き勝手に出た所勝負の中古CD漁りをしてきた結果、集まったアルバムは、こうした機会にCD棚から意識して引っ張り出さないと、もう買ったままの死蔵品、{積読【ツンドク】}ならぬ{積聴【ツンチョウ】?}になってしまい、せっかく苦労して買ったアルバムにも、アーティストに対しても失礼極まりないという話になってしまいます。
 そんな訳で、自分なりに日々の気分を変える環境音楽的な役割も果たすためには、オートチェンジャーが役立つという事なのでしょう。

 

{Aコースメニュー:平日の朝バージョン}
*平日、朝にプレイする音楽としては、まずは“元気がでるもの”、朝のモヤモヤを吹き飛ばして“活性化”、その1日をスタートする”アクセルになるような即効性”をモットーに選曲してみたいもの。(尤も割とせわしない平日の朝は、じっくり聞く時間もないので、ランダムプレイで再生が必須!)

・このところ、次のようなアーティストにそうした役割を持たせています。
 60~70年代ロックのヒット曲、70年代フュージョンまたはスムーズジャズ系、E,W&Fなどのディスコ系ファンク、ウェストコーストサウンドなど
 先日のアルバム構成5枚は:  
                    1.Kora Jazz Trio [Kora Jazz Trio]
                   2. Brian Wilson [Reimages Gershwin]    
                   3. Kenny G [At Last/The Duet Album]
                   4.Larry Carlton [The Very Best of~]
                   5. Daryl Hall & John Oates [Our Kind of Soul]

{Bコースメニュー:週末の朝バージョン}
*週末は、当然のように『安らぎと憩い』がコンセプト。セロトニンやα波をガンガン出すような、ゆったりとした時間を過ごすBGM大会となります。クラシック系やアコースティックもの、ボサノバ、ジャズでもスローナンバー、室内楽系の音をついつい身体が欲しがってしまう。そればかりだとまた寝床に戻ってしまいそうになるので、若干パンチのあるポップス、サルサ系のカバー曲も加えます。また、女性シンガーソングライター系ものもなかなか捨てがたい魅力があります。

・先日我が家に流れた音楽のアルバム構成は;
                          1. 村冶香織 [リュミエール]
                          2. Nora Jones [Come Away with Me]
                          3. アルベルト・城間 [ハートに火をつけて]
                          4. Various Artists [Bossa Nova Brasil] 
                          5. Sonny Cris [Saturday Morning]

5枚目のソニー・クリスは、アルバムタイトルからつい掛けてしまったが、朝の雰囲気というより夜向きか?かなり脱力系でご愛嬌の味わい。

{Cコースメニュー:週末の夜バージョン}
*土、日曜の夕刻の我が家は、まさにリラックスタイムで数時間にわたる疑似ジャズカフェ(但し場末)と化します。ビール、ワイン片手に、オードブル類をつまみ、手作りの無国籍料理を食しながら、ダラダラと1時間半から2時間、ジャズに浸りまくる至高の時間を過ごすという目標があります。まあ、ジャジーなものは何でもOKですが、やはりバラードもの、女性ボーカルものというのは欠かせないという全く親父趣味趣味の大開放という有様…。嗚呼、情けない??

・今週の予定5枚; 
           1. Wynton Marsalis [Standard Time Vol.5/The Midnight Blues]
           2. Paul Desmond [Skylark]
           3. Billy Holiday [Lady in Satin]
           4. Toninho Holta [From Ton to Tom]
           5. Chico Hamilton [ブルーサンズ]


        

 さてはて、皆様はどんなチョイスで音楽をコンピしているのでしょうか?おそらく、こんな手間は不要で、ダウンロード&アプリによる自由選曲てな遣り方で、すぐに出来てしまうとは思うのですが、たまには手間をかけるのも良いのでは???

~長き駄文、お付き合い頂き御礼~!!               

 



素敵なセンスでピりりと光るラテンアルバム

2015年06月20日 | ラテン音楽


Vania Carvalho [Coraçao na Voz]  (AGenceRio/?)     ブラジル盤・未開封    165円   星3つ

 

~このオバハンは、名前からしてサンバ界の姉御筋であるベッチ・カリバーリョと何か関係していそうだと踏んで、未開封も手伝って購入(ベッチの姉さんらしい)。パゴージのアルバムだろうと聞いてみたら、いやもっとシットリしたショーロ風サンバ、カンソンを歌ってくれる。しかも、枯れた味わいがあって、ベッチのガチャガチャ気味のパワーとは随分違うし、他に居るサンバ歌手よりも歌謡曲的な感じがあって悪くない。タイトルの意味する「声に込めた心」とは、そんな気持ちの表れなのではないのか?
サンバ界では、お婆ちゃんになっても一線で元気に頑張っている人も多い(イボンニ・ララを筆頭に…)が、この人はどこか鄙びた感じで今一つさえない哀愁があって、それが却って味わいを増している。また、ナナ・カイミみたいに上手くもないので、やっぱりB級路線っぽくこちらの琴線も揺さぶる。
収められたものが、J.バンドリン、マイーザ、P.ダ・ヴィオラ、カルトーラ、E.ギズモンチらの作品という少々曲者的選曲も相まって、思ってたよりグッドなアルバムで夜のMPBになりそうです。


D.Samuels, P.D’Rivera & A.Narell  [The Caribbean Jazz Project]  (Heads Up/1995) アメリカ盤  165円    星4つ

