~先日、よく行くようになったジャズ喫茶で聞いたアルバムが、すごくイカシテいたのだが、何か見たことのあるジャケイメージ。ふと、もしかしたら我が家にあるCDではないのかと思い、帰宅後よ~く調べてみたら、CD棚の一番奥まった場所から何とか見つける事ができた。
ここ10数年、中古市場に出回る格安CDの探訪で血眼になっているが、よく考えたら購入後丹念に聴きこみ、愛聴するCDは購入アルバムの中でも、さほど多くはない。おおざっぱに考えても、50%あるやなしや…デアル!
リスナーとしての感性は、それなりに出来上がって来てしまった〝耳年増野郎″にとって、その時点での好き嫌いの判断でアーティストの作品を一刀両断にしてしまう。なまくら刀によって、切りつけられた音楽家にとっては、確かにかなり酷なハナシだ。
時代性、その時点でのリスナーのコンディション等も少なからず聴き方に影響しているとも思うので、当時は気にいらなかったアルバムに新しい魅力を感じたり、再評価できる要素もありうるという事実に気づかされたという事。
さらに「断・捨・離」を少しずつ考え始めた事も手伝って、過去購入したのだが一回や数次聞いたか、または聞いてその時点でヘビー・ローテーションになってもすぐ飽きてしまって、CD棚の奥の奥に突っ込まれた旧コレクションを一度洗い出してみようか…てな思いつきも起因しています。
そんな訳で、自分のささやかなコレクションCD(いわばリソース)を再度聴き直してみて、今後も所蔵し続ける意味があるのかも考える機会にしたいと思うに至りました。意外と「お宝発見!」になったりして…???
今回から、不定期に『旧盤知新』として、いわば死蔵されたそんな旧コレクションCDの中で、何枚かずつピックアップして新しい興味を喚起されたり、やはりガックリもののアルバムの数々をここにクレジットして、新しくコメントを記してみます。
なお、評価判断はイラストアイコン3種としました(ウレシイ顔=愛聴盤扱い・普通顔&手マーク=当面元の場所に再収蔵・ガッカリ=処分の可能性大)。
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≪ラテンコーナー:死蔵CDあれこれ~その1≫
・ラテンのジャズ、またはサルサ系のバンド編成ものを買い込む癖があるが、やはりこの手のサウンドはパターン化しており、特段の名演奏でもない限り、熱心に聴きこむことがない。その為、ついつい惰性で購入した後忘れ去るというお定まりコースになった、アルバムの数々なのでした。
1)Machito and His Salsa Band [1983 Grammy Award Winner] (Impulse!/1988) アメリカ盤
2)Bebo Valdes [Mucho Sabor] (Palladium/1989) EU盤
3)Tito Rodoriguez [En La Soledad] (TR/?) アメリカ盤
4)Manzanillo [Exitos de la Original de Manzanillo] (EGREM/1990) カナダ盤
5)Roberto Torres [Recuerda Al Trio Matamoros] (SAR/1988) アメリカ盤
6)Various Artists [All Great Stars / 60's Gold] (Fania/1983) アメリカ盤
7)Luis Oerico Ortiz [Saboroso!] (Alfa Entertainment/1990) 日本盤
8)Luis Oerico Ortiz [At Valley Cottage] (Polystor/1990) 日本盤
9)Steve Barrios [First World] (Milestone/1995) 日本盤
10)Jerry Gonzalez & the Fort Apache Band [Moliendo Cafe] (Alfa Entertainment/1992) アメリカ盤
11)Richie Zellon [Cafe con Leche] (Alfa Entertainment/1990) アメリカ盤
≪寸評コメント≫
~過去、一時代を築いたラテンバンドのスタイルものは可もなく、不可でもなし。(1)は大野俊三(tp)も在籍していたマチートのビッグバンドで、本作は当初LP2枚組で作られ、それをコンパクト化。(2)は、チューチョ・バルデスの父にして、ピアニスト/バンド・リーダーとしても活躍したベボの楽しきグアラチャ、マンボやソンがテンコ盛り。
そこへ行くと、人気スターだったティト・ロドリゲスのボラード&ボレロばかり集めた(3)は、中々捨てがたいシットリした味わいの好盤。
キューバラテンの(4)と(5)。トリオ・マタモロスのトリビュートもの(5)は、歌曲の良さがシンガーの魅力不足をカヴァーしてセーフだが、マンサニージョ(4)の凡庸な音楽では、やはり今では陳腐すぎてつまらない。(6)は、60年代のラテンヒットが収められたオムニバスで、ジョー・クーバ、モンゴサンタマリア、ティト・プエンテらのマンボ、ブーガルーなど時代の音が記録されている、ニューヨークラテン胎動期の資料的価値あり。[Oye Como Va]のオリジナル版やJ.クーバの[バンバン]が結構イカシテいます!
一時は、日本でも人気のあったトランぺッター:ルイス・ペリーコの(7)と(8)だが、いかにもサルサらしい構成の(7)に比して、(8)は打ち込みとディスコ系ラテンになっていて、そのプラスチックさが駄作の証明である。
NYサルサ&ラテンジャズ界の先鋭的な試みを続ける一群のミュージシャン:J.ゴンサレスやS.バリオスの意欲作が(9)と(10)。共にラテンであり続けながら、ジャズらしさを追求する姿勢が今でも力強く、聞き手に迫る、まずまずの力作。特にS.バリオスの(9)には、最近良く聞くF.コールのボーカルにG.ワシントン.JRの共演があって、ボサノバから濃い味のラテンまで幅広くやっているのが新発見!
ラスト(11)は、ペルー出身のフュージョン系ギタリストのアルバムで、パキート、A.アクーニャ、J.アルマリオら有名なミュージシャンも参加しているもので、ペルーの民族音楽をルーツにしたジャズ&フュージョンに仕立てあげているのが面白い。
{総括}
*当時の流行のサルサは、今や陳腐になっているのに、古臭い感覚で聴いたキューバンミュージックやティト・ロドリゲスのアルバムは、反対に今聞くとやけに新鮮なのだから面白いものだと改めて思っています。ラテンバンドのスタイルは、不易なものとして時に触れ聴き直す事が出来ます。それこそ、我がラテン音楽体験の初心に帰るようなもので、棚の奥にあってもフト聴き直してみるのは意義ある事と再確認できました。