雑木帖

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『徒然草』の言葉

2006-12-04 00:29:19 | 政治/社会
 白川勝彦氏のブログ『永田町徒然草』で、吉田兼好の『徒然草』の中の「改めて益なきことは、改めぬをよしとするなり」という言葉を見て、ちょっと意味の深い言葉かなと思った。
 今の政事でいえば、まさに白川氏の書いているように、教育基本法改正、防衛庁設置法改正などは、この言葉にぴったりだ。

 マイコンのプログラムで、前に自分が書いたものを改めて読み直した時に、「何故こんな無駄な一行がこんなところに入っているのだろう?」と、不思議に思い、即削除してしまうことがある。すると、マイコンが突然うまく働かなくなり、もう一度その削除した箇所をみると、無駄で意味のないものではなかったことに気付き、ばかみたいになるほどと思うことがある(自分の書いたものでこんなことをやっているのは僕だけかも (^^;)。

 そういえば、日本の原発はアメリカから完成の技術(図面)を受け継いだだけのものだったので、日本で作る際に日本の技術者が設計図を見て無駄なものがあると勝手に思い込んで一部を省略してしまうことがあったという。しかし、それは経験やデータなどから付け加えられていた大事なものであったのだそうだ。…
 なんだか、2世3世の政治屋が今やっていることはこれらと同じことのような気がする(別に憲法がアメリカ絡みで作られたという意味でではなく、その内容、理念の意味で)。

 しかし、これらの政治屋は実際はもっと悪いと思う。そこに私利私益などの動機もあるからだ。
 以下、自衛隊の海外派兵の論議などでブログでもあまりふれられない点を参考まで。
『ダカーポ』 2002.05.15号

 「構造改革、グローバリズムと連動する、現在の改憲論の正体」 渡辺治
 インタビュー・文 斎藤貴男

 …(略)…
渡辺 グローバリズムの問題です。改憲論が60年代から80年代前半にかけて下火だったのは、国内生産と輸出を中心にした経済システムが安定していたからですね。平和憲法の理念を容認したわけではなかったが、企業社会や自民党政治にとっても都合が悪くなかったので、あえて触れようとはしなかった。
 ところが80年代半ばの円高を契機に、日本企業は生産拠点を海外にシフトし始めた。初めは市場に近いアメリカやヨーロッパから、次第に安い労賃を求めてアジア、太平洋へと展開し、現在は中国ですよね。そうした国々は開発独裁政権で、税制上の恩恵はもちろん、労働組合は禁止だし、女性差別はし放題、環境基準も大甘。でも政治的に不安定な国が多い。インドネシアのスハルト政権が倒れたくらいですから、軍事独裁のタイやミャンマーも危ない。フィリピンはなお揺れているし、中国だって決して安心できない、と経済界は考えている。

     ◇       ◇
 自衛隊の海外派兵に重点を置いた小林節・慶応義塾大学教授(憲法学)による「私案」が登場したのは92年のことだった。翌93年に自民党憲法調査会がまとめた「中間報告」を読むと、改憲派の主張に伝統的な“占領軍の押し付け憲法”からの脱却論だけでなく、冷戦の終結による国際情勢の変化などを根拠としたり、海外派兵にかかわる集団的自衛権を論点に挙げる人が増えていたことが分かる。
 やがて財界団体である関西経済同友会や経済同友会による国際貢献を強調した意見書の公表が相次いだ。日米新ガイドラインや周辺事態法の成立を見た後の2000年には日本経済新聞社が提言を発表し、憲法が制約してきた集団的自衛権の見直しを明確に打ち出すに至った。経済界の意志の反映と見られる。なお天皇制の強化について、経済界の提言はさほどの関心を示していない。
     ◇       ◇

渡辺 IJPC(イラン・ジヤパン石油化学)をご記憶ですね。三井グルーブとイラン政府がペルシャ湾岸のバンダル・シャプールに合弁で建設しようとした石油化学プラント。完成間際にイラン革命が起こって中断され、収まったと思えばイラン・イラク戦争。結局は撤退を余儀なくされ、三井物産などそのまま左前になってしまった。
 そういうことのないように、アメリカは第7艦隊を用意している。軍事的プレゼンスで企業の資産を守り、独裁政権を倒した新政権も自由主義的であればサポートして特権を維持する。日本は金だけでやってきたわけですが、今後はアメリカを中心としたグローバル秩序に対して一定の責任を果たさなければならない、とにかく軍事的に出ていって、進出企業のある国の政権とそこでの特権を守る、その一角に参加したいと政府は考えた。いわゆる“普通の国”論です。