 

~ラテンジャズ&ラテン系フュージョンの世界では、名う手の3人(D.サミュエルス、P.デリべラ、A.ナレル)が雁首揃えてプレイすれば、そりゃ楽しくジャンピー&キャッチ―なラテンフュージョンが生まれるのは当たり前!1970年代中期のスパイロジャイラと当時売り出し中だったパキートの融合サウンドなので、親父世代にとっては何はともあれすごく楽しめる事請け合いです。全編各人のオリジナルで、まあいつものパターンと言ってしまえばそれまでだけれど、フュージョンがスムースジャズなどというヤワな表現になって、スタイリッシュだけれどスカな内容のBGMでお目見えした風景の対岸にある、お軽く楽しく若干バブリーな勢いある音楽世界です。そうです、この不透明な社会情勢にあって、中南米の青く澄みきった空とビキニのお嬢ちゃんが戯れる海辺を想像させるこのアルバムを聴いて、ひとときのカーニバルに身を任せませう!ブルーな気分になったら、これで気分転換も良いでしょう!

Vince Guaraldi & Bola Sete  [Vince & Bola]  (Fantasy/2000)     アメリカ盤    165円 星4つ

~ラテンというよりなかなかライト感覚のボサ&ジャズのアルバムで、録音は1966年と古いが今でもおしゃれなサウンドとして十分通用するコンボ。ボラ・セチは、ブラジル生まれのギタリストで、60年代から80年代までボサギターの第一線で活動してきていて、その彼がアメリカ西海岸で活躍していたピアニストのV.グアラルディと組んで2枚出したレコードのコンピ作品だそうである。
収められた曲は、オリジナルあり、ジョビンやボンファ、さらにポップス、ビートルズ、ジャズと幅広いものだが、ボサノバの中心軸は外さず、しかもボラ・セチは、ギタリストに徹していてブラジルギタリストに多く居るヘボい歌声を聞かせない、ある意味でブラジルには珍しいタイプの人かも?それは正解だという事がよく分かる、素敵なジャズボサ・アルバムです。ピアノのグアラルディのウエストコースト的ジャズも嬉しいプレイで、中々2人の相性は良いので安定感タップリです。


「バッタでGO!GO!」~何だろうね、楽しめるバッタ50円 コンピレーションアルバム

2015年06月18日 | ジャズ

*『健康』の為に……と自転車での遠出をしていて遭遇する街角のリサイクル屋。フト飛び込んで見つけた≪ジャズのCD/中古品50円セール!≫どれもそこそこ美品~こうしたケッタイな格安CDとの“出会い”は、怠け者にとって運動不足解消のモチベーション・アップにも大切な事でした。
 


Various Artists [Jazz Vocal at Night] 
   (Disky/?)    EU盤 50円     星3つ

 

~このDiskyという会社;確かオランダの格安&コンピレーションもの専門のレーベルだと思うが、正確な正体は判りません。お手軽なコンピものを出して、BGMとして流すのにはピッタリで、本シリーズの売りは『今までジャズを聴いてこなかった人たちにジャズの楽しみを届けたい…云々』なるキャッチがインナーにあります。ジャケイラストが如何にも有りがちな女性のイメージで、日本だと同じ趣向で鶴田吾郎の女性イラストてな傾向も万国共通だ。
10枚のシリーズの中の1枚が≪夜のジャズボーカル≫という訳で、N.ウィルソン、J.スタッフォード、B.ディアリー、フォアフレッシュマンなど男女混み込みで20曲から成る構成。夜なのに何故かかなり明るい曲調でスッキリした音が集まっていて、陰りやブルーな歌曲はゼロていうのも徹底していてこれはこれでOK。


Various Artists [Trombone]     (Warner/2001)     フランス盤 50円     星3つ

 

~トロンボーン奏者のプレイを集めた、変わった趣味のコンピレーション。JJ.ジョンソン、F.ロソリーノ、B.ブルックマイヤー、C.フラーなど11人のアーティストの作品を集めていて、結構意外な選曲になっている。どういう経緯でこうした形式になったのかフランス語の為解読できないが、普通にスイングするジャズでなく、どちらかと言えばクセのある曲目を詰め込んだ編者のセンス勝ちか?!
選曲の妙はスゴく評価するが、まともなクレジット、解説などほとんどゼロという相変わらずのサービス精神なさは、欧州モノコンピの常。テキトーの大雑把さ加減がまさにまともに日本市場では相手にされないという結果を生んでいる。50円だから良しとするだけデス。

 

Various Artists [Love Jazz/Bossa Nova]     (Toshiba-EMI/2002)     日本盤 50円   星3つ半

 

~そこ行くと上記2枚と比較した場合、日本の企画はやはり丁寧で真面目すぎる位。60年代のブルノートにおけるボサムーブメントでのジャズ演奏(D.ゴードン、S.タレンタイン、G.グリーンら)から80年代、90年代にて制作されたラテン系ボサ作品の数々まで取り上げて、“全方位外交”ならぬうまくバランスをとる辺り、日本制作ならではのキメ細かさである。大体、何時でもこうした安全パイのごときコンピなので、少し滅茶苦茶気味なセンスでの変わった編纂も日本では欲しい。それは外国のコンピものとは、全くスタンスが違って商業主義が良くも悪しくも色濃く出ている事。しかし、アメリカのブルーノートが企画したやはりブラジル系ジャズに見られる曲目とは、大きく違っていてそれはそれで楽しい。

