格安CDエクスプローラー

<100円からのCD批評>
~主に中古CDを漁り歩いて幾年月/好きなジャズ、ラテン音楽を中心に勝手・気ままな音楽批評

<カセットテープ番外地>Vol.6~おまけの落語編

2013年01月23日 | カセットテープ番外地

「ミュージックテープ回顧噺与太:その6~落語家の巻」

*シリーズ最終回は、音楽の余話から脱線して「昭和に花咲いた落語」について、少し余計なオシャベリをば……。

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◎落語家~余計なお話し◎

◎昔昔、昭和の時代のジャズミュージシャンは、結構落語通な人が居たし、ジャズ仲間での符丁で落語の様な言い回しを好んでいたらしい。ジャズのアドリブと落語のまくらにはどこか親和性を感じたりもしている。今や平成の落語に対して、興味はそれほど当方にないが、若き時期に一時は本当に落語のテープを何度も何度も聴き、噺家の口真似もして酒の肴にしたこともありました。

そんな時代に、買ったテープも文字通りなかなか捨てがたいものなのです。ここにはないのですが、文楽も大好きで、志ん生と並んで当方にとっては、2人は〝演芸会のマイルス、コルトレーン”みたいなレジェンド的存在です。

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   (桂文楽) =もう、サイコ~!! あばらかべっそんのべけんや でげすな…

   <古今亭志ん生>

~「火焔太鼓」「品川心中」「お直し」といった定番落語で、もうこの人の世界にハマりました、私め。なんたって理屈じゃあない面白さ、そのマクラが楽しみで通う客たちの笑い声と楽しさがテープから伝わってきます。フラ(=落語、演芸ものにつきものの演者自身が持つ存在感の面白み)のあり方がもう一線を超えています。志ん生のマクラじゃあないけど、英語で言うと何か憎めない『フラ爺ちゃん』……なんてね。

   <三遊亭圓生>

~昭和の名人として、最後まで凄かった芸人。この人が亡くなった日に、上野のパンダが死んだニュースが名人の死亡記事より大きく扱われて、”ハナシ家のオチ”として落語好きの連中に大きく広まったというエピソードもある。晩年に、落語協会の内紛から独立した派閥:三遊亭一門を引き連れたドタバタが記憶にあたらしい。その一門に関しては、システムの在り方がどうだったのか。悪いが、この人の弟子筋のテイストが当方どうにも苦手で、あまり今では圓楽筋の落語は聴きたくないのは何故だろうか?

    <三笑亭可楽>

~声質と語り口がいかにも江戸前でスッキリとした味わいが気持ち良い噺家。戦後の日本のジャズマンで可楽ファンは結構多かった。少し、苦みのある面構えとそっけないような風情がたまらない人も少なくない筈。

   <春風亭柳橋>

~春風亭という門は、独特の味があって好きな人も多い。柳橋も特段光るもの、何かを唸らせる芸風はないがどこかほのぼの、正に春の陽気的ユルサ。今の春風亭(例えば、昇太)にもつながる不思議な可笑しさ(フラ)があった。

   <三遊亭金馬>

~〝ハゲで出っ歯の金馬”で有名。元講釈師という変わり種で、少し話が大仰なきらいがあるので、一般受けがあっても「通」好みではないかも。口上みたいな筋立てものややたら長い言い回しの続く時にそれが感じられるが、一方イキイキと活写された名演「藪入り」の子供像は、正に金馬の独壇場だった。

   <三遊亭円遊>

~小粋でこじんまりとした芸風が、なかなか捨てがたい噺家。踊りをたしなむのか、和物をうまく扱う所作が粋だった。

 

*え~、おあとがよろしいようで……お付き合い頂き深謝!!


