~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

前立腺癌について 基礎情報・データのまとめ 1

2021-09-07 11:52:12 | 前立腺がんと告知されて
2021年9月7日 

自分の手術を決める前にもあれこれと調べてみたのですが、手術を終えた経験も踏まえて、あらためてGoogle検索で情報・データを集めて、まとめようと考えています。

ネット検索しますと、数多くの情報が得られますが、その中で、自分の気持ちにもっとも近い内容が、下記に示しますところの 虎ノ門病院泌尿器科 小松秀樹先生が書かれている説明文でした。


















こちらの資料から重要に考えられた部分を抜粋してみました。

・前立腺癌は死に直結した病気か?   中略  これに対して、前立腺癌は多様です。診断時に全身の骨に広範な転移を有していた場合、2-3年以内に大半の患者さんは前立腺癌によって死亡されます。一方で、生涯無症状の前立腺癌は、死に至る前立腺癌よりもはるかに多数あります。
中略  80歳以上の男性では、半数を超える方の前立腺に癌が認められます。高齢男性の多くが前立腺癌を有しており、ほとんどの男性では生涯無症状であることを意味します。

・早期発見、早期治療は賢い行動指針か ?
生涯無症状のままとどまるような前立腺癌は診断されるより、診断されないほうが幸せです。生涯無症状ならば治療しない方がよいに決まっています。 「早期発見、早期治療」の方針を推し進めた場合、微小な癌まで発見できるとすれば、多数の無用な治療が行われることになります。全体としてみれば健康を損ないかねません。特に80歳を超える高齢者は、早期癌が発見されても、余命内に進行して死に至ることはまれです。80歳を超える高齢者が「早期発見、早期治療」の標語に従って行動することは有害です。

若い年齢層は余命が長いので、早期前立腺癌でも死の原因になる可能性が高齢者よりも高いと考えられています。若い年齢層では有用かもしれません。 しかし、どの年齢層に、どこまの熱心さで早期発見を目指すのが適切かはまだわかっていません。

早期発見、早期治療には不老不死の幻想が含まれているように思われます。中略 高齢になりますと次々と病が襲ってきます。細胞分裂の回数が生物の種ごとにおおむね決まっているからです。一定年齢を超えると生物は生命を維持できなくなります。 中略  死は不可避です。

中略 私個人としては、「早期発見、早期治療」は実現困難であり、しばしば無用な焦りを生む問題のある標語だと思っています。賢い大人の行動指針とは思いません。 中略  「早期発見、早期治療」がどういう場合に役立つのか、どういう場合に有害なのか、冷静に判断すべきです。

・無治療経過観察と手術はどちらが良いか?
中略 (2002年の医学誌での報告内容......上記添付資料を参照ください) 統計学的には、死亡率は全体としてみれば手術してもしなくても有意差がない。 中略
前立腺癌は解剖学的理由により、癌に周囲の正常組織を付けて大きく摘除することができません。このため、早期前立腺癌の大半が根治できるというわけではないということです。

⇒この点については別途、ネット検索で見つけた図を利用させていただきたいと思います。

中略 (2005年の医学誌報告 ) 悪性度の高い場合、長期に渡り前立腺癌で死亡する確率が高く、1000人を1年観察すると121人が死亡。これに対して、悪性度の低い場合は6人しか死亡しません。悪性度の低い前立腺癌に対する手術には大きなメリットがないと結論されています。

・前立腺癌と診断されたら?
まず、悪性度、臨床病期を担当医に説明してもらうことが重要。中略 他の病院でセカンドオピニオンをきくのも考慮すべきひとつの方法です。 早期の前立腺癌では、無治療経過観察を含めて、複数の選択肢があります。この中から患者さん自身が選択することになります。

中略 早期前立腺癌は進行が遅いので、人生の残された期間内に進行しない可能性もあります。治療は身体に対する侵襲を伴います。  無治療経過観察では薬の副作用、手術の痛さや合併症の心配はありませんが、進行してくるリスクが手術を受ける場合よりも大きくなるかもしれません。 手術は進行してくるリスクを減少させることを期待して行いますが、手術の煩わしさや合併症のリスクを負うことになります。 治療法の選択はリスクの性質の選択でもあります。

・手術を勧められたときはまず落ち着く
前立腺全摘術を勧められる状態の患者さんが、前立腺癌で5年以内に死亡する可能性は極めて低く、差し迫った状態ではありません。複数の選択肢があります。 落ち着いてゆっくり考えることが重要です。



//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


上記の「前立腺癌は解剖学的理由により、癌に周囲の正常組織を付けて大きく摘除することができません。このため、早期前立腺癌の大半が根治できるというわけではないということ」について

下記のサイトで見つけた図と説明なのですが、たいへん分かり易かったので ここに引用させていただきました。

https://brachy.jp/message/evidence-brachytherapy4/01.html
ブラキサポート:前立腺癌の患者様、ご家族の皆様へ

 前立腺全摘手術のジレンマ 執筆あじろぎ会 宇治病院泌尿器科 岡本圭生先生

- 本来、癌の手術では、周りに十分な正常組織をつけて切除すべきです。ところが、前立腺は周囲を膀胱、直腸、括約筋などの重要臓器で囲まれています。このため正常組織である周囲組織を十分に摘出することが難しい臓器といえます。なぜなら、周囲の組織を余分に切り取ることにより、括約筋の損傷による重篤な尿漏れがおきたり、直腸に穴が開いたりする可能性があるからです。-



- 前立腺癌に対する全摘手術は、その特殊性から必ずしも癌がきれいに取れ切れるとは言い切れないことがわかります。癌が手術部位に残ってしまうと、手術後何年かたって再発を起こす可能性がありますので、術後の患者さんにとって大きな問題となります。-

- 特に治療前のPSAが高い場合や、グリソンスコアが高い「高リスク」とよばれる前立腺癌では、このような(術後再発)ケースが高頻度で起こりえるので要注意です。 -


<続く>

august03

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前立腺癌 -全摘手術後の「痛... | トップ | 前立腺癌 - 近藤誠理論に対す... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

前立腺がんと告知されて」カテゴリの最新記事