格安CDエクスプローラー

<100円からのCD批評>
~主に中古CDを漁り歩いて幾年月/好きなジャズ、ラテン音楽を中心に勝手・気ままな音楽批評

ラテン格安CDアラカルト

2009年12月29日 | ラテン音楽


ウィリー・コロン&ルーベン・ブラデス   [Tras la Trementa/トラス・ラ・トレメンタ]       国内盤       (Epic/1995)     250円 

 Willruben       星3つ    Laughing

      一時は仲たがいしたという噂もあったWillie Colon & Ruben Blades。原題[Tras La Torementa]は『嵐を超えて』の意味だから、正に暫く距離を置いた後の再会セッションという訳なのだろう。しかし、ルーベンがメジャーになる前のファニア時代、中々日本にサルサ音楽のLPが入らず、その反動から後日海外で2人がコンビを組んだLPを買い漁った者としては、再結成アルバムは内容如何に関わらず、非常にメモリアルアルバムとして価値が高い。
早く亡くなったあのエクトール・ラボーに捧げた1曲目から思い出を振り返るが如き内容の曲が続き(タイトルも「笑い者になること」「全てか無か」… )、それぞれの腹には未だ一物ありそうだ。アルバムの出来としてはまあ普通の上位だけれども、我が青春のラテン音楽アイドルとして今だ輝いている。

Astor Piazzola [Suite Punto del Este]       250円 外国盤:イタリア  (Azzura/1999)

Astorpz       星3つ    Looking

  ライブ録音の様子で、細かいクレジットがまったくないので判らないが、レーベルがイタリアのものなので、ヨーロッパ公演での収録でないかと思われる。録音自体あまり良いものではないのだが、アストラのドライブに満ちたバンドネオンの臨場感を楽しめる点が嬉しい。最後に近年ヨーヨーマの快演で有名になった[Libertango]も収録されている。おそらく晩年に近い時期の録音だと推察しているが、アピアソラのパワーは衰えてはいない。

 

Titango [Titango/I tango you!]     外国盤:ドイツ 250円 (Danza y Movimiento/2000)

Tangoyou       星3つ     Alien

 ドイツはハンブルグ出身のタンゴバンド。どうやらハンブルグのタンゴサークルから生まれたらしく、メンバーは、ヨーロッパ各国から集まった人たちで構成されている。しかし、コンチネンタルタンゴの伝統ではなく[アルゼンチンタンゴの王道を好きだからやっていく]という主義主張がグループ名から伺えるのが頼もしい!(どうしても整いすぎるきらいがあるのが、難点だけれども…)
 ラテンとしてのタンゴというより、欧州アプローチ(コンチネンタルタンゴ)の流れを汲みつつも、アルゼンチンタンゴの本道を追求していく姿勢である。

~てなことで、今年も押し迫りまして、我がCD棚から引っ張り出しながら大掃除の間、こんな音楽をかけて来年も正月から特売のCDを探す予定を立てています。


ピアソラの世界をギタリストが表わすと…

2009年12月22日 | ラテン音楽

 

 ~10数年くらい前にタンゴブームが世界的に起こり、中でもピアソラのタンゴらしからぬモダニティがもてはやされた。ギタリストにとっても魅力的な曲想が、多くのアーティストのピアソラアルバムになってリリースされたが、今想うとあの熱気は何だったんだろうか?今回は、2人のギタリストがそれぞれの手法でピアソラへのオマージュと相成った。

 

Al Di Meola [Plays Piazolla](Bluemoon/1996) 外国盤:アメリカ    250円
Dimeola                         星3つ           Mad

 早弾きテクニシャンで、少し情感希薄なギタリストと当方が勝手に思っている癖に、中古盤CDがあるとつい手が伸びてしまうアル・ディメオラ。彼の『The Infinite Desire』というアルバムは予想外に良かったので、もしかするとこれも内容の濃いものかと期待したのだが、残念賞でした。
 というのも、ピアソラの持っているテイストがどうにも感じられず、いつものディメオラ調が時代に合せてピアソラへのアプローチをしましたという感じが強いからです。タンゴとも違うし、ピアソラの持つ叙情があまり感じない、ディメオラ独特のオベーションが浮き出していて音色にあまり情感がついてこないのでした。リズム感は良くともギター自体の表現世界は小さくて、アサド兄弟のスケールの大きい表現に比べちゃうと可愛そうなくらい、位相が違いすぎる。
 しかし、一方でこの人の素地に流れるメロディやタイム感覚などは、ピアソラの影響がかなり強いのかも知れないと思わせるようなアルバムでした。当方の思うピアソラではなくて、例の“ディメオラ”ピアソラという内容です。