<カセットテープ番外地>Vol.5~ジャズ&フュージョン、ロックの巻

2012年12月20日 | カセットテープ番外地

「ミュージックテープ回顧噺:その5~ジャズ&フュージョンの巻」

*今回のテーマは、今や本ブログの主要モチーフたるジャズとフュージョンの音楽テープについて…。 

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◎ジャズ&フュージョン編◎

*ジャズやフュージョン、さらにロック、ポップスについては、ほとんどレコードで十分収集できたので、好き好んでテープで持っている必然性もなかったので、自然とカセット本数は少ない。日本版テープは、中古店でたたき売りしていたので値段のみ気にいって購入の巻。

   <ステップス・アヘッド>

~第1期オリジナルのステップス来日公演の頃から好きで、LPも数枚保持。レーベルもエレクトラ・ミュージシャンに移籍した後メンバーチェンジしてネーミングを変えた(ブレッカー兄の嫁さんとなり、離婚までに至るE.イリアスがピアノの担当)。たまたま、ボストンのフリーマーケットで新品が安く出ていたのを見つけて購入。イリーヌさんもあまりブラジリアン色を『出していない』。

  <ビル・エバンス>

~アメリカ版カセット。やはりエレクトラ・ミュージシャンからメジャーデビューしたSAXのエバンス1stアルバム。まだまだマイルスバンドの影郷を色濃く残したアルバム。

   <ジム・ホール>

~チェット・ベーカーやヒューバート・ローズが参加のCTI作品。クラシックとフュージョンした「白鳥の湖」をテーマにして、CTIお得意の路線。やはり大ヒットアルバム「アランフェス協奏曲」の後を追った可もなく不可もない、当時流行のパターン。

   <チェット・ベーカー>

~ブラジルのキーボード奏者:リック・パントージャとの共演で、フュージョンの味付けジャズをプレイ。ブラジルのお土産で購入したので、期待しなかったが意外とイカシテいるリラックスしたセッションのアルバムで、例によって数曲ボーカルを披露。(やはりエレクトラ・ミュージシャン作品)

   <テリ・リン・キャリントン>

~今や当たり前だが、ドラムをプレイする女性の先駆けで恰好良かったテリさんのデビュー盤。実は、参加メンバーにサンタナが居たので、止むに止まれずそれだけで購入の巻。

    <ランディクロフォード/笠井紀美子>

~若いジャズ&フュージョンの女性シンガーブームがあって、色んな人が現れたが、アルバムを買い求めたのは、クルセダーズとのコラボで有名なランディさん。スマッシュヒットも含まれる、伸びシロ一杯で充実期の1枚。もう1つは、H.ハンコックの後押しでHead Huntersバンドメンバーの参加もあり、どんなものかと買った笠井紀美子。まあ、本家の同名アルバムの助けで作った色合いが濃すぎたのが減点の要因で、小生の本音は恰好良い女性ボーカルだったから阿川某女なんかより数段に好き。しかし、その後彼女は音楽業界からトラヴァーユしてジュエリーデザイナーとなってしまった!!少し残念。

   <デーブ・グルーシン>

~グルーシンのベストアルバムで、映画音楽からの作品も含まれる。総花的なアルバムなので、カーステレオで良く聞いた。

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 ◎ロック&ポップス編◎

 *これまた、基本はレコードでの収集だったので、本当に持っていない。気まぐれ購入または、破格の安さの故の購入でしかありません。

 <レオン・トーマス>

~~たまたま大阪を旅行中、街角のバッタセールで下掲の「Viva Santana」と一緒に買った。トーマスは、サンタナバンドのボーカルメンバーだった事もあって、どんな雰囲気のアルバムか気になったもの。

    <サンタナ>

~サンタナのアルバムコレクションに夢中になっていた時期で、格安だったらテープであろうとLPだろうとすべて即購入の結果。コンプリートコレクションを目指していた。

  <ジプシー・キングス>

~時はバブル絶頂期:ラジオで流れる「バンボレーオ」「ジョビジョバ」などのジプシーキングスも、今や中古CD屋の花形スターとなってはいるが、当時は中々中古盤の良い価格帯になってくれず、苦労して見つけた安値のテープ。聴きこんだら、すぐに飽きた1本。

  <山下達郎>

~特に当方の趣味ではなく、当時つきあっていた女性からのプレゼントもの。守備範囲ではなく、当時からほとんど聴いていない。

  <ルチオ・ダリャ>

~イタリア旅行のお土産で、イタリア人のお勧めに従って人気のあった彼の作品を買う。その当時は、特段その良さが判らず、10数年経って聴いてみたら、結構私のゾーンの中になっていた。

