~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

側弯症検診-二次検診率を高める為に私たちにできること (子ども達に何を残してあげられるのか)

2018-04-19 15:53:58 | 脊柱検診スクリーニング

 

 皆さんのお子さんたちが通われている学校での学校検診の期日を覚えておられますか?

 検診に先立って、「問診票」等が配られているようですが、もう記載されましたか?

 

 思春期特発性側弯症の発症時期は個人差がありますが、およそ 9歳から12,13歳頃。

 最近の研究では、14,15,16歳で発症するこどももいる、ということが海外文献では報告されています。

 

 グーグル検索してみますと、大半の地域では4,5,6月に学校検診が予定されているようです。

 では、その検診対象者はといいますと、およそは類似していますが、地域により、

 その検診回数には違いがあります。

 

 その幾つかを下記に例示してみました。

 

東京都の例

検診方法:モアレ撮影

       千代田区等    新宿区等   渋谷区   板橋区

 小学5年生   〇       〇      ×      ×

 小学6年生   ×       ×      〇      ×

 中学1年生   ×       〇      ×      〇

 中学2年生   〇       ×      〇      ×

  及び前年度に再検査の指示のあったこどもは翌年に再検査あり。また学校医(養護教諭)の抽出者も検査あり

☞秋田県のスクリーニング情報によりますと「モアレ撮影」はフジフイルムの撤退により、実施不能になっていくようですので、検診方法もやがて別のシステムに変わっていくのだろうと思います。

2018年4月22日追記:モアレ検査に変わって「3Dスコリオ法」という新しい技術による撮影方法が導入されていることが分かりました。


 

加古川市の例

検診方法 - 専門医による視触診  

 小学5年生   〇      

 小学6年生   ×     

 中学1年生   〇

 中学2年生   ×

 

 

宮崎県の例

 例:Aさんが小学5年生のとき受診できず、また小学6年のときの受診で経過観察となったと仮定したとき下記のような可能性になると考えていいのか明確ではありませんでしたが、他地域とは「異なる検診システム」でしたので、記載してみました。もしかしますと、私の誤解かもしれませんので、宮崎県の皆さん 詳細は学校にお聞きいただければと思います。

        全員     Aさん

 小学5年生   〇    都合により未受診

 小学6年生   ×    前年未受診者のAさん (二次検査で経過観察となる)

 中学1年生   ×    経過観察中のAさんは希望して受診

 中学2年生   〇    経過観察中のAさんは希望して受診  

 中学3年生   ×    経過観察中のAさんは希望して受診

☞秋田県のスクリーニング情報によりますと「モアレ撮影」はフジフイルムの撤退により、実施不能になっていくようですので、検診方法もやがて別のシステムに変わっていくのだろうと思います。

 

このように、学校検診の一環として実施される脊柱側弯検診ですが、方法は各地域により異なってきます。

しかし、「問診票」システムは全国統一で実施されている(実施される)ようですので、いわば「早期発見」のスタートラインは家庭から。ということになります。

 

けれど、昔のように親子が一緒にお風呂に入る。という習慣の減少とともに、家庭で発見する確率も減ってきている。という報告があります。問診票をもらい、そこで改めて検診の大切さを思い出して、お子さんの背中を服を脱がせて「診て」みる、ということがあれば良いのですが......

☞ 課題1: 生活習慣が変わり、家庭での発見が自然に行われる環境ではなくなってきている。

 

また、先の記事でもご紹介しましたように、いわば日本における側弯検診の代名詞ともいうべき「モアレ撮影」による検診方法も、企業の撤退により、新たな方法に変わっていくのだろうと思われます。

☞ 課題2: モアレ撮影は実施不能になる。

 

さらに、(ネット掲示板を読みますと、昔から学校検診はこどもたちから評判が悪いようですが)時代の変化により、この傾向はさらに高まっているようにも見受けられます。下記は、グーグル検索で見つけた、とあるドクターが記載されているブログからですが一部ご紹介させていただきます。

「......学校から専門医へ受診するよう促す通知が生徒に持たされます。ところが大阪はその受診率が異常に低いのです。親の無関心です。私のいっている中学校精密検査受診率は5割を下回ります。」「ある学校の校長は 内科検診は服を着たままで」と言ってきたそうです。」

☞ 課題3: 学校検診への無関心や、セクハラ等への過度な警戒心からの検診の実質性の喪失

 

