The Temptations [ My Girl / 18 Original Hot Hits] (Cedar/1994) ドイツ盤 100円 星3つ半
~ソウルクラシックを集めたベストアルバムシリーズの一枚。Temptations(以下テンプスと記す)は、モータウンの黄金期を支えた大看板で、数多く出したビッグヒットは今でもソウルのスタンダードとして輝いているので、ベスト盤といってもどの時代かによって編纂の仕方が大いに違うのだが、本作はエディ・ケンドリックスが在籍していた初期から中期にかけてのモータウン最盛期のもの。タイトル「マイガール」は、誰もが知っているポップスエバーグリーンになっているが、リードはエディーの売り物ファルセット中心に組み立ててない、シンプルなメロディだからより一般ポップスファンにも人気を博したように思える。テンプのバックには、モータウンのソングライターチームの優秀さと綿密に組まれた販売戦略があったように思うが、60年代に花咲いたソウルミュージックの舞台でエディケンのボーカルが持つ美しさは、大きな役目を果たしたと思えるのです。本作の意味はそこにありそうで、今やテンプスは、蛸壺化して、誰もがばらばらに音楽体験しかしない大きな今日の音楽界にアイコニックなアメリカ音楽界の失われたサウンドとなっている。
Chris Jasper [SuperBand] (Gold Cuty-CBS Associates/1987) アメリカ盤 100円 星3つ
~アイズレーブラザースでの活動の傍ら、自身のスーパーバンドで録音をしていた時代の作品で、いい意味でのアイズレー傘下の音作りと自身のバンド活動の両輪を上手く組み合わせた感のある出来栄えである。基本路線は、ソウル&ディスコサウンドで『踊らせてナンボ』の音作りなのではあるが、アイズリーサウンドの系譜であるメローな味わいに、M.マクドナルド時代のドゥービーブラザースに似たハーモニックスを足すという仕掛けを彼なりのフィルターで融合させていて、メロディアス、キャッチーさを持ったナンバーが多くて聞きやすく楽しいバブリーな出来栄え。時代は、まさに誰もが浮かれノー天気で居られた頃であり、今更ながらシンセドラムやらキーボードが産み出す定型ブラコンはお気楽、コロナ禍など吹き飛ばしたい、気分転換し何も忘れたい今のような混迷のタイミングで聴くのは悪くない。左様に凡庸だが、幸せなB級サウンドとして楽しみたい。