まほまほろば

まほろばのように日々の思いを書き綴った日記

1月の読書録

2017-02-04 22:53:05 | 本(漫画、小説)
2月に入り、寒さもピークに達して徐々に暖かさが恋しくなる季節となってきました。

さて、1月に読んだ本を簡単にまとめてみようと思います。


今年の抱負でも書きましたが、今年は現代社会の闇を探るをテーマに芋づる式で古典を読んでいくとしました。

改めて古典を読んでいて思いましたが、古典は奥行きがあり、広がりの可能性を秘めた書物だけあって読んでいて面白いです。

ジャンルとしては、小説と哲学書(思想系含む)を平行して読んでいきました。なぜならばこの二つのジャンルは干渉しあわないことに気がついたからです。

例えば2つの小説を同時に読んだりすると、物語が錯綜して何がなんだかわからなくなって混乱するのですが、小説と哲学書だとベクトルが違うせいかそういったことがほとんどおきませんでした。もちろん、観念的な小説だと哲学的なことも含んでいるため鑑賞する可能性もありますが、そこは気をつけていけばどうにかなるレベルです。


前置きが長くなりましたが、以下に列挙してみます。


○小説

1.「仮面の告白」:三島由紀夫

2.「カラマーゾフの兄弟1」:ドストエフスキー

3.「カラマーゾフの兄弟2」:ドストエフスキー

4.「カラマーゾフの兄弟3」:ドストエフスキー



○哲学書

1.「群衆心理」:ギュスターヴ

2.「人間不平等起源論」:ルソー

3.「寛容論」:ヴォルテール

4.「自由論」:ミル



読んだ冊数だけでいったら8冊になります。

私は読むのが遅いので一月にこれだけ読めたのは初めてではないかと思います。

なぜ読めたのかといいますと、単純に読書の優先順位を上げて読む時間を増やしたことにあります。

まずはテレビを見る時間を圧倒的に減らしました。もちろん、朝のニュースは仕事でも必要となるので見たりするのですが夜は全くといっていいほど見なくなりました。それによって毎日数時間が確保されたことで読書時間も増えました。


ただ、読んだ数は正直どうでもいいと思っていて、それよりも質、つまり思考の流れについて簡単に述べたいと思います。


まずは、小説から。

以前にも書いたのですが、「仮面の告白」は三島由紀夫の処女作でもあり、半自伝的作品でもあります。
あまり周りにはいいづらい性癖などを赤裸々に告白する内容なのですが、私が気になったのは冒頭に「カラマーゾフの兄弟」の美について語られている部分が引用されていたことでした。

それがきっかけで久しぶりに「カラマーゾフの兄弟」を読み直すのも悪くないなと思って次に選びました。

やはり長編だけあって、1月だけで全てを読みきることはできませんでしたが、重要な「大審問官」の部分についてはしっかりと読むことができ、新しい気づきが得られました。それについてはまた全部読み終えた後に書こうかと思っています。



次に哲学書についてです。

最初私が選んだのは「群衆心理」でした。

これは没個性について書かれた本です。つまり、個人が群衆(集団)に入るとどんなに優秀な人や個性的な人であっても平凡となってしまうということです。そのメカニズムというよりかはその事例に重きが置かれていまして、100年以上前に書かれたとは思えないほど現代にも通じる内容でした。


次に選んだのは「人間不平等起源論」でした。

読書会でこれが課題本となっていたということもあって読みました。
これは人間と動物はどう異なるのか、野生人と文明人はどう異なるのか、野生人から文明人へと移行する際になぜ不平等が生じたのかについて書かれた本です。不平等の起源は一言で言えば私有財産を持ったことであり、不平等の流れについても考察されており、資本主義にも通じているというところがなるほどなと思いました。
人間についてこれでもかと深く洞察するルソーの賢さには目を見張るばかりです。


次に選んだのは「寛容論」でした。

ルソーと同時代のヴォルテールという哲学者について、去年「カンディード」を読んだことをきっかけとして読むことにしました。
これは人間は寛容か不寛容かということについて多くの事例を元に書かれた本です。
不寛容であることがいきすぎるとどうなってしまうかということを述べられており、昨今のテロの背景にも通じる内容だったと思います。

次に選んだのは「自由論」でした。

寛容・不寛容ということは多様性を認めるか認めないかということにも関係しているのではないかと考えて、もう少し不寛容について掘り下げるために選びました。
これは個人に対して社会が権力をどこまで行使できるのかという社会的な自由について述べた本です。印象的だったのは、多様性を認めるのはなぜ重要なのか、自由はどこまでが許されるのか、変人になるのはなぜ望ましいのかについて論理的に論じているところです。また、大衆社会についても言及しており、多数派の害悪について参考になりました。


特に「人間不平等起源論」、「自由論」を読んでみて私が次なる興味を持ったのは「資本主義の欺瞞」と「民主主義の欺瞞」についてです。これは私が考える現代社会の闇のテーマとも関係してきていますので次はこれらを考える上で参考になりそうな本を読んでいこうかと思います。

前者についてはマルクスの「資本論」、レーニンの「帝国主義論」、マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」などが参考になりそうです(注:私は別に左ではありません)。

また、後者についてはトクヴィルの「アメリカのデモクラシー」、プラトンの「国家」などが参考になりそうです。




読みたい本が広がっていくということは楽しいことです。純粋に読書というものが好きになります。

特に古典は多くの気づきが得られますし、読書会で議論(対話)をすることでより理解や興味が広がります。










最新の画像もっと見る

コメントを投稿