 


<カセットテープ番外地>Vol.4~ラテン歌謡&フォルクローレの巻

2012年11月14日 | カセットテープ番外地

「ミュージックテープ回顧噺:その4~フォルクローレ等の巻」

~今回のテーマは、「フォルクローレ」と「ラテン歌謡(メキシコ音楽)」にまつわるカセットテープから見たアーティスト像……あれこれデス!フォルクローレと侮るなかれ:人生の伴侶として、一生付き合えるグッドミュージックの数々がそこにはあります。

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◎フォルクロール編◎

   <メルセデス・ソーサ>

*ラテンアメリカ諸国を代表する音楽界の母として、今でも愛され続けている偉大なアルゼンチンの歌手(2009年10月に死去)。フォルクローレ、伝統的な民俗歌曲を数多く録音する姿勢は、軍事政権下であっても戦う者たちを勇気づけた。地味に思われがちなフォルクローレを普遍的な人生の賛歌として位置づけ、聴く人を圧倒するパワーは死ぬまで衰えず、母国に留まらずラテン諸国の音楽に与えた影響は計り知れない。このアルバムは、アルゼンチンやブラジルの歌手たちとの共演もので、これ以外にカエターノ・ベローゾなどブラジル音楽界とのつながりも深い。

  <ウーゴ・ディアス>

*アルゼンチン出身のハーモニカ奏者で、一応音楽のカテゴリーは"フォルクローレ”だが、今日的にはワールドミュージックの先駆け的音であり、インストナンバーとしてユニバーサルな響きを聞かせてくれる。70年代初頭に、初めてこの人の音楽をNHK・FMの「世界の音楽/中南米」にて聞いた時、本当にぶっ飛んだ私。その切なく泣きわたり、あまねき届くようなハーモニカの音色に、深く心を揺り動かされたが、なかなか手に入れるのが困難であった為、アルゼンチンに旅した際に購入した想いでの品。トゥーツ・シールマンスもスゴイが、このウーゴのハーモニカも恐ろしいまでに美しく、人の琴線に触れて来る必殺のサウンド!!!

  <エドワルド・ファルー>

アタウアルパ・ユパンキと並んで、アルゼンチンのフォルクローレ界を代表する巨匠。ギタリストとしてのテクニックは勿論だが、歌も渋く上手い人で「カンデラリーアのサンバ」などの佳曲がある。彼のベスト盤では、正確でキレのあるギターのお手本のようなプレイが聴ける。

   <ハイメ・トーレスとエドワルド・ガンボ>

*チャランゴの名手:ハイメ・トーレス(ペルー出身)がこれまたクアトロ(4弦ギター)の名手:エドワルド・ガンボと共演のインスト・フォルクローレの名作だと思う。土着だが哀愁があり、一方では美しいモダンな音楽みたいな感じに聞こえたりもする不思議さ。アルゼンチンにてお土産の1つとして購入したカセット。

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◎メキシコ歌謡・ラテンポップス編◎

         <タニア・リベルタ>

*メキシコの歌手で、静かな曲からアップテンポなパチャンガ調の楽曲まで、幅広く歌いこなす素敵な女性。見た目はカワい子ちゃんだが、内容が伴っている凄腕で、ギターのレイ・マンザネラとの共演で、ラテンボレロ歌集の録音もしている実力派。今回、ネットで再調査したところ、色っぽさは変わらない熟女になっていて、母国のショービズ界で今でも現役で頑張っているようだ。

  <イーディ・ゴーメ>

*アメリカンポップスの人気スターで、夫君・スティーブ・ローレンスとのオシドリコンビでもヒット曲を連発しているが、ラテンファンにとっては、60年代に制作されたこのトリオロス・パンチョスとの共演シリーズや「リカルド・ボサ」の入ったアルバムのセンスの良い歌声に多くの人が魅了された。メキシコのヒット歌曲の定番が記録されている楽しく、誰もが好きな歌謡が詰まった、いまや名演のスタンダード・アルバム「Amor」

