豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

魔の時間

2011年02月26日 | 遭難と救助について考える
統計上では午後2時頃に事故が集中する、ってのはよく知られる話です。で、その時間帯のことを「魔の時間」と表現しているわけですね。


【低山ハイク】
安全登山のために(5) 山はいつも「魔の時間」

東京新聞  2011年2月25日


午後2時、あるいは全行程のうちの3/4あたりがヤバい、ということになっているのですが、雲取山荘の名小屋番である新井信太郎さんは、朝も危険だと言ってるようです。


引用
また、「朝の出だしも魔の時間」というのは東京で一番高い雲取山で、雲取山荘を経営する新井信太郎さんだ。電車から降りた途端、次の乗り物に乗るために走ったり、人より先に山に向かおうと焦り、脳梗塞や心筋梗塞を起こす人もいるという。この話は拙著「山小屋の主人の知恵袋」(東京新聞出版部刊)に詳しく書いたが、山にはいつも魔の時間が潜んでいる。
引用おわり



さてさて、この「午後2時がヤバい」というのは、おおむね日帰り登山にあてはまるものです。夏の北アルプスだと午後の事故は少なく、どちらかといえば午前中に多いですね。

北アルプスの場合、山小屋に泊まった翌日にそのまま下山というパターンになりますから、疲労で転倒というよりは、単に下りだからヤってしまうのでしょうね。

もちろん、北アルプスでも午後に転倒などの事故が起きることはあります。北部だと白馬三山を縦走して鑓温泉に向かう人が、稜線の分岐点から大出原に降りている途中でコケて救助要請というパターンが多いのですが、これだと午後に事故っていることが多いかもしれません。

要するに、登山者の行動パターンが違えば、「魔の時間」も変化するわけですな。

ちなみにパトロールで夏の北アルプスに入山する場合、一番警戒するのは日曜と月曜の午前中です。特に月曜ですか。通常は土曜の午後から臨戦態勢に入り、月曜の昼過ぎてから警戒を緩めることが多いですね。