──海外進出企業のために派兵する、というシナリオですね。直接には自衛隊絡みでない部分の改憲論とも、グローバリズムは関係があるのですか。

渡辺 ええ。日本はグローバリズムのために新自由主義に基づく構造改革を進めてきました。企業の競争力を強化するための、規制緩和あるいは社会保障や教育のスリム化ですね。その結果、ホームレスや中高年の自殺者が激増し、ドメスティック・バイオレンスとか児童虐待が珍しくなくなった。犯罪が凶悪化する一方で検挙率は低下。オウム真理教のような新興宗教が若者の心をつかむ、といった状況が一斉に噴き出したわけです。一連の構造改革が予想以上のダメージを社会にもたらしたのだと考えていいでしょう。
 長期不況のせいだと改革論者もマスコミも言いますが、違う。どれも空前の好況に沸いた90年代のアメリカで先行していた現象であることを考えてみてほしいのです。グローバル企業がもうけて景気が回復しても、構造改革で雇用は逆に減っていく。多国籍企業が海外で製造した商品が逆輸入されてくれば地場産業は壊れるし、中小企業の多くが下請けである日本では、大企業のリストラが、工場周辺の町全体を衰退させてしまいます。
 つまり既存の社会統合がグローバリズムのおかげで解体されつつある。だけれど構造改革はさらに進めたい。とすれば、従来とは異なる形の社会統合のあり方が必要だ、ということになった……。
 …(略)…
 こちらは安倍首相の実兄が勤務する企業絡みでもあるもの。
『噂の真相』 2004年4月号(休刊号)

 イラク派兵に踏み切った小泉内閣と、三菱グループと防衛庁の“密談”

 …(略)…

 ●MD導入をめぐるさらなる巨大利権が

 それは他でもない、小泉政権が導入を決定したばかりのミサイル防衛システム(MD)である。このシステムは、敵国から日本に向けて発射された弾道ミサイルに対し、パトリオットミサイルやレーザー光線によって着弾以前に迎撃しようというシステムだが、総額6兆円という巨額予算が必要なうえに、命中率に大きな問題を抱える(命中率10%未満という報告もある)詐欺もどき計画として厳しい批判のあるもの。
「税金の無駄づかいというだけではなく、MDは日本の集団的自衛権の行使にも関わる問題であり、実戦配備されれば憲法に低触する可能性も高い。また、このMDは日米共同で開発される方針のため、配備されれば、当然、日本で生産した部品やシステムが米国へ輸出されることになり、わが国の『武器輸出三原則』という国是にも違反することになる。アジア諸国からは日本の軍国化につながるとの批判も噴出していますし、まさに問題だらけの計画です」(全国紙社会部記者)
 実際、当の小泉政権でも、前防衛庁長官である中谷元はMD導入に否定的であり、01年6月に放映された報道番組では、「現在のところ参加するということはない」と明確に否定していた。ところが石破茂が防衛庁長官に就任して、02年12月に訪米した際、導入を検討すると発言をしたのを皮切りに計画が進み始め、昨年12月になってとうとう導入が決定してしまったのである。
 いったいなにがあったのか。
「それはズバリ、三菱の働き掛けでしょう」
 こう話すのは、ある軍需産業関係者だ。
 実をいうと、三菱グループはこの詐欺まがいのMD導入でももっとも大きな利益を得る企業なのである。ある軍事評論家が語る。
「たしかにMDが導入されれば、三菱グループによる独占状態になるのは必至です。何しろ、99年からはじまった日米共同技術研究には三菱グループがこぞって参加しており、三菱だけがMDの技術を持っている状況ですから。たとえば、レーザーの誘導システムは三菱電機が開発しているものですし、MDに不可欠な偵察衛星にしても三菱電機の高度な撮影機材を搭載するなど三菱の独壇場。また、三菱重工は、地対空ミサイルを防衛庁に納入している実績を持っていますから、MDに必要なパトリオットミサイルなどを受注する可能性も極めて高い。そして、グループ各社がこうした開発を受注すれば、その輸出入の取り扱いは当然、三菱商事や米国三菱商事に落ちることになります。ことMDに関しては、他の軍事メーカーは完全にお手上げですね」
 その利権独占ぶりは、三菱以外の軍需産業からの反発をかっているほどだ。例えばNEC会長の佐々木元などはMD導入による巨額の防衛予算により、既存の防衛関連の予算が削られるとの危倶から、ミサイル防衛のための特別枠予算をもうけるよう主張している。これだけ見ても三菱グループの独占状態ぶりが判るだろう。防衛庁詰め記者が語る。
「MDは三菱グループにとって悲願ともいえるものなんです。三菱重工は主力商品だったF2支援戦闘機の生産をあと数年で終える予定で、受注額の激減が予測されていますが、MDが導入されれば、これまで以上の契約が見込まれますからね。しかもMDでは2年ごとにシステムを更新しなければならないので、防衛庁との契約は半永久的に続き、何十年も巨額の金が転がり込み続ける」
 つまり、三菱はこうした事情から、どうしても小泉政権に対して、MD導入を働き掛ける必要があったのである。
「MDの導入自体は小泉政権になった時から、米国の圧力でほぼ決まりという情勢だったんですが、三菱にとって問題なのはむしろ『武器輸出三原則』だった。これがある以上、三菱が開発したMDの部品は国内で使えても、米国に輸出できませんから旨味が少なくなってしまう。そこで1、2年前から、様々なチャンネルを通じて、小泉政権や防衛庁にその見直しをしきりに働き掛けてきたんです」(三菱重工関係者)
 だとすれば、昨年10~11月に開かれた問題の「関東閣」での会合でも、この問題が話し合われなかったわけはないだろう。
「武器輸出が解禁になれば、その輸出入の窓口になるのは米国三菱商事。その社長である相原宏徳が会合に出席していたわけですから、当然、議題にはのぼっている可能性はあるでしょう」(前出・三菱商事関係者)
 実際、この直後の12月に小泉政権はMD導入を正式決定し、今年に入ると、石破長官が「武器輸出三原則の見直し」をぶちあげているのだ。そういう意味ではまさに、小泉政権と三菱グループの談合によって、日本が戦後、守りぬいてきた平和原則までもが崩壊しつつあるといってもいいだろう。