 

土岐 英史 [The Good Life]     (Fun House/2001)      日本盤 50円    星4つ

~これは、コンピレーションではないが、日本のアーティストが実力を十二分に発揮したCD。
アルトの土岐英史が主にスタンダードジャズで気怠く、スローな大人の音楽を作ってくれる、洒脱で心地よいアルバムだ。ピアノの大石学、ベースに坂井紅介、そして今は亡き日野元彦のドラムワークも軽快で、アルトの軽妙さとピッタリマッチして、切なく唄う土岐のフレージングを美しく支えている。自作の「チャカ」「アフター・ダーク」はバラードとして泣かせるメロディを持ち、その2曲の後に「My One & Only Love」とくる。コルトレーンのテナー名演も記憶に残るが、この歌なしで土岐が綴るバラード。こんなアルトもなかなか良い。ホント、50円でチョ~お買いもの…でした。


<才気あるジャズマンの力作を聴く>

2015年06月16日 | ジャズ

*今回の2枚は、時期を同じくして吹き込まれた(1999年)新旧のアーティストによる中々の力作。ややもすると心地よくスマートなジャズが持て囃される時代に、こうしたハードブロウ系の昔のジャズ革新時代の伝統に沿った硬派のジャズをたまには聞いてガッツを感じ、ジャズの力強いパワーを受け取りたいものデス…。


Branford Marsalis   [Contemporary Jazz]  (Verve/1999) 日本盤  165円  星4つ

 

~もう今やベテランの部類に入っただろうB.マルサリスの正に「彼なりのコンテンポラリ―なスタイル」でゴリゴリ押しまくるハードブロウアルバム。長年のバンドメンバーだったK.カークランドの死後、彼の後釜に据えたJ.カルデラッゾの力量が凄く、従前にも増してブランフォードのアグレッシブなプレイを誘発する要因にもなっている。ドラム&ベースも、一時のバンド状態よりビンビン躍動し、テンションの高く勢いに溢れたナンバーばかり。暴れまくるスタンダードの1曲「Cheek to Cheek」を除き、他は全てオリジナルなのも彼らしく、従来の伝統に立ったコンセプトであり、バップジャズ的です。ジャケもソレっぽいし……。
 ハードかつゴリゴリのジャズ、コルトレーンライクなプレイを聴きたい場合にもって来いの [Contemporary Jazz] です。


Nicolas Payton   [Nick @ Night]  (Verve/1999) 日本盤  165円  星4つ

 

~気鋭のトランぺッター:ニコラス・ペイトンのメジャー第4作目となるアルバムだそうで、ニューオリンズ出身のトランぺッター諸氏の如く、過去の伝統的ジャズにアグレッシブな自己の表現欲求をうまく融合させ、ある部分ファンキーだったり、スローなナンバーでのブルースフィーリングなど聞かせどころ満載の内容になっています。
最近のペット吹きに見る、Jazz現代風味付け~例えば、ラップとか打ち込みリズムとの融合などの変な意味での流行との付き合い方をしていない、オリジナル曲でのストレートなプレイはすごくイカシテおり、当方の好みにピッタリです(小生の苦手なR.ハーグローブやW.ルーニーのようなアプローチとは全く異なっている)。
 そうした点からも、主流派のハードバッパーであり、新しい息吹を求めながら過去の偉大なトランペッターの影響も受けて今日に至っている事がよく理解できる内容である


「驚くな~キューバ音楽だ、これがラテンミュージックのホンマの実力だあ~~!」

2015年06月14日 | ラテン音楽


Bobi Cespedes [Rezos/レソス] 
 (MusicCamp/2002)     日本盤  100円   星4つ

 

~いやいやスゴイ・キューバン・ルーツ・ミュージックに出会ったものだと実感したアルバムで、今を感じたいラテンファンには是非お勧めしたいCDです。ジャケットイメージがどうもアフリカ系の民族色強き感じで、期待せずのダメ元の100円購入が大正解の巻!
アフリカに起源を持つ民俗信仰の神を讃え、ヨルバ、オリシャー、イエマンジャー等々の色々な信仰心がごちゃまぜになってキューバンフュージョン化しており、アフリカの言語よりもスペイン語で唄われる歌曲が主となっていて、キューバの伝統に根付いてしまった音楽スタイルという点で、明らかにラテンなのだと思う。そして、新しいセンスとしてのドラムンベースを基調にしてビートを刻みつつ、従来からのパーカッションを上手く彩りとして加え、ピアノのソロプレイやらホーンにコロ(コーラス)が絡んで、アフリカともキューバとも厳密には区分出来ない混沌たる祈りのメッセージになって詰まっている。それでいて古びて居ず、ポップで新しい感覚がある。ホンマ大したもの、嬉しい買い物になった。(後でネットで調べると、現在彼女はUSA・カリフォルニアにて活動中という。ムベナルカナ~)


Omar Sosa [Ballads /Compilation 1997-2000]  (Ta/2005)     日本盤  100円   星4つ

 