 

Slava Gaigoayan [Dance of the Angel]      (Sony/1997)   外国盤:オーストラリア 250円

  Slava                    星3つ                   Soso

 どうにも正式なインフォメーションが入手しにくいアーティストで、おそらくオーストラリア生れのギタリストだと思うが、名前からして東欧系じゃないかなどと色々考えている。アルバムリリースも、本CDとライブ盤が出ているだけで、あまり市場にも出回らないミュージシャンである。こちとら全くの先入観なしで収録曲だけで購入したのが、結果オーライ!成功になった。余談だが、以前はこうしたチョイスでLunaNegraのオッタマー・リバートを購入して、大後悔したこともあり、いつも成功するとは言えない。
 ピアソラのタンゴを中心に、A.C.ジョビンとB.パウエルをもカバーしている。ピアソラをギターでというと、アサド兄弟が有名だが、それに比べるとアプローチがどちらかというと軽く、聞きやすい仕上がりで、かといってアル・ディメオラの同様のアルバムよりも聞く人のハートにせまってくるような真面目さが感じられる。技巧に走らないで、真摯にタンゴの基本線を踏み外すことなく表現しているのが伝わってくる。若さ故の未熟さが少し滲むけれど、前記ディメオラのCDよりずっと好感度の出来。まあ、クラシック・ギターという範疇でレーベルもSONYCLASSICだから、こうした路線でOK。


年の瀬を女性ボーカルで過ごそうと思ったが…

2009年12月15日 | ジャズ

Denise James [I Was Born in Love with You ]  (Bluenote 2001)      国内盤   250円

Denisej          星2つ

 オランダ出身の歌手だそうで、ネットで同じ名前のもっと若くてかっこ良い女性歌手が引っかかるが、その人ではない黒人女性歌手。構成はスタンダードとオリジナルが半々で、曲順でもそうなのだが、わりと雑駁な構成に感じてしまう。まずは、「華がない」のが一番弱い!
バックのバンドがBob Bergenでこのアーティストの生真面目さがそのままこのアルバムとアーティストのイメージやテイストを決定したとも言えそうである。Bergen のプロデュース諸作と同じく、硬質で実直な感覚がはっきりしていて、こちらがジャズボーカルに期待する洒脱な情感はあまりないみたいだ。洒落た感覚でまとめあげる雰囲気を求める人にはガッカリくると思う。

 

Anita Oday  [Ultimate Anita Oday]     (verve 1990)   外国盤;アメリカ  250円

Anitaoday          星3つ

VerveのコンピレーションCDでUltimateシリーズは、同業のアーティストが選曲した構成となっている。このCDは、マントラのA.ポールがVerveに残したアニタの数多いアルバムの中から、それなりに思い入れ(?)のあるものをセレクトしている様子。従ってどちらかというとアニタのナンバーの中でも、割と玄人受けしそうな選曲かも知れない。編集アルバムにありがちな百花繚乱の趣きになっているから、それなりに彼女の色々な面が楽しめるものとなっている。個人的には、50年代後半におけるレコーディング諸作が好きです。

 しかし、この人の鉄火肌というか、姉御気質に満ちた歌声はやはり景気付けにはぴったりでして、只今カプチーノを飲みながら再聴していて嬉しい気分であります。


●アメリカン・グレートミュージックとジャズの世界の差でしょうか?? 

2009年12月08日 | ポップス

~新旧2人の女性シンガーのCDを買いましたが、どちらにも共通して感じてしまう違和感とは一体私にとって何なんでしょうか??つらつら考えてみました。

Natalie Cole [Ask A Woman Who Knows]   (Verve/2002) 外国盤;アメリカ   250円

Nataliecl                        星3つ       Boring

 バックミュージシャンの錚々たる顔ぶれ~J.サンプル、R.マウンジー、C.マクブライドやら、客演しているD.クラールとのデュエットなどライナーの記述からそれなりの期待をしたのだけれど、あまり大したことなく、ジャズというよりもポップス寄りのショー・ミュージックといったところだろうか??結局、今はなきオヤジさんの力を借りた、ベストセラーアルバム「Unfogettable」を超えるものが感じられないのです。何時までたってもナット・コールの洒脱なるポップスとジャズのセンスまでは到達しそうもありません。バックのフルオーケストラやストリングスが被ったり、D.クラールとのデュエットまで収められていてスゴイのではあるが、プロデューサーのリピューマ方式(この人、70年代からほとんどワンパターンのプロデュース)での世界が展開されるだけ…と感じられたのです。定価で買うのは御苦労さまと言いたい。もっと聴き手が予期せぬ試みやチャレンジしたスタイルは出せないのだろうか?
    つまり、いつもの定番~オーケストラの装飾音楽風景(リピューマ節横溢)で意外と面白みに欠けたCDでした。まあ、BGMとして聞きましょう。

