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第60回カンヌ国際映画祭 −カンヌのできごと−
第60回カンヌ国際映画祭
第60回カンヌ国際映画祭特集


受賞者たちの喜びの表情!

束の間ではありましたが、カンヌ映画祭便りを読んでください
まして、本当にありがとうございました!

最後に、クロージングセレモニーの後、開かれたパーティーに
参加した人たちの表情をお伝えします。


シナリオ賞に輝いたドイツのファティ・アキン監督


『殯(もがり)の森』の主演のお二人、うだしげきと尾野真千子


審査員特別賞に輝いたメキシコのカルロス・レイガダス監督


『シークレット・サンシャイン』に出演の韓国の俳優ソン・ガンホ


『シークレット・サンシャイン』のメンバー
左から、主演女優賞を獲得した女優のチョン・ドヨン、監督のイ・チャンドン、俳優のソン・ガンホ


審査員のモーリタニアの監督アブデラマン・シサコ


審査員のマギー・チャン


では、またいつかお会いしましょう!







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最近盛り上がりを見せるルーマニア映画


パルムドールを受賞したクリスティアン・ムンジウ監督

今年、栄えあるパルムドール(最高賞)に輝いたのは、
ルーマニアからコンペ入りしたクリスティアン・ムンジ
ウ監督の『4カ月、3週間と2日』。中絶が禁止されて
いた共産党時代、妊娠した女子学生が非合法で堕胎する
一日の行動を追ったストーリーで、タイトルが指すのは、
登場人物の妊娠月のこと。

今年のカンヌでは、ここ数年で国際的に注目を集めるル
ーマニア勢の健闘が目立ちました。ある視点部門で大賞
に輝いた、クリスティアン・ネメスク監督の『カリフォ
ルニア・ドリーミン』もその一つ。昨年8月、編集作業
の真っ只中、交通事故で急死した、メネスク監督の最初
で最後の作品で、未完成のままに終わっています。ルー
マニアの片田舎を舞台に、土地の人間と米兵との人間模
様を奔放なタッチで描いたもの。私は今年カンヌで見た
30本あまりの作品で、最も美しいフィルムだと思いまし
た。

カリフォルニア・ドリーミンの上映会で
スクリーンに映るのは故クリスティアン・メネスク監督

ここ数年、じわじわと盛り上がりをみせるルーマニア映画。
昨年、2006年のカメラドール(新人賞)に輝いたコルネリウ
・ポルンボユ監督の『12:08 East of Bucharest』、2005年
ある視点部門の大賞を受賞したクリスティ・プユー監督の
『ラザレスコ氏の死』など、高い評価を受けています。彼ら
は、89年まで続いた共産党時代を背景に、共産主義のイデオ
ロギーではなく、独自の鋭い視点で社会を描くことに定評が
あります。



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快挙!河瀬直美監督がグランプリに輝く


喜びのスピーチをする河瀬直美監督

今年は、コンペ部門に日本から唯一エントリーした、河瀬直美
監督の「殯(もがり)の森」が、パルムドール(最高賞)に次
ぐ、グランプリ受賞という嬉しいニュースが流れました!クロ
ージングセレモニーの壇上では、「映画を作り続けて、本当に
良かった」とこぼれるような笑顔を見せた後、「映画を作るこ
とは大変なことで、それは人生に似ている。人生には様々な困
難があり、人は心のよりどころをお金や服など、形のあるもの
に求めようとするけど、そんなものが満たしてくれるのはほん
の一部です。私は光や風、亡くなった人の面影など、目に見え
ないものを映画にしていきたい」とスピーチし喝采を浴びまし
た。

97年に長編デビュー作『萌えの朱雀』で、史上最年少27歳でカ
メラドール(新人賞)を獲得以来、日本を代表する女性監督と
なった河瀬直美。本作は、それぞれ大切な人を亡くした介護の
女性と認知症の男性の交流を通して、生と死をみつめた奥深い
人間ドラマ。純粋な自己のスタイルを深く追求した作品で、は
っと息を呑む自然の描写が素晴らしいものでした。