~全く予備知識なしだったが、これまた単なる好奇心にて購入したので、期待していなかったにも関わらず、キューバン音楽の懐の深さに驚くこととなった1枚。この人、パンキッシュな出で立ちであっても、相当の伝統的プレイ、基礎素養としてのクラシックとジャズのセンスを兼ね備えていると想像させるテクニック、知識が有るように思える。添付のディスコグラフィーによると過去10数枚もアルバムをリリースし、相当アグレッシブで情熱的なプレイを行ってきたという。しかし、本アルバムでは、過去に発表したアルバム中、静かなバラードものを中心にコンピレーションしたようだ。
端正で物静かな歌い心地、パッションを抑えつつ、ラテンの抒情をスローバラードに仕立てあげて歌い、どこかB.エバンスやハンコックらの理知的影響も感じさせる。伝統的なボレロの感覚で、静謐な世界をジャズ風のバラードに組み替えなおした感じなのだが、しっかりとしたオリジナリティもあるのがスゴイ!こうした「静」の姿だけではなく、今度は『動』のプレイも聴いてみたくなった。


時代考察とストーリー構成が秀逸なミュージカル映画「Across The Universe」

2015年06月12日 | 映画・DVD

 

~先日、CS放送で結構楽しめるミュージカル映画を見た。ビートルズの歌曲を用いた青春ミュージカルという触れこみで、60年代を舞台にしたものだと言う。正直なハナシ、このところ、真面目に映画を集中して観ることも少なくなったが、本編は期待せずの流れで一気に観てしまった。普通、BS、CSで音楽番組や映画を録画しても、真っ当に最後まで見ている本数は、録画全体の3分の1あれば良い。昔は、映画館でじっくりと腰を落ち着けて観ていたのだが、簡便に家で好きな映画を自由に観られるようになったのに、反面まっとうに観るという事が無くなったのは、要因のほとんどは自分のせいなのだろうが、一方親父世代を凄く面白がらせてくれる雰囲気を持った作品も少なくなったのでは?てな与太を言いたくなるのが、だらしない親父の言い方…(反省)。

 『アクロス・ザ・ユニバース』(Across The Universe)は、2007年製作のミュージカル映画でビートルズの楽曲33曲で描かれた60年代の青春絵巻。ビートルズ、ストーンズで自分の音楽原体験を作ってきた人間にとっては、なかなか泣かせる心憎い演出があちこち散りばめられている。作品はアメリカ、イギリスの制作スタッフによるものらしいが、今時のハリウッドらしさが垂れ流され過ぎておらず、適宜ほろ苦い風景も描かれるのはビートルズのお国:イギリスのペーソスとアイロニーがうまくブレンドされている為ではないだろうか。

冒頭の主人公:ジュード(いかにもベタな名前で、これが例の『ヘイ・ジュード』の楽曲と関連つけられすぐネタばれしてしまうし、ヒロインがルーシー、友人の女性がプルーデンスと来たらまあこれじゃあ安物のキャラクターじゃないかと最初は誰しも思うだろう)が、海辺で忘れられないヒロインへの思慕を『ガール』の歌詞そのままに歌い出し、それとオーバーラップするモノクロ画像で、あまりこれじゃあ大したスクリプトではない、ハリウッド青春モノという予想をしたのだがそれが裏切られ、その後のシークエンスから中々侮れないストーリー展開をしていく。
あらすじを書いてしまうと陳腐なのだが、イギリスのリバプールに母子家庭の労働者階級として生まれた主人公が、その生い立ちを巡る事柄からアメリカへ渡り、社会や様々な人間とのかかわり、恋愛、青春の葛藤をビートルズナンバーをベースにした歌詞の内容や、激動の60年代アメリカの社会とポップカルチャーなどと組合せながら、あくまでもミュージカルの”ダンス&シング”という十八番の舞台で描き切るカッコよさ。そう、やはりその辺りの技巧・描写はさすがアメリカ映画の実力発揮。

 しかし、主にレノン&マッカトニー、時にジョージの歌詞をストーリーに上手くあてはめ、登場人物の独白、台詞につなげていると、歌詞を知っている観客も思わず口ずさむ、当事者になってしまうという現象があって、制作者はその部分をうまく共感させ、観ている者を映画にドンドン引き込んでいくのだから、大したアイデアを具体化したものだと唸ってしまう。時代の社会情勢、事件をキャラクターの行動とマッチングさせ、変革期にあった社会やベトナム戦争、キング牧師の公民権運動、徴兵問題などとシンクロさせる演出は安定したエンターテイメント性を持ちつつ、こなれたメッセージにもなっている。キャラクターの中でも、女性シンガーがどこかJ.ジョプリンを想起させ、彼女のバックバンドだったホールディングカンパニーとのイザコザを知っているポップスファンにも面白いエピソードになっていたり、最後の方でビル屋上でのゲリラ・ライブ演奏は、例の<レット・イット・ビー>そのままだったり、若い世代ではなく中年以降のロック世代への目配り?も忘れない辺り、本作の脚本家は大したものだと思った。

 実力もある若いアクターばかりではなく、オッサンROCKスター(ネタ晴らしはシマセン。ご自身で確かめて下さい)も何人か登場するが、うまいキャスティングになっていて、サイケデリック時代、カウンターカルチャーのパワーを十分知っているアーティストならではの場面も楽しめる。普段は、映画のエンドロールを最後までじっくり見たりしないのだが、本作ではどんなアーティスト、スタッフが加わっていたのかを目を皿のようにしてずーっと見ていた。すると、当方の知った範囲だけでも、サウンドクリエートのミュージシャンには、J.ケルトナー、R.キューバ―、T.ボーン・バーネット、G.ゴールドスタインらのクレジットもあったので、結構音楽好きには隠れた楽しみ方もできる映画だ。

