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共謀罪:「アメリカの留保」に関するアメリカからの返信

2006-11-30 18:51:01 | 「共謀罪」
 “保坂展人のどこどこ日記── [資料]共謀罪、米国・国務省から日本政府への書簡”が、外務省が10月20日にアメリカ政府に対し送った、国際組織犯罪防止条約における「アメリカの留保」に関する情報の提供を求めた書簡のアメリカ政府の10月24日付けの返信を資料公開している。

 読んで思ったのは、良くも悪くもアメリカ的な明快な理論的な返答であり、日本政府の委員会などでの鵺のような返答とは一線を画しているものだということ。

 このアメリカの返信の趣旨は次の数行に要約されると思う。

4.本条約で犯罪とすることが義務付けられている行為が連邦法でも州法でも対象とされていない場合は、どの程度珍しいのか。

 確かにそのような場合が存在する可能性は理論的にはありますが、合衆国連邦法の適用範囲が広範であることにかんがみれば、金銭的利益その他の物質的利益のために重大な犯罪を行なうことの共謀的又は組織的な犯罪集団を推進するための行為を行なうことの共謀が何らかの連邦犯罪に当たらない場合はほとんど考えられません。「ラケッティアリング活動(Racketeering activity)」は、連邦法において非常に広く定義されており、一例を挙げれば、贈収賄、恐喝、郵便及び電信の詐欺並びに通商への干渉を含む、極めて広い範囲の重大な犯罪を含んでいます。また、一例を挙げれば、腐敗、州際間又は外国との通商に影響する行為、ラケッティアリング活動に資する移動又は移送、及び資金洗浄のような重大な犯罪は、ホッブス・アクト(合衆国法律集第18編第1951条)及びトラベル・アクト(合衆国法律集第18編第1952条)といった規定によっても処罰の対象にすることが可能です。
 ポイントとしては、

 ・「金銭的利益その他の物質的利益のために重大な犯罪を行なうことの共謀的又は組織的な犯罪集団を推進するための行為を行なうことの共謀」

 ・「連邦法において非常に広く定義されており、一例を挙げれば、贈収賄、恐喝、郵便及び電信の詐欺並びに通商への干渉を含む、極めて広い範囲の重大な犯罪を含んでいます。また、一例を挙げれば、腐敗、州際間又は外国との通商に影響する行為、ラケッティアリング活動に資する移動又は移送、及び資金洗浄のような重大な犯罪は、ホッブス・アクト(合衆国法律集第18編第1951条)及びトラベル・アクト(合衆国法律集第18編第1952条)といった規定によっても処罰の対象にすることが可能です」

 の二つである。
 最初のポイントにあるように、アメリカはこの返信のなかで、「テロ」という言葉は一度も使っていない。安倍首相や朝日新聞にも学んでほしいところ。
 この『国際組織犯罪防止条約』はアメリカの言うように、「金銭的利益その他の物質的利益のために重大な犯罪を行なうこと」に対する条約で、主に政治的な利益を目的とする「テロ」を対象にしたものではないということは、既に日本の弁護士会などが指摘していること。
 もしまた、「テロ」を対象にするということであれば、条約自体を変える必要がある。

 ふたつめのポイントは、連邦法が州法に関わりなく「共謀罪」として摘発できるものとして、「一例を挙げれば、贈収賄、恐喝、郵便及び電信の詐欺並びに通商への干渉」と述べていること。
 ここで並べられている犯罪の特徴的性質は、摘発対象の犯罪の基準はあくまで「金銭的利益その他の物質的利益のために重大な犯罪を行なうことの共謀的又は組織的な犯罪集団を推進するための行為を行なうことの共謀」であり、無分別に「懲役4年以上」というのをあくまで根本の基準として押し通そうとする日本政府とは違うということが読み取れること。
 もし、日本政府のように「懲役4年以上」という基準でアメリカが例をあげたとすれば、もっと違う犯罪名が並んだはずである。

 結局アメリカの返答はまともで「常識的」なものである。懲役4年以上の犯罪と条約に謳われていると言って、それに該当する619もの犯罪に「共謀罪」を適用しようとする「非常識」な(条約とは離れて、盗聴などの警察の捜査権限の拡大とか政府方針に対立するような人々を押さえ込むのに利用しようとするような思惑が見え隠れする)日本政府の態度とは違うということである。

 一方で、日本政府はこの新設する「共謀罪」の対象に、市民団体や労組組織などは入らないと言っている。
 しかし、次のWebを見ればわかるように、普通の市民や学者が講演会などをおこなう時にも公安が数十名も周囲を取り囲む矛盾、異様さをどう説明するのだろうか。

 ・共謀罪TV──共謀罪は一般市民がターゲット


 参考:
『日本の公安警察』青木理著 より

 市民オンブズマンも調査対象

 例えば、こうした機構改革をうけて近畿公安調査局が作成した内部文書「一九九六年度業務計画(国内公安動向関係)」及び同局の「重点解明目標」は驚くほど広範な調査対象を指定している。一例を挙げれば次のとおりだ。

〔政治・選挙関係〕では「各種世論調査結果や行政要求行動などにみられる有権者、特に無党派層の政治意識、政治的関心事項の把握」「原発・基地問題などが争点となる各種選挙」

〔経済・労働関係〕では「中間管理職、パート、派遣労働者、外国人労働者など未組織労働者の組織化をめぐる労働団体の動向把握」

〔大衆・市民運動関係〕では「市民オンブズマンの行政に対する告発運動の実態把握」
「産直運動、食品の安全行政の充実強化を求める運動、大気汚染・リゾート開発・ゴミ問題等への取り組み」

〔法曹・救援、文化、教育関係〕では「死刑廃止や人権擁護の取り組みの実態把握」「いじめ・不登校問題、日の丸・君が代反対などに対する諸団体の動向把握」「左翼法曹団体、弁護士会による司法改革や破防法反対の取り組みの実態把握」

 中でも、近年活動を活発化させている市民オンブズマンに対しては「運動の矛先を我が国の治安部門に及ぼそうとしていること、情報の全面公開を柱とした[情報公開法]の実現を目指していることを考え合せると、運動は今後、加速度的に、“権力中枢”へと矛先を向けていくものと思われる」と決めつけ、調査の必要性を強硬に主張。市民団体側から抗議を受けた場合には「日共や過激派等の調査に関連づけて説明できるよう訓練させている」とまで記されている。
 各分野で具体的を挙げられた団体に目を移すと、日本ペンクラブ、日本ジャーナリスト会議、日教組、アムネスティーなど、およそ破壊活動とは関係のないものにまで及んでいる。マスコミ関連団体にまで調査の触手を伸ばしていることには驚くほかないが、独善的な発想の下、「公安の維持」を名目に市民運動と呼ばれる活動すべてに範囲を広げ調査の網をかぶせようとしている実態が浮き彫りになっているといえよう。

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