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審査員の好みがはっきり表れた受賞結果


9人の審査員たち


5月27日夜(日本時間28日未明)、第60回カンヌ映画祭の授賞式が
行われました。今年はパルムドールを除くと、誰もが予想しなかっ
た、あっと驚く結果となったようです。

満場一致でパルムドールを獲得したルーマニアの『4カ月、3週間と
2日』は、開幕を飾ったウォン・カーウァイの「ブルーベルー・ナイ
ツ」に続く開催日二日目に上映された作品。息もつかせぬ迫力の展
開と骨太な演出で、強烈なインパクトを残し、堂々のパルムドール
を受賞。次いで、河瀬直美監督の『殯(もがり)の森』は、自己のス
タイルを純粋に追求した、非常に繊細な作品で、批評家からの評価
は真っ二つに分かれたものの、審査員の琴線に触れた模様。

直後の記者会見では、「全然納得いかない受賞作もある」と発言し
た俳優のミシェル・ピコリ。審査団の中でも、熱い討論が交わさた
ようです。例えば、カーボーイと殺し屋の逃走ゲームが、大好評を
博したコーエン兄弟の『No Country For Old Men』は無冠のままに。
当初、60周年記念賞の第一候補に挙がっていたようですが、ガス・
ヴァン・サントにその席を奪われたのでした。『No Country~』主
演のハビエル・バルデムも、その怪演ぶりが高く評価されたものの、
男優賞には至らず。栄光の座を射止めたのは、ロシアの俳優コンス
タンティン・ラヴロネンコでした。ただ予期せぬ出来事だったよう
で、祖国に帰る直前に、パリを観光中だったとか。5時ごろ、その
知らせを受けたラヴロネンコは、7時半からの受賞式には間に合わ
なかったといいますから、結果発表の直前まで揉めていたようです。

やはり、女優のマギー・チャンやトニ・コレットを除いた、審査員
の大半が監督であったこと(審査委員長のスティーヴン・フリアー
ズをはじめ、アブデラマン・シサコ、マルコ・ベロッキオは映画監
督。マリア・デ・メディロス、サラ・ポリー、ミシェル・ピコリは
監督経験もある俳優)が強く反映したのかもしれません。今年は娯
楽大作は影を潜め、審査員好みの作家主義を貫くシリアスな作品に
賞が集中しました。

主な受賞結果は次の通りです。
●パルムドール(最高賞)
『4カ月、3週間と2日』
監督:クリスティアン・ムンジウ(ルーマニア)

左からプレゼンターの女優ジェーン・フォンダとクリスチャン・ムンジウ監督

●グランプリ
『殯(もがり)の森』
監督:河瀬直美(日本)

左から河瀬直美監督、プレゼンターの女優キャロル・ブーケ

●60周年記念賞
ガス・ヴァン・サント
『Paranoid Park』(アメリカ)

審査委員長スティーブン・フリアーズから賞を受けとるガス・ヴァン・サント監督(左)


●脚本賞
ファティ・アキン
『The Edge of Heaven』(ドイツ)

●監督賞
ジュリアン・シュナベール
『潜水服は蝶の夢を見る』(フランス)


左が監督のジュリアン・シュナベール

●男優賞
コンスタンティン・ラヴロネンコ
『The Banishment』アンドレイ・ズビャギンツェフ監督作(ロシア)

●女優賞
チョン・ドヨン
『Secret sunshine』イ・チャンドン監督作(韓国)

左に女優賞のチョン・ドヨン、右にプレゼンターのアラン・ドロン

●審査員特別賞
『Persepolis』監督:マルジャン・サトラピ&ヴァンサン・パロノー(フランス)
『Stellet Licht』監督:カルロス・レイガダス(メキシコ)