    <ラファエル・カラ>

*ラテンポップスというのと若干立ち位置が違うのだが、スペインを始めラテン諸国でも70年代から80年代初め頃、非常に人気のあったイタリア人歌手・女優。チャラチャラしたお軽い雰囲気だが、陽気で明るきイタリアの気質丸出しキャラも愛されたポップスを歌う。派手なアクションや唄いっぷりが、ラテン色の強い国でそれなりに愛された人。お婆ちゃんタレントとして、今でも母国で活躍しているらしい。


<カセットテープ番外地>Vol.3~サルサアルバムのあれこれ

2012年10月17日 | カセットテープ番外地

「ミュージックテープ回顧噺:その3~サルサアーティストの巻」 

*シリーズ3回目は、ラテン&サルサミュージックのカセットテープに関するアレコレ……。

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   <ルーベン・ブラデス>

*ルーベンは、レイ・バレット楽団のシンガーとしてスタートし、ウィリー・コロンの後押しでファニアからデビュー。メッセージ性とポピュラリティを兼ね備えたサルサ音楽を作曲し、スマッシュヒット[Pedro Navaja][Ligia Elena][Plastico]などを出していた頃の彼は本当に恰好良かった!そんなファニア時代のスーパーヒットもの(Bestアルバム)は、サルサ入門編としても最適だと思う。

   <セリア・クルス&レイ・バレット>

*Mano Duro(ハード・ハンズ)ことレイ・バレットは、ブルーノートのジャズアルバムの時代から名盤と呼ばれる作品のバックでコンガをプレイした事で有名。キューバ出身でソノーラ・マタンセーラのシンガーとして売り出し、ソロ活動が絶頂期に在った事からバレットやティト、パチェーコらとの共演で数多くのアルバムをリリースしていた頃の1枚。このアルバムは、プエルトリカンのアダルベルト・サンティアゴが加わって、ボリケン調子とキューバン感覚がNYサルサで組み合わさったお定まりのラテンサウンド。

   <ルイ・ラミレス&レイ・デ・ラ・パス>

*能天気で明るさが基調にあるサルサとしては、一番手に挙げられると言えるサルサコンビ。バイブを中心にプレイしていたパーカショニスト:ラミレスが、色んなバンドで実力を磨いてきたレイ・デラ・パスのお気楽な歌声と合わさるとキャッチ―で楽しいお気楽音楽が生まれる。

   <オスカール・デ・レオン>

*ベネズエラ出身のシンガー&ベーシストで、7~80年代は、少し荒っぽい味わいが売りだったサルセーロ。野太くグイグイ唄う声とNYサルサに見られるシャープなラテンと違うサルサ、ちょっとイモっぽい感覚で行く姿は楽しい。

  <ウィリー・ロサリオ>

*ティトと同様にティンバル奏者であり、バンマスのプエルト・リコ人。不勉強ながら詳しいインフォも知らなしであり、極東の日本人に受けるような売りは、特に感じない。

   <ティト・プエンテ>

*70年代からコンコードジャズからラテン・ジャズ・オーケストラとしてグラミー賞ラテン部門を総なめにしていた頃のアルバム。ジャズスタンダードをラテンに仕立てるという定番のスタイルが完全に出来上がって、その方式ばかりだったので正直言ってマンネリ化気味でした。

  <エレーナ・ブルケ>

*フィーリンという情感たっぷりな歌スタイルで人気のあったキューバの女性歌手:エレーナ・ブルケのベストアルバム。買ったラテンアメリカ音楽のシリーズものとして出されたスペイン製カセットのデザインは、あまりにも味気ないジャケット。

  <ファニア・オールスターズ>

*70年代初期に、最も勢いのあったラテン音楽を作り出していたといっても良いミュージシャンたちの姿がファニアレーベルに多く残されている。特に、ライブ録音ものが優れていて、時代の有様や当時のラテン音楽の持っていたボルテージの高さをうかがわせる貴重な音楽アーカイブの1つ。

 ~サルサという言葉もあまり聞かす、市民権を得ていなかった時代=まだまだラテン関連の音楽情報に飢えていた時代だったので、サルサとかラテンと題されたカセットテープを必死で漁っていたので、スカや外れのサウンドをやたら多くつかまされた学習&修行の時代でした。従って、クンビア、サルサ、ラテンというキーワードで買ってしまったB級・C級のカセットテープの幾つかがまだ残っていました。ある意味、学習教材だったのかも??


