まほまほろば

まほろばのように日々の思いを書き綴った日記

今年の読書録

2017-12-25 20:09:21 | 本(漫画、小説)
今年も残り1週間をきりましたので、今年1年で読んだ本を振り返ってみようと思います。

今年は以前書きましたが、小説と哲学・思想書を並行して読んでいきました。
そして、基本的には芋づる方式でして、「読んだ本の作者が影響を受けた作者・作品」、または「読んだ本の作者の影響を受けた作者・作品」を読んでいくというものでした。

また、今年は読書をするにあたって新しい読み方を試してみました。

それは同じ本を少なくとも2回は読むということです。

なんだ、そんなのやっているよと思われるかもしれませんが、ただ2回読むのではなく、工夫して2回読んでみました。

1回目はまずはざっと読みます。
このときに心がけていたのは、読みながら「疑問に思った箇所」、「印象に残った箇所」などのページの端を折っていくということです。
本の内容によっては、折りすぎてわけがわからなくなることもありましたが、それは本を読んでいくことで折る箇所の調整をしていきました。

2回目は精読です。
1回目で折った箇所を中心に丁寧に読んでいきます。そして、印象に残ったセリフや言葉などを本の初めの数ページにある空白の部分に書いていきます。
この書きだすという作業が結構重要でして、1回目に読んだときに点だった部分が互いにつながり、線となります。つまり、部分ではなく全体から俯瞰するように理解できるようになるわけです。
特にこれは哲学書のような難解な作品に有効でした。1回目はさっぱりわからなかったものが、2回目のおかげで少なくとも何がわからないのかがわかるようになるといったように、なんとなくわかるようにもなりました。ただ、それでも理解できない部分はやっぱりありましたので、それはさらに3回、4回と精読をする必要があると思います。

正直言って、この読み方は非常に時間を費やします。
しかし、このやり方は記憶に残りやすいです。自分の血となり肉となる感覚がつかめたように思います。
来年はこのやり方をさらに改良してもっと自分の中に残滓としてでも残るような読み方をしていこうかと思っています。


さて、読んだ本を列挙してみます。まずは小説・エッセイです。


1.「仮面の告白」: 三島由紀夫
2.「カラマーゾフの兄弟1~5」(光文社): ドストエフスキー
3.「嘔吐」: サルトル
4.「群盗」: シラー
5.「カフカ短編集」: カフカ
6.「シーシュポスの神話」: カミュ
7.「マルテの手記」:リルケ
8.「ゾラ短編集」:ゾラ
9.「ゲーテとの対話 上」:エッカーマン
10.「1984年」:オーウェル
11.「すばらしい新世界」:ハクスリー
12.「カフカ寓話集」:カフカ
13.「転落・追放と王国」:カミュ
14.「悪徳の栄え 上下」:サド
15.「おくのほそ道」:松尾芭蕉
16.「伊勢物語」:未詳
17.「今昔物語集」:未詳
18.「羅生門・鼻」:芥川龍之介
19.「鼻・外套・査察官」:ゴーゴリ
20.「シュールレアリスムとは何か」:巌谷國士
21.「シュールレアリスム宣言・溶ける魚」:ブルトン
22.「ユートピア」:トマス・モア
23.「神を見た犬」(岩波):ブッツァーティ
24.「神を見た犬」(光文社):ブッツァーティ
25.「バラとハナムグリ」:モラヴィア
26.「鏡の前のチェス盤」:ボンテンペッリ
27.「羊飼いの指輪」:ロダーリ
28.「猫とともに去りぬ」:ロダーリ
29.「無関心な人々 上下」:モラヴィア
30.「明暗」: 夏目漱石


結構幅広いジャンルを読むことができたと思います。
海外文学に偏ってはいますが、途中日本の平安時代の文学も読めましたし、後半はマジックリアリズムなどの作品を集中して読んでいき、最後は実存主義の作品に戻りました。
一番衝撃的だったのが、マルキ・ド・サドの「悪徳の栄え」でして、人間の欲望を暴走させた世界ってこんな状態なんだと思うくらいぶっ飛んだ内容でした。それ故、他の作品も読んでみたいと思いました。
また、「今昔物語集」を読めたのは収穫だったと思います。比喩表現を多彩に使わずに、下手に気取っておらず、野性的な荒々しさを持つ作品群で、読んでいて新しい発見があり、引き付けられるものが多かったです。


次は哲学・思想書です。

1.「群集心理」:ギュスターブ・ル・ボン
2.「人間不平等起源論」: ルソー
3.「寛容論」: ヴォルテール
4.「自由論」: ミル
5.「帝国主義論」:レーニン
6.「政治の約束」:ハンナ・アレント
7.「ソクラテスの弁明」: プラトン
8.「実存主義とは何か」: サルトル
9.「メノン」: プラトン
10.「空気の研究」:山本七平
11.「服従の心理」:ミルグラム
12.「饗宴」:プラトン
13.「存在と時間」:ハイデガー
14.「実践理性批判 1」: カント
15.「フランス革命の省察」:エドマンド・バーグ
16.「人間の条件」:アレント
17.「大衆の反逆」:オルテガ
18.「道徳形而上学の基礎づけ」: カント
19.「全体主義の起源 3」:アレント
20.「経済学・哲学草稿」:マルクス
21.「学問の方法」:ヴィーコ
22.「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」:マックス・ウェーバー
23.「道徳の系譜学」: ニーチェ
24.「賃労働と資本/賃金・価格・利潤」:マルクス
25.「資本論 1~3」: マルクス
26.「茶の本」:岡倉天心
27.「文化防衛論」:三島由紀夫
28.「法の精神」:モンテスキュー
29.「私の個人主義」:夏目漱石
30.「さらば、資本主義」:佐伯啓思
31.「反・幸福論」:佐伯啓思
32.「西田幾多郎」:佐伯啓思
33.「学問のすすめ」:福澤諭吉
34.「武士道」:新渡戸稲造
35.「論語」:孔子
36.「大学・中庸」:不明
37.「老子」:不明


今年読んでみたいと思っていたものの大半は読むことができました。
こうして振り返ってみると、「ニヒリズム」、「資本主義」、「自由」、「道徳」などのキーワードをテーマとした作品が多かったなと思います。
個人的にはマルクスの「資本論」を読むことができたのが収穫でした。
名前は有名ですが、敷居が高くて読んだことがないという人が多いと言われています。実際読んでみると滅茶苦茶難しかったです。
しかし、これは150年以上前に書かれた作品なのかと思うくらい現代の日本社会に通じるテーマ(ブラック企業、働き方改革、格差社会)が書かれていて、驚きました。
これらのテーマについては自分なりに思うところがあるのでまた、そのうちまとまったら書こうと思います(別に私は格差賛成・反対とかそういった・一次元の内容を書くつもりはありません。もっと根本的な内容についてです)。


来年は小説については、今昔物語集の全集に挑戦してみる予定です。また、現代日本文学の礎を築いた日本の明治の文豪ももっと読んでみたいと思います。
また、哲学書については、「民主主義」、「権力」、「人権」といった当たり前のように聞くことが多いテーマを深く掘り下げるような作品を読んでみたいと思います。併せて「コミュニタリニズム」や「リバタリアニズム」といった現代社会に大きく関わっている思想についても探求しようと思います。


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