豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

GPSを駆使しても道に迷うのはなぜか

2020年11月17日 | 道迷い遭難を防ぐシリーズ
ツイッターを見ていて知ったのですが、登山道がはっきりわからない低山でGPSを使っていた登山者が、ひたすら道に迷いまくってあやうく遭難というブログの記事が出ていました。

ミツバ岳。/もりっぷ

GPSがあればいつでも正確な現在地が把握できるはずです。なのに、なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。この記事を読みますと、目的のコースをたどるどころか、沢を下って滝に阻まれて登り返したりと、かなり悲惨な状況です。救助要請したわけでもないですし、なんとか自力下山できていますから、書いた本人が言う遭難状態とまではいかないと思いますが、それでもまあ、よくぞご無事でという感じです。

このブログを読み、動画も最初に載ってるほうをずっと視ました。そこで感じたのは2点。ひとつめは登山道が無いのに登山道を探し、登山道が見えないために不安になっているということ。ふたつめは、地形をまったく見ている感じが無いことです。

登山道が不明瞭なコースを歩いている時、本当に登山道の形跡がわからない状態になったらどうすべきか。ひとつめの方法は引き返すことですけど、進みたいのであれば現状の地形から歩きやすいラインを自ら見つけ出していくことです。登山道が不明瞭とされるコースにおいて登山道が識別できなくなったら、それは登山道が元から無いのと同じです。

道が無ければ、歩く道は自分で切り開くしかありません。

この記事ですと、最初の登りからずっと道に迷っているという不安が書かれています。GPSで山頂をポイントしておき、その方角に向かって進むようにしているので、私から見るとそれなりにナビゲーションできてるじゃん、と思うのですが、登山道が見えてないと不安なのでしょうね。

そしてもうひとつの問題点ですけど、このブログを書いている人は山の地形の基本である尾根と沢をしっかり見ている感じがありません。また読図において等高線から地形を読み取るだけのスキルがほとんど無いのではと思います。登山道が不明瞭でアテにならない状態なのですから、紙の地図やアプリで読図を行い、そこから読み取った地形と現況を常に照合しながら歩く作業が必要なのです。が、そういう作業をしているようには思えません。

GPSがあっても登山道を外れてしまうと多くの登山者はスムーズに登山道へ復帰できない、ってことが、この記事からわかりますね。だからGPSを持っていたとしても道迷いに陥らないための努力が重要です。

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