~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

脊柱側弯検診結果を無視せずに、専門医に連れていってください (ブログを書かれている皆さんも呼びかけしてみていただけませんか?)

2018-03-30 13:26:27 | 脊柱検診スクリーニング

 

 日本は学校での脊柱側弯検診が法律で実施が義務づけされている、

 おそらく世界中で唯一の国ではないかと思います。

 その学校検診が実施されるのは地域によって違いはあると思うのですが、

 この5月、6月、7月という時期だと思われます。

 思春期特発性側弯症を経験された多くの患者さんがたが、

 ご自分の経験を、あるいは

 お子さんの経験をブログに書かれている多くのお母さんがたがいます。

 皆さんへの呼びかけとして、これを書いています。

 

 この病気の治療において もっとも大切なことは「早期に発見する

 ということに反対される方はおられないと思います。

 脊柱側弯検診はその目的で実施されています。

 

 しかし、残念な現実も存在します。

 ここではその例を Aさん という形で説明してみます。

 

 2018年5月 小学5年生のAさんは学校での脊柱側弯検診を受け何も問題は指摘されなかった

 2019年5月 小学6年生のAさんは学校検診の対象外

 2020年5月 中学1年生のAさんは学校検診の対象外

 2021年5月 中学2年生となったAさんは学校検診対象として検査を受け

        「側弯症の疑いあり・2次検診必要」の連絡をもらった

仮に、レントゲン撮影の結果 コブ角が30度であったとしたら、Aさんはすぐに装具療法の対象ということですが、30度という曲がりは2021年に突然発生するものではありません。それ以前の2020年、あるいは2019年、あるいは2018年からすでに少しづつ発症していたかもしれません。

例えば、25度から装具療法に入ることと、30度から始めるのでは、そこに治療効果に差はないかもしれませんが、ここでの例を35度とか40度、50度と考えたら、いかがでしょうか?  

 

 

この医学文献は 2017年に発表されたものです。

(グーグルで「思春期特発性側弯症患者の発見理由」で検索するとPDFで本文が入手可能です)

 

 

 

 

この文献から表2と表3を引用しました。このデータから読み取れることは、

 ・特発性側弯症と診断された年齢は、12歳から13歳。その時のコブ角はほぼ40度~50度超

 ・時期をおかずに手術となった子どもたちの年齢は13歳で、そのコブ角はほぼ45度~60度超

 

こういう現実の姿があります。

 

私は「学校検診制度-脊柱側弯検診制度」を批判しているのではありません。この制度があることで多くのこどもたちが救われています。しかし、どのような制度であったとしても、全国の同学年生徒 約100万人を毎年毎年 学校検診することは予算的に不可能です。 つまり全国にいる100万人のAさんを毎年検診することは現実的に不可能なのです。

さらにもうひとつの現実は一次検診結果として「疑いあり・病院でレントゲン検査を受けてください」の連絡をもらっても、受診しない子どもたちがいる、という現実もあります。

脊柱側彎の疑いあり、でも二次検診の受診率ゼロ」は2008年に記載したものです。

いまこの資料はグーグル検索をしても入手できなくなっていますが、同様の事例はおそらくいまでも生じていると想像できるのではないでしょうか? 

 

 

上記表は東京都の2015年度の脊柱側弯検診結果から引用したものです。私のデータの読み方に誤解があれば申し訳ないのですが、次のような読み方ができるのではないでしょうか

 ・一次検査結果から「異常があるので二次検査(レントゲン検査)を受けて下さい」と連絡を受けた子どもの人数は 702人。この連絡を受けて二次検査を受けた子どもの人数は532人。

 ・つまり、702人-532人=170人が二次検査は受けていなかった .... と想定されるのです。

 

学校検診の実施は、国の法律により各自治体に義務付けされていると思います。しかし二次検査(レントゲン検査)を受けるかどうかは各家庭の判断であり、学校(教師)には強制力はありません。

 

もしこの現実を変えることができたとしたら、ひとりでも多くの子ども達が「気づいたら手術をしなければならないほど脊柱変形が進んでいた」という現実を変えることができるとしたら、それは、このブログを読まれている皆さんが、皆さんのブログの中で発信していただくことではないかと思うのです。

少なくとも二次検査を受けるように連絡をもらった子ども達本人、そしてそれ以上にご両親はネットで情報を得ようとするはずです。そしてその時、ここにも残念な現実の姿があります。グーグル検索で「側弯症」「そくわん」「側湾」などのキーワードで検索をしますと、その上位にはたくさんの整体やカイロプラクテックの宣伝が表示されます。

「側弯は治る」という言葉が並んでいたら、私たちは「安心して」連絡は無視するでしょう。

そういう現実が 170人という人数に現れているのかもしれません。

そして、この170人は東京都だけのデータですから、全国でみたら、このように二次検査に行かない人数は数千人になると思います。 

例えばその人数を 3000人と仮定したとき、進行性側弯がその50%とすれば 1500人の子ども達は、

早期発見ができることになります。

 

側弯症に関連したブログを書かれているのは、ひとりふたりではありません。

皆さんのブログの発信は、とても大きな影響力を持っています。

 

august03

 

関連記事

側弯症 発見の遅れは手術リスクを高める (2017年九州地区のデータより)」

側弯症検診が実施される季節

スクリーニングの重要性......成長期以降での進行にも注意必要

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 側弯症治療を途中でやめない... | トップ | ブログを書かれている皆さま... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

脊柱検診スクリーニング」カテゴリの最新記事