環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「今こそ推進と規制の分離を」、元原子力安全委員会委員長代理が語る日本の原子力行政の問題点 

2009-09-24 22:16:58 | 原発/エネルギー/資源
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4日前の9月20日のブログで、私が2000年に作成した次の図を掲げました。




今日取り上げたいのは、上の図の②「社会制度」や「政策」に大きな落差がある、というところです。なんというタイミングか、昨日の朝日新聞にそれをまるで実証するかのような、「元原子力安全委員会委員長代理」という要職にあられた住田健二さんの投稿記事が掲載されました。

住田さんは「いま私は原子力行政を担う政府の推進機関と規制機関の分離について一度はっきりと発言しておかなければ、後悔の念を残してあの世に行くことになると思い詰めている」とまでおっしゃっています。そして、さらに、「原子力の必要性をある程度理解し、より安全な利用を願う現実的な立場からの希望を、これまで政府は無視し続けてきた」ともおっしゃています。

つまりは、日本は前自民党政権も、政権交代を果たした民主党政権も共に 「今後も安全に十分配慮しつつ原子力を推進すること」を国の方針として掲げ、自らを技術立国と標榜しているにもかかわらず、原子力行政の基本である「推進と規制の分離」が国際的に見て極めて遅れていること を当事者が認め、改善を求めているという不思議な構造になっていることです。

一方、スウェーデンは1980年6月の国会決議によって「脱原発政策」 (私の理解では、環境に配慮した「エネルギー体系への転換政策」)を進めてきましたので、現在でも原子力エネルギーを推進する政府の行政機関はありません。スウェーデンにとって原子力エネルギーは既存の電力のおよそ50%を支えている重要な電力源ですから、従来から産業省系統(現在は、企業・エネルギー・通信省)の行政機関であるスウェーデンエネルギー庁(Swedish Energy Agency)の所管事項でした。

そして、原子力の規制行政は以前から環境省(Ministry of the Environment)の所管でした。2009年9月現在、環境省には、環境保護庁(The Swedish Environmental Protection Agency)をはじめとして11の環境関連行政機関(Agencies)があります。この中に次の2つの原子力関連行政機関があります。

● スウェーデン核廃棄物基金委員会(The Board of the Swedish Nuclear Waste Fund)
● スウェーデン放射線安全機関(The Swedish Radiation Safety Authority)

2008年7月1日に、新しい行政機関である「スウェーデン放射線安全機関」が現在および将来の放射線防護および原子力エネルギーの安全性の分野で国の総合的な責任をいっそう明らかにするために発足しました。それまで所管業務を担当してきた放射線防護研究所(The Swedish Radiation Protection Institute)とスウェーデン原子力監督院(The Swedish Nuclear Inspectorate)は2008年6月30日に閉鎖され、統合発展して、7月1日から「スウェーデン放射線安全機関」となったのです。 

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以上のスウェーデンの最新状況にもとづいて、ぜひ、次の記事をじっくりと読んでみて下さい。 私の感じではスウェーデンと日本の原子力行政には20年以上の落差があると思います。まさに、あべこべの国といってもよいでしょう。 
  



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