<カセットテープ番外地>Vol.2~MPB:男性アーティストの巻

2012年09月17日 | カセットテープ番外地

「ミュージックテープ回顧噺:その2~MPB男性アーティストの巻」

 *昔のカセットテープのコレクションの第2回目は、ブラジルポピュラー音楽(MPB)界の男性アーティストのオハナシ。

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      <カエターノ・ベローゾ/ジャバン/ジルベルト・ジル>

*いずれのシンガーも、私が本格的にブラジル音楽に傾倒していく80年代初頭には、ビッグネームとして日本やアメリカの音楽業界でも知れ渡っていた。特に、ジャバンは、S.ワンダーがハーモニカで参加した「サムライ」が大ヒットした事もあって、アメリカでのプロデュースでフュージョン含みのサウンドにもアプローチしていた。カエターノも、ライブで英語の曲を出し始めた。彼らのカセットは、いずれも80年代後半にニューヨークへ行った際、みやげでHMVにて購入したもの。

  <シコ・ブアルキ>

*ボサノバ時代から優れた歌曲を作り続けてきた偉大なコンポーザーで、数多くの作品に付き合ってきた。作曲家としては本当にサイコ~なのだけれど、ご本人の歌自体に魅力を感じてきた事は、私自身正直言って少ない。でも、いつも他のアーティストが歌うシコの作品には魅了され続けているので、ついつい手を出してしまったカセット。

   <ネイ・マトグロッソ>

*怪人、奇妙奇天烈な扮装(今でいうディーバ風)、オカマメイクで唄う甘ったるい声、加えてゲイとしてのカミングアウトもしていた凄くぶっ飛んだシンガーの元祖。しかし、意外と音楽は正攻法で結構イケテる曲が多い。

   <ジョアン・ノゲイラ>

*サンバで味わいのあるオジサンはたくさん居るが、そこ中でもどこか人柄に良さがにじみ出るような歌を聴かせてくれたアーティスト。

  <ペペウ・ゴメス>

*バイーアのトリオ・エレクトリコ(カーニバルでの山車のパフォーマンスバンド)でロッカーとして売り出し、ジルベルト・ジルなどと共に欧州のジャズフェスタで注目されるようになったのが、1970年代。そのデビュー盤にあたる作品で、日本でもワーナーからリリースされた。この「人の嫁さん」でやはり尖がったファッションで良きコンビだったのが、ベビー・コンスエロで彼女が出すアルバムはいつもペペウの特長のあるギターサウンドが聴ける。

  <エミリオ・サンチアゴ>

*私が勝手に「ブラジルのサンバ寅さん」と命名しているベテラン歌手。かれのデビュー盤(Phillips)の時から注目していたのだが、本格的に好きになったのがこのヒットシリーズ「ブラジルの水彩画(Aquarela Brasilia)」のアルバムからだった。これは、ブラジル歌謡曲のヒットナンバーを彼なりに歌い上げたシリーズもので、誰もが知っているブラジル佳曲を楽しく歌い上げる円熟味が堪らない。こんな≪柳の下のドジョウ≫を延々と続け、マンネリを恐れない姿勢がまさに”寅さん!”ではないかと、勝手に思っています。

   <パオリーニョ・ダ・ビオラ>

*ビオロン(ギター)の名手として名高い人なのだが、彼の作る曲のセンスといったら無い~親しみやすさと哀愁と混在した佳曲は絶品で、この人が出したアルバムを色々探し回り、メイン写真の中にある2本はニューヨークのHMVでようやく入手した忘れがたいテープ。

     <ジャイル・ロドリゲス>

*60年代から活躍し、エリス・ヘジーナとの共演アルバムでも知られる、MPBの大御所歌手。とにかく楽しく、歌が上手い。声質が素敵で、安定感ありすぎ!イメージ写真のテープは、イタリアにて入手したイタリア語のバージョン。ジャケの写真は、息子。

   <アジムス>  (正確な読みは{アジムッチ})