よく調べたら、何やらYouTubeで映画丸ごとアップされてはいるが、どうせならビデオで借りて大画面と良いサウンドシステムで鑑賞される事をお勧めします。なお、エンディングのシークエンスは、誰もが予想した通りの楽曲が歌われます。ああ、やっぱりね~……。

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映画『アクロス・ザ・ユニバース/Across The Universe』

監督  :ジュリー・テイモア
脚本  :ジュリー・テイモア   ディック・クレメント
製作  :ジェニファー・トッド  スザンヌ・トッド  レボルーション・スタジオ

出演者 :エヴァン・レイチェル・ウッド  ジム・スタージェス  ジョー・アンダーソン  ら
音楽  :エリオット・ゴールデンサール
撮影  :ブリュノ・デルボネル
編集  :フランソワーズ・ボノー

上映時間   133分

 

 


男性ジャズ歌手のアプローチに見る渋みとは?

2015年06月10日 | ジャズ

*珍しく男性ジャズボーカルの興味を惹くアルバムと遭遇し、一方はメジャーでもう一人はマイナー?全く知らないイタリアの歌手らしい。国は違えど、男性ジャズシンガーのアプローチには共通したものはありそうだ??

 

Mark Murphy [Stolen Moments]  (Muse/1978)再発もの     アメリカ盤  165円   星4つ

~男性ジャズボーカルで、その渋さから一時はかなり注目を集めていたM.マーフィー。カート・エリングに大いなる影響を与えた事もわかるくらい、その声質や唱法が似ていることを今回改めて再認識した。以前、男性ジャズボーカルに対して一定の距離を置いて、突き放した聴き方をしていた。やはり、女性ボーカルものに比べ、技巧ばかりに走って色香・優しさなどが欠ける点、どうにも分が悪いような気がしていました。マーク・マーフィもやはり技巧派だったので、当方はあまり得意ではありませんでした。
 それから数十年経って、何気なく購入したら非常に説得力のある内容で、自分の先入観が過ちだったこと、さらに現代ジャズ・ボーカリストのモダンスタイルの先駆けだったことに改めて気づかされました。このアルバムは、よく出来たジャズ・ボーカルアルバムだと思います。選曲の妙(スタンダードから、ブラジル歌曲や時代のヒット曲などのバラエティに富む)に加え、彼独特のボーカライズが冴えわたった内容になっていて、古さを感じないアルバムです。
 今ではほとんどその噂も聴かない、当時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったテナーマッドネスことリッチー・コールが数曲で溌剌としたプレイを見せるのも、往年のファンには嬉しいのでした。

 

Larry Franco [Nuttin’ But Nat]  (Azzura Music/2001)  イタリア盤  165円   星3つ

~イタリアの男性ジャズ歌手らしいが、ナット・コールの崇拝者なのか、アルバム全体でN.K.コールの名演の数々をカバーしている。過去、かなりの男性ボーカリストがナット・コールのトリビュートアルバムを制作していて、声質のそっくりなオスカー・ピーターソンやらM.マーフィーのN.K.コール作品集など聴いていた時期もあるので、果たしてこのイタリアの歌手はどのようなアプローチを見せるか、楽しみで買ってみた。やはりナットコールに影響されたような唱法でありつつ、イタリアのカンツォーネのナンバーも含む構成は、ラテン歌謡やポップスを唄ってきたコールの路線と同様であって、イタリア語の曲も生前ナット・コールだったら歌っただろうと思わせる作りになっていて、懐かしさでニヤリとしてしまう仕掛けになっている。Jazzスタンダード、ポップス、イタリア歌曲などで構成されているこのアルバムは、イタリア歌手の眼からみたアメリカのポップス黄金期へのオマージュにも見えて、微笑ましく楽しいものだ。


<ジャズの巨匠:昔日の瑞々しいプレイが蘇る再発もの~あれこれ>

2015年06月08日 | ジャズ

*今回は、マイルス旧録音の再発ものだが、コンピレーションの仕方が間違うとやはり聞き手は相当ガックリしたり、反対にセンスが良く自分の守備範囲だと思えれば狂喜する。その辺りのサジ加減は難しいのだろうが、唯1人のリスナーとしてはプロらしいセンスのよい編纂をして欲しいものなのです。


Miles Davis [Ascnseur pour l'echahaud]  (Fontana/1988)再発もの  フランス盤  165円   星4つ

~マイルスの「死刑台のエレベーター」は、まだ我がコレクションに無かったので、嬉しき出会いでガッチリGET!どうやら、映画のサウンドトラックに際して録音したすべてのトラックが収録された完全版だとの事(この手の盤は、筋金入りジャズManiaにしたら良い企画なのだろうが…)。中身は、今更あれこれ言うまでもなく、マイルスのミュートが只々モノトーンでつながる「マイルスの独り言」。これは定番でして、マイルスの芸ですから完成しているOne & Only World!
 後はアルバムの形態:こういうのは、有り難い反面、同一の曲がテイク別に重なって続くので、ある意味初めての「死刑台のエレベーター」購入者において、決して聴きやすいものではない。スムースに次のナンバーに繋がらず、同じ所をウロウロするので、こういう“映画音楽とジャズの美しき結婚”の記録は、従来型のバージョンでまずは聴きたいのです。その後に、あれこれ昔の粗探し?みたいな話になるのは構わないが、やはりノーマルなLPバージョンも当時の形として重要です。