左端にカルロス・レイガダス監督、スピーチするのはマルジャン・サトラピ監督

●カメラドール(新人賞)
『Meduzot』監督:エトガ-ケレット&シラ・ゲフェン(イスラエル)批評家週間にエントリー作品



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『殯(もがり)の森』河瀬直美監督 記者会見



今年のコンペ部門で、唯一日本からエントリーされた
河瀬直美監督の『殯(もがり)の森』。1997年『萌の朱
雀』でカメラドールを受賞以来、河瀬監督とカンヌの
付き合いは、10年にもなります。「記念すべきこの年
に、コンペに選ばれたことを誇りに思うと同時に、カ
ンヌ映画祭の歴史に足跡を残したと感じます」。

本作は、監督の故郷・奈良の壮大な自然を舞台に、認
知症の老人と女性ヘルパーの交流を通して、人間の生
と死をみつめたドラマ。「日頃、私たちは認知症の人
をかわいそうだと、下に見ている部分があります。彼
らは認知できなくなっただけで、感情も魂も存在する。
現代人が見失ってしまった、人間の感情や魂のあり方
を訴えたかったのです」。また、「その人がその人ら
しくあれば、それでいい。こうしなければいけないと
いうは、世の中にないというメッセージを伝えたかっ
たのです」と付け加えた

また、世界中の有名監督が満面の笑みでジャンプする、
60周年記念のポスターを指し て「40年後の100回記念
では、ぜひあの中でジャンプしたい」と、意欲を見せ
た。日本映画を代表する女性監督として、これからの
活躍を期待したいです。



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ジャ・ジャンクー監督 インタビュー



現代の中国映画、新世代の旗手として、一部の映画
ファンに絶大な支持を誇るジャ・ジャンクー監督。
昨年のヴェネチア映画祭で最優秀賞を受賞した『ス
ティル・ライフ』は、変貌する中国の情景と、移ろ
いゆく人々の様を静かに描き,感動を巻き起こしまし
た。

今年のカンヌでは、世界中の映画学生による短編部門
シネフォンダシオンの審査委員長を務めたジャ・ジャ
ンクー。「僕が最も興味を惹かれるのは、彼らが持つ
私的な感性です。彼らの心が揺さぶられる時、私の心
も同じように大きく波打つのです。映画的な言語が存
在する彼ら独自の世界観を見ることが出来て、本当に
幸せに感じます」と、詩的な見解を述べてくれました。

次回作については「”無意味”(直訳)という名の、
女性と洋服がテーマのドキュメンタリーを作る予定」
とのこと。あらら!ジャ・ジャンクーによる“無意味”
な世界とは、一体どのような視点になるのでしょうか?



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豪華スターの共演の『オーシャンズ13』


左からブラット・ピットとマット・デイモン

スタイリッシュな映像と、スリリングな展開が魅力の
『オーシャンズ』シリーズの最新版が上映されました。
今回も前2作に続いて、監督のスティーブン・ソダーバ
ーグを筆頭に、ブラット・ピット、ジョージ・クルー
ニー、マット・デイモンの豪華なメンツが集結。
そこにアル・パチーノが加わり、三部作の最終章を飾る
にふさわしい極上のエンターテイメント作品となってい
ます。

直後に行われた記者会見は、終始、和やかなリラックス
ムード。通訳の方がタジタジになってしまうほど、ジョ
ークが飛び交い、なんだかよく分からないままに終わっ
てしまったのでした。

本作は、同シリーズのエンディングになるようですが、
次回作があるのではという質問に、 「もう潮時だよ。
これ以上オーシャンズを続けたら、自分が俳優だと思
えなくなってしまう。まるで体を売っているような錯
覚に陥ってしまうよ」と過激な発言で周囲を驚かせた
マット・デイモン。


左からスティーヴン・ソダバーグとジョージ・クルーニー

一方、ソダバーグは「一級の娯楽大作は、コンペに出
品されるような作家主義映画を作るのより、ずっと労
力がいるし、難しいんだ」と語っています。

それを受けて、最近監督業にも乗り出した、ジョージ・
クルーニーが付け加えます。「そうはいっても、僕は
ソダバーグから、“監督”がどういうものかを学んだ
んだよ」



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アーシア・アルジェントはカンヌの華



今年のカンヌでは、出演作3本が上映。カトリーヌ・
ブレイヤー監督の『Une Vieille Maitresse』では
古い愛人を、オリヴィエ・アサイヤス監督の『ボ
ーディング・ゲ イツ』では性の奴隷と化した女を、
アベル・フェラーラ監督の『Go Go Tales』ではス
トリップ嬢を演じている。ホラー映画の巨匠ダリ
オ・アルジェントを父に持つ、イタリアはローマ
生まれの31歳。正式にはアーシア・アリア・アン
ナ・マリア・ヴィットーリア・ロッサ・アルジ
ェントと長ーい名前を持っています。セクシーで
悪魔的な風貌 で、地元イタリアにとどまらず、
世界中の監督に引っ張りだこの女優さんです。

