ブリの森づくりプロジェクト  

~森の再生からブリの来るまちへ~  小田原市無尽蔵・環境(エコ)シティ  ブリの森づくりプロジェクト 

結果発表!真夏の河川最高水温一斉調査と河川環境の評価(NACS-J方式)

2013-09-19 01:09:33 | ブリ川-いろいろな川
お待たせしました!
真夏の河川最高水温一斉調査と河川環境の評価(NACS-J方式)の結果発表です!

 今夏は「ブリの森づくりプロジェクト」の市民活動の一環で、小田原・箱根・丹沢地域で、神奈川県下河川水温一斉調査(石綿進一先生、神奈川工科大)に調査協力すると同時に、日本自然保護協会(NACS-J)の手法を使った川の環境評価を行いました。
 なお、神奈川県全地点での水温については石綿進一(神奈川工科大)先生がネット等で結果を公表予定です。
 ブリ森では、今回の活動を、きっかけにして、川の環境の評価や、多自然川づくりを地域の市民と行政の共同でやりたいと思ってます。

■なぜ???夏期の高水温測定???
 例えば、「アユの生存限界水温の32.8度越え地点が県内にある」!
 水温は河川生物の生存を左右する。特に、夏期の最高水温は、死をもたらすことがある。ところが自治体が行っている定期調査(公共用水域の常時監視)では地点も少なく、また河川の平均的な水温計測に重点がおかれ、高水温時間帯を対象としてない。このため今夏の調査を実施しました。


調査は、下記の調査方法1と2を行いました。
■調査方法1 「神奈川県下河川水温一斉調査」
これは、真夏の高水温時間帯(昼過ぎ)の水温を測るもの。
 2013年8月11日午後1~4時の間に測温。良く流れてて水深15cm以上の箇所。
 主体:神奈川工科大学 石綿進一氏。コーディネーター:飯田ふさえ氏。
 参加団体:NPO法人神奈川ウォーターネットワーク(会員)、金目川ネットワーク(会員)、小田原市ブリの森作りプロジェクト、他有志。

■調査方法2 川の環境評価(日本自然保護協会手法)
 下記のかわいい絵を見て川の評価が地域住民で簡単に点数評価できるすぐれもの。
水温は県下一斉で行いましたが、川の環境評価(日本自然保護協会手法)は、今夏は、ブリ森プロジェクトだけが独自に行いました。日本自然保護協会NACS-Jでは約5年おきに全国で実施してます。 出典http://www.nacsj.or.jp/project/ss2010/manual.htm


■結果は以下の通りです。
結果に色分けをしました。赤・オレンジは悪い環境、逆に緑・青は良い環境です。
各水系は上流から順に並べてあります。
■■■■■■早川水系■■■■■■



■■■■■■山王川水系■■■■■■


■■■■■■酒匂川水系(丹沢方面と小田原市内)■■■■■■




■講評(参加者、関係者の感想)
●Aさん:水温調査だけでなく、川の環境評価まで広げたことは意義のあることだと思っています。ぜひ、今後市民レベルでの環境評価活動を展開していってほしいと思います。
●Bさん:河川行政は、まず治水(洪水防止)。治水が可能な範囲で川の環境を守っていく。そして子供たちが遊びたくなる川にしたい。
●Cさん:山王川は、3面護岸区間が多く、景観、生物環境として好ましくないので、土地の制約から拡幅は困難だと思うが、できる箇所から改善してほしい。また、住民が水際に降りれる箇所(親水箇所)が少なく、住民が川への関心を持たなくなる原因となっている。
 今回の活動を、きっかけにして、川の環境の評価や、多自然川づくりを地域の市民と行政の共同でやりたい。
●Dさん:昔の川や水路を知る人も少なくなった。昔は田んぼや人々の生活との密接な繋がりがあった。昔の事、本当の自然を伝える事、より自然な河川環境を考えていく事、人と川との繋がりを取り戻す事、ブリの森づくりPJで発信して行きたい。
●Eさん:久野川の下河原橋はだいぶ前に3面護岸をされてしまい、景観、生物の量は久野川中流以上の流域では最悪になってしまいました。下3面護岸は、景観、生物として好ましくないので、改善したい。
●Fさん:良い川ってなんだろうと改めて思った。
●Gさん:生物など環境の視点と災害(治水)のバランスが難しい。
●Hさん:自然にやさしい川を!
●県東部の鶴見川を担当した魚類専門家:軽く30℃を越えた場所が多く、33℃なんて場所もあった。
 アユに限らず、在来の淡水魚は、高水温に弱いです。特に渓流域に生息する、ヤマメやカジカなどは、22℃を越えたら、かなりやばいです。そのため、全国的に渓流魚の分布は縮小しています。また、カゲロウやトビケラなどの渓流に生息する水生昆虫も高水温には弱いため、結果として高水温により魚のエサも減少します。
 高水温の原因としては、地球温暖化の他にも、森林破壊や利水による水量の低下、畦畔林の減少なども関係しています。(幸い「アユの生存限界とされる32.8度を超え」は小田原・箱根・丹沢では無かった。)

■今後の展望
今回の活動を、きっかけにして、市民に川への関心をもっと持ってもらい、川の環境の評価や、できる箇所から「多自然川づくり」を地域の市民と行政の共同でやりたい。
「多自然川づくり」の詳細は下記HP等をご覧ください。出版物もいろいろ出てます。
→国土交通省HP http://www.mlit.go.jp/river/kankyo/main/kankyou/tashizen/pdf/kangaekata.pdf#search='%E5%A4%9A%E8%87%AA%E7%84%B6%E5%B7%9D%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A'
→九州大学島谷教授 https://sites.google.com/site/shimataniyukihiro/oo-shizen-gawa-dzukuri/dou-shino-duo-zi-ran-chuandzukuri
→(独)土木研究所 河川生態チーム萱場祐一 http://www.zenken.com/kensyuu/kousyuukai/H24/584/584_kayaba.pdf#search='%E5%A4%9A%E8%87%AA%E7%84%B6%E5%B7%9D%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A'

■次回調査(H26年?)への課題
①ブリ森プロジェクトメンバーだけでなく、多くの地域住人が参加できる仕組みにしたい。
②同じ地点は、数年では、環境評価の結果はほとんど変わらないので地点を増やす?
③よく見られる鳥(サギ類、セキレイ類)や魚、水辺の植物の写真付き手引きを配って楽しめるようにしたい。
④前回調査結果を手にしながら比較調査できるようにしたい。
⑤本人が担当した測定箇所だけでなく、その周辺も含めて、住民レベルでの改善提案・要望を集めたい。
⑥他の河川の市民活動(久野川の渓畔林再生等)ともリンクしたい。

■読者の皆さんの感想や要望の「コメント」お待ちしてます。
以上、ブリ森&野鳥の会 伊豆川哲也


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