佐野元春
『Back To The Street』(1980)
最初、LPで買ったのが、22~23年前。
色々な意味で縁があったと今、分かる。
ジャケに映る自転車。
紛れも無くロードバイクっスよ。
ほぼ確実にフレームはクロモリ。で、当然、Wレバー。
当時のニッポンのスポーツサイクルはランドナーが主役だったノだと思いますが、佐野氏、及び、その周辺のスタッフは、被写体にランドナーではなく、ロードバイクを選択したンですね。流石ッス。
さて、今や大御所である佐野元春氏ですが、このアルバムは氏が24歳になって間もなく発表されたデビューアルバムです。制作は23歳の時に進行していた筈ですが、今の耳で聴くと、佐野元春とは思えない、若気のイタリな楽曲も在ったりして、サスガに若かったンだなぁと思います。
アルバムとしても、とても名盤とは言えないデスね。
勿論、作詞作曲は全て佐野元春自身ですが、アレンジは佐野氏本人は1曲のみで、5曲はプロのアレンジャー=大村雅朗氏、そして、4曲が身内とも言える伊藤銀次氏デス(銀次氏はプロ・ミュージシャンですが、職業アレンジャーではナイ)。で、大村氏のアレンジと、銀次氏のアレンジが全然違う。ま、分かると思いますが、都会派ソロ・シンガー向けなアレンジと、ダウンタウン系バンドサウンドという違い。しかも、佐野氏自身がアレンジした楽曲のサウンドは、なんと4ビート。もぉ、統一感なしデス。
とは言っても、曲もアレンジも、それぞれにはイイんですよ。当時はよく分からなかった伊藤銀次アレンジのバンドサウンドの楽曲のイキの良さは、今、とっても好きになれるし、ある意味で産業的な大村氏のアレンジだって、ワタシ、好きですからね。(80年代半ばの大村サウンドはかなり好きデス。「そして僕は途方に暮れる」「My Revolution」とか、アルバム単位では松田聖子の『9th Wave』(1985)なんてスンバラシイよね、と思います)でも、元春~銀次サウンドで統一するってコトが出来なかったって、当時のレコード会社の限界なんデスかね~。
今の感覚なら、全曲が元春~銀次サウンドだったらもっと良いアルバムになったって分かりますけど、当時は、そういう英断もできなかっンでしょうね。海の物ともヤマの物とも分からぬ新人で、冒険は出来ないっスもんね。
あぁ、そして、もうひとつの縁でスがね。
あの「アンジェリーナ」の冒頭の歌詞です。
「シャンデリアの街で眠れずに
トランジスターラジオでブガルー」
分かりましたね?
ワタシのハンドルネームであり、60年代末期にニューヨークで爆発的に流行した音楽、boogaloo(またはbugalu)が、歌詞に入ってます。佐野氏は、この、60年代末期に短い間だけ流行し、そんでアット言う間に廃れた、時代の徒花であるブーガルーを、その10年後に、ニューヨークから遠く離れた極東・東京で、しかも、ブーガルーなんて縁が無さそうなヒトビトに向けた楽曲に登場させていたのデス。
ヒトが目を向けていなくても、価値があるモノって、このヒトには分かるんでしょうね。佐野元春というヒトのセンスは、やっぱ、スゲェと思います。
ロードレーサーが正しいですね(・∀・)/