 

インターネット検索をしますと、そこには数多くの「側弯は治る」「この療法で側弯は治った」「ここの玄関には有名人の〇〇〇の年賀状が飾られていた」という情報があふれています。

ここでは、そのような整体からは少し離れて、もっと医学の現実的データから「早期発見」の意味をご説明したいと思います。 (文献の詳細や、医学的データの説明については、ブログ内の他記事をご参照願います)

 

Curve Progression in Idiopathic Scoliosis: Follow-up Study to Skeletal Maturity
Spine: April 1st, 2009 - Volume 34 - Issue 7 

-特発性側弯症のカーブ進行:骨成熟に至るまでのフォローアップ研究報告-   2009年

Conclusion. Initial Cobb angle magnitude is the most important predictor of long-term curve progression and behavior past skeletal maturity. We suggest an initial Cobb angle of 25° as an important threshold magnitude for long-term curve progression. Initial age, gender, and pubertal status were less important prognostic factors in our study.

結論: 初診時のコブ角の大きさがどの程度であるかが、その後の長期における側弯カーブ進行の重要な指標である。

骨成熟を終えるまでの期間、コブ角25度を維持できるかどうかで、その後の進行状況は大きく異なる。

年齢や、初潮や、性別は (コブ角25度の維持に比較すれば) それほど重要ではない。

 

現代医学において、思春期特発性側弯症の保存療法としてその有効性が確認されているものは「装具療法」です。

側弯症専門医の指導のもとでの装具療法です。

 

そして、重要なことは、「早期発見」。 

この医学文献をはじめ、Step by stepの中でご紹介してきた数多くの医学データも示しているように、初診時のコブ角がどの程度の大きさであるかが、いわば、その後の子ども達の道を決定づけるとも言える 大きな要素 です。

 

端的に言うならば、初診時に25度前後であり、骨成熟完了時まで、装具を一日23時間着用することで、患者さんの90%以上は手術になることなく、装具療法を卒業することができる。 のです。

 

このブログを読まれている方の中には、思春期特発性側弯症の時代をへてきた大人の方、いまこの病気と闘っている方、そのお子さんを励まし見守っている親御さん、あるいは検診の結果、二次検査を受けるようにという連絡を受けた方などなど、その背景は皆さん、様々だと思います。

背景は異なると思いますが、次の想いは同じなのではないでしょうか

 

    なんとかしたい、この病気で苦しむこども達を助けたい

 

残念ですが、この病気は、なくなることはありません。これからもずっと、100年、200年、同じように多くの子ども達を苦しめることになります。

 

でも、少しだけ変えることができます。 少しだけ状況を変えることが皆さんにはできます。

 

検診を奇異な目で見ることなく、検診は子ども達を守るために大切なものであることを、

そして、もしも側弯症の疑いがあると連絡をもらったならば、無視することなく二次検査(レントゲン撮影)を受けることを、

 

早期発見することで、治療の可能性は大きく飛躍します。

 

どうか、ひとこと、ひとことでいいですから、「つぶやき」を残していただけませんか ? 

 

現実の世界は、上記に掲げた課題のみならず、他にもたくさんの問題点があると思います。

現状を変えるのは容易なことではありません。

 

でも、二次検診率を上げることで、「早期発見」に繋げることで、治療の可能性は大きく変わってきます。

 

下の発言は掲示板からの引用です。

 

ひとは、それを知らないかぎり、自分の「今もっている常識」でものごとを判断します。さらには自分にとって心地よい情報に身を委ねてしまいます。

 

何が現実で、どうすることが正しいのか、

 

このインターネットの時代だからこそ、私たちにもできることがあります。

 

ブログやホームページを書かれている皆さん

 

皆さんが書かれる情報の発信は、いつまでも、いつまでも、このインターネットの世界に残ります

 

そして、それを見た「誰か」を救うことができますよ

 

 

関連記事

脊柱側弯検診結果を無視せずに、専門医に連れていってください

 (ブログを書かれている皆さんも呼びかけしてみていただけませんか?)

ブログを書かれている皆さまへ ひとつひとつは小さくても、輪が繋がれば 大きな力になります


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブログを書かれている皆さま... | トップ | 脊柱側弯検診二次検診率の現... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

脊柱検診スクリーニング」カテゴリの最新記事