 ●石破長官はなんと三菱重工株を保有

 それにしても、である。イラク復興利権にMD導入、武器輸出三原則見直し。これでは、小泉政権は三菱グループの「傀儡」として、同グループに利益を生み出すような政策を代行しているとしか考えられないではないか。
 実際、小泉政権の幹部はこぞって、三菱グループとの太いパイプを持っている。
 たとえば、イラク派兵を統括し、今や『陰の総理』──ともいわれている福田康夫官房長官は実弟が三菱商事に勤務しており、同社幹部とは頻繁に情報交換しているといわれる。
 また、首相補佐官として派兵に向けて動き回った岡本行夫も三菱商事と関係が深く、三菱マテリアルの役員まで務めている。
 さらに、石破長官に関してはもっとトンデモない疑惑、いや事実さえ存在する。というのも石破は、軍需産業ナンバー1の三菱重工株を1万625株も所有しているのである。
 これはつまり、防衛庁長官である石破が軍需産業たる三菱に有利な政策を打ち出せば、株価があがって自分の利益にはね返ってくるということではないか。
「防衛庁長官が軍需産業の株を持っているなんて、インサイダー取引の罪に問われてもおかしくない話です。こんなことが許されるなんて、いったいこの国はどうなっているんでしょうか」(証券関係者)
 そして、今回の会合で発覚した小泉首相の秘書官・飯島勲と同グループのチャンネル。
 ある自民党のベテラン議員もうんざりした表情でこう語す。
「たしかに経世会が住友に近かったとすれば、今の森派を中心とした主流派は三菱の、それも軍需部門との結びつきを急速に強めています。今回の『関東閣』での会合も何が主目的ということではなく、三菱グループトップと小泉政権、そして防衛庁の間でこうした形の情報交換や利権共有の談合がしょっちゅう行なわれているという証左じゃないでしょうか。そういう意味では、両者の関係は今や運命共同体といってもいいものなんですよ」
 そして、日本最大の軍需産業と結びついたこの政権は、イラク派兵、MD導入、武器輸出三原則見直しに続いて、その軍国化政策をますますエスカレートさせようとしている。憲法改正、集団的自衛権容認──、これはもう、軍需産業と癒着したブッシュ政権と同じ、いやそれどころか、政府と軍が財閥と一体化して太平洋戦争に走った戦前の日本そのものではないか。
 残念ながら今号で休刊を決めた本誌にはもはや、これ以上彼らを追及する時間はない。しかしだからこそ、すべてのマスコミに最後の期待を込めて提言しておきたい。あなたがたがこの犯罪的政権の正体を暴き、その暴走をストップさせないかぎり、この国に未来はない、と──。〈敬称略〉


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