雑木帖

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「タウンミーティング」

2006-11-11 23:20:32 | 政治/社会
 現在、小泉政権が始めた「タウンミーティング」でヤラセが各所で行われていた疑惑が持ち上がり世の中が揺れている。
 小泉純一郎前首相の人気の一つには、心情的な本音を正直に言う、という「自然主義的」な面が好意を持たれた面もあると僕などは思う。それは今の世の中が、勝者と言われる人々も含め、弱肉強食的な新自由主義の中でタテマエなんか言ってられないほどキツイ、という実感からのものかもしれない。
 しかし、悪いことはやはり悪い、ということを一国の代表者たる者が、しかも立法の長が否定などしてはだめだ。そんな人間しか日本にはいないなんていうことは勿論ないのだから他の者に任を担ってもらう、という選択を世の中はするべきだった。
 今度の首相もその意味では小泉前首相を継承した人だ。

 ともあれ、小泉前首相の人気の一つだったと思われる「自然主義的」な本音主義は、反自然主義的な行為である「ヤラセ」とは相容れないものであり、その「ヤラセ」が小泉時代から行われていたということは小泉氏は「自然主義的」な人間でもなかった、世の中の多くの人が彼に抱いていた像はまったくの虚像にすぎなかったということにもつながり、一気に政府に対する不審感がひろまる一件に発展するかもしれない。

「タウンミーティング」のいかがわしさは、以前から言われており、『週刊金曜日』が『電通の正体~マスコミ最大のタブー』という本の中で次のように指摘していた。

 永田町との深い関係

「小泉首相にワン・フレーズ・ポリティックスをアドバイスしたのは電通と聞いています」
 広告業界関係者はさらりと言って、こう続けた。
 「小泉政権が誕生した二〇〇一年に、小泉さんと電通卜ップとの一席が設けられ、そこで電通卜ップが広告業界の話をしたというのです。
 クライアント(顧客)は一五秒のコマーシャルの中でいろいろなことを言いたがるが、『ワン・コマーシャルでワン・メッセージでないと伝わらない』と言っている、という内容で、これを聞いて小泉さんは、多言を弄するのではなく、ワン・メッセージで端的に言う大切さを悟ったというわけです」
 「改革」を旗印にスタートした小泉政権は、「自民党をぶっ壊す」「聖域なき構造改革」などのキャッチフレーズを連発、驚異的な支持率を記録した。自民党内にプリクラが置かれ、携帯電話ストラップまで販売された。そんな小泉人気の原動力になったワン・フレーズ・ポリティックスは、電通トップの助言がきっかけというのだ。
 政治評論家の森田実は『月刊日本』(○三年一一月号)でこう指摘した。
 「小泉氏は、実は二年前の春の自民党総裁選で、某広告会社にプロジェクトチームを作り、総裁選戦略を研究させた。彼らは米国型のメディア活用方法を取り入れた。広告会社から提案されたのが、例の『自民党を変えます』『日本を変えます』『構造改革なくして景気回復なし』という、すべて十五秒以内のスローガンの羅列――つまり、ワン・フレーズ・ポリティックスの手法だ。この『ワン・フレーズ・ポリティックス』の手法は、商品を売る広告テクニックを政治の世界に利用したということだ」
 森田の指摘と業界関係者の話は、ぴたりと重なる。
 また民主党の中堅国会議員に、この森田の指摘を伝えると、「某広告代理店は電通。小泉首相に電通がアドバイスをしているのは広告業界では有名な話です」との即答が返ってきた。
 だが、「電通があたかも国家的陰謀に関与してきたかのようなイメージは、電通を実体以上に見せる効果を与えてきた。電通もそれを知っていて、あえて否定も肯定もしないでいる」(電通OB)という側面もある。
そこで、電通に小泉首相への助言について問い合わせたが、「ノーコメント」(広報室)だった。
 電通との結びつきが強い政治家は小泉首相に限ったことではない。
 …(略)…
 このように電通は地方レペル、国レベルに限らずに政策に関わって、商売に結びつけている。
 小泉政権がぶち上げたタウンミーティング(国民対話)もその一つのようだ。担当室は内開府大臣官房に置かれたが、電通が初年度のタウンミーティングの運営業務を随意契約(一般競争入札をせずに特定の社を指名)で請け負った。ある記者は、沖縄のタウンミーティングを取材に行って驚いたという。
 「会場に入ると、電通のバッチをつけた会場係がゾロゾロいる。内容はというと、こんなものにカネをかける意味がわからなかったし、出席者の発言も対話というよりは陳情だった」
 実は、このタウンミーティングの平均開催費用は、長野県の田中康夫知事が一足早く始めた車座集会の六〇倍以上という破格な金額なのだ。

