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脊柱側弯検診二次検診率の現実から見えてくるもの

2018-04-22 17:26:08 | 脊柱検診スクリーニング

脊柱側弯二次検診に関する課題を探り、私たちにできることを考えています。国が法律を定めて、子供たちの健康を守ることの一助として、学校検診の実効性を高めようとしてくれています。でも、二次検診を受けるかどうかは、各家庭(ご両親、お子さん自身)の判断です。

ここに改めてデータから見える現実を下記に記してみました。

私自身は患者さんに寄り添う事も、ご両親やお子さんたちの気持ちを癒すこともできません。10年ほど前のネット社会にはその役目を担ってくれる何人かの女性がおられましたが、このようにSNSが普及した現代では、その役目はきっとSNSの中で行われているのではないかと想像します。また、そのように期待もしています。思春期特発性側弯症は、子ども達の身体の病気ですが、そのキュア(治療)にはこころのケアがとても大切です。 子ども達のこころのケア、そしてお母さんのこころのケア。

思春期特発性側弯症は、治療することで死に至る病(やまい)ではなく、そして(身体上)治療する方法も明確になっています。でも、同時にこころのケアは必須であり、そしてこころのケアをすることが、身体的治療への道筋とその効果へも強く影響してくるものだと考えます。いまは、誰がそれを担ってくれているのかわかりませんが、きっとどこかにいてくれると信じています。

 

ここでは、引き続き脊柱側弯検診データより、幾つかの事実と問題点をお示ししたいと思います。

◇平成27年度静岡県報告書より

上記表は静岡県の平成27年度データよりの引用ですが、

さら平成28年度データより

 

小学生で二次検診を受けていない子ども達が 549人

中学生で二次検診を受けていない子ども達が 757人

(合計 1306人)

このデータをもとに、同報告書には次のように記載されています。

 

 

・特発性側弯症に対する装具による進行防止効果が(医学データ)から実証されている。

・早期に発見し、適切な管理下に置くことが重要

・残念ながら、二次検診を受けていない子ども達が、小学校で 17%、中学校で26%  いる。

・このような二次検査を受けない率の傾向はいぜんとして改善していない

 

この1300人を全国でも類似傾向があると仮定しますと、1300人 x 47都道府県  =61100人 となります。

これは単年度の数値であり、これは毎年累積されていくことになります。

3年で18万人、5年で30万人.......   ただこれが大きな問題とならないのは、この数値自体はイコール側弯症患者ではなく、可能性を持っている子ども達という範疇ゆえです。

では、この中で、側弯症として診断される可能性のある数を次に示してみます。ここでは、同静岡県報告書内の次の表から二次検査異常者率 1.9% を用いることとします。

 

 

 

 全国単年度の推定される二次検診を受けていない子どもの数  61100人

 この中で異常ありと診断を受ける率 1.9% 

 61100人 x 1.9% = 1160人 

 このうち  20度以上 のコブ角と推定される数は、 1160人 x 25% = 290人 

 この290人という数値は単年度のものですから、これも当然累積された数値へと増大していくことになります。

 

 この静岡県報告書からは、「20度以上」で括られている為に、これよりも具体的な実態は不明なのですが、例えば、上記表で 中1女子 (平成27年度)20度以上が 73人 とありますが、これは 73人が全員20度という意味ではなく、何人かは40度以上かもしれず、何人かは45度以上かもしれない。ということになります。

ただし、ここで重要なことは、二次検診を受けて発見された 73人の大半は、「20度~」という範疇であり「早期発見」できた。と言うことができることです。

 

先の61100人の未受診者のうち 20度以上と推定される 290人の子ども達が、次に発見されるときは、「背中がなんか変だよ」と、誰かに気づいてもらえるときには、おそらくコブ角は、さらに大きくなっており、40度、45度~という状況になっていることが、これまでにStep by stepの中でご紹介した幾つかの医学報告から十分に推定できる。という悲しい現実が想定されます。

 

単純に図式にしますと、

・一次検診 → 二次検診 → 20度以上の発見 → 経過観察 → 進行の場合は装具療法

・一次検診 → 受けず  →         →      → 何か変だと気づく

 

二次検診を指導されても、受けるつもりになれないのは、まだ背中の外観からは異常があるとは思えないほどの初期段階だからだろうと推測します。そして、「何か変だよ」と指摘を受けるのは、明らかに外観から異常が見えるから、つまりそれだけカーブが進行したから。ということになります。

 

下スライドは、平成24年度熊本県報告からの引用になります。 

 

 

「早期発見」することの意味をもう一度振り返ってみるならば、

 

それは「早期......せめて20度前後で.....に発見」することができれば

 

そして、それに対処することで、

 

30度以上にならないように、抑え込むことができれば「手術」を避けることができるから。 

 

by august03

 

 

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側弯症検診-二次検診率を高める為に私たちにできること (子ども達に何を残してあげられるのか)

 


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