今年のカンヌではマスコミからの取材が殺到。
パパラッチに追われる日々だったようです。「も
うカンヌには、ほとほと疲れきったわよ。一日に
何度もドレスを着替えさせられて、メイクを直さ
れて、まるでクリスマスツリーのように着せ替え
人形状態なんですもの!」たまりかねて、映画祭
期間中にも拘わらず、6歳の娘アンナ=ルーの待つ、
ローマにひとっ飛びしました。「束の間の休息が
必要だったわ。カンヌの人々は狂気の沙汰で、ま
るでカンニバル(カンヌ+ハンニバルをつなげた、
アーシア流造語)と化しているんですから!」と
苦々しい表情を浮かべていたのでした。


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カルロス・レイガダスの涙を見た!


公式上映でのカルロス・レイガダス

今年は60回記念とあって、取材陣の多さにも目を
見張ります。ジャーナリストの数だけで3500人。

特に大作やスターが出席の記者会見は、場所取り
だけで熾烈な戦いとなるのです。クエンティン・
タランティーノの壮絶なカーチェイスが見ものの、
ちょっとレトロなガールズムービー(ソフィア・
コッポラのそれとは大違いですが) 『Death pro
of』の会見場ではじき出された私は、メキシコの
鬼才カルロス・レイガダスの『Stellet Light』の
上映に出かけました。デビュー作『Japon』がカメ
ラドールの特別賞を獲得以来、その類まれな才能
を絶賛される監督ですが、本作はメノナイト教徒
の間で起こる奇跡の物語。
非常に難解な作品で、実をいうと、ジリジリしな
がらエンディングを待っていたほどです。
しかし、日昇で始まり日没で終わる、その画面が
放つ迫力には圧倒されっぱなし。鑑賞後、へとへ
とになったものの、なんだかいい経験をしたよう
にも感じたのでした。
上映後、観客からのスタンディングオーベーション
に涙を浮かべるレイガダス監督の姿も印象的でした。


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カンヌの美味しいレストラン



「カンヌのお手頃な値段で美味しい店を知らない?」と
聞かれると、実は返事に困ってしまいます。映画祭の期
間中は、会場と滞在先の往復で、なかなかゆっくりとレ
ストランに腰を落ち着ける時間がない。サンドイッチを
かじったり、パスタや魚料理の一品で軽くすませること
になってしまうからです。

とはいっても、カンヌに来たらここだけは外せない!と
いうレストランがあります。ル・ジャド。批評家週間の
会場ミラマールから目と鼻の先にある小さなお店。植民
地だった影響もあり、フランス各地には美味しいベトナ
ム料理店が溢れていますが、ここには珍しい一品があり
ます。

“ジャドの特製クレープ”は、ぜひ試していただきた
い。かりかりに焼かれた香ばしいクレープ生地に、新鮮
な海老がごろごろと入っていて、爽やかな香草の風味と
あいまり、素晴らしいハーモニーを作っています。その
他、レモングラス風味のピリ辛牛肉サラダ、甘酸っぱい
生姜レモンソースがたまらなくジューシーな若鶏の唐揚
げ、ざらめでこんがり焼かれたベトナム風豚の角煮など、
どれも優しい家庭の味。

映画関係者にも大人気で、ガラスのテーブルとクロスの
間には、ここを訪れた人たちの名刺がぎっしりと残され
ています。

●Le Jade
24 rue Pasteur 06400 Cannes
Tel:04 93 94 33 40
20~30€前後


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