Miles Davis  [Psnthalassa: The Remix ]  (Columbia/1999)   アメリカ盤  165円    星1つ

~マイルスの名前に惹かれて購入するも大失敗のアルバムでした。マイルスの過去のアルバムから「In A Silent Way」などの曲を短くコンパクトに編集し直し、70年代のマイルスサウンドが化粧直ししたCD。
ビル・ラズウェルあたりも参加しているという期待もあったが、何だか下らない打ち込みのビートだのベースのアレンジを加えて芸の無いこと甚だしい!若くてエナジーがむんむんでクラブ好きとか、HIPなサウンドが好きな諸兄には良いのかもしれないが、おじさんジャズファンにとっては、マイルスの作品に下らない加工をしやがってえ!という嘆きしかないのでした。


ブラジル産なつかしき音のポップス&サンバ

2015年06月07日 | ラテン音楽



Papudinho [Especial!]
   (Paradise Master/1969)    再発もの ブラジル盤    100円    星3つ

~レアなブラジルのトランぺッターらしいが、ジャケットが如何にもイモ臭い60年代の味わいタップリでおかしくなる。ジョビン、バカラックのヒット曲があり、その上渡辺貞夫まで取り上げるのだから、何をやりたかったのか、その時代(=60年代ポップス)を映し出すアルバムとしてオールドリスナーには興味深い。ポップス音楽としては、トランペットが前に出てそれに2人の女性ボーカルが被さっているので、ハーブ・アルパートのブラジル版という位置付が可能かも知れない。こうしたサウンドは、アナクロではあるが、一方、若い世代には、少しレアグルーブ的にも思えるような懐かしき60年代に対する憧れ的なサウンドとして、価値があるのかも?
21世紀には、デジタルさ皆無のこんな手作りのサウンドは何か懐かしさと不思議な味わいを醸し出す。


Walter Alfaiate [Samba na Media]    (CPS/2002)   ブラジル盤    100円     星3つ

~ベテランのサンバ歌手らしき風情なので、まあお試しで購入してみた。おなじみの定番のサンバ、親しみやすく口ずさめるメロディという事。特段のネタもないので少しWEB調査→ブラジル版ウィキペディアによれば、2010年に80歳で死亡しているとのオハナシでした。50年余に渡るキャリアで、200曲以上の作品を残すビオロン奏者でもあるという。サンビスタとして70年代にはいくつかのヒット曲も生み出し、カリオカたちにも愛された作品も少なく無いとの事で、確かに安定したサンバが詰まっています。少し哀愁のあるメロディは、サンバのチャカチャカサウンドの中でどこか心に届く優しきメッセージのようだ。
もし、興味があれば値段と相談してお爺ちゃんサンビスタの暖かい歌声をお聞き下さい。


おどろくばかり、アフリカンサウンドの現在形

2015年06月05日 | ジャズ

*今でもエボラ熱やら例のイスラムの原理主義によって狂信的かつ過激な惨劇のニュースばかりが伝わってくるアフリカ大陸。
アフリカといえど、色々あら~なとは思うけれど、極東の黄色人種にとってまだまだ未知の暗黒大陸なのかな?と素朴な疑問ばかり湧いてきます。そんな大陸からでも届く、本当に創造的なアーティストの素晴らしい音楽の波は、それこそ世界平和に役立つと思わせる=そんな音楽に格安で出会いました。



Themba Mkhize [Lost & Found/ロスト&ファウンド] 
 (Columbia/2001)     日本盤  100円   星4つ

 

~ティンバ・ムキーゼという南アフリカ出身のボーカリスト&ピアノ奏者であるそうな。この所、R.ボナなどのアフリカンサウンドがすごく気になっていて、見つけついでに購入してみた。まず、多重録音でコラージュしたコーラスを基礎にして、非常に端正なピアノを弾いているのが、すごくオシャレなのです。アフリカの土着的なサウンドを期待してしまうと、R.ボナの方がよほどアフリカの大陸を感じさせる程、肩すかしを喰らう。都会的で洒落たモダンサウンドなので、聴きやすい上にどこかゆったりとした上質のワールドフュージョンになっています。
しかれども、やはりアフリカの打楽器やサムピアノの味付けも忘れていないし、フルートとキーボードの描き出すスムーズな音世界=“これがワールドかよ!とにかく洗練され過ぎてる…”という文句が出そうな程カッコいいアルバム!!!