Jane Monheit  [Taking a Chance on Love/テイキング・ア・チャンス・オン・ラブ]  (Sony/2004) 国内盤   250円

Janem_2                 星4つ        Pointing_2

    若いジャズシンガーとして嘱望されてデビューした彼女、既にデビュー第二作を買っていたのでその後どんなシンガーになったのか楽しみにして購入。これは4作目らしい。MGMのミュージカルをフルオケ、コンボ、ギターのみなど様々な編成で歌い上げている。見事であり、よく出来たアルバムです!結構なのだけれど…文句ある??
ナタリー・コールにしても、このシンガーにも共通するのだけれど、私の期待するジャズフィーリングとはかなりかけ離れているのでした。この辺りの差異は何だろうかとふと考えると、アメリカンショービジネスへの取り組み方というか、「派手に見せて、楽しく感じさせてナンボ!」という明るきアメリカン・テイストがあって、ダメダメのネガティブ系発想や翳りとかどうしようもない寂しさといったブルーな感情がどこかで排除されているように思えます。Jazzの最後の味付けじゃないですか、この感性は…。
 アルバム全体が小奇麗に整いすぎ、全て型にはまった窮屈さがあり、チョイと違うかな~といった感覚がどうにも当方には最後まで拭えないのでした。インナージャケットのスナップ写真を見て感じられるのは、セッションの合間の時でも自分のアピールでしっかりとポージングして、上目使いしている所をみると相当自意識過剰な女性である事は以前から変わらず。音楽の本質とは関係ないのだが、こうした部分にこの人のホンネが透けて見えてしまって、時代遅れのオジサンにとってちょいと残念。若さにイチャモンの巻~っ。


ソウルとアシッド系サウンドのバッタCDで楽しもう!

2009年12月02日 | ブラックミュージック


Eric Benet  [A Day in the Life]   70円   外国盤:アメリカ     (Warner/1999)

Erikbenet           星3つ      Woman

 名前は知っていてもなかなか聴く機会がなく、いつも250円CDで買うかどうしようかという位置にいるアーティスト。30円でようやく入手。聴く前のイメージは、フュージョン系ミュージシャンというもので、このアルバムでもR.エアーズ、ミシェル・ンディゲさんやら、ち~と気になるアーティストが参加しTOTOのナンバーも採り上げてるからでした。アーティストのカテゴリーではR&Bの分野で検索するのが普通だが、この人のジャンルはジャズ&フュージョンでの検索の方がピッタリしています。
ソウルだがあまり油っこくない感じで、都会的で洗練されたサウンドつくりは壺を心得ている感じがした。
 結構、格好良いサウンドとゴリ押ししないボーカルセンスは素敵でした。

 ところで2000年前後のCDにはエンハンスドとコピーコントロール機能を搭載したものが多いが、今日こうしたものはまず市場では歓迎されないのか、殆ど売られていない。興味深いものだと思う。前者は、時代の趨勢が不要で陳腐なものにしてしまったのだろうが、後者に関してはコピーを完全に遮断する事が売れ行きを左右するという妙な事実に直面した事が原因と言われるが、果たして真実だろうか??

Courtney Pine  [To the Eye of Creation]     日本盤    (Island/1992)  30円

Cortonyp       星3つ     Yelling

 英国のジャズシーンで活躍するジャマイカ出身のサックス奏者。この人のCDは、かなりお気楽に中古入手可能なため、我がCD棚にはすでに3,4枚収納されていて、それなりのイメージが出来上がっている。予想がつくので、驚きや期待を込めて買う気持ちより下らないBGMジャズ&フュージョンよりもある意味でしっかりとしたポリシーの音楽を聴けるから購入するのであります。
 このアルバムは、彼のルーツであるジャマイカ音楽を十分に意識したサウンドコンセプトで少しアメリカンジャズに傾倒した時期から、脱却した彼なりのアシッドジャズへの回答(といったら大げさかもしれないが…)みたいな取り組みが為されている。それなりに意欲的な感じに捉えられました。B.マーリーの「Redemption Song」が採り上げられているのが嬉しい。