華氏451度

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法律「以前」の問題? それならばなぜ…… 

2006-09-23 01:37:53 | 非国民宣言(反愛国心・反靖国など)


 卒業式や入学式などで日の丸に向かって起立し、君が代を斉唱するよう義務付けた東京都教委の通達に対して都立学校の教職員らが「義務はない」と訴訟を起こし、9月21日に東京地裁で原告側全面勝訴の判決が出た。裁判長は「通達は不当な強制に当たり、憲法が認める思想・良心の自由を侵し、教育基本法にも違反する」と述べ、通達違反を理由とする処分も禁止した。(嬉しいニュースだと思い、昨日のエントリでも書いた)

 この判決について、小泉首相は「人間として、国旗や国歌に敬意を表するのは法律以前の問題ではないか」と感想を述べた――そうである。また出ましたね。「心の問題」と同じモノの言い方が。

 法律以前の問題というなら、それはそれでもいい(私は法律以前というより、法律で規制する問題ではないと思っているが)。だが、それならばなぜ「通達」で縛らねばならないのか。むろん通達はいわゆる「法律」ではないが、遵守すべきルールとして提示される点においては法律と同じである(と、ごく普通の感覚では思う)。

 愛国心だって、小泉首相はもしかすると「自分の帰属する国を愛するのは、人間として当たり前のこと。法律以前の問題」とおっしゃるかも知れない。それならば、なぜ教育基本法に盛り込もうとやっきになるか。「法律以前の、心の問題」ではないからこそ、法律で決めてしまわないと不安なのでしょう? 人間として自然なことではないから、守るかどうか目を光らせなければ不安なのでしょう?

 ほんとうに「法律以前の」「心の問題」であるならば、国や自治体でルールを決めるな。法律以前の問題まで決めなければ気が済まないのは為政者のサガであるとしても、ルールというのは決めれば決めるほど「こういう場合は」「ああいう場合は」とシュミレーションせざるを得なくなり、重箱の隅をつつくようになりまさる。紳士協定、などというものはすっ飛んでしまうのだ。それは人間――自分の頭で考え、自分の言葉で語ろうとする人間に対する冒涜である。

 ついでに言うと――「敬意を表せ!! 起立せよ!! 歌え!!」とやかましく言わなければ、日の丸や君が代が好きだという人がもっと増えるかも知れないのにねぇ……。

 
コメント (21)
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