雑木帖

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“未来の位置情報” 携帯電話は発信機

2007-01-15 00:56:33 | 政治/社会
 総務省が今年4月以降に発売される第3世代携帯電話(3G)にGPSの搭載を義務化というニュースを読んだときちょっとイヤな気がした。
 目的は携帯電話から110番、119番、118番の緊急通報があった時に、警察や消防などに携帯電話の発信場所を自動的に通知させる「緊急通報位置通知」機能のためとなっている。
 携帯電話による現在位置の測位は、携帯電話基地局の所在地から検知するセルベースのものがあるが、これは誤差がおおむね300m未満。これがGPSによる測位になると50m未満と正確度が増す。(GPS単体では民生用の場合の誤差は10mほどといわれている。車のカーナビでもそうだが、実際よりも精度が高いように見えるのはFM放送などを使った補正情報による操作、また「マップマッピング」といって地図データ上での補正操作などがおこなわれているため。もっとも、GPSの軍事用チャンネルは誤差1mといわれ、トマホークなどの巡航ミサイルはこのGPS情報だけでも目的物を爆撃できるように作られてはいる)
 なんだ良いことじゃないか。警官や救急車、消防車が駆けつける時間の短縮になり、間違いも減る。いざというときに位置情報のミスは文字通り生死をわける。
 そう思われるかたも多いと思う。
 でも、この携帯電話の位置情報機能はこれまでも他の様々なシーンで活用されている。人などの居場所の検索サービス、目的地などへの経路探索サービスなどはよく知られているが、アメリカでは出会い系サイトが「近くの人」を割り出すサービスにも使っているそうだ。
 と思っていたら、『週刊現代』が今週号(2007.01.26号)の”週刊誌の現場から:「個人情報保護法」の正体【2】──国家権力が携帯電話を通じて国民を丸裸にする”で、この携帯電話の位置情報の話を取り上げていた。

 …(略)…
 そう警鐘を鳴らすのは、刑事裁判に詳しい櫻井光政弁護士。櫻井氏はさらにこう続けます。
「刑事裁判では、警察による携帯電話会社を通じた個人情報の“違法収集”の実態はいっさい明らかにされません。しかし実際には、警察が個人の携帯電話の情報を捜査に利用しているのを肌で感じます。たとえば従来なら、ローラー作戦をかけたような手間のかかった捜査をしていたのが、犯行現場と時間をあらかじめ知っていたかのようにピンポイントで捜査しています」
 櫻井氏によれば、特に携帯電話の「位置情報」が、国家権力の監視の眼として機能しているというのです。この「位置情報」とは、携帯電話が常時、基地局と微弱波で交信している記録のことを指します。この基地局の記録は、イコール携帯電話の持ち主の移動の記録そのものなのです。この記録を警察が取得していることは国会答弁でも明らかになっています。
 '03年4月17日の衆議院・個人情報の保護に関する特別委員会で、社民党の保坂展人代議士が、「携帯電話の過去の通話情報や位置情報、さらには、“未来の位置情報”を捜査当局が検証令状(捜索差押対象物以外を捜査する許可状)によって取得することはあるか」と質問したところ、樋渡利秋法務省刑事局長(当時)は、「検証令状でとる場合がある」と認めています。
 つまり、何か容疑があれば捜査当局は検証令状だけで、過去の通話情報はおろか、“未来の位置情報”まで取得しているのです。この“未来の位置情報”とは、マークした人物の行く先をリアルタイムで追跡することを意味します。
 これでは国家が国民に発信機をつけているのと同じです。ITを使った監視社会の現状に詳しい小倉利丸・富山大学教授(経済学)はこう警告します。
「'00年8月に施行された『盗聴法』ですら、盗聴した本人に事後報告することが義務づけられています。しかし、警察が携帯電話の通話情報や位置情報などを照会する際は、本人に知られることなく遂行することが可能です」
 警察によって、自分の知らないところで、自分に関する個人情報が覗かれている。これは本来ならば個人情報保護法の対象となるべき違法行為ではないでしょうか。
 さらに現在、携帯電話にまつわる大きな出来事がありました。
 …(略)…
 (『「個人情報保護法」の正体【2】国家権力が携帯電話を通じて国民を丸裸にする』より)
 こういう危惧などを表明すると、現実主義風に、「またサヨクの心配症、理想論的観念論か…」などと揶揄されるのが常になってきたようなご時世だが、しかし僕はこういう懐疑主義はいつの世も必要で大事なものだと思っている。
「これまで事あるごとに人権だ、権力の横暴だと、サヨクなどは危険性を指摘してきた。でも見てみたまえ。そのほとんどの事象は現実化しなかったじゃないか」
 現実化しなかったから単なる杞憂にすぎなかったということになるのだろうか。そうではなくて、問題視する声があったから様々な議論がされ、また法的にも縛りの要素が入り、また世の中の注意意識から為政者や権力はほころびがでないようにと用心してやってきたのではないか。そういう要素がありはしないか。と思うのだ。