 タウンミーティング批判

 小泉政権発足から約半年後の○一年一一月二二日、長野県庁。定例会見で田中康夫知事から痛烈なタウンミーティング批判が飛び出した。きっかけは『朝日新聞』記者の質問だった。「小泉内閣のタウンミーティング、開催費用が平均二〇〇〇万円で、全国一巡したことで一〇億円ぐらいかかっています。同じように車座集会という形で住民との対話を進めている知事の見解をお伺いしたい」
 これに対し田中は「車座集会はおおむね三時間近くで、ほぼ四〇〇人~五〇〇人という方が参加。タウンミーティングは確か三〇〇人をいつも切るような方々で、どのようにしたら二〇〇〇万円かかるのか、逆に教えていただきたい。タウンミーティング室というのは職員の方のみで一九名か二〇名いらっしゃると思う。
 そしてすべては電通に丸投げと呼ばれるに等しい形であって、にも関わらず私どもが(長野市でタウンミーティングが開かれた時の閣僚送迎用の)公用車や(翌日の新聞記事の)ファクス等も担当させられて二〇〇〇万ということは…。その内訳というのは、多くの市民の方が知りたいんじゃないでしょうか」と斬って捨てた。車座集会の開催費用は「約三〇万円」(車座集会担当の職員)。ただし、これには同行する職員の人件費(休日出動手当てなど)や会場までのガソリン代も含まれている。
 タウンミーティングの一回あたりの平均開催費用は次の通りだった。

各年度の平均開催費用
○一年度一八七九万円随意契約
○二年度 七六二万円一般競争入札
○三年度一〇六一万円一般競争入札
(注二C○一年度のみが電通との随意契約。○二年度、○三年度は電通ほか)

 一般競争入札をした年の平均開催費用は、電通が随意契約をした○一年度の半分程度になっている。○一年度も随意契約ではなく一般競争入札で行なっていれば、一八七九万円ではなく一〇〇〇万円前後ですんだ可能性が高い。とすれば、差額は一回約八○○万円以上、総額で四億円以上(○一年度は五〇回開催)になる。大手代理店でマーケティングを担当していた人間は「約二〇〇〇万円で三〇〇人動員しているということは、動員単価は六一七万円/人です。自動車や住宅のような高額商品でも、高くて三〇〇〇円/人。民間のクライアントなら、こんな仕事をする代理店は即出入り禁止ですよ」とあきれる。
 …(略)…
 この電通との「随意契約」のいかがわしさは『月刊現代』『月刊・創』 2005年03月号も記事にしていた。

 とはいえ、「ヤラセ」と聞いても僕などは「タウンミーティング」のようなものに限らず、地方自治体レベルのものも含め、当たり前、恒常的という認識があり、今更…という感じで既に無感覚的な状態に近くなっている。
 その僕が最近ちょっと驚いたことがある。
 次のものは今年2月1日の”ひどい話”というエントリーで書いたことなのだが…
 僕は現職警察官に次のようなことを聞いたことがある。
「死亡現場に行くと、病死や事故死ではないなと思えるものによく出くわす。けれど、捜査をしようとしても、上からストップがかかることが多い。わたしら下っ端ではどうしようもない」
 その警察署は大きな商業区域を管轄するような所ではなく、都市の中心に近い、ほとんどが住宅街という地理の中にあった。
 その後、僕は或る日のニュース記事を読んでもっと驚くことになった。
 日本には、死因の分からない死体を行政解剖し、死因をつきとめる監察医制度のある地域が5つある。
 その一つ東京は、年間の行政解剖数が2000件を超える。5地域のうちで最も人口が少ない神戸でも約850件。ところが、上記の警察署がある市は人口が200万人を超えるのに、年間の行政解剖数はたったの2件だった。
 記事はその市では予算が年間42万円しかないことを要因としてあげていた。…
 これに関連するようなことが今月の『週刊現代』11月11日号に書かれていたのだ。