Richard Bona [Reverence]  (Columbia/2001)     USA盤  100円   星3つ

 
~このところ、中古CD屋で良く見かけるようになったので、ついつい手が伸びてしまうアーティストの筆頭ボナさん。
マイケル・ブレッカー、パット・メセニーに加えて、聖歌隊を迎えるというなかなかのアイデアというか、ボナの世界が繰り広げられる。アフリカ的でありながら、非常にグローバルなジャズとフュージョンの現在地点を明確に描いてくれて、まっこと天晴!時折ラテンサウンド、それもサルサの影響を色濃く反映した曲作りをしたり、ブレッカーのサックスに呼応するベースラインが、ジャコパスの味わいを感じさせたりと、先人の音楽世界を自分なりにアレンジして表現するのも、非常に面白い。
さてはて、ここからは爺さんの戯言なのだが、何でCDのライナークレジットはこんなに文字を小さくしなくてはならんのだろうか?理解不能である。マイナス星1つ。

 

Richard Bona [Munia/The Tale]  (Universal/2003)     EU盤  165円   星4つ

 

~上記アルバムに引き続き、翌週に購入したボナさん。制作年も2年後になっている。この間、彼には何か私生活で大きな事でもあったのだろうか、[Reverence] に比べ内省的な趣きが色濃くなっているように思えるアルバムだ。マイルスへのオマージュやおそらく彼の身辺スケッチなどが素材(子供の声が入っている)で、以前のアルバムに比べて彼自身の「歌」と「声」に焦点を当てている。おそらく、故郷の伝承的なエピソードやら自分の身に置き換えた現代の問題などを扱っているのではないか??(ライナーには、アフリカの言語:カメルーン言語?記載だけで、訳詞がないのが非常にキツイ。この辺り、輸入盤の限界。)ラテンやジャズフュージョンよりもアフリカ的なサウンド構成に重きを置いていて、現題「Munia/The Tale」から察するにメッセージ色の濃いコンセプトアルバムであろう。それでも、彼の特長的なユニバーサルな世界には違いは無く、凡庸なジャズフュージョンとは一線を画している。


<新企画・我が家に埋もれたCD発掘>『旧盤知新』~その1:ラテン編

2015年06月03日 | 旧盤知新~古き死蔵CDを見直す

~先日、よく行くようになったジャズ喫茶で聞いたアルバムが、すごくイカシテいたのだが、何か見たことのあるジャケイメージ。ふと、もしかしたら我が家にあるCDではないのかと思い、帰宅後よ~く調べてみたら、CD棚の一番奥まった場所から何とか見つける事ができた。
ここ10数年、中古市場に出回る格安CDの探訪で血眼になっているが、よく考えたら購入後丹念に聴きこみ、愛聴するCDは購入アルバムの中でも、さほど多くはない。おおざっぱに考えても、50%あるやなしや…デアル!

リスナーとしての感性は、それなりに出来上がって来てしまった〝耳年増野郎″にとって、その時点での好き嫌いの判断でアーティストの作品を一刀両断にしてしまう。なまくら刀によって、切りつけられた音楽家にとっては、確かにかなり酷なハナシだ。
時代性、その時点でのリスナーのコンディション等も少なからず聴き方に影響しているとも思うので、当時は気にいらなかったアルバムに新しい魅力を感じたり、再評価できる要素もありうるという事実に気づかされたという事。


さらに「断・捨・離」を少しずつ考え始めた事も手伝って、過去購入したのだが一回や数次聞いたか、または聞いてその時点でヘビー・ローテーションになってもすぐ飽きてしまって、CD棚の奥の奥に突っ込まれた旧コレクションを一度洗い出してみようか…てな思いつきも起因しています。
そんな訳で、自分のささやかなコレクションCD(いわばリソース)を再度聴き直してみて、今後も所蔵し続ける意味があるのかも考える機会にしたいと思うに至りました。意外と「お宝発見!」になったりして…???

今回から、不定期に『旧盤知新』として、いわば死蔵されたそんな旧コレクションCDの中で、何枚かずつピックアップして新しい興味を喚起されたり、やはりガックリもののアルバムの数々をここにクレジットして、新しくコメントを記してみます。
なお、評価判断はイラストアイコン3種としました(ウレシイ顔=愛聴盤扱い・普通顔&手マーク=当面元の場所に再収蔵・ガッカリ=処分の可能性大)。

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≪ラテンコーナー:死蔵CDあれこれ~その1≫

・ラテンのジャズ、またはサルサ系のバンド編成ものを買い込む癖があるが、やはりこの手のサウンドはパターン化しており、特段の名演奏でもない限り、熱心に聴きこむことがない。その為、ついつい惰性で購入した後忘れ去るというお定まりコースになった、アルバムの数々なのでした。

1)Machito and His Salsa Band [1983 Grammy Award Winner]   (Impulse!/1988)  アメリカ盤

       

2)Bebo Valdes [Mucho Sabor]     (Palladium/1989)     EU盤

       

3)Tito Rodoriguez [En La Soledad]    (TR/?)    アメリカ盤

      

4)Manzanillo [Exitos de la Original de Manzanillo]    (EGREM/1990)     カナダ盤

      

5)Roberto Torres [Recuerda Al Trio Matamoros]    (SAR/1988)    アメリカ盤

     

6)Various Artists [All Great Stars / 60's Gold]    (Fania/1983)     アメリカ盤

       

7)Luis Oerico Ortiz [Saboroso!]    (Alfa Entertainment/1990)    日本盤

       

8)Luis Oerico Ortiz [At Valley Cottage]     (Polystor/1990)        日本盤

       

9)Steve Barrios [First World]     (Milestone/1995)     日本盤

       

10)Jerry Gonzalez & the Fort Apache Band [Moliendo Cafe]    (Alfa Entertainment/1992)    アメリカ盤

       

11)Richie Zellon [Cafe con Leche]    (Alfa Entertainment/1990)      アメリカ盤

      

 