 警察は個人の“位置情報”をこれまでどれだけ検証令状を使い調査してきたのか。次の衆議院法務委員会の記録では不明となっている。

第156回国会 法務委員会 第8号(平成15年4月18日)より

○保坂委員 最高裁から、憲法との兼ね合いでしっかり、その位置情報について厳格にやっているかどうかということを改めて聞きたかったのですが、それはちょっと時間がもう押しているので。
 何件ありましたか、過去三年間。却下数。
○大野最高裁判所長官代理者 先ほどの検証の数の中に入っておりまして、どういう内容の検証の令状を取り扱っているかということについては資料がございませんので、件数等はわかりかねます。
○保坂委員 刑事局長はわかりますか。もしわからなければ調べていただけますか。
○樋渡政府参考人 今、最高裁事務総局の刑事局長が答えられましたように、統計としては出ておりません。
 しかも、これはほとんどの場合、警察の方で令状を請求してやっているものだと思いますので、法務当局としてはなかなか調べようもないというところでございます。
○保坂委員 それはうそなんですよ。
 実は、この古い法律案、これをめくっていたら、ちゃんと書いてあるんですね、検証令状による通信傍受捜査の五例。これは法務当局として調べられるという証拠なんですね。
 これは大臣に、大問題ですから、警察に問い合わせることも含めて、検証令状によって未来の位置を知るという捜査が過去三年間どのぐらい行われてきたのかというのをきちっと調べていただけますか。いかがですか、法務大臣。
○森山国務大臣 関係省庁にもよく問い合わせまして、可能であれば調べたいと思います。

 参考:
 ・携帯電話の社会学的機能分析?コミュニケーション変容の社会的意味──宮台真司
 ・第156回国会 個人情報の保護に関する特別委員会 第3号(平成15年4月15日)
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2 コメント

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重要ですね。 (日本国憲法擁護連合)
2007-01-15 04:37:14
トラックバックありがどうございます。大変な重要なテーマです。私も、気になったニュースでした。ほとんど、そのとおりだと考えます。

「目的は携帯電話から110番、119番、118番の緊急通報があった時に、警察や消防などに携帯電話の発信場所を自動的に通知させる「緊急通報位置通知」機能のため」

という理由ずけがいかにも公安警察がいいだしそうな理由だと思いました。
今でも、携帯電話を使って、公安警察はいろいと監視をしていると思われます。私なんかは、実際に、いろいろな妨害を受けていますので。

「'00年8月に施行された『盗聴法』ですら、盗聴した本人に事後報告することが義務づけられています。しかし、警察が携帯電話の通話情報や位置情報などを照会する際は、本人に知られることなく遂行することが可能です」

「警察によって、自分の知らないところで、自分に関する個人情報が覗かれている。これは本来ならば個人情報保護法の対象となるべき違法行為ではないでしょうか。」

違法捜査でしょうね。本人に事後報告することが義務づけられていますが公安警察からはその報告さえありません。しかも盗聴だけではなくいろいろな妨害もやっていますので、違法なのは公安警察のほうです。しかも私の場合は、もろに妨害されていますので、国家賠償請求も考えていて、実は、私、材料をそろえて公安一課を告訴しようと検討中なのです。共謀罪をあちらは策動しているが、あんな連中に治安維持法などを与えてしまったら特高のくり返しになりますので、なんとしても共謀罪を廃案にしたいと考えています。




「警察による携帯電話会社を通じた個人情報の“違法収集”の実態はいっさい明らかにされません。しかし実際には、警察が個人の携帯電話の情報を捜査に利用しているのを肌で感じます」

そのとおりですね、確実に公安警察はやっていると思います。革新政党支持者であれば、監視されているはずです。私は原水禁の佐世保現地平和学習を尾行して付回す公安刑事をみたことがありますので。公安警察はそのへんの革新政党の集会や、無党派ま市民運動の集会まで徹底して監視します。一度デモなどにでられた経験があればの話ですが、デモを警備するためについてくる公安警備の車のなかには、デモ参加者すべての携帯電話番号を割り出せるシステム機能を取り付けているといわれています。で、その電話番号を読み取って、即電話番号を確認して住所・氏名・年齢・職業を割り出して監視者対象にしていくてはずになっているといいます。その後、威嚇・嫌がらせ・挑発・弾圧が展開されていくようです。つまり、たんに道路交通法上の警備の理由から公安警備は存在するのではなく、デモ参加者をリストアップして運動をさせないように政治警察として動いていくのが本当の彼らの姿なのです。

しかも、携帯電話番号を割り出しているため、監視対象者は、携帯電話基地局の所在地から検知し、携帯電話による現在位置の測位を一日中監視されていると思われます。こういう人が、「組織的犯罪」を犯すわけがないのですが、公安警察はそういう人を威嚇・嫌がらせ・挑発・妨害とさまざまな抑圧をしているわけなのです。こんな人たちに共謀罪を与えてはならないと私は身をもって痛感しています。
日本国憲法擁護連合さんへ (雑木帖@管理人)
2007-01-15 23:22:14
ネットでもたまに「集会に公安が来た」という記事を目にしますが、それがそんなところに公安が何故???と唖然とするようなもので、今の子供のイジメなどはこういう大人が鏡になっているんではなかろうかとさえ思いたくなるものです。
でも戦時中はそんな人間がゴロゴロしていたと思えば、その非現実性は現実の恐怖だとわかります。
しかも、そういった人間にハイテク機器が渡されるご時世というのは、地球の「猿の惑星」化ではないでしょうか。
政官(警察組織も含めた)財とヤクザ、右翼などの暴力装置は渾然一体としています。一歩そこに踏み入れば、法治国家などというのは幻影ということがわかります。そして、その一角にいて「治安」を標榜し、しかも市民に矛先を向ける公安は、とても危険な存在ともいえます。

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