*ブラジリアンフュージョンバンドの先駆けで、世界的にもヒット曲を出した、ジョゼ・ベルトラミ率いるバンド。トリオながら、その作り出すサウンドのユニークさで今でも人気があり、我が国においては70年代後半にオンエアーしていたNHK・FMの「クロス・オーバー・イレブン」で使われた曲で根強いファンを持つ。

   <トニーニョ・オルタ>

*M.ナシメントと長い期間一緒にプレイをして来た、ミナジェライス派の中堅ギタリスト。このアルバムは、メジャーデビュー盤でVerve系列のフュージョンジャズレーベル「Forecast」からリリース。ジャズ&フュージョン界で評判となり、P.メセニーらにもインスピレーションを与えたとされて、この次のアルバムで共演している。

   <ジョアン・ボスコ>

 *エリス、クララ・ヌネスのアルバムを通じて、そのユニークな曲が興味を引き、それと同じ頃にスイスのモンタレージャズ祭のブラジリアンナイトでのギター1本で見せた圧倒的なライブが話題になったアラブ系のシンガーソングライター。彼の奥さんが作った人形をジャケットに使った秀作「Gagabirô」(1984)の出来栄えが凄かったので、当方は夢中になった。BarcleyというレーベルからCBSに移ってからは、日本でもでかなりのLPを出している。

 

~サンバグループのあれこれは、パゴージだ、サンバ・エンレードだという用語を知る為、色んなアルバムを物色したが、結局皆同じ感じで、上記アーティストの作品以外記憶に残るモノが少ない。また、ショーロも好きではあるが、飛び抜けたアルバムにはなかなか巡り会わない。


<カセットテープ番外地>~懐かしさ満載の音楽テープ・あれこれ Vol.1

2012年08月15日 | カセットテープ番外地

~今回から、CD批評とは別の企画として、『カセットテープ番外地』シリーズを始めます。最近になって、身辺の整理をしていたら、本棚の片隅の埃をかぶった音楽カセットの塊を見つけた。ついぞ、この10年近く聞いたことのないテープが100数本あったので、引っ張り出して少し聴いてみたりしています。
 殆どが、70年代末から80年代中盤までのもので、今となってはそれなりにレアであるし、これが結構楽しい作品ばかり!!!

若い日には、ラジオやLPから音楽をもっぱらカセットで録音し、自作のテープにしたものだったが、日本の音楽愛好家の多くがカセットテープで音楽を聴くというスタイルは殆どしないのが普通。やはり、レコード購入によるというのが定番 。しかし、海外ではテープでの音楽愛好も盛んであった為、中米や欧州に行った時、オミアゲ代わりに色々と買 ってしまったのが、少しずつ溜まってしまった結果、部屋に残っていました。折角なので、数回にわたってあれこれ想い出を書き連ねてみます。


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「ミュージックテープ回顧噺:その1~MPB女性アーティストの巻」

       <マリア・クレウーザ>

*私が、クレウーザを初めて聞いたのが、ここにある「Sabor A Samba」でした。声質に惹かれ、レコード屋で見つけては少しずつ買っていった。ブラジルのシンガーで人気のある人は、多国語で吹き込むアルバムも好まれるため、この人も「マリア・クレウーザ/スペイン語で唄う」ベストアルバムもスペイン語盤です(すべてスペイン製音楽テープ)。 

  <エリス・ヘジーナ>

 *私が、エリスにハマったキッカケとなったテープで、文字通り擦り切れるまで繰り返し聴き倒した、愛着のあるテープ。J.ボスコ作「酔っ払いと綱渡り芸人」から始まり、ジョイスの名曲、さらにはカルトーラのサンバに至るA面の数曲を今でもこよなく愛しています。残念なことに、こうした素晴らしい作品を残しつつ、ドラッグの影響でこの数年後に彼女は亡くなる。

  <ガル・コスタ>

*ガルは、日本のFMで聴いてから好きになって、 追い続けて、たまたまこの「Minha Voz」は持っていなかったので購入。名曲「Luz do Sol」やB面ラストのカエターノ、シコ、ジルのヒット曲メドレーも爽快な秀逸なアルバム。面白い事に、スペインでのカセットでA・B面のトップの曲は、スマッシュヒットしたナンバーをスペイン語バージョンで吹き込んでいるスペイン語圏仕様。

  <ナラ・レオン>

 *ブラジルに行った時に購入。彼女の青春期に親しんだアメリカのスタンダードソングがボサノバに変身。聴きやすく、モタレないスタイリイッシュ音楽の定型。このスタイルが今やボサノバのポップススタンダードになっている(小野リサなどの手法は、この人の影響ではないだろうか?)