≪寸評コメント≫
~過去、一時代を築いたラテンバンドのスタイルものは可もなく、不可でもなし。(1)は大野俊三(tp)も在籍していたマチートのビッグバンドで、本作は当初LP2枚組で作られ、それをコンパクト化。(2)は、チューチョ・バルデスの父にして、ピアニスト/バンド・リーダーとしても活躍したベボの楽しきグアラチャ、マンボやソンがテンコ盛り。
そこへ行くと、人気スターだったティト・ロドリゲスのボラード&ボレロばかり集めた(3)は、中々捨てがたいシットリした味わいの好盤。
キューバラテンの(4)と(5)。トリオ・マタモロスのトリビュートもの(5)は、歌曲の良さがシンガーの魅力不足をカヴァーしてセーフだが、マンサニージョ(4)の凡庸な音楽では、やはり今では陳腐すぎてつまらない。(6)は、60年代のラテンヒットが収められたオムニバスで、ジョー・クーバ、モンゴサンタマリア、ティト・プエンテらのマンボ、ブーガルーなど時代の音が記録されている、ニューヨークラテン胎動期の資料的価値あり。[Oye Como Va]のオリジナル版やJ.クーバの[バンバン]が結構イカシテいます!
一時は、日本でも人気のあったトランぺッター:ルイス・ペリーコの(7)と(8)だが、いかにもサルサらしい構成の(7)に比して、(8)は打ち込みとディスコ系ラテンになっていて、そのプラスチックさが駄作の証明である。
NYサルサ&ラテンジャズ界の先鋭的な試みを続ける一群のミュージシャン:J.ゴンサレスやS.バリオスの意欲作が(9)と(10)。共にラテンであり続けながら、ジャズらしさを追求する姿勢が今でも力強く、聞き手に迫る、まずまずの力作。特にS.バリオスの(9)には、最近良く聞くF.コールのボーカルにG.ワシントン.JRの共演があって、ボサノバから濃い味のラテンまで幅広くやっているのが新発見!
ラスト(11)は、ペルー出身のフュージョン系ギタリストのアルバムで、パキート、A.アクーニャ、J.アルマリオら有名なミュージシャンも参加しているもので、ペルーの民族音楽をルーツにしたジャズ&フュージョンに仕立てあげているのが面白い。

{総括}

*当時の流行のサルサは、今や陳腐になっているのに、古臭い感覚で聴いたキューバンミュージックやティト・ロドリゲスのアルバムは、反対に今聞くとやけに新鮮なのだから面白いものだと改めて思っています。ラテンバンドのスタイルは、不易なものとして時に触れ聴き直す事が出来ます。それこそ、我がラテン音楽体験の初心に帰るようなもので、棚の奥にあってもフト聴き直してみるのは意義ある事と再確認できました。


ジャズアーティストのコンピベストもので楽しむ

2015年06月01日 | ジャズ



Kenny Dorham [The Art of Ballad]
  (Prestige/1998)   アメリカ盤  165円   星4つ

 

~ドーハムがプレステージにて1950年代後半から60年にかけて吹き込んだもののうち、どちらかというとバラード調のスタンダードジャズを編纂したアルバム。当方としては、ブルーノートで吹きまくっていたイメージが強いK.ドーハムなのですが、一方では評判の良いPrestige「静かなるケニー」というアルバムがあった。そのLPからチョイスしたトラックも数曲混ぜての構成で、リラックスした中でのびのびと唄うドーハムはすごく良い。ブルーノートでのプレイも楽しいのだが、元々この人にはスローで歌い上げたい欲求(歌心)が強い人だったのだろう。それがあったからブルーノートでの一連のアルバムであっても、当方のようなファンキー・オンリー・ジャズ苦手にあっても、ファンキーさの中に味わいがあったから今でも心地よく聴けるのかも知れません。
セッションメンバーは、ロリンズ、キャノンボール、M.ローチ、P.チェンバースなどの錚々たる顔ぶれでクレジットを見比べ誰とのプレイが聴きものかを耳をそばだてて聞いている自分があって、今更ながらに昔のLP時代にこうしたコンピものではない、スタンダードなLPアルバムを収集したいというジャズファンの気持ちが少しわかる気がした。

 

Tommy Flanagan  [The Very Best of ~]  (Enja/2002) 日本盤  165円   星4つ

~トミフラは、晩年エンヤレーベルで相当数のソロ、トリオ、カルテットなどのアンサンブルものの録音を残している。これは、一時レーベルの枠を超えてキャンペーン展開されたCD-CLUB企画による日本企画・編集もの。彼の若き日の録音~かの名盤「オーバーシーズ」の後は、やはり円熟味とスイング感あり、歌心ありの貫録で余裕に満ちたマイウェイを貫いた感じがあり、特にエンヤのLPで当方そこそこお付き合いしたのだが、やはり「オーバーシーズ」の頃の若き活気に満ちたプレイより円熟味の中でのびのびと欧州的エレガンスさを持ったシンプルな演奏(これはベースのJ.ムラーツとの相性の良さと思う)ばかりだったような印象だった。
 そういう先入観で本アルバムを聴きなおすと意外や意外、スイングしパワーに満ちた躍動感あふれるナンバーが集められている。その背景にはどうやら、エルビン・ジョーンズの参加に影響されているようだ。編集が児山紀芳である点も、エンヤとしてはかなりSpicyな出来栄えになったのではないか。