『週刊現代』 2006.11.11

 週刊誌の現場から

 警察の捜査能力はなぜ落ちたのか─[1]
 原田宏二元北海道警釧路方面本部長の告発


 …(略)…
 悲しい現実ですが、今の警察には日々起こる事件を解決できる能力はほとんどありません。犯罪検挙率は'64年には63・9%だったのが、昨年は半分以下の28・6%にまで低下しているといいます。昔はあった捜査能力がガクンと落ちているのは間違いありません。
 今年8月、畠山鈴香被告(33歳)が起訴された秋田連続児童殺害事件でもそれが顕著に表れました。
 私はメディアで報じられた範囲の知識しかありませんが、被告の長女・彩香ちゃんが4月10日に遺体で発見されると、秋田県警はすぐ「事故による溺死」と発表しています。このときは「特異な外傷はなかった」とされていました。
 しかし後に、彩香ちゃんの頭蓋骨が陥没していたことが明らかにされました。頭蓋骨が折れているか否かをその道のプロが検視で見逃すなんてことは普通あるはずがない。あのとき県警は、彩香ちゃんの遺体を解剖したと言っていますが、「本当は解剖しなかったのでは?」という疑念の声が上がったのも無理からぬところです。
 …(略)…
 ここ10年来、17の都道府県警察で裏ガネ作りが発覚しました。10月21日にも、栃木県警の元警部補・阿久津武尚さん(60歳)が、在職中、上司の指示で捜査協力者に払う「捜査用報償費」の領収書を偽造し、裏ガネ作りに加担させられたことを明かしたばかりです。
 冒頭で述べた秋田県警の事件で「解剖が行われなかったのでは?」と疑われたのは、実はこの裏ガネ問題にも関連しています。警察が大学の法医学解剖医に解剖を依頼すると、遺体1体につき7万円の「謝金」が国費から支出されます。捜査の現場を持たず、捜査費で裏ガネ作りのできない鑑識課では、この謝金を裏ガネの原資にするといいます。つまり実際には解剖をしていないのに、行ったことにして謝金を裏ガネに回す手口です。私が北海道警鑑識OBから聞いた話では、道警では年間3000体分の検視・解剖の予算があり、大部分が裏ガネに化けていたそうです。
 こうした警察の体質がなぜ改まらないのか。なぜ現場の捜査官は声を上げられないのか。次回は、組織の不正に立ち向かった警察官がどんな「報復」を受けたか、私が見た実例をお話ししましょう。
 うーん、と腕組をするが…次の言葉がみつからない。
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4 コメント

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どこまでも深い闇 (非戦)
2006-11-13 18:40:04
私は、タウンミーティーングの費用のことまで、頭が回らなかったけど、ご指摘のように、1回やるのにどうしてこんなにお金がかかるか、わかりません。電通にわたったにせよ、庶民の感覚から程遠い金額です。不正に誰かに渡された可能性もあるのではありませんか。やらせを頼まれた人への謝礼とか。もう、ぼろがでっぱなしの小泉政権と安倍政権。
税金を情報操作と不正なことに使われたんじゃたまんないです。
やっと、国民の目が覚めてきたところかな。
福島知事選に自公が大差で負けたのは、与党政権の国民への情報操作と洗脳が限界に達しつつあることを示しているかもしれません。
非戦 さん (雑木帖@管理人)
2006-11-13 22:07:40
> 1回やるのにどうしてこんなにお金がかかるか、わかりません。電通にわたったにせよ、庶民の感覚から程遠い金額です。

まったくです。ハード(人件費、施設使用料、機材費など)以外の、アドバイザリーサービス料とかが大きいのかもしれません。 (^^;
これはヤラセ指南も含めて、という皮肉でありますが、しかし、官僚というのは審議会など一つとっても同じようなことをやってこれまで世論を手繰り自分らがやりたいようにやってきた人たちなので、電通がいなければタウンミーティングで行われたようなことが出来ないというような集団ではないのです。
ただ、タウンミーティングは「イベント」であり、一般の不特定多数の人が入り乱れるということで、審議会などとは勝手が違い、その点はプロでもある電通の指南があった可能性というのも否定できないのではと思ったりもします。
タウンミーティング問題 (高菜ごはん)
2006-11-24 22:11:57
やっぱり今回のタウンミーティング問題にも電通のかかわりがあるのですね。

でも、電通が関係するしないに関わらず、国民を欺いて自分の利益を追求しようとする政治家・官僚の姿勢には情けなくなるばかりです。

もっと事実の追求が必要ですね!
高菜ごはん さん (雑木帖@管理人)
2006-11-25 08:27:47
『週刊ポスト』 2006.12.01号の“やらせタウンミーティングに浪費させた血税20億円の茶番”という記事に社民党衆議院議員・保坂展人氏のコメントが載っています。

「参加者は最初に意見を書かされ、それを内閣府がチェックするという。それをあたかも自由な発言や質問のように扱い、たとえば国民の多くは郵政民営化に賛成などと喧伝する。これは、まさしく“世論偽装”です」

この最初に意見を書かせ人選に使うというのは、審議会などで官僚が自分らの意に沿った結果を出させるために会のメンバーを選ぶ時にいつもやっていることです。
なんだか壮大なやらせ「まぼろし政治・行政」ですね。

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「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む (多文化・多民族・多国籍社会で「人として」)
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