  <シモーニ>

*元バスケットの選手という大柄の女性シンガーで、マニッシュな雰囲気が売りだったシンガー。日本でも一時CBSから数枚アルバムがリリースされたが、あまり人気に火は付かなかったようだ。

    <マリア・ベターニャ>

Pássaro Proibido(1976)A Beira e O Mar」(1984)の2作でブラジルにて購入。やはり、後者のアルバムの方が親しみやすく、好きなのでこの感じをず~っと続けてほしかったのだが、90年代以降段々と面倒くさい感じの歌世界に入って行ってしまう彼女。

   <イヴォンニ・ララ>

*"サンバ界の女主人”という異名を持つ、女性サンビスタの第一人者。これは、1987年頃の作品。いわゆるパゴージなのだが、彼女自身作曲する作品を唄い、多くのシンガーの影響を与えている。近年までずーっと第一線で活躍し、色んな人との共演作品が楽しい。

   <エルバ・ハマーリョ>

*派手なパフォーマンスと衣裳に、やたら明るく元気な派手派手シンガー。バイーヤ発の音楽をポピューラーにした、チンバラーダにつながるイケイケシンガーの草分け。当方には、この人の明るく元気すぎる軽薄なスタイルが少々苦手だった。

  <アル・シオーネ>

*この人のデビュー盤「愛のサンバは永遠に(NAO DEIXE SAMBA MORRER)」でヒットした時に好きになり、FilippesからRCAに移籍したが、ともかくアルバムを暫く追っていった。 サンバを唄わせたら上手い歌手の筆頭格で、野太い声質はブラジル・サンバの楽しさと明るさを体現している。

  <ベッチ・カリバーリョ>

*パゴージの優れたシンガーとして、日本でもRCAから70年代後半に続けざまにアルバムをリリースし、注目された女性サンバシンガー。その傑作アルバムとして評価が高いこの「Mundo Mehhor」(1976)では、カルトーラやゴンサガのサンバの良さを再認識させる。当方のカセットは、スペイン製なのでアルバム表記がスペイン語。

  <バニア・バストス>

*中間派というか、MPBのサウンドとして非常に都会的なスタイルを持ち味にしている人。このアルバムの[O Gato(猫)]という曲が、可愛くキャッチ―で好きになって、テープにて買ってしまった。記憶違いでなければ、これが彼女のデビュー盤ではないだろうか。

  <ナザレ・ぺレイラ>
 ブラジルのルーツ音楽として、素朴だが味わい深い楽曲を唄っていた人。LPを買って気にいってから、少し買うようになった。このアルバムは、文字通り「Naturareza(自然)な雰囲気が横溢し、なかなか捨てがたい素朴さを味わえる。

  <ヒタ・リー>

*70年代、ブラジルのロックで一番先端を行っていた女性がR.リー。夫で相棒のR.カルバーリョとのコンビでスマッシュヒットを連発していたが、その後、彼女の極めて個性的なスタイルが進んで、ソロ活動を中心になっていった。このアルバム「Zona Zen」は1988年の作品。

  <ジジ・ポッシ>

*都会的なMPBシンガーとして日本でも一部のラテン音楽マニアにも知られていた女性シンガー。瓜実顔で物憂い雰囲気で堪らない(今ではかなりオバサンではあるが、その色っぽさは健在みたい…)

   <マルゲリッチ・メネゼス>

*D.バーンが、ブラジル音楽を欧米マーケットに紹介するプロジェクトをキッカケに、アメリカや日本で注目されて購入したカセット。同じ時期に確か、M.ローク主演の映画でも彼女の歌が挿入されていた。アフロ感覚を盛り込んだブラジルの濃さが感じられる歌いっぷりは好みが分かれるかも?