fantasia*diapsida

とりとめのないメモの山

komme aus dinosauria:

2008-12-18 00:00:00 | biologie*

ティランノサウルス・レックス※注1 Tyrannosaurus rex Osborn, 1905 が1番好きな動物なのは、今も昔も変わらない。
白亜紀後期 マーストリヒト期(Maastrichtian; 70.6±0.6 Ma - 65.5±0.3 Ma)の末期に棲息した獣脚類(Theropoda)で、
やはり有名且つ威厳あるスタイルに誰しもが感銘を受けるためか、標本数が特筆するほど多い訳ではないのにも係わらず、
やっぱりよく研究されている。
詳しくはまた書くつもりだけど(トンでもない分量になりそうだな)…

さて、古生物の中でも最も有名なT-rexだが、
生物標本として最も有名なものが、シカゴはフィールド自然史博物館(Field Museum of Natural History)に収蔵される
Tyrannosaurus rex、標本番号:FMNH PR2081、通称"Sue"(スー。発見者スーザンさんに因む)だ。
2005年には日本にも来て、もちろんその時は3回くらい観に行ったけど…
なんかやっぱり違うんだよなぁ、建物自体の調和とかと相俟ってね。
フィールド博物館は、もっとドーンとでっかい荘厳なホールの真ん中にドシッと立ってるイメージで(写真とかで見ると)、
もっと「俺は特別だぜ!※注2」って感じがするのだ。
で、久々にそんな写真とか見て、明日にも行きてぇなぁ…と。


私がこの業界(生物学分野)に進んだのは元々恐竜からである。
それより元を辿れば怪獣があるかもしれないが…
恐竜(Dinosauria)は古生物なので、当然標本は全て化石であり、なのでこれを研究するのは伝統的には地球科学の分野だ。
実際、日本の大学で"古生物学"があるのは地球科学部などである場合が殆どである。
ところが海外の、少なくとも古脊椎動物においてはpaleontologyからpaleobiologyに主軸を置く時代が到来してきており、
化石そのものと向き合い、地層から探られる古環境などと照らし合わせて復元・記載を進めるのみならず、
系統関係を推し進めるために現生種などとも徹底した形態比較を行なったり、
それを元にCTスキャンした骨格を元にコンピュータを使って筋肉を付けて動きをシミュレーションしたり、
更には分子生物学の台頭によって、分子系統との比較や僅かに残る軟組織の解析まで行なわれるようになってきた。
なので、地球科学よりも生物学を志したわけである…
というのはタテマエで、純粋に動物が好きで化石そのものより動物の1グループとしての恐竜が好きだったから、
「まぁ上記のような時代の風潮みたいなことをそれっぽく考えとけばいいか」と言い切り、
大して悩まず生物嗜好が(それも物心付いたときから?)固まっていたものである。

とまぁゴチャゴチャ書いたものの、結局恐竜好きが嵩じて今に至る、というわけ。
卒研決めるときでさえ、カメの系統と側頭窓(temporal fenestra)の関係が発生見れば云々…とかアウトプットしたものの、
そのルーツはテタヌラ類(Tetanurae)の
ギガノトサウルス・カロリーニ Giganotosaurus carolinii Coria & Salgado 1995 が見つかった時、
その復元骨格について「側頭窓が広すぎじゃね?ケラトサウリア(Ceratosauria)※注3じゃないんだから。」
という反論が多く出た件に関して持った興味に始まったものだ。

やっぱり恐竜はいいですね。
一度恐竜の発生やってみたいんだけど…やっぱりその場合はニワトリとワニやって足して2で割るんかねぇ。


※注1:
ティラノサウルス・レックスの表記が一般的だからそれでもいいんだけど、
Tyrannosaurus ってそのままラテン語読みすれば、ティランノサウルスないしテュランノサウルスって感じですやん?
さすがにチラノザウルスはないが…その辺、正確に学名っぽく読もうかな、と。
そんなわけで、Albertosaurusはアルバートサウルスじゃなくてアルベルトサウルスと読みますで、私の場合。

※注2:
Sueは♀だから「俺」なんて言わないって?
スーちゃんが第1血道弓(chevron)の欠如などを理由に♀とされていたのは、一昔前の話。
現在はこの血道弓は新たに発掘されたし、
そもそも"血道弓で♀♂を判別する"手法は伝統的に知られていたワニの解剖学から生れたのだが、
最近、数十体ワニを解剖しても♀♂でそんな骨格の特徴はない!ということが解ってしまった。
ワニの雌雄は発生時の温度で変化するものだけど、性決定の前に骨の原基は粗方作られてしまうらしいから、
♀♂でそんなに骨格の違いは生れないらしい。
でもSueちゃんは、体つきetc.からして♀っぽいよね、とはいまだ多くの人が申しておりますが。

※注3:
獣脚類(Theropoda)は大きく、テタヌラ類(Tetanurae)とケラトサウリア類(Ceratosauria; ケラトサウルス類)
に分かれるというのが、現在の分類。
テタヌラの最大の特徴は半骨化した腱に支えられる、互いに尾椎が癒合した強靭な尾。
なので、昔の絵によくある尻尾をくねらせたティランノサウルス像はちとおかしい。
アロサウルス類やティランノサウルス類、マニラプトラ類(鳥類含む)などなど、メジャー級の鳥っぽい連中がここに入る。
ケラトサウリアは腸骨・恥骨・座骨が互いに癒合するのが見分けるポイントか(まず中生代のテタヌラでこんなことはない)。
まぁ互いにもっと色々あるんだが、
テタヌラは涙骨が外側を向き、それとともに側頭窓が外側に移動して概して縦長に細く潰れる。
ケラトサウリアの下側頭窓は概して巨大で、そこを構成する骨も華奢である。
という特徴が見られる。
ギガノトサウルスは明らかにテタヌラだが、側頭窓が異様にデカく、頭部が妙に長いような気がする。




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