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アーカイブ(公開論文集)
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今日は②気候変動への対応を検証してみましょう。
1991年の決定
日本では「気候変動」という言葉よりも「地球温暖化」という言葉が好んで用いられます。これは、二酸化炭素に代表される温室効果ガスの大気中の濃度が増加していくと、平均地表気温が上昇する可能性がある、という話です。
地球の温暖化の原因をめぐっては学者の間でさまざまな意見が出されていますが、大勢は大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスの増加により、温暖化が起こるというものです。
ですから、「二酸化炭素などの温室効果ガスをできる限り減らさなければならない」という世界共通の認識が生まれました。ところが、実用的な規模で大気中への二酸化炭素の排出を低減させる技術が世界のどこにもないのです。
ただ、同じ二酸化炭素でも、例えば、潜水艦とか宇宙船のように非常に限られた小さな空間で、比較的二酸化炭素の濃度が高く、しかも人命の保護のために十分にお金がかけられるという場合はそれらに対応する技術は存在します。
けれども、石油とか石炭、天然ガスなどの化石燃料や廃棄物を燃やした時に出てくる大量の排ガス中の低濃度の二酸化炭素や、自動車の排ガス中に含まれる低濃度の二酸化炭素を低減させる実用的な技術はいまのところありません。
それにもかかわらず、世界の科学者で構成しているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は90年に公表した「第一次評価報告」で、二酸化炭素などの温室効果ガスを直ちに60%以上削減しないと温暖化を免れないと警告をしています。
適切な技術が存在しないのに、二酸化炭素の排出量を減らさなければならないということになりますと、スウェーデンは「技術がなければ、二酸化炭素を排出する行為に排出税をかけると同時に、二酸化炭素の主な排出源となる化石燃料に二酸化炭素税をかける」という経済的手段で排出量を低減させることを決定し、91年1月1日からこの新税の導入を開始しました。
日本はこのような実用的な技術がないことも、科学者の警告があることもわかっているはずですが、二酸化炭素税の導入については産業界を中心に国民の間でも反対が強いようです。では、二酸化炭素税の導入に代わる有効な対応があるかといいますと、めぼしいものはありません。このような国際的な認識に対しても2つの国は違う対応をとっているのです。
18年前の判断基準の相違は、現在どうなったか
2008年2月21日、スウェーデンのラインフェルト首相はEU議会で演説し、「スウェーデンは1990年以来、44%の経済成長(GDP)を達成し、この間の温室効果ガスの排出量を9%削減した」と語りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/cc/ad34cba8de75e3209c718c50997ef7ea.jpg)
上図に示したように、スウェーデンでは96年頃から経済成長と温室効果ガス(そのおよそ80%がCO2)排出量の推移が分かれ始めています。このことは、「経済成長」と「温室効果ガス排出量」のデカップリング(相関性の分離)が達成されたことを意味します。ここで重要なことは、この成果が「国内の努力によって達成されたもの」であることです。
スウェーデンは今後も、独自の「気候変動防止戦略」を進めると共に、EUの一員としてEUの次の目標である2020年に向けてさらなる温室効果ガスの削減に努めることになります。日本は1986年頃から、経済成長(GDP)とCO2の排出量とが見事なまでに相関関係を示しています。
さらに困ったことに、日本では今なお、二酸化炭素税の導入がままならないばかりでなく、次の図が示すように、2007年度の温室効果ガスの排出量は過去最悪となりました。
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今日は②気候変動への対応を検証してみましょう。
1991年の決定
日本では「気候変動」という言葉よりも「地球温暖化」という言葉が好んで用いられます。これは、二酸化炭素に代表される温室効果ガスの大気中の濃度が増加していくと、平均地表気温が上昇する可能性がある、という話です。
地球の温暖化の原因をめぐっては学者の間でさまざまな意見が出されていますが、大勢は大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスの増加により、温暖化が起こるというものです。
ですから、「二酸化炭素などの温室効果ガスをできる限り減らさなければならない」という世界共通の認識が生まれました。ところが、実用的な規模で大気中への二酸化炭素の排出を低減させる技術が世界のどこにもないのです。
ただ、同じ二酸化炭素でも、例えば、潜水艦とか宇宙船のように非常に限られた小さな空間で、比較的二酸化炭素の濃度が高く、しかも人命の保護のために十分にお金がかけられるという場合はそれらに対応する技術は存在します。
けれども、石油とか石炭、天然ガスなどの化石燃料や廃棄物を燃やした時に出てくる大量の排ガス中の低濃度の二酸化炭素や、自動車の排ガス中に含まれる低濃度の二酸化炭素を低減させる実用的な技術はいまのところありません。
それにもかかわらず、世界の科学者で構成しているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は90年に公表した「第一次評価報告」で、二酸化炭素などの温室効果ガスを直ちに60%以上削減しないと温暖化を免れないと警告をしています。
適切な技術が存在しないのに、二酸化炭素の排出量を減らさなければならないということになりますと、スウェーデンは「技術がなければ、二酸化炭素を排出する行為に排出税をかけると同時に、二酸化炭素の主な排出源となる化石燃料に二酸化炭素税をかける」という経済的手段で排出量を低減させることを決定し、91年1月1日からこの新税の導入を開始しました。
日本はこのような実用的な技術がないことも、科学者の警告があることもわかっているはずですが、二酸化炭素税の導入については産業界を中心に国民の間でも反対が強いようです。では、二酸化炭素税の導入に代わる有効な対応があるかといいますと、めぼしいものはありません。このような国際的な認識に対しても2つの国は違う対応をとっているのです。
18年前の判断基準の相違は、現在どうなったか
2008年2月21日、スウェーデンのラインフェルト首相はEU議会で演説し、「スウェーデンは1990年以来、44%の経済成長(GDP)を達成し、この間の温室効果ガスの排出量を9%削減した」と語りました。
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上図に示したように、スウェーデンでは96年頃から経済成長と温室効果ガス(そのおよそ80%がCO2)排出量の推移が分かれ始めています。このことは、「経済成長」と「温室効果ガス排出量」のデカップリング(相関性の分離)が達成されたことを意味します。ここで重要なことは、この成果が「国内の努力によって達成されたもの」であることです。
スウェーデンは今後も、独自の「気候変動防止戦略」を進めると共に、EUの一員としてEUの次の目標である2020年に向けてさらなる温室効果ガスの削減に努めることになります。日本は1986年頃から、経済成長(GDP)とCO2の排出量とが見事なまでに相関関係を示しています。
さらに困ったことに、日本では今なお、二酸化炭素税の導入がままならないばかりでなく、次の図が示すように、2007年度の温室効果ガスの排出量は